690 / 1,212
謀反
27
しおりを挟む
「班長、どうやらこの奥へ行ったのは間違いないようです! この先にこんな物が落ちていました」
チームのメンバーが拾ってきたのは煙草の吸殻であった。それを目にするなりロンが眉を吊り上げる。
「なんてことしやがる……! 坑道には稀に天然のガスが漏れ出すことだってあるんだ! ひとつ間違えば大爆発を起こしかねない!」
何も知らない素人の羅たちが吸ったもので間違いなかろう。ロンは大急ぎで坑道を奥へと進んでいった。
幸か不幸か道筋には煙草の吸い殻の他に空のペットボトルや菓子パンの袋、他には乾電池なども捨てられていて、羅たちがここを通ったことを示していた。おそらくは持参してきた懐中電灯の電池が切れて入れ替えたのだろう。ペットボトルやパンの袋があるということは、彼らもある程度の長丁場を想定していたのかも知れない。それらをそのままゴミとして放置していくことにもチームとしては憤りを隠せないといったところだった。
場慣れしているロンたちが準備してくれた装備品を身に付けていても、気を許せば現在地が分からなくなるほどに辺りは闇に包まれていて真っ暗である。普段採掘が行われる際には巨大な照明類が持ち込まれるそうだが、今はそれもない。何よりも物凄い湿度のせいでか、息をするのもやっとといったところで、額からは汗が滴り落ちてくる。慣れない冰らにとっては過酷な環境といえた。
こんな所にしっかりとした装備もなく長時間居れば、体力の消耗どころか命の危険に関わりそうだ。普通のスーツ姿だったという周のことを考えれば、一刻も早く彼を見つけて救出しなければと焦るばかりだった。
しばらく進むと、また少し広々とした空洞に出たが、今度は道が四方に向かって分かれていることに気がついた。
「ここから先はこれまで来た道のように平坦な所ばかりではありません。地下河川が通っている所もありますし、万が一その道を選択していれば非常に危険です!」
ロンの言うには先日からの大雨によって水かさが増えているのは間違いないそうだ。
「しかし四方向とはな……。ヤツらがどの道へ入ったのかが分からんことには厄介だな」
鐘崎がタブレットで坑道の地図を見ながら渋顔でいる。
「おそらくですが、素人が進みやすいと判断するなら一番平坦に見えるこの道じゃねえかと思うんですが……」
ザッと四つの穴を見渡せば、確かに一つだけ平坦な道がある。他の三つは急激な上り坂になっていたり、大きな岩がゴロゴロしていたりして、進むには困難だ。
「だがこの道を行ったとすれば非常にマズイっす!」
ロンによればそこは地下河川に通じているというのだ。
チームのメンバーが拾ってきたのは煙草の吸殻であった。それを目にするなりロンが眉を吊り上げる。
「なんてことしやがる……! 坑道には稀に天然のガスが漏れ出すことだってあるんだ! ひとつ間違えば大爆発を起こしかねない!」
何も知らない素人の羅たちが吸ったもので間違いなかろう。ロンは大急ぎで坑道を奥へと進んでいった。
幸か不幸か道筋には煙草の吸い殻の他に空のペットボトルや菓子パンの袋、他には乾電池なども捨てられていて、羅たちがここを通ったことを示していた。おそらくは持参してきた懐中電灯の電池が切れて入れ替えたのだろう。ペットボトルやパンの袋があるということは、彼らもある程度の長丁場を想定していたのかも知れない。それらをそのままゴミとして放置していくことにもチームとしては憤りを隠せないといったところだった。
場慣れしているロンたちが準備してくれた装備品を身に付けていても、気を許せば現在地が分からなくなるほどに辺りは闇に包まれていて真っ暗である。普段採掘が行われる際には巨大な照明類が持ち込まれるそうだが、今はそれもない。何よりも物凄い湿度のせいでか、息をするのもやっとといったところで、額からは汗が滴り落ちてくる。慣れない冰らにとっては過酷な環境といえた。
こんな所にしっかりとした装備もなく長時間居れば、体力の消耗どころか命の危険に関わりそうだ。普通のスーツ姿だったという周のことを考えれば、一刻も早く彼を見つけて救出しなければと焦るばかりだった。
しばらく進むと、また少し広々とした空洞に出たが、今度は道が四方に向かって分かれていることに気がついた。
「ここから先はこれまで来た道のように平坦な所ばかりではありません。地下河川が通っている所もありますし、万が一その道を選択していれば非常に危険です!」
ロンの言うには先日からの大雨によって水かさが増えているのは間違いないそうだ。
「しかし四方向とはな……。ヤツらがどの道へ入ったのかが分からんことには厄介だな」
鐘崎がタブレットで坑道の地図を見ながら渋顔でいる。
「おそらくですが、素人が進みやすいと判断するなら一番平坦に見えるこの道じゃねえかと思うんですが……」
ザッと四つの穴を見渡せば、確かに一つだけ平坦な道がある。他の三つは急激な上り坂になっていたり、大きな岩がゴロゴロしていたりして、進むには困難だ。
「だがこの道を行ったとすれば非常にマズイっす!」
ロンによればそこは地下河川に通じているというのだ。
21
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる