極道恋事情

一園木蓮

文字の大きさ
431 / 1,212
極道たちのクリスマスパーティー

しおりを挟む
「はぁ……すっげえ。つか、凄すぎて現実感が湧かねえ……」
「……ですよね……クリスマスプレートっていうのは聞いたことあるけど、何だか中世の貴族が使っていそうな感じ……」
 未だ唖然状態の嫁たちに旦那衆二人からはもっと驚くような台詞が飛び出した。
「これを毎年一枚ずつ増やしていければと思ってな」
「いつかこいつが何枚も何十枚も揃ったところが見られるよう、それまで健康でお前らと睦まじく暮らせるようにという……いわば俺たちにとっての願いと糧を込めてな」
 あまりにも嬉しいことを聞かされて、紫月も冰も例えようのない感激に思わず目頭が熱くなってしまいそうだという表情で微笑んだ。
「えっとさ……その、サンキュな、遼! このプレートがたっくさん揃うように、それまでずっとお前ン側に置いてもらえるよう俺も頑張るぜ」
「俺もです! ずっと健康で白龍と、そして皆さんと末永く一緒に過ごせるよう精進します……!」
 それこそもっと軽いノリではしゃぎながら喜ぶだろうと思っていた旦那二人は、思いもかけなかった真剣な嫁たちの言葉を聞いてジワジワと胸に熱い感激が込み上げてしまったようだ。
 鐘崎は紫月を抱き寄せてコツンと額を合わせ、周は冰の髪をクシャクシャっと撫でては愛しさのままにそこはかとなくやさしい眼差しで互いの伴侶を見つめるのだった。
「それじゃお待ちかねのケーキをいただくとするか! その前に森崎と里恵子にも俺たちからクリスマスプレゼントだ」
 鐘崎と周がまた別の包みを取り出して里恵子らへと差し出した。
「まあ! アタシたちにまで? 何かしら?」
 里恵子が包みを解くと、小さな箱の中からはやはりゴールドに輝くペアのキーリングが出てきた。しかも彼らが乗っているバイクを模ったものだ。
「まあ……! これ、アタシと瑛二の……!」
「お前さん方にはこの前の事件の時に散々世話になったからな」
「気持ちばかりだが受け取ってくれたら嬉しい」
「鐘崎さん、周さん……本当に……こんなにまでお気に掛けていただけて……恐縮なのはもちろんですが、たいへん感激です!」
 森崎が九十度に腰を曲げて深々と礼を述べれば、里恵子も思わず潤みそうになった瞳をハンカチで覆いながら、とびきりの笑顔で感激に胸を震わせた。
「瑛二の言う通りだわ……。何より嬉しい宝物を戴いちゃって……! ありがとう遼二、周さん! 大切にするわ!」
「俺も一日も早く里恵子と一緒になれるよう精進して、そうしたら二人の家宝にして一生大事に致します!」
 裏の世界でいえば森崎にとって鐘崎や周は雲の上と崇めるような憧れの存在でもある。そんな彼らが自分たちの好きなバイクを模ったサプライズプレゼントを贈ってくれたのだ。感激もひとしおなのは言うまでもないが、ただのプレゼントではなくこうして趣味まで加味してくれた気持ちがなによりも嬉しく思えるのだった。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

敗戦国の王子を犯して拐う

月歌(ツキウタ)
BL
祖国の王に家族を殺された男は一人隣国に逃れた。時が満ち、男は隣国の兵となり祖国に攻め込む。そして男は陥落した城に辿り着く。

処理中です...