極道恋事情

一園木蓮

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香港蜜月

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 出迎えてくれた周の父親たちと合流し、案内されたのは二階部分に当たるコーナールームだった。
 全面ガラス張りの窓からは階下のカジノ場の様子が見渡せる。まさに壮観な風景だ。こちらからは人一人の動きまでよくよく分かるが、客の側からはミラー仕様になっていて、中の様子は分からないようになっていた。周ファミリーがカジノ全体の動きを把握するのに通常使っている部屋ということだ。
 すぐ隣はコントロール室になっていて、常時専門の係員が監視管理している。機械のトラブルからイカサマなどにも即対応できるようにする為だそうだ。
「父上、今年のデザインも粋に仕上がりましたね」
 テーブルの上に並んでいるトランプのカードに気が付いた周が感想を述べている。毎年、春節のイベントに合わせてカードやルーレットのボールなどを新しいものに一新するのも恒例となっているのだそうだ。
「ああ、お陰様でな。いつも備品を作ってもらっている会社に今年は新しく入ったデザイナーが担当したと言っていたが、出来は悪くない」
「ええ。なかなかに斬新ですね」
「そう言ってもらえて何よりだ。あと三十分ほどで開場だが、乾杯と挨拶が済んだらここでメシを食いがてらゆっくり見学してくれてもいいし、下へ降りて遊んでみるのもオツだぞ」
 鐘崎と紫月はすっかりカジノに参加する気満々らしい。真田も源次郎もそれぞれ得意とするゲームに向かうと言って張り切っている。
「どうだ、冰。お前さんも賭ける方は新鮮だろうが。俺らも回ってみるか?」
「うん! やってみたい!」
 周が訊くと、冰も興味津々の様子でうなずいた。
 階下では招待客が続々と集まっているようだ。俳優やモデルなどの有名人もチラホラと見えるし、政治家や大企業のトップたちも次々と顔を見せる。さすがに香港の裏社会を仕切る周ファミリーの運営するカジノだけあって、まさに夢の世界だ。
 そんな中、客人の一人がファミリーのルームを訪ねてやって来た。
頭領ボス、ご友人のレイ・ヒイラギ様がお見えです」
 側近に案内されて顔を見せたのは、アジア一のトップモデルと言われている柊麗ひいらぎ れいとその息子の倫周りんしゅうだった。
「レイか! よく来てくれた。お前さんも相変わらずご活躍の様子だな」
 レイは年齢こそ周の父親と変わらないが、実際よりは数段若く見える美麗を絵に描いたような男前で、世界的なブランドのファッションショーなどからも引き手数多という有名モデルだ。ファッションに興味のない者でも街角のスクリーンパネルやコマーシャルなどでも見掛けるので、誰でもその顔は知っているというくらいだった。
「そっちこそ! 今年も大盛況じゃねえか」
 ハグをし合う周の父親とレイというモデルを遠目にしながら、紫月と冰が感嘆の声を上げていた。
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