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極道の姐
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「長・鐘崎、紫月さん、上手く潜入できたようですね」
「李か。こっちは順調だ。これから遼二の部屋へ向かう」
「その遼二さんですが、つい今しがたサリーという女が単身で彼の元へ向かったようです。特に用心棒などは連れていないようなのですが、少々驚く会話が聞こえてきました」
「詳しく教えてくれ」
「どうやらサリーは遼二さんにいかがわしい薬を盛るつもりのようです」
「いかがわしい薬だと?」
「サリーの目的ですが、遼二さんの子供が欲しいということのようです。当然、普通の状態では聞き入れてもらえないと分かっているらしく、催淫剤で欲情を促して事に及ぼうと企んでいるようです」
李からの報告に二人はギョっとしたように顔を見合わせてしまった。彼女の目的は新しくオープンするクラブの後見と踏んでいただけに、驚きもひとしおである。
「催淫剤だと? じゃあ後見ってのは二の次で、本当の目的は遼二本人ということか」
まあ、確かに彼はいい男だし、方々からモテるのは今に始まったことではないが、それにしても子供が欲しいとはさすがに驚かざるを得ない。
李からの状況報告が続く。
「部屋は施錠されていて銃で壊すことは可能と思われますが、ドアを塞ぐように家具類が置かれているようです。事が事だけに邪魔が入るのを懸念して、サリーが動かしたのでしょう。重さのあるだろう物を引きずる音が何度か繰り返し拾えています。残る侵入口は窓からですが、こちらは元々あった面格子の上に更に板が釘で打ち付けられていて、壊すとなるとかなりの音が出てしまいそうです」
「……そうか。李、遼二がいる真上の部屋の間取りはどうなっているか分かるか?」
僚一が訊くと、李はお待ちくださいと言って早速に見取り図を確かめてくれた。
「真上も同じタイプの客室ですね。間取りも全く一緒です」
「分かった。では我々は天井からの侵入を試みる。ところで冰の方はどんな様子だ?」
「はい、冰さんも無事にロビーに入れています。現在はロンと唐静雨を相手に交渉中ですが、なかなかに上手く運んでいるようです。この後、ご兄弟のいらっしゃる部屋へと向かうようですので、鉢合わせないようにお気をつけください。ご兄弟と遼二さんの部屋は廊下を挟んだ真向かいですので。何か動きがあればまた連絡を入れます」
「分かった。よろしく頼む」
李との通信を切ると、僚一と紫月は天井から様子を窺うべく真上の部屋へと急いだ。
「紫月、足音に気をつけろ。まずは靴を脱ぐんだ」
「はい!」
二人は鐘崎がいる真上の部屋へ侵入すると、忍び足で室内を見渡して歩いた。
「ベッドはここか。子作りが目的というなら遼二が捕らわれているのはおそらくベッドだろう。俺たちは風呂場へ向かうぞ。あそこなら換気口から階下へ降りられるかも知れん」
「はい!」
僚一が睨んだ通り換気口の蓋は割合容易に開いて、くぐもった感はあるものの鐘崎とサリーらしき女の会話が聞こえてきた。
「李か。こっちは順調だ。これから遼二の部屋へ向かう」
「その遼二さんですが、つい今しがたサリーという女が単身で彼の元へ向かったようです。特に用心棒などは連れていないようなのですが、少々驚く会話が聞こえてきました」
「詳しく教えてくれ」
「どうやらサリーは遼二さんにいかがわしい薬を盛るつもりのようです」
「いかがわしい薬だと?」
「サリーの目的ですが、遼二さんの子供が欲しいということのようです。当然、普通の状態では聞き入れてもらえないと分かっているらしく、催淫剤で欲情を促して事に及ぼうと企んでいるようです」
李からの報告に二人はギョっとしたように顔を見合わせてしまった。彼女の目的は新しくオープンするクラブの後見と踏んでいただけに、驚きもひとしおである。
「催淫剤だと? じゃあ後見ってのは二の次で、本当の目的は遼二本人ということか」
まあ、確かに彼はいい男だし、方々からモテるのは今に始まったことではないが、それにしても子供が欲しいとはさすがに驚かざるを得ない。
李からの状況報告が続く。
「部屋は施錠されていて銃で壊すことは可能と思われますが、ドアを塞ぐように家具類が置かれているようです。事が事だけに邪魔が入るのを懸念して、サリーが動かしたのでしょう。重さのあるだろう物を引きずる音が何度か繰り返し拾えています。残る侵入口は窓からですが、こちらは元々あった面格子の上に更に板が釘で打ち付けられていて、壊すとなるとかなりの音が出てしまいそうです」
「……そうか。李、遼二がいる真上の部屋の間取りはどうなっているか分かるか?」
僚一が訊くと、李はお待ちくださいと言って早速に見取り図を確かめてくれた。
「真上も同じタイプの客室ですね。間取りも全く一緒です」
「分かった。では我々は天井からの侵入を試みる。ところで冰の方はどんな様子だ?」
「はい、冰さんも無事にロビーに入れています。現在はロンと唐静雨を相手に交渉中ですが、なかなかに上手く運んでいるようです。この後、ご兄弟のいらっしゃる部屋へと向かうようですので、鉢合わせないようにお気をつけください。ご兄弟と遼二さんの部屋は廊下を挟んだ真向かいですので。何か動きがあればまた連絡を入れます」
「分かった。よろしく頼む」
李との通信を切ると、僚一と紫月は天井から様子を窺うべく真上の部屋へと急いだ。
「紫月、足音に気をつけろ。まずは靴を脱ぐんだ」
「はい!」
二人は鐘崎がいる真上の部屋へ侵入すると、忍び足で室内を見渡して歩いた。
「ベッドはここか。子作りが目的というなら遼二が捕らわれているのはおそらくベッドだろう。俺たちは風呂場へ向かうぞ。あそこなら換気口から階下へ降りられるかも知れん」
「はい!」
僚一が睨んだ通り換気口の蓋は割合容易に開いて、くぐもった感はあるものの鐘崎とサリーらしき女の会話が聞こえてきた。
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