極道恋事情

一園木蓮

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謀反

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 それ故、既に通報が済んでいるものと思い、集まってきた人々も警察が到着するのを待っていたそうだ。だがいつまで経っても何の動きもないことから不審に思った者たちが再度通報したことで、初めて警察と消防が駆け付けたということのようだった。
「つまり最初の目撃者が見た救急車ってのは犯人が装っていた可能性が考えられる」
「まさか予め救急車に似せた逃走車両を用意していたということか?」
「おそらく……。だとすればかなり用意周到な奴らだ。通報が遅れたことにも納得がいく。その時間を逃走に充てたということだろう」
 鐘崎は付近の防犯カメラの映像収集と警察のNシステム等を屈指して行方を追ってくれるように丹羽へと頼むと、意気消沈している冰のところへ行って励ましの言葉を口にした。
「冰、おそらくだが氷川は無事でいる可能性が高い。脅すわけじゃねえが、例えば殺戮が目的ならば既にここで行っているはずだ。李さんや運転手のこともトドメをささずに放置しているし、手口から考えてヤツらは氷川のみを生きたまま連れ去るのが目的だったと考えられる。今俺たちにできることはヤツらの行方を追うことと連れ去った目的を探ることだ」
 至急香港のファミリーに連絡を入れると共に、ありとあらゆる拉致の理由を洗い出すことに全力を尽くそうという鐘崎に、冰も涙を拭いながらうなずいた。
 犯人たちの追跡はひとまず丹羽の方に任せるとして、まずは汐留に戻り国外への脱出ルートに網をかけることから始めるという。これだけの大掛かり且つ迅速な手口から見て、相手は周の素性を知っている同じ裏社会の関係者の可能性が高いからだ。
 むろんのことマフィアの組織とは全く関係のない方面からの襲撃という点も皆無ではないので、どんな小さなことでも気に掛かる事案は片っ端から調べに掛かる心づもりだと鐘崎は言った。
「既に源さんが各地の空港を洗ってくれている。香港のファミリーにも現地での入国状況に目を光らせてもらうよう連絡する」
 正念場だが気をしっかり持って頑張ろうという鐘崎に励まされて、冰は懸命にうなずくのだった。
 その後、鐘崎組からも更に人数を動員して、夜を徹しての調査が進められていった。
 ファミリーの関係はもちろんのこと、周の経営する商社関係での付き合いなども含めて、恨みや妬みなどありとあらゆる可能性を挙げていく。鐘崎の父親の僚一が現在はまた海外での仕事で組を留守にしていたので、それだけが悔やまれたものの、逆にいえば渡航先で思わぬ情報が入手できる可能性もある。僚一にもすぐさま連絡を入れ、多方面からの援護射撃を手厚くしていく。汐留に在中している周の側近たちも総力を上げて主人を救出すべく行方の捜査が進められていった。
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