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恋敵
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「やっべ……、俺、まさに今から食われちまう小動物みてえな気分……」
服を剥ぎ取るまでは強引で獰猛だが、一糸纏わぬ姿になれば、相反してゆっくりとした動きに変わる。既に捕らえて組み敷いた獲物を見下ろしながら、味わうまでのひと時を楽しんでいるかのようなのだ。紫月はそんな亭主を見上げながら、サバンナの中で堂々とうごめく百獣の王を連想してしまうのだった。
「い、いつまで眺めてんだって……! ヤるんならサッサとおっ始めれば……いいじゃん」
「お前がいつも獰猛だ獰猛だと騒ぐからな。今夜はやさしく丁寧に抱いてやる」
「……ッ、何が丁寧だよ。お前からやさしくなんて台詞が出てくる自体が信じらんねえっつか。……ったく! マジ野生のライオンって感じ」
「そう褒めるな」
「や、褒めてねえ……っす」
「知ってるか? ライオンってのは獰猛なだけじゃねえんだぜ? 愛する者にはとびきり丁寧に、そして何より一途に愛情を注ぐ生き物だ」
嘘か誠か、しれっと呟きつつもその言葉通りに額から頬、眉から睫毛の一本一本まで毛繕いでもするように念入りな愛撫が施されていく。首筋、鎖骨、耳の穴まで濡れた舌先で舐められ尽くして、紫月はゾワゾワととめどない欲情にブルリと身を震わせた。
「ラ……ライオンって一途か? どっちかっつったら……縄張り中の雌をハベらしてるハーレム王者って気がすっけど」
「俺がライオンだとしたらお前にだけ特別丁寧で一途だってことだ」
「や……あの、丁寧っつか、これ……どっちかっつったらしつけえの間違いじゃ……ね? ……って、ぅあッ……」
「しつけえとはご挨拶だな。相変わらずに口が悪い」
ニヤっと瞳を瞬かせたと思ったら、腹の上に硬い感覚をなすり付けられて、紫月はゾクりと肩を震わせた。
「やっぱ獰猛じゃねっか……! ンなガッチガチにしやがって……ッあ……!」
「当然だ。二日ぶりなんだ、ガチガチにもなろうってもんだ」
「や、たった二日ですけど……」
「お前が拉致されてからというもの、一日千秋の思いでいたんだ。俺にとっちゃ数年ぶりくれえの感覚だ」
「バッ……、てめ、またンな都合のいいヘリクツ……」
「屁理屈なんかじゃねえ。本心だ。無事に戻ってきて良かった。愛してるぜ、紫月」
「……ッ、遼……そゆの、反則……」
「ほう? 反則か――それじゃ詫びも含めてご褒美だ」
長く形のいい指先が頬を撫で、息もできないほどの濃厚な口づけに口中を掻き回されながら、下肢には逸りに逸った雄をゆっくりと侵入させられて、紫月は突き上げられる欲情のままにのけぞった。
「全部呑み込んだな?」
「んあ……ッ、またそーゆーエロいこと平気で言う」
「当然だ。愛してるんだ、エロくもなろうってもんさ。愛がなけりゃ交尾なんざ意味がねえ」
「……ッ! こ、交尾とか……マジで獣……!」
「獣になるのはお前に対してだけだ。照れて憎まれ口を叩くのも可愛くて仕方ねえ」
「……ッ、遼……! お、お前って、そゆ恥ずいこと……余裕ブッこいて真顔で言うって、やっぱ反則……」
「こういう反則ならいいだろ?」
「ン……、ま、まあ……いっけど」
「俺だって……言うほどそう余裕はねえんだ。今夜は時間を掛けてたっぷり愛してやるぜ」
余裕の笑みの中に時折たまらないといった快楽の表情を覗かせる男の腕の中で、夜の帳が消えてなくなるまで愛され尽くした紫月だった。
◇ ◇ ◇
服を剥ぎ取るまでは強引で獰猛だが、一糸纏わぬ姿になれば、相反してゆっくりとした動きに変わる。既に捕らえて組み敷いた獲物を見下ろしながら、味わうまでのひと時を楽しんでいるかのようなのだ。紫月はそんな亭主を見上げながら、サバンナの中で堂々とうごめく百獣の王を連想してしまうのだった。
「い、いつまで眺めてんだって……! ヤるんならサッサとおっ始めれば……いいじゃん」
「お前がいつも獰猛だ獰猛だと騒ぐからな。今夜はやさしく丁寧に抱いてやる」
「……ッ、何が丁寧だよ。お前からやさしくなんて台詞が出てくる自体が信じらんねえっつか。……ったく! マジ野生のライオンって感じ」
「そう褒めるな」
「や、褒めてねえ……っす」
「知ってるか? ライオンってのは獰猛なだけじゃねえんだぜ? 愛する者にはとびきり丁寧に、そして何より一途に愛情を注ぐ生き物だ」
嘘か誠か、しれっと呟きつつもその言葉通りに額から頬、眉から睫毛の一本一本まで毛繕いでもするように念入りな愛撫が施されていく。首筋、鎖骨、耳の穴まで濡れた舌先で舐められ尽くして、紫月はゾワゾワととめどない欲情にブルリと身を震わせた。
「ラ……ライオンって一途か? どっちかっつったら……縄張り中の雌をハベらしてるハーレム王者って気がすっけど」
「俺がライオンだとしたらお前にだけ特別丁寧で一途だってことだ」
「や……あの、丁寧っつか、これ……どっちかっつったらしつけえの間違いじゃ……ね? ……って、ぅあッ……」
「しつけえとはご挨拶だな。相変わらずに口が悪い」
ニヤっと瞳を瞬かせたと思ったら、腹の上に硬い感覚をなすり付けられて、紫月はゾクりと肩を震わせた。
「やっぱ獰猛じゃねっか……! ンなガッチガチにしやがって……ッあ……!」
「当然だ。二日ぶりなんだ、ガチガチにもなろうってもんだ」
「や、たった二日ですけど……」
「お前が拉致されてからというもの、一日千秋の思いでいたんだ。俺にとっちゃ数年ぶりくれえの感覚だ」
「バッ……、てめ、またンな都合のいいヘリクツ……」
「屁理屈なんかじゃねえ。本心だ。無事に戻ってきて良かった。愛してるぜ、紫月」
「……ッ、遼……そゆの、反則……」
「ほう? 反則か――それじゃ詫びも含めてご褒美だ」
長く形のいい指先が頬を撫で、息もできないほどの濃厚な口づけに口中を掻き回されながら、下肢には逸りに逸った雄をゆっくりと侵入させられて、紫月は突き上げられる欲情のままにのけぞった。
「全部呑み込んだな?」
「んあ……ッ、またそーゆーエロいこと平気で言う」
「当然だ。愛してるんだ、エロくもなろうってもんさ。愛がなけりゃ交尾なんざ意味がねえ」
「……ッ! こ、交尾とか……マジで獣……!」
「獣になるのはお前に対してだけだ。照れて憎まれ口を叩くのも可愛くて仕方ねえ」
「……ッ、遼……! お、お前って、そゆ恥ずいこと……余裕ブッこいて真顔で言うって、やっぱ反則……」
「こういう反則ならいいだろ?」
「ン……、ま、まあ……いっけど」
「俺だって……言うほどそう余裕はねえんだ。今夜は時間を掛けてたっぷり愛してやるぜ」
余裕の笑みの中に時折たまらないといった快楽の表情を覗かせる男の腕の中で、夜の帳が消えてなくなるまで愛され尽くした紫月だった。
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