極道恋事情

一園木蓮

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カウント・ダウンを南国バカンスで

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 年の瀬、二十八日――。
 今日は周の社であるアイス・カンパニーにとっても鐘崎組にとっても一年の締め括り――仕事納めの日だ。それぞれ午前中で仕事を終わらせて、午後からは鐘崎と紫月が年始の門松など飾り物一式を持って汐留へとやって来た。
 毎年、周の社では鐘崎組からこうした正月飾りを仕入れているのだ。冰にとっては周と共に過ごす三度目の年末年始である。
 初めてここを訪れた年は周と結ばれた直後で迎える正月だったので、思い返すとなんとも感慨深いものがある。
「今年も立派ですね、門松!」
 周と鐘崎が組の若い衆らと共にトラックから門松を下ろしている傍らで、紫月と冰が設置場所の囲みなどを整えながら相変わらずに仲が良い。
「だろー? 今年はさ、冰君も氷川もいろいろ大変な目に遭ったしで、例年よりデカいのにしてくれって氷川がさ」
「そっかぁ。特に白龍は大変だったですもんね」
 大きな門松を飾って、来る年は穏やかで幸せに暮らしたいという周の気持ちが込められているようだ。
「んだからさ、ウチん組のもここと同じ大きさにしたんだ。もち、飾りの水引もオソロだぜー!」
「うわぁ、じゃあ今回も是非見に行かせてください!」
「うんうん! 松の内の間は飾ってあっから。見に来てくれよなぁ!」
 それよりも今年の年末年始はお楽しみが待ってるしな! と、門松を設置し追えた紫月がウィンクを飛ばす。そうなのだ。今年は皆で南の島へバカンスに出掛けることが決まったからだった。
 周も鐘崎も事件に巻き込まれて記憶喪失になる薬物を盛られたりと大変な年であった。嫁の冰と紫月にも多大な苦労を掛けたことだしと、旦那二人が労いと厄落としを兼ねて海外旅行に行こうと言い出したのだ。行き先は南国リゾート、ハワイである。周と鐘崎もそれについて話している様子だ。
「氷川、今回もジェットを出してもらってすまねえな」
「構わん。それよりホテルを全部持ってもらちまって、こっちの方が恐縮だ」
 周がプライベート・ジェットを出す礼にと、今回は鐘崎がホテル代を持つことになったらしい。まあ、鐘崎としてみれば記憶喪失を乗り越えた周と、側でずっと見守った冰に対する快気祝いの気持ちでもあるわけだ。
「明日の夜出発ですよね! 紫月さん、もう支度は済みました?」
「バッチリよ! 冰君は?」
「俺の方もすっかり済んでます! 真田さんたちも準備万端だって言ってました」
 今回は周の方からは真田と、側近の李に劉。それに医師の鄧も一緒だ。鐘崎組からは番頭の源次郎が同行することになっていた。
「楽しみだなぁ。俺、ハワイ初めてなんです!」
「そっかぁ。あっちは常夏だからな。あったけえし、満喫してくるべ!」
「はい! よろしくお願いします!」
 無事に年始を迎える飾り付けも済み、次の日から一行は念願のバカンスへと向かったのだった。



◇    ◇    ◇


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