極道恋事情

一園木蓮

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香港蜜月

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「だったらさ……あれにしようぜ! GPSの付いたやつ。遼と氷川には刺青のところにくっ付いてるけど、俺には付いてねえじゃん?」
 それを聞いて鐘崎は驚いた。確かに紫月は鐘崎の伴侶であるし、裏の世界ではすっかり周知の仲だから、緊急を要する事態が訪れないとも限らない。万が一にも敵対心を持った組織などから拉致されたりすることも絶対にないとは言い切れないのだ。
 安全面から考えれば当然GPS機能は必要だとも思うが、平穏なことの方が圧倒的に多い日常下では、彼の行動を逐一見張るようで、鐘崎の方からはそういった機能を所持して欲しいとは言い出せなかったのだ。
 だが、紫月は自分からそうしたいと言ってくれた。驚きつつも感激の気持ちが先立って、鐘崎は一瞬返答が遅れてしまったほどだった。
「……いいのか?」
「いいって、何が? まあ、俺はお前らと違って誰かに狙われるとか、突然行方が掴めなくなるってことはそうそうねえとは思うけどよ。ンでも何かの時にはGPS機能がくっ付いてりゃ安心じゃね?」
「それはもちろん……そうだが」
「つか、やっぱ俺にゃ必要ねえ?」
「いや、お前がいいなら付けてくれれば俺は安心だが……。年中居場所を監視されてるようで、お前が窮屈に感じやしねえかと思ってな」
 危惧する鐘崎に、紫月はクスッと笑ってしまった。
「バッカ……! つまり、なんだ。お前が俺を束縛してるんじゃねえかって思うわけ?」
「――まあ、正直に言えばそういうことだ。よほどの危険がない限り、縛るようなことはしたくねえと思っているが……」
 言いずらそうにしながらも、GPS機能があれば安心だと顔に書いてある。と同時に、必要以上にプライベートを侵したくないという思いやりが透けて見えて、紫月はそんな彼を頼もしく思うと共に、より一層愛しさが募るような心持ちにさせられてしまった。
「まあ、今だって年がら年中一緒にいるんだ。俺のプライベートはお前ありきと思ってるし、GPSがくっ付いたところで縛られてるなんて思わねえって! つかさ、別に縛られてもいいんだけどな……。あ、お前限定だけど……な?」
 語尾にいくに従って恥ずかしそうに頬を染めながら小声になっていく様子に、鐘崎が心を揺さぶられないわけもない。
「紫月……お前ってヤツは……! 今すぐにでも抱きたくなるじゃねえか」
 感動の面持ちで声を震わせる鐘崎に、紫月はまた一度、「バッカ……」と言って逞しい胸板に軽くゲンコツをくれたのだった。
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