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第2章 これから始まる共同生活

二十六日目① 買い食いのうまさ

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「ん……んん……朝か……」

 目覚めると、そこには暖かな日差しが差し込んでいた。
 俺は昨日、そのまま寝てしまっていたらしい。

「ん?これは?」
 
 そんなすがすがしい朝。ふとベッドを見ておかしな点があった。
 俺の横になんだかへこんだ跡がある……
 おそらく人の形。
 誰か寝ていたかのような、そんな跡だ……
 いや、まさか…………ね?

「そんなわけはないか……夢……だよな?」
 
 俺はそんな考えを振り払うかのように頭を振って思考の隅へと押しやった。


 
 着替えを終えた俺は、リビングへ向かった。
 階段を降りる際にリビングでくつろぐエルダを発見した。

「おはようエルダ。昨日はごめん。変な事に巻き込んでしまったみたいだ。」
「まったくね……。でもまぁ、仕方ないわね。カイトといるって言うことはそういうことだから。それより、朝食何にする?これから作るから。」

 いや、なんか聞き捨てならない言葉が混じっていなかった?
 ……まあいいっか。
 それよりも珍しいことに、エルダがまだ朝食を作っていなかったみたいだ。
 普段だったらもう作り終わってそうな時間なんだけど。
 体調でも悪いのかな?少し顔が赤いし。
 少し無理をさせてしまったかな……

「ねぇ、エルダ。まだ朝食作ってないなら、今日は外食にしない?たまには朝から屋台飯もありだと思うけど。どうかな?」
「あら、珍しいわね?カイトから誘うなんて。何かやましい事でもあったの?」

 ちょっとひどくない?
 しかも本気で怪しんでる雰囲気出てるし。
 
「ないないないない。全くないよ。ただ、エルダにいつも作ってもらって無理させてたかなって心配になってさ。」

 この気持ちにウソ偽りはない。
 心からのエルダへの感謝だ。
 ただ、邪まな考えが無かったとは言い切れないけど……
 本当に、朝のあの跡は何だったんだよ……

「そ。それもありかもね……。わかったわ。そのお誘いにのることにしましょうか。」
「やった!!」

 こうして俺とエルダは、初めて二人で買い食いをしてみることにした。



 朝から市場は活気に溢れていた。
 ここは北区商店街に有る、屋台村だ。
 朝早くからやっているありがたい場所だ。
 それもそのはずで、北区商店街の屋台村から職人街はそれほど離れた位置関係にない。
 その為か、屋台村で朝食をとってから仕事に向かう職人が多いようだった。
 見るからに腕っぷしに自信ありげな人たちが、ワイワイと食事をとっていた。
 そんな屋台村でエルダはきょろきょろと品定めをしていると、どうやら一軒の店舗に狙いを定めたらしい。

「いつもながらすごいわね。目移りしちゃうわ……。朝から焼き肉か……さすがに重いわよね。でも食べたいし……」

 そんな時は……
 
「おっちゃんごめん。ここで焼き肉を買うからさ、鉄板でこのパン焼いてもらってもいい?」
「ああいいぜ。ちょっと待ってな。」

 エルダが迷っていたので割り込ませてもらった。
 屋台のおっちゃんに真ん中で切ったコッペパンのような白パンを渡して、温めてもらった。 
 そしてそのパンの間に焼き肉を挟んでもらった。

「ほらよ、熱いから気を付けな。」
「ありがと。お代はここに置いとくね。あとそこのテーブル借りるから。」

 それを受け取った俺は、テーブルを借りて最後の仕上げに取りかかった。
 取り出したるはアイテムボックスからの野菜!!
 そして、調味料の数々。

 焼き肉を挟んでもらった白パンに、さらに葉物野菜を追加していく。
 味のアクセントに、ウリのような野菜の酢漬けを挟み入れて……完成!!

『なんちゃってサ〇ウェイ!!』
「カイト……、これ何?」

 さすがにわからないかな……

「これに名前はないよ。でもうまそうだし、良いかなって。」
「確かにおいしそうなにおいがするけど……おいしいの?」

 小首を傾げているエルダさん。
 しかしその視線は俺に釘付けだった。
 まあ、俺の持っているサ〇ウェイもどきにだけど。
 
「どうだろうね?俺的にはうまそうに見えるけど?エルダは見えない?」
「見えるわね……」

 じっと見つめられると恥ずかし……くはならないな。
 これ以上待たせるのもかわいそうかな?
 
「だろ?じゃあ、食べよっか。いただきます。」
「いただきます。」

 二人とも一斉にかぶりついた……

 うっママッマまままままっまあっま一!!
 これはやばい。
 うまさすぎる。

 案の定、その焼き肉を焼いた店主に捕まり、料理レシピを教える羽目になった。
 まあ、これで商売しようとは思ってなかったので、別に問題は無かったりする。

 後にこの店舗は焼き肉サンドの元祖の店として、商店街の一等地に店舗を構えるようななる。
 それはまた別のお話で。



 朝食を済ませた俺たちは、冒険者ギルドへと向かって商店街を後にした。
 道中でデザートやらなにやら追加で購入して食べまくってるエルダを見て感心してしまった。
 それにしても、あれだけの量が体内に消えていくんだなって思ってしまいました。
 そう思っていたらエルダからにらまれてしまった。
 これについてはこれ以上詮索してはいけないようだ。
 肝に銘じておこう。

「あら、エルダさんにカイト君じゃないの。おはようございます。」
「キャサリンさんは遅刻ですか?」

 エルダに気を取られて、後方の確認をしていなかった。
 それどころか、背後につくまでわからなかったのだ……
 やはりキャサリンさんが何者か気になって仕方ない……

「ほら二人とも、さっさと行くわよ?」

 結果キャサリンさんついていくように、ギルド会館へと向かったんだけど、それだけで終わらないのが俺だったようだ……
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