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第3章 ここから始まる転換点?
三十三日目② 陛下からのお誘い
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おっちゃんが話辛そうにこちらを窺っている。
➡話を聞く
仲間にする
戦う
逃げる
ど・れ・に・し・よ・う・か・な……
良し、君に決めた!!
➡逃げる
俺は席をおもむろに立ち上がろうとすると、おっちゃんからものすごくじっとりとして視線を投げかけられた。
うん、わかってるって。
冗談はさておいて、話を聞かないと先に進まんよね。
「どうしたのさおっちゃん。歯切れが悪いぞ?」
俺はさっきの行動を無かった事として、おっちゃんに尋ねた。
「あ、あぁ。どうしたものかなって思ってな。」
「??」
やっぱり歯切れが悪い。
おっちゃんならこう……ズバって言いそうなんだけどな。
「それはジェダンさんの事?それとも【勇者】の事?」
「ジェダン達についてだ。」
やっぱりジェダンさんについてか。
口止めまでして特別依頼を出したんだから気にするなって方が難しいのか?
「それについては話は終わったことだし、おっちゃんが気に病むことじゃないよ。」
「そうです。すでにお父さんとも話し合いが済んでますから。今度帰ってきたら、またいろいろ話をすると約束しました。」
エルダも完全に吹っ切れたようで、寂しさも感じられなかった。
次に会うことを確信している。そんな感じがした。
「そうだギルマス。この国って名前変わるんですか?」
デイジーがふと疑問に思ったらしく、おっちゃんに確認をしていた。
この辺はやはりデイジーがいてくれて助かる。
こういった時に話題を変えてくれる存在ってありがたいよ。
確かに、シュミット陛下も王族の血筋だから血統は途切れないものの、デクーノボート家を継いだわけじゃない。
あくまでも、別家として王位継承を果たしたに過ぎないのだ。
「そいつはこれからだ。おそらく国名は変わるだろうな。前王との差別化を内外に知らしめるにはそれが一番手っ取り早いからな。特に魔人国には理解を得られないと困った事態になる。」
きっと、ダンジョン資源の事を指してるんだと思う。
ここ数日の訓練ついでに資料室を借りて調べたが、地上の鉱物資源は大分目減りをしてしまっているらしい。
ダンジョン出現当初は、この星の資源も潤沢にあったみたいだけど、それが徐々に減少し、今ではダンジョン資源がないと経済が回らないまでになっている。
つまりは魔王側の経済・資源支配だ。
普通に考えたられっきとした経済侵略だ。
だけど、この世界の人々はそれに違和感を感じていない。
この違和感を覚えてから考えると、ある意味前王の行為は正解ともいえる。
ただ、今じゃなかった。
もっと昔に行うべき行為だった。
「まあ、この国の名前なんて何でも構わないよ。俺的にはダンジョンに潜れることが重要だし、国民は安定した国政をしてくれることが重要。シュミット陛下なら問題ないでしょ?」
「それはそうだな。俺たちもシュミット陛下には期待している。でなきゃクーデターに力を貸したりはしない。」
これでやっと話を進めることができる。
早く力を付け、装備を整えつつ、次の冒険に備える。
うん、なんだか俺の求める普通の冒険者っぽくなってきたぞ。
「あ、そうだカイト。シュミット陛下が謁見しに来いってさ。【勇者】の件で話が有るって。できれば数日中には謁見してほしいんだが、いつなら大丈夫だ?」
あれ~~~?普通の冒険者は一瞬で終了しそうだ。
まさか速攻で【勇者】探索へ繰り出せとか言わないよな?
「おっちゃん……。それって絶対?」
「あぁ。絶対だ。一応召喚状も出すそうだ。」
「つまりは出ないと不敬罪になると。あれ?でも俺この国の住民ってわけじゃないよ?」
よし、これで今すぐに会わなくてもよくなるかも?
俺ってさえてるんじゃね?
「それについても心配はいらん。お前さん、陛下に後ろ盾になってもらったろ?つまりはそういうこった。観念しな。」
そうだった、何かあったときの後ろ盾になってもらってたんだった。
ここで行かなかったら、この国最強の盾を使えなくなるじゃないか……
あぁ。なんてことだ。狸の化かし合いに巻き込まれた気分だよ。
なんてね。
別段【勇者】の探索については元からやるつもりだったし、あくまでも俺の好奇心の延長線上の事でしかないからね。
「エルダ。明日って登城してもいいかな?」
「まあ、陛下からの呼び出しだし仕方がないんじゃないかな?」
「私も問題ないよ~」
「俺もだ。」
じゃあ、今日は久々の探索に出たいから、明日にしてもらおう。
「シャバズのおっちゃん。陛下には明日行きますってこと伝えてもらっていい?」
「おう、そのように準備をさせてもらう。」
「それじゃあみんな、明日「「「いってらっしゃい」」」っておい!!俺だけ行くのかよ?!」
3人の息ぴったりだな!!
一緒に行こうぜって言う前に拒否られたよ。
「ほら、【勇者】の件なんだし、私たち邪魔かなって。」
「ほう?その心は?」
「無理!!」
ですよね。
俺も同じ立場なら遠慮願うよ。
「デイジーもポールもか?」
「「うん」」
……
…………
………………
執務室を沈黙が支配した……
カチコチとなる時計が静寂を物語る。
窓枠がカタカタと揺れ、外の風が強く吹いていることを知らしめる。
って、無駄なことを考えてしまった。
この三人絶対行く気はないらしいな。
なんだかなぁ~
せめてエルダは付いてきてほしかったよ……
「はぁ~わかりましたよ。わかりました!!おっちゃん、俺のみ登城予定で頼むよ。」
「お、おう。」
おっちゃんの憐れみを含んだ視線がつらい……
➡話を聞く
仲間にする
戦う
逃げる
ど・れ・に・し・よ・う・か・な……
良し、君に決めた!!
➡逃げる
俺は席をおもむろに立ち上がろうとすると、おっちゃんからものすごくじっとりとして視線を投げかけられた。
うん、わかってるって。
冗談はさておいて、話を聞かないと先に進まんよね。
「どうしたのさおっちゃん。歯切れが悪いぞ?」
俺はさっきの行動を無かった事として、おっちゃんに尋ねた。
「あ、あぁ。どうしたものかなって思ってな。」
「??」
やっぱり歯切れが悪い。
おっちゃんならこう……ズバって言いそうなんだけどな。
「それはジェダンさんの事?それとも【勇者】の事?」
「ジェダン達についてだ。」
やっぱりジェダンさんについてか。
口止めまでして特別依頼を出したんだから気にするなって方が難しいのか?
「それについては話は終わったことだし、おっちゃんが気に病むことじゃないよ。」
「そうです。すでにお父さんとも話し合いが済んでますから。今度帰ってきたら、またいろいろ話をすると約束しました。」
エルダも完全に吹っ切れたようで、寂しさも感じられなかった。
次に会うことを確信している。そんな感じがした。
「そうだギルマス。この国って名前変わるんですか?」
デイジーがふと疑問に思ったらしく、おっちゃんに確認をしていた。
この辺はやはりデイジーがいてくれて助かる。
こういった時に話題を変えてくれる存在ってありがたいよ。
確かに、シュミット陛下も王族の血筋だから血統は途切れないものの、デクーノボート家を継いだわけじゃない。
あくまでも、別家として王位継承を果たしたに過ぎないのだ。
「そいつはこれからだ。おそらく国名は変わるだろうな。前王との差別化を内外に知らしめるにはそれが一番手っ取り早いからな。特に魔人国には理解を得られないと困った事態になる。」
きっと、ダンジョン資源の事を指してるんだと思う。
ここ数日の訓練ついでに資料室を借りて調べたが、地上の鉱物資源は大分目減りをしてしまっているらしい。
ダンジョン出現当初は、この星の資源も潤沢にあったみたいだけど、それが徐々に減少し、今ではダンジョン資源がないと経済が回らないまでになっている。
つまりは魔王側の経済・資源支配だ。
普通に考えたられっきとした経済侵略だ。
だけど、この世界の人々はそれに違和感を感じていない。
この違和感を覚えてから考えると、ある意味前王の行為は正解ともいえる。
ただ、今じゃなかった。
もっと昔に行うべき行為だった。
「まあ、この国の名前なんて何でも構わないよ。俺的にはダンジョンに潜れることが重要だし、国民は安定した国政をしてくれることが重要。シュミット陛下なら問題ないでしょ?」
「それはそうだな。俺たちもシュミット陛下には期待している。でなきゃクーデターに力を貸したりはしない。」
これでやっと話を進めることができる。
早く力を付け、装備を整えつつ、次の冒険に備える。
うん、なんだか俺の求める普通の冒険者っぽくなってきたぞ。
「あ、そうだカイト。シュミット陛下が謁見しに来いってさ。【勇者】の件で話が有るって。できれば数日中には謁見してほしいんだが、いつなら大丈夫だ?」
あれ~~~?普通の冒険者は一瞬で終了しそうだ。
まさか速攻で【勇者】探索へ繰り出せとか言わないよな?
「おっちゃん……。それって絶対?」
「あぁ。絶対だ。一応召喚状も出すそうだ。」
「つまりは出ないと不敬罪になると。あれ?でも俺この国の住民ってわけじゃないよ?」
よし、これで今すぐに会わなくてもよくなるかも?
俺ってさえてるんじゃね?
「それについても心配はいらん。お前さん、陛下に後ろ盾になってもらったろ?つまりはそういうこった。観念しな。」
そうだった、何かあったときの後ろ盾になってもらってたんだった。
ここで行かなかったら、この国最強の盾を使えなくなるじゃないか……
あぁ。なんてことだ。狸の化かし合いに巻き込まれた気分だよ。
なんてね。
別段【勇者】の探索については元からやるつもりだったし、あくまでも俺の好奇心の延長線上の事でしかないからね。
「エルダ。明日って登城してもいいかな?」
「まあ、陛下からの呼び出しだし仕方がないんじゃないかな?」
「私も問題ないよ~」
「俺もだ。」
じゃあ、今日は久々の探索に出たいから、明日にしてもらおう。
「シャバズのおっちゃん。陛下には明日行きますってこと伝えてもらっていい?」
「おう、そのように準備をさせてもらう。」
「それじゃあみんな、明日「「「いってらっしゃい」」」っておい!!俺だけ行くのかよ?!」
3人の息ぴったりだな!!
一緒に行こうぜって言う前に拒否られたよ。
「ほら、【勇者】の件なんだし、私たち邪魔かなって。」
「ほう?その心は?」
「無理!!」
ですよね。
俺も同じ立場なら遠慮願うよ。
「デイジーもポールもか?」
「「うん」」
……
…………
………………
執務室を沈黙が支配した……
カチコチとなる時計が静寂を物語る。
窓枠がカタカタと揺れ、外の風が強く吹いていることを知らしめる。
って、無駄なことを考えてしまった。
この三人絶対行く気はないらしいな。
なんだかなぁ~
せめてエルダは付いてきてほしかったよ……
「はぁ~わかりましたよ。わかりました!!おっちゃん、俺のみ登城予定で頼むよ。」
「お、おう。」
おっちゃんの憐れみを含んだ視線がつらい……
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