極道恋事情

一園木蓮

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三千世界に極道の華

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 残りは源次郎とレイである。
「そちらのご年配の御仁にはやはり今の彼と同様、下男のお役目をお願いできるかね? まあ、主には部屋でのお世話で花魁道中などには若い方の彼に出てもらうことになるが」
「分かりました」
 源次郎も快諾である。
「あとはリーダーのあなただが。あなたにも下男として庶務雑用をしてもらうと共に、皆さんの監督も兼ねてもらうというのでは如何かな?」
 するとレイは先程の倫周同様に思い切り口をへの字に曲げながら膨れてみせた。
「おい! この俺様が下男だと? そりゃまた随分な扱いじゃねえか! ホント、どこに目ぇ付けていやがる」
 まさしくお冠である。
「おやおや、ご不満だったかな? 確かにあなたも男前であられるが、花魁や新造としてお客様のお相手をしてもらうには幾分大人というか……いろいろな意味で長け過ぎておられると思うのだが……」
 男の方もレイの気質に押され気味である。皆がここでの生活を素直に受け入れたからというのもあるが、最初の頃から比べると随分と譲歩した態度に変わってきつつあるようだ。それよりも何よりも、さすがに世界でトップクラスを張る一流モデルだけあってか、相手が例え誰であれ俺様気質で呑み込んでしまうレイのオーラは大したものである。
「はん! あんたな、品良くオトナだなんだとごまかしちゃいるが、要はこの俺を中年オヤジ扱いしてやがるな? 失礼にもほどがあるってもんだ」
「いやはや、そんなつもりは毛頭ありませんがね。ではあなたも男花魁をご希望ですかな? まあ変わった趣向のお客様もおられるかも知れませんし、ご希望とあればそれでも構いませんよ?」
「は、ホントに失礼な物言いだな。ーったよ! ーった! 下男兼監督をやりゃいいんだろ? それで構わねえ」
「おや、よろしいので?」
「仕方ねえだろ? 確かに統率役は必要だ。その代わり報酬の方はガッチリいただくから、そこんとこよろしく頼むぜ?」
「ええ、それはもちろん。ご安心ください。それではお役目も決まったことですし、この後は皆さんが生活していただくスペースをご案内するとしましょうな。ここは遊郭ですから造りは和室ですが、普段使う風呂やトイレは洋式で用意されていますし、不自由はないと思いますよ」
 そうして一同は男に連れられて館内を案内されることとなった。
「まずは今皆さんがいるこの広間ですが、ここは花魁専用のお部屋となります。ここでお客様の宴や酒のお相手をしていただくわけですが、襖を隔てて廊下を挟んだ対面にプライベートな寝室や風呂、厠といった設備が整えてあります。普段はそちらで過ごしていただき、仕事の時はこちらの広間を使っていただきます。皆さんが集まって寛いでいただけるリビングスペースもありますので快適と存じますよ」
 どうでしょう、素晴らしい環境でしょうがと、男は自慢顔だ。まあ、言うだけあってどこをとっても確かに快適で豪華な造りの部屋である。
「お食事は三食こちらでご用意します。毎日決まった時間にリビングに運ばせていただきますので、皆さんご一緒にごゆっくり寛ぎながら食事していただけますぞ」
 聞けば聞くほど、そして見れば見るほど都合の良過ぎる待遇といえる。一通りの案内が済むと、レイは男に向かって胡散臭そうに肩をすくめてみせた。
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