極道恋事情

一園木蓮

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謀反

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「そんじゃ夫婦するか」
 視界に入りきらないくらいの近い位置で不敵な笑みが色香を讃えている。もう抱きたいという意味だ。
「うん、うん! いっぱい夫婦しなきゃ!」
 約ひと月余りを経て戻ってきた幸せを噛み締めるように、二人は甘く熱く互いの温もりを確かめ合うべく逸るようにベッドへと潜り込んだ。
 
 愛撫の隙間を縫って湧き上がる気持ちに再び胸が熱くなる。
 
 きっとこの心やさしい嫁は、仮に礼の気持ちを込めた品物を贈りたいと言ったところで、そんなものはまったく望まないだろう。だが周は、思いつく限りのことを何でもしたいという気持ちでいっぱいだった。旅行でもいい、彼の欲しい物があるなら出来得る限りすべて買ってやりたい、食べたいものでもいい。もういらない、もううっとうしいと言われるくらい側にいて、とことん甘やかせてやりたい。
 愛している、そんな言葉では到底表し切れないこの想いを伝えるには、例えこの世に存在する金銀財宝のすべてをかき集めて贈ったとて足りないだろう。
「本当に――俺は無力なんだな」
「え……?」
 ふと、無意識に声に出てしまった言葉に冰が不思議そうに首を傾げる。
「ん、お前に対する気持ちを――どう表せば全部伝え切れるのかも分からねえ。金でも物でも言葉でも、どんなものをどれだけ贈ったとしても足りねえくらい愛している――。伝え切れねえのが歯痒いくらいお前のことを好きで好きで仕方ねえって思ってな」
「白龍……」
「情けねえ亭主だ。お前のお陰で記憶も戻ったんだ。これからはもっともっと精進しねえとな」
「……白龍ったらさ。俺はもう充分過ぎるくらいたくさんのものを貰ってるよ。なによりこうして側に置いてもらえることが奇跡っていうくらいなんだから」
「そんなふうに言ってくれることこそが俺にとっては奇跡だ。だからこそこの気持ちを――俺にはお前しかいない、世界中の誰よりも、てめえ自身よりもお前が大事で仕方ねえってことを、どう言や伝わるのかと思って歯痒いんだ」
「大丈夫。ちゃんと伝わってるよ。白龍には俺しかいないってこと」
 冰は少し恥ずかしそうに言っては頬を真っ赤に染めた。
「冰……」
 これまでもこの冰がこちらのことを想ってくれているという言葉はたくさん聞いてきたが、逆は聞いたことがなかった。もちろん、『白龍は世界で一番俺のことが好きだよね』などという言い方には遠慮があるのか、心では分かっていても口に出して言うことはなかったわけだ。だが、今は照れながらもはっきりと言葉にして表してくれた。
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