極道恋事情

一園木蓮

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陰謀

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 僚一の行動範囲は広い。主にはここ日本の他は香港や台湾だが、東南アジアやタイ、インドまでコネクションを持っている。当然言語にも詳しいというわけだ。
 紫月の機転に感謝すると共に、詳しく女の言い分を聞くことが叶った。
 それによると、彼女の一家が周兄弟を発見して村人総出で二人を運び入れ、怪我の手当てを施してくれたそうだ。兄弟がはっきりと意識を取り戻したのはそれから一週間の後だったそうだが、その間、看病で側に付いていた彼女を周が無意識に抱いたと主張したそうだ。

『彼女の言うには兄の周風の方が傷が重く、彼は一週間の間まったく意識がなかったそうだが、焔はうわ言を繰り返したり辛そうに寝返りを打ったりと、ある程度朦朧とした意識があったそうだ。そんな中、看病していた彼女を床に引き入れて、何が何だか分からない内に抱かれた――と言っている』

 そしてこうも付け加えたそうだ。
『多分、彼は自分がしたことを覚えていないかも知れない。私は強引に服を脱がされて体験したこともないようなことをされた。だが当時は何をされたのかよく分からなかった。その行為がどんな意味を持つのかも分からなかった。きっと彼は怪我が辛くてあんなことをしたんだと思っていた。女はそう言っている』
 子を孕っているのを知ったのは、それから半年も後のことだったそうだ。体格の変化で両親が妊娠に気付いた時には、既に堕ろせる時期を過ぎていて生むしか選択肢はなかったということらしい。
 とにかく経緯は分かった。ひとまずは僚一との通話を終えて、周らは今後についてどうするか決めることにした。親子にはこのままこのホテルの部屋に滞在してもらうこととし、対応に時間をもらいたいと女に告げた。DNA鑑定をするにもある程度は日数が必要だからだ。
 それと同時にもしも女の言うことが事実で、息子が本当に周の子供であった場合には、冰にも事情を打ち明けなければならない。いずれにせよ、周にとっては荷の重い事態が予測できた。

 ホテルを出て紫月らと合流する前に周と鐘崎らは一足先に汐留へと戻ることにした。今後の対応を話し合う為である。
「冰には何と言うつもりだ――。鑑定の結果が出るまでは一切を伏せておくというのもひとつの手だが」
 ところが周はすぐにでも打ち明ける心づもりでいるようだ。
「冰に隠し事はしたくねえ。先程のボウズが俺の子供であるないにかかわらず、こういうことになっているという現状は包み隠さず話すつもりだ」
「――そうか。まあそれが良かろうな……。お前さえ良ければ俺と紫月も立ち会うぞ」
 冰がいかに理解のある伴侶といえど、今度の事態はこれまでの拉致事件などとはまるで意味合いが違う。話を聞けば少なからずショックを受けるだろうからだ。
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