勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

文字の大きさ
149 / 246
第5章 ここから始まる女神様?

四十九日目④ 連携テスト2 3匹のゴブリン編 実践

しおりを挟む
「よし、気合を入れなおしていくぞ。」

 ポールの一声で、一気に空気が変わった。

 最初の一撃はデイジーの射撃からだ。
 狙いは【ゴブリンディフェンダー】。
 理由は盾を先に黙らせたいからと、防御姿勢に入ってほしいってのがある。
 そうすると、アタッカー役の2匹の動きがワンテンポ遅れてくれると予測しての行動だ。

「行くよ!!」
「おう!!」

 デイジーが魔導弓を構えると、虚空から魔法の矢が現れる。
 ゆらゆらと形作られた魔法の矢は、物質のごとく質量を感じさせている。
 最大まで絞りきったデイジーは、一呼吸の後その矢を解き放つ。
 解き放たれた矢は、意志でも持っているかのように、まっすぐに【ゴブリンディフェンダー】へ向かって音もなく飛んでいく。
 その気配に最初に気が付いたのは【ゴブリンファイター】だった。
 手にした棍棒で防御姿勢を取ったのだ。
 それにつられた【ゴブリンソードマン】と【ゴブリンディフェンダー】も防御姿勢に移行した。
 俺たちはそれを確認すると、一気に距離を詰めていく。
 エルダとリサは移動しながら、魔法を構築していく。
 
 発動速度はリサの方が一瞬早かったようで、無属性の魔力球がゴオッと音と共にゴブリン達に向かって飛んでいった。
 その魔力球は先頭のポールをも追い抜いて、防御姿勢のゴブリン達に到達せんと飛んでいった。

ガキン!!

 魔法の矢が当たったにしてはとても硬質な音を響かせて、【ゴブリンディフェンダー】の構えた大盾に魔法の矢が激突した。
 しかし実際には物質ではないので、当たった瞬間にパリンと音を立てて砕け散った。
 そのおかげで、ボブリンたちは何が当たったのかさえ判別出来ずにいた。
 ゴブリン達が理解したのは〝前方から襲撃を受けた〟という事実だけだったようだ。

 前方から俺たちが迫っていることを視認出来たようで、3匹は一斉に戦闘態勢に入ろうとした。
 その途端、ドゴン!!という音と共に魔力球が【ゴブリンファイター】に直撃した。
 咄嗟に棍棒で防御したものの、その威力にもんどりうって倒れてしまった。
 その状況を確認していた【ゴブリンディフェンダー】が、何やらギャァギャァと騒ぎながら前に躍り出た。
 【ゴブリンソードマン】がその後ろに下がったので、おそらく隠れるように指示を出したんだろうということは良く分かった。

 【ゴブリンディフェンダー】が完全に防御を固めた後に、ポールたちがゴブリン達のいる場所に到達したのだ。

「【シールドスマッシュ】!!」

ゴグゴォン!!

 ポールは突進しつつ、体を回転させて【ゴブリンディフェンダー】の大盾に自分の大盾で勢いよく殴りつけた。
 その衝撃はすさまじく、【ゴブリンディフェンダー】は耐えるだけで精いっぱいの様子だった。
 衝撃を支えきれずに3m近く後方に押し込まれたのだ。
 それを苦々しく思ったのか【ゴブリンディフェンダー】の顔は更に醜く歪んでいた。

 【ゴブリンソードマン】がここぞとばかりに【ゴブリンディフェンダー】の横から飛び出て、後方に控えていたデイジーたちに攻撃を仕掛けて来た。
 それをナンディーが許すはずもなく、すぐさま割って入り、左手に装備したカイトシールドで【ゴブリンソードマン】の縦切りをいなした。
 その所作は洗練され流れるようで、見ていて惚れ惚れしてしまった。
 こう離れてみていると、ナンディーのその戦闘技術の高さを再認識することが出来た。
 その僅かな時間の間に、デイジーは第2射目の準備を整えつつあった。

 エルダは既に発動待機状態で、狙いを定めていた。
 その相手は、【ゴブリンファイター】だ。
 おそらく一番速度のあり邪魔になりそうだと判断したんだと思う。

「【土針封身】」

 さすがに密集地帯になりつつある前線で爆発系は使えないと判断したようで、使用した【魔光陣】は土系の針だった。
 【ゴブリンファイター】が倒れこんで、これから起きようとした瞬間にその場の地面が光輝いた。
 【ゴブリンファイター】はやばいと感じたようだがすでに時遅く、その体には無数の針で串刺しとなっていた。
 さすがにちょっとグロテスクだな。

 仲間の1匹がやられたことを理解したゴブリン達の攻撃は、更に威力を増そうとしていた。
 ぶつかり合っていたポールと【ゴブリンディフェンダー】は、仕切り直して再度ぶつかり合っていた。
 何度ガゴンガゴンとぶつかり合ったのだろか、再度【ゴブリンディフェンダー】が当たり負けをしてよろめいていた。

 【ゴブリンソードマン】とナンディーについては言うまでもなく、ナンディーが圧倒していた。
 ただ、攻撃を仕掛けるわけではなく、ずっといなし続けているのだ。
 理由はデイジーとの連携確認だ。
 あえてナンディーは攻撃を仕掛けずに、デイジーの攻撃しやすい射線などを探していた。
 デイジーもその意図に気が付いており、余裕をもって対処してる。
 リサは魔法を発動させる様子はなく、ただ二人の連携を見守っていた。
 その手には拳が握られており、いわば観客の様な立場である意味楽しんでいたのかもしれないな。

 それよりもなんで俺がこんな客観的に見ていられるかと言うと、物凄く簡単だ。
 すでにスキルを発動して、姿を消した状態だからだ。
 俺はみんなの戦闘を見ながら、自分の立ち位置を考えていた。
 おそらくこの場合はステルス状態から、一気に詰め寄って首を刎ねるなどが正解だと思う。

 ポールの方もすでに調整に入っていたので、ここは終了させてよさそうだな。

 俺はすっと【ゴブリンディフェンダー】の後方へ忍び寄り、その首に向けて双剣を振り切ったのだった。

 【ゴブリンディフェンダー】の首は面白い様に空中を舞い、自身に何が起こったかさへ分からないようだった。
 その体もまた切られた事実を忘れていたようにただその場に立ち尽くしていた。
 一拍遅れてドカリと地面に倒れたのだった。

 そのころ、【ゴブリンソードマン】と戯れていたナンディーもこちらが終わったことを確認したようで、【ゴブリンソードマン】が剣を両手で振り上げたタイミングでデイジーの射線をうまく開け、そこにするりと魔法の矢が放たれた。
 【ゴブリンソードマン】は迫りくる魔法の矢を見つめながらその命の最後を散らせていった。
しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

ちくわ
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

追放された荷物持ち、【分解】と【再構築】で万物創造師になる~今更戻ってこいと言われてももう遅い~

黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティーから「足手まとい」と捨てられた荷物持ちのベルク。しかし、彼が持つ外れスキル【分解】と【再構築】は、万物を意のままに創り変える「神の御業」だった! 覚醒した彼は、虐げられていた聖女ルナを救い、辺境で悠々自適なスローライフを開始する。壊れた伝説の剣を直し、ゴミから最強装備を量産し、やがて彼は世界を救う英雄へ。 一方、彼を捨てた勇者たちは没落の一途を辿り……。 最強の職人が送る、痛快な大逆転&ざまぁファンタジー!

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

追放された荷物持ち、スキル【アイテムボックス・無限】で辺境スローライフを始めます

黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティーで「荷物持ち」として蔑まれ、全ての責任を押し付けられて追放された青年レオ。彼が持つスキル【アイテムボックス】は、誰もが「ゴミスキル」と笑うものだった。 しかし、そのスキルには「容量無限」「時間停止」「解析・分解」「合成・創造」というとんでもない力が秘められていたのだ。 全てを失い、流れ着いた辺境の村。そこで彼は、自分を犠牲にする生き方をやめ、自らの力で幸せなスローライフを掴み取ることを決意する。 超高品質なポーション、快適な家具、美味しい料理、果ては巨大な井戸や城壁まで!? 万能すぎる生産スキルで、心優しい仲間たちと共に寂れた村を豊かに発展させていく。 一方、彼を追放した勇者パーティーは、荷物持ちを失ったことで急速に崩壊していく。 「今からでもレオを連れ戻すべきだ!」 ――もう遅い。彼はもう、君たちのための便利な道具じゃない。 これは、不遇だった青年が最高の仲間たちと出会い、世界一の生産職として成り上がり、幸せなスローライフを手に入れる物語。そして、傲慢な勇者たちが自業自得の末路を辿る、痛快な「ざまぁ」ストーリー!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。