極道恋事情

一園木蓮

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極道たちのクリスマスパーティー

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「よし! それじゃケーキだ!」
「メリークリスマス!」
 一斉の掛け声と共にコーヒーや紅茶が振る舞われ、極上のスイーツタイムとなった。
「しかし――この見事な龍の模様を腹に入れちまうのは勿体ねえな」
 周がなかなか手を付けられないまま、しきじきとケーキの紋様を眺めている。
「そんなこと言わずに食べてみてよ。味の方は紫月さんと鐘崎さんちのシェフさんたちにご指導いただきながら作ったから、折り紙付きで美味しいと思うんだぁ」
 冰が感想を待ち兼ねた顔付きでぴったりと脇に張り付いている。少し上目遣いの可愛らしい仕草が堪らずに愛しく思えて、周は思い切ってフォークを入れ、口に含んだ。
「美味い!」
「ホント? 良かったー!」
「お前もほら!」
 周が自分のフォークでもう一切れをすくい、冰の口元へと持っていく。まるで親鳥から餌をもらうようにパクっと口に含んだ仕草もこの上なく可愛らしくて、周はそんな伴侶を見ているだけで飽きないようだった。
「そうだ、お前が作ってくれた型紙を額に入れて飾ろう! そうすればずっと取っておけるし毎日見られるじゃねえか」
 いいことを思い付いたとばかりに周が瞳を輝かせる。
「ええー、額だなんてそんな……! それこそ勿体ない話だよ……! 恐縮しちゃう」
 冰は照れ臭そうにモジモジとしているが、そうまでして取っておきたいという周の気持ちは素直に嬉しかったようだ。側で話を聞いていた真田が『では早速明日にでも手配致しましょう』と言って頼もしげにウィンクを飛ばす。彼のこういった茶目っ気のあるところが冰は本当に好きで、嬉しく幸せに思うのだった。
 一方、鐘崎の方も普段は苦手なケーキだが、愛する紫月の手作りとあっては格別なようだ。
「美味いぜ、紫月! これならいくらでも入りそうだ。ケーキってのはこんなに美味いモンだったのか……」
 言葉だけではなく本当に箸が進んでいる様子に、紫月も嬉しそうだ。
「甘いの苦手なお前用にさ、今回は砂糖よりも果実の方の風味を強くしたんだ。気に入ってもらえて良かった! あ、けど……無理はすんなよ! 一口だけでも雰囲気だけでも味わってもらえりゃ、俺はそんだけで大満足だからさ!」
 まったくもって可愛いことを言ってくれる嫁である。
「無理なんざしてねえ。本当に美味い! 冗談抜きで俺もケーキが好物になりそうだ」
「はは! マジ?」
「ああ、大マジだ!」
 言葉通りにペロリと平らげてしまい、おかわりのケーキをもう一切れ皿に盛った鐘崎に、現金なヤツだといった調子で周からもヒューと冷やかしの口笛が飛ぶ。
 そうしてスイーツを楽しんだ後はカップル同士でのチークダンスなども始まって、愛と笑顔にあふれたクリスマスの夜は賑やかに更けていったのだった。



◇    ◇    ◇


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