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第3章 ここから始まる転換点?

三十三日目① クーデターの顛末

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 此処3・4日でこの国の様相が激変してしまった。
 俺たちはある程度話を聞いていたので、あまり気にすることもなく……って気にしないとダメなんだけど、どうも興味がわかなかった。
 恐らく俺がこの国の人間じゃないからだと思う。
 気になると言えば、ダンジョンが早く使える様にならないかなってことくらいだ。
 そんなわけで俺たちはその間、ジェダンさん達と訓練に明け暮れていた。
 
 しかし、街ではそうは行かないようだった。
 街の中心部……貴族街では激震が走っていた。
 まずは初めに国王の突然の魔人国とへの戦争宣言。
 そしてそれに伴う第1騎士団及び近衛兵並びに強硬派の周辺諸侯連合軍の出兵。
 しかも、国王自ら出陣すると言い出したのだから大変。
 盛大な出陣式が行われ、総勢5万の兵士たち……中には金に目がくらんだ冒険者も大勢いたらしい……が南門から王国最難関ダンジョン【深淵の谷】へ向けて出発していった。
 国民たちは盛大に見送った物の、内心はあまり良くは思っていなかったらしい。
 特に各ギルド所属の人々や関連の人々は、今後の生活の不透明さに辟易していた。

 出兵した後の城を任されたのが、第一王子のツカーエン・フォン・デクーノボート。
 任されたといっても、現在6歳。
 ようはお飾りで、実際には宰相のトーマス・フォン・オルトマンが執り行うことになっていた。
 警護として王国軍第1騎士団第1大隊が守りを固めていた。
 王国軍第1騎士団は5000名ほど所属しており、その内訳は上級貴族の子息たちである。
 しかも第一大隊は上級貴族の嫡男やその従者で構成されており、戦うためというよりは騎士団に所属していたという箔をつけたいがためにいる、ただのお飾りでしかなかった。
 さらに、嫡男に至っては50名ほどしか在籍しておらず、それ以外が従者などだというのだから、まったくもって意味のない騎士団だ。
 つまり。貴族の為の騎士団なのだ。
 実力では第2騎士団に劣るものの、その生まれから威張り散らしていて、国民からの支持もないに等しい。
 実質の王国騎士団は第2騎士団を筆頭として国境警備部隊を含めるとその数30万を超える。
 つまり、第1騎士団は自分たちは選りすぐられた選ばれた者達だと思い込んでいるのだ。
 大丈夫なのかこの国?

 

 国王の出兵の翌日。
 ついにカール・フォン・シュミット公爵閣下が動いた。
 第2騎士団以下3万の兵士と、憲兵部隊。
 さらには各ギルドマスター以下要職の者を率いて、王城へと向かったのだ。

 ちなみに、城門などは既に内部潜入している手の者が開門したので大した問題も無く、そのまま進行していった。

 第1騎士団も抵抗を試みようとしたが、公爵閣下の勢力に恐れをなし、速攻で降伏したそうだ。

 王城内も大した抵抗は見られず……というよりも、やっと解放されるという安堵感の方が強かったらしい。

 そしてそのまま城内を制圧。

 結果、6歳の第1王子に何か出来るはずもなく、敢え無く拘束されたそうだ。

 宰相は第1騎士団団長以下数名を連れて脱出を試みるものの、逃げ切れるわけもなく拘束。
 国王をたぶらかした咎により地下牢へと送られた。



 電撃的な作戦で一気に制圧を完了した公爵閣下は、即座に議会を招集。
 貴族院の反対も見られたものの、公爵閣下直属の暗部が調べ上げた資料により、沈黙を余儀なくされた。

 そして、議会の承認を経て公爵閣下は晴れてデクーノボート王国の王位についた。

 その期間、わずか3日の出来事であった。
 後に「デクーノボート王国を終わらせた男」として歴史書に記されることとなる。

 王位継承の翌日、閣下……もう国王陛下か。
 陛下は迅速に行動を移した。

①魔人国との戦争回避のため、現在行われている作戦の即時中止。および、元国王ジミー・フォン・デクーノボートの捕縛命令の発出。
②魔人国へは鉱山跡地ダンジョンの受付を通しての親書による説明。
③議会の再編成。および一部議会法の改正。
④国民への事情説明。

 これらを1日ですべてこなしてしまったのだ。
 さすがはシュミット国王陛下ってところなんだろうか。



「それにしても、この俺が元老院ねぇ~。ねぇ~よな~。」

 そうしみじみ語るのはシャバズのおっちゃんだ。
 この話を説明してくれたのもシャバズのおっちゃんだった。

 俺たちは陛下の手紙でダンジョンへ行けると考えて冒険者ギルドへと足を運んだ。
 会館へ入るとキャサリンさんからシャバズのおっちゃんが話が有るからってことで、執務室へ案内されて、今に至るってわけだ。

「ほんと、おっちゃんが議会のお偉いさんになるとはね。考えてもみなかったよ。」
「俺もだ。」

 そう言うと、シャバズのおっちゃんは頭を掻きながら苦笑いをしていた。
 きっと、陛下のツルの一声で決まったのかもしれないな。

「それと、エルダ。ジェダンには会ったかい?」
「はい、お父さんとはきちんと話ができました。」
「そうか、それについては悪いことをしちまったな。本当にすまなかった。」

 おっちゃんはエルダに向かって深々と頭を下げた。
 エルダも、この話についてはもう怒ってないので、おっちゃんの謝罪を素直に受け取っていた。

「で、これからどうするんだ?やっぱりダンジョンに行くのか?」
「そうなるかな。俺も力を付けないと、勇者探索どころじゃないからな。」
「そうか……。」
「ん?どうかしたのかおっちゃん?」

 おっちゃんは話づらそうに、俺の顔をうかがっていた。
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