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役目を果たす時

83話 戦闘の天才

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いつも通りの服装
いつも通りの人達
いつも通りは落ち着く……筈なのに
場所のせいで全く落ち着いてなんかいられない


「これより、貴族裁判を執り行う!」


貴族裁判に僕達みこがいる異質さを感じる

そんな戸惑いもありながら、見覚えのある人達の捌かれる様子を高みの見物をしている




遡る事2ヶ月前
神子としての仕事が決まったとエリーから聞いた

「仕事…?」

でも僕達は二人とも死んだことになってる
どういう身分…いやまぁ神子なんだけど、アイリスとカメリアとして行くのだろうか
だとしたら大問題にならない?
なんて心配を、エリーもグドも「大丈夫、大丈夫!」
なんて簡単に言い切った

結局、仕事内容は教えて貰えなかったけど、とにかく特訓に力を入れるようになっている
もちろん無理のない程度、ではあるけど
剣も魔法も明らかにペースが上がって、自由時間はほぼ無になっている
それだけやらないといけないなんて、戦闘系に同行させられるのだろうか
まさか…戦争でも起きるのか?
なんて思いながら、何があってもいいように努力はした

2ヶ月は思ってたより短くて、剣は僕が一度死ぬ前くらいに戻すので精一杯だった
何より、成長した体で剣を振るのはまた感覚が違う
時間の流れに沿って成長した訳じゃないから、違和感が凄かった
手足の長さも、肩幅も違う
それが一番厄介だった

それでも、実力的な成長は全く無かった訳じゃない
エリーに教わった浮遊魔法
魔力が増えたおかげで浮遊出来る時間はかなり長くなった
数分程度だったのが、数時間まで伸びた
その魔法を利用して、空中戦をするようにもなった

グドが地上で僕が浮く
僕が地上でグドが浮く
二人とも浮く
二人とも地上

この4パターンでの特訓で、元の力を戻しつつ、複雑な戦い方も経験した
魔法を使った後の疲労は凄まじくて、酷使した後は筋肉痛みたいに全身が痺れて痛くなる
本当に魔法は向いてないみたいだ

そもそも、転生する時に神様から与えられた力は双子で違う
演算が得意で理解が早い姉は魔法に特化した能力を
そして僕は、平均を超えた身体能力を
そう、魔力を使わなくても元々人より動けるようになっている
本当に魔法と相性が悪い

「でもなんで僕は身体能力だったんだろう…」
「ん?知りたい?」

グドは知ってるの?
姉は頭の回転が速いから魔法…は、理解できる
でも僕は?
前世で運動が得意だった訳じゃない
戦いなんてゲームでもそんなに縁は無かった
なんで接近の才が与えられたんだろう

「お前は冷徹で、無慈悲になれるから…それが一番だろうな。だから間接的な魔法じゃなくて、直接的な身体能力が与えられた」
「…どういうこと?」

僕が冷徹で無慈悲になれる?
あんまりその感覚は無いけど…
むしろ、冷静にならないとって焦ることが多いし、無慈悲…は考えたこともない

「お前さ、いい子でいなきゃって考えが大きいから焦りやすいけど、戦場に立ったり死の淵に立つと機械的に動くようになるんだよな。前の世界じゃ、そんな場面が無いから気付かなかったと思うけど」

……確かに、それなら思い当たる節もある
刺客を送られて来た時も、ローズの策略にはまった時も、冷静に剣を抜いていた
刺客の時は初めて人を殺したから後から気が動転したけど、でも戦ってる時は冷静で、殺めたことに対する罪悪感は無かった

……そう、それなら確かに僕に合ってるのかもね
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