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第2章 これから始まる共同生活
二十四日目① ギルド間定例会議 会議前①
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ついにこの日が来てしまった。
俺は緊張のあまり眠れなかった。
そう、今日は『ギルド間定例会議』の日だ。
ここで俺の運命が変わる……
そう!!
俺の戦いはこれからだ!!
———ここまでお付き合いいただきありがとうございました。作者の新作をお待ちください!!———
てなわけはなく、俺としては大して緊張すらしなかった。
正直、〝行って話してダメなら、はいさようなら〟的にしか考えてなかったりしたからだ。
どちらにせよ、各種ギルドに相手にされなかったとしても、冒険者としてやっていけばいいわけで。
回復手段についてもポーションが自作可能になったので、あまり気にしていなかったりする。
まあ、買取先が冒険者ギルドだけになるから金欠待った無しだけどね。
それに、縛られるとしたら公爵閣下だけでお腹いっぱいだ。
もし俺を縛ろうとした時点でこの国とはさようならでいいでしょ。
どっちにしろ探しに行かないといけないんだしな。
俺がリビングに降りると、ソファーではエルダがゆっくりと紅茶を飲んでいた。
だけど何やら強い緊張感が漂ってくる。
俺よりも、むしろエルダの方が緊張度合いが強い気がした。
「おはようエルダ。どうしたのそんなに緊張して?」
「あ、あぁ、カイトか。おはよう。き、緊張なんてしてないわよ。うん、していないったらしてないわ。」
うん、動揺して顔を赤らめているエルダも可愛いな。
その動揺を隠そうと紅茶を飲むんだけど、ずっとカップがカチャカチャいってる。
「どうしてエルダがそんなに緊張するのさ。」
「カイト……あなたねぇ。各ギルドのギルマスが集まる集会よ?緊張するなって言う方がおかしいでしょ?むしろなんで張本人のあなたが全然緊張していないのよ?おかしいでしょ?」
「だってほら、なる様にしかならないし。いざとなったらこの街を出ればいいだけだし。それに、違う街とか田舎に行ってスローライフでもいいかなって。たぶんだけど、そのうち農機具とかも作れそうな気もするし。そう思ったらなんか緊張するのも馬鹿らしくなっちゃったからね。」
エルダは一瞬驚いた表情を見せた後、盛大にため息をついて頭を振っていた。
俺としてはこの街そのものに対して思い入れとか未練とかそういったものもない。
だからこういった捨てる選択肢もためらいがないんだと思う。
「カイト、本当にあなたは自由なのね。ある意味で一番冒険者に向いているのかもしれないわね。」
「それって誉め言葉?」
「そうね、羨ましいっていう意味では誉め言葉かもしれないわね。」
若干含みを持たせているあたり納得のいかないところもあるけど、とりあえず朝食を済ませて冒険者ギルドへと二人で向かった。
冒険者ギルドへ到着すると、ギルマスがすでに準備を終えて待っていた。
「遅いぞカイト。これからのお前さんの人生が決まるかもしれない会議なんだぞ?少しは気合を入れたらどうなんだ?」
「おはようございます。正直大して気にしてなかったりしてるしね。それに、もしうまくいかない時は、どっかの田舎でスローライフするのもいいかなって?」
「確かに、お前さんならスローライフも田舎暮らしも問題なくできそうで怖いわ。」
そう言うとギルマスは呆れ顔で俺の言葉を肯定した。
どこまで本気はわからないけど。
今回の会場は商業ギルド会館で行われるそうだ。
その移動中にギルマスから念を押されてしまった。
『いいか、よ~く聞け。お前さんの事は、最後の議題として俺が提起する。おそらく商業ギルドのギルマスが食いついてくるはずだ。だがそこで迂闊に約束なんかするんじゃねぇぞ?あいつらは自分の利益の為なら何でもやるやつらだ。お前さんが約束した時点で次々と要求をしてくる。交渉は俺がやるから、お前さんは最後の確認だけしてくれりゃあいい。わかったな?もし、お前の意見が聞きたいって言ってきたら、俺に任せているって言えばいい。お前さんの事は全力で俺が守る。良いな?』
ものすごく圧が強かったとだけ言っておこう。
ちなみに、エルダは今回は特例で俺の付き添いという形で参加する。発言権はなく、ただ話を聞くってことらしい。
そんなこんなで歩いていると商業ギルドの会館が見えてきた。
商業ギルド会館は北区にある商業区の大通に面した一角に建っていた。
正直…成金?って思わせてくれるほどの建物を想像していた。
しかし、建物自体は質素で、よく手入れが行き届いている。
そんな印象だった。
ギルド会館前に一台の馬車が見えた。
豪華とまではいかないけど、それなりに金の掛った高価なものだということは何となくわかった。
俺たちが近づくと、御者と思われる老人から声をかけられた。
「冒険者ギルド、ギルドマスターのシャバズ・ウォルド=ウィリアムズ様ですね。今しばらくこちらでお待ちください。主様がお会いになりたいと申しております。」
「あぁ~、もしかして公爵閣下ですか?」
「左様でございます。」
「閣下、お早い動きですね。何かございましたでしょうか?」
ギルマスは余所行きの言葉で馬車に向かって話しかける。
中からロマンスグレーの男性……シュミット公爵閣下が馬車から降りてきたのだった。
俺は緊張のあまり眠れなかった。
そう、今日は『ギルド間定例会議』の日だ。
ここで俺の運命が変わる……
そう!!
俺の戦いはこれからだ!!
———ここまでお付き合いいただきありがとうございました。作者の新作をお待ちください!!———
てなわけはなく、俺としては大して緊張すらしなかった。
正直、〝行って話してダメなら、はいさようなら〟的にしか考えてなかったりしたからだ。
どちらにせよ、各種ギルドに相手にされなかったとしても、冒険者としてやっていけばいいわけで。
回復手段についてもポーションが自作可能になったので、あまり気にしていなかったりする。
まあ、買取先が冒険者ギルドだけになるから金欠待った無しだけどね。
それに、縛られるとしたら公爵閣下だけでお腹いっぱいだ。
もし俺を縛ろうとした時点でこの国とはさようならでいいでしょ。
どっちにしろ探しに行かないといけないんだしな。
俺がリビングに降りると、ソファーではエルダがゆっくりと紅茶を飲んでいた。
だけど何やら強い緊張感が漂ってくる。
俺よりも、むしろエルダの方が緊張度合いが強い気がした。
「おはようエルダ。どうしたのそんなに緊張して?」
「あ、あぁ、カイトか。おはよう。き、緊張なんてしてないわよ。うん、していないったらしてないわ。」
うん、動揺して顔を赤らめているエルダも可愛いな。
その動揺を隠そうと紅茶を飲むんだけど、ずっとカップがカチャカチャいってる。
「どうしてエルダがそんなに緊張するのさ。」
「カイト……あなたねぇ。各ギルドのギルマスが集まる集会よ?緊張するなって言う方がおかしいでしょ?むしろなんで張本人のあなたが全然緊張していないのよ?おかしいでしょ?」
「だってほら、なる様にしかならないし。いざとなったらこの街を出ればいいだけだし。それに、違う街とか田舎に行ってスローライフでもいいかなって。たぶんだけど、そのうち農機具とかも作れそうな気もするし。そう思ったらなんか緊張するのも馬鹿らしくなっちゃったからね。」
エルダは一瞬驚いた表情を見せた後、盛大にため息をついて頭を振っていた。
俺としてはこの街そのものに対して思い入れとか未練とかそういったものもない。
だからこういった捨てる選択肢もためらいがないんだと思う。
「カイト、本当にあなたは自由なのね。ある意味で一番冒険者に向いているのかもしれないわね。」
「それって誉め言葉?」
「そうね、羨ましいっていう意味では誉め言葉かもしれないわね。」
若干含みを持たせているあたり納得のいかないところもあるけど、とりあえず朝食を済ませて冒険者ギルドへと二人で向かった。
冒険者ギルドへ到着すると、ギルマスがすでに準備を終えて待っていた。
「遅いぞカイト。これからのお前さんの人生が決まるかもしれない会議なんだぞ?少しは気合を入れたらどうなんだ?」
「おはようございます。正直大して気にしてなかったりしてるしね。それに、もしうまくいかない時は、どっかの田舎でスローライフするのもいいかなって?」
「確かに、お前さんならスローライフも田舎暮らしも問題なくできそうで怖いわ。」
そう言うとギルマスは呆れ顔で俺の言葉を肯定した。
どこまで本気はわからないけど。
今回の会場は商業ギルド会館で行われるそうだ。
その移動中にギルマスから念を押されてしまった。
『いいか、よ~く聞け。お前さんの事は、最後の議題として俺が提起する。おそらく商業ギルドのギルマスが食いついてくるはずだ。だがそこで迂闊に約束なんかするんじゃねぇぞ?あいつらは自分の利益の為なら何でもやるやつらだ。お前さんが約束した時点で次々と要求をしてくる。交渉は俺がやるから、お前さんは最後の確認だけしてくれりゃあいい。わかったな?もし、お前の意見が聞きたいって言ってきたら、俺に任せているって言えばいい。お前さんの事は全力で俺が守る。良いな?』
ものすごく圧が強かったとだけ言っておこう。
ちなみに、エルダは今回は特例で俺の付き添いという形で参加する。発言権はなく、ただ話を聞くってことらしい。
そんなこんなで歩いていると商業ギルドの会館が見えてきた。
商業ギルド会館は北区にある商業区の大通に面した一角に建っていた。
正直…成金?って思わせてくれるほどの建物を想像していた。
しかし、建物自体は質素で、よく手入れが行き届いている。
そんな印象だった。
ギルド会館前に一台の馬車が見えた。
豪華とまではいかないけど、それなりに金の掛った高価なものだということは何となくわかった。
俺たちが近づくと、御者と思われる老人から声をかけられた。
「冒険者ギルド、ギルドマスターのシャバズ・ウォルド=ウィリアムズ様ですね。今しばらくこちらでお待ちください。主様がお会いになりたいと申しております。」
「あぁ~、もしかして公爵閣下ですか?」
「左様でございます。」
「閣下、お早い動きですね。何かございましたでしょうか?」
ギルマスは余所行きの言葉で馬車に向かって話しかける。
中からロマンスグレーの男性……シュミット公爵閣下が馬車から降りてきたのだった。
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