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第2章 これから始まる共同生活

二十四日目④ ギルド間定例会議 大人の事情を垣間見た

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 俺がお茶を楽しんでいる間に、他のギルドマスターが続々と到着した。

 メンバーについてはシャバズのおっさんに教えてもらった。

議長
商業ギルド :ジャック・エル・ドルー(人族)男性
錬金術ギルド:ハロルド・エル・クラクネル(エルフ族)男性
鍛冶ギルド :ロベルト・バイエル(ドワーフ族)男性
魔道具ギルド:マイ・ウエマツ(人族)※東武国出身 女性
薬師ギルド :ルドルフ・ローム(犬人族)男性
木工ギルド :エドワード・ブラウン(人族)男性
裁縫ギルド :(ソウルネーム)クリスティーナ・ウイスニウスキー(人族?)本名不明 女性?
宝飾ギルド :ハンナ・ガイスラー(小人族)女性
農業ギルド :ダンカン・ロット(人族)男性
魔導ギルド :ウィリアム・L・ロイド(エルフ族)男性
冒険者ギルド:シャバズ・ウォルド=ウィリアムズ(人族)男性

 ってことだけど……
 これもテンプレなのか……
 どう見ても……
 漢だ……
 筋骨隆々とはまさにこのことなんじゃないかってくらいに、良い感じに張りが出ていて、かつその白い肌がオイルでも塗ってるんじゃないかってくらい艶々だった。
 光沢感のある肌が、否が応でも視線を引っ張っていく。
 メイクもばっちり決まっていて、真っ赤なルージュがこれほどまでに似合わない人がいるのだろうかとさえ思えた。
 追加で上げるとするならそのまつげ……この世界にもつけまつげってあるんだな……
 でかい顔に大きな目、それを縁取る長いつけまつげ状の何か。
 もうお腹いっぱいです……

「あらやだ、何かあつ~~~~~~い視線を感じるわ~~~~~~!!あたし……テンション上がっちゃうじゃない!!」

 やばい目が合った。
 俺は速攻で目をそらしてシャバズのおっさんに助けを求めた。
 シャバズのおっさんも速攻で目をそらしていたので、動きとしては正解らしい。

「クリスティーナはん。はしたないどすえ?女性は女性らしゅうあるべきちゃいますの?」
「あらやだあたしったら……。ごめんなさいね皆さん。ありがとうマイちゃん。」

 うまいこと嗜めてマイさんもすごいけど、今にもばちこ~~~~んって聞こえてきそうなクリスティーナさんのウインクにビビってしまった。
 確実にロックオンされてる気がしてならない。
 おっちゃん……は、完全に視線を合わせようとしていなかった。
 うん、おっちゃんにも苦手があったんだな。

「それにしても、この会議が全員揃うのなんていつぶりかしらん?」

 席についたギルマスたちを見回したクリスティーナさん。
 男性陣は誰一人として視線を合わせようとはしていなかった。
 あのナンパ野郎ですら視線をそらしたくらいだからな。
 
「クリス姉っちゃはあまり来ねぁがらね。おいはよぐ来んだども、ほんに珍しぇごどだよ。」

 うんまたキャラが濃いったらありゃしない。
 きっとあれだ、会議始まる前に俺を情報過多でパンクさせる気だ。
 今発言したのは確か……農業ギルドの人だ。
 話からすると、大体誰かが欠けていたりするみたいだな。

「あの……そろそろ時間。会議……始めませんか……?ご、ごめんさい、せ、せかしてるわけじゃないんです……」

 今度は蚊の無く声がぴったりの女性の声だ。
 どっから聞こえてきたんだ……
 机をよく見ると、端の方に並んでいる椅子が、子供椅子なのが分かった。
 あ、女の子が座ってる。ギルマスなの?
 もしかして、宝飾ギルドのハンナさんかな?
 小人族って言うより……幼女だよな、あれ。

 ひっ!!

「誰だい!!あたいを幼女みたいだって言ったやつは!!出てきな!!その頭削り取って磨いてあげんよ!!」

 やばい、めっちゃ殺気垂れ流してる!!
 絶対怒らしちゃならない人だ!!
 つか、さっきまでのおどおどどこ行ったんだよ!!
 もうやだ、会議始まる前に帰りたい……

「そろそろいいですかな?これよりギルド間定例会議を始めたいと思います。でははじめに議案第一号より……」

 場の収拾を兼ねてドルーが会議を無理やり開始した。
 俺はそれに命拾いした形となってしまった。
 ドルーを見ると顔にでかでかと『貸し1』って書いてあるように見えた。
 本当にあいつは信用ならないな。

 そんな俺を余所にギルド間定例会議は進んでいった。
 まあ、会議の内容は俺にはほとんど関係ない内容だった。
 国の動向。他国の動向。素材について。防衛について。
 聞いてる限り、それって国がやるべきことじゃね?って内容も含まれていた。
 たしかにこれじゃあ守秘義務が発生するのもうなずける。
 各ギルド間の利益調整も行われていたんだから。
 正直、この会議の内容を市民が知ったらぶちぎれんじゃね?ってさえ思ってしまった。
 市場原理って幻だったんだと、深く理解した時間となった。



「ではこれで今回の定例会議の全議題を終了とします。皆様お疲れさまでした。」

 ドルーがそう宣言したとき、シャバズのおっさんが手を挙げた。

「あぁ、そのなんだ。俺から1つ緊急議題を上げたいんだがいいか?」

 全員がシャバズのおっさんに向き直る。
 会場がざわついていた。
 事情を知っている者。
 知らない者。
 うすうす感づいている者。
 反応は様々だった。

「おそらくは感づいていると思う。俺がここにギルド職員以外を連れてきたことがなかったからな。議題というのは今回連れて来た『カイト・イシダテ』……召喚者についてだ。」
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