極道恋事情

一園木蓮

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ダブルトロア

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 一方、後続の車の中でもまた、紫月と冰がそれぞれの旦那たちと共に嬉しそうな声を上げていた。
「男の子かな? 女の子かな?」
「とかって、今頃前の車ン中は大騒ぎだろうなぁ」
「兄貴のやつ、大丈夫かな。嬉し過ぎて我を失ってなきゃいいが」
「なんと言っても第一子だからな。風さんの頬も緩みっ放しじゃねえのか?」
 四人でわいのわいのと大はしゃぎだ。
「ってことはぁ、氷川と冰君は叔父さんになるわけだ!」
「確かに!」
 紫月と鐘崎に冷やかされて、さすがの周もタジタジだ。
「叔父さんかよ……。いや、兄貴のガキが生まれたら俺ンことはお兄ちゃんと呼ばせるぞ!」
「白龍ったら! そんなこと言ってー」
「お前だってまだ二十歳そこそこで叔父さんなんて呼ばれるのは嫌だろうが」
「ええー、そう? 俺は嬉しいけどなぁ」
「いーや、ダメだ。お兄ちゃんがアレだってんなら焔ちゃん、冰ちゃんでもいい。とにかくオッサンなんて呼ばせんぞ、俺はー」
 目を逆三角形にして唇を尖らす周を囲みながら、皆で大爆笑に湧いた。
「あははは! 氷川、てめ、いつまで若えつもりでいるんだって!」
「若えだろうが、実際!」
「三十路過ぎのオヤジが何言ってんだ」
「よし、分かった。そんじゃ百歩譲って叔父さんでもいいとしよう。そん代わり、おめえらンこともオジサンと呼ばせてやっからな!」
 周はジロリと視線をくれながら鐘崎と紫月を見やった。
「あははは! 遼、俺らもオジサンだって!」
「まあそう気を揉むこともねえ。ガキってのは正直だからな。見たまんまガキに任せりゃいい」
 鐘崎はきっと自分のことはお兄ちゃんと呼んでくれるはずだと図々しいことを言ってのける。
「は! 言ってろ。兄貴のガキがてめえらを何と呼ぶか今から楽しみだ」
 周は口を尖らせながらも、ふと前の車を見つめる視線をやわらかに細めた。

(叔父さん――か。悪くねえな)

 幸せそうなその微笑みが、そんな心の声を代弁しているようで、鐘崎も紫月も、そして冰もまた心温まる思いで未来の叔父を見つめるのだった。
「楽しみだね、白龍。お兄様とお姉様の子だもの。ぜーったい可愛いよー!」
 冰がニコニコと期待顔で言う。
「ああ、そうだな。何てったって叔父さんが男前だからな! ガキも見目麗しいのが生まれてくるに決まってる!」
「聞いたか、遼! 出たよ、氷川の本音が!」
「まったくもって図々しいことを言うヤツだ。叔父さんが男前とはな」
「本当のことだろうが。兄貴のガキだ。イコール俺の血も引いているわけだからな」
「うんうん! ホントそうだね」
 ニコニコとうなずきながら亭主を立てる冰は、やはり出来た嫁だ。その側では鐘崎と紫月が冷やかし文句を繰り出しながら嬉々と騒いでいる。賑やかで幸せな笑い声はホテルに着くまで止むことはなかった。



◇    ◇    ◇


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