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絞り椿となりて永遠に咲く
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「ここか……ッ!?」
ドアノブに手を掛けれどもカギが掛かっているようだ。
「クソッ! 外からじゃ開かねえってか!?」
では内側から鍵が掛けられているということか。ドアノブの形からして単純な仕掛けのようだし、鍵穴は外側に付いている。ということは、中からは簡単に鍵が開けられるはずだ。にも関わらず外へ出られないということ、加えて薬品の臭いが漏れているということから察するに、二人はここに閉じ込められて眠らされたと考えるのが自然だ。例え拘束されて動けなかったとしても、意識がある状況下の鐘崎ならば何とかして拘束を解き、こんな単純な造りのドアを蹴破ることくらい朝飯前だろう。それができないということは、やはりこの薬品で意識朦朧にさせられているか眠らされてしまったということだろう。
「遼ーッ! 剛ちゃんッ! 居るのか!?」
思い切りドアを叩きガチャガチャとノブを回す。
「チッ……! 蹴破るしかねえ……ッ」
紫月はノブを叩き落とすように蹴りをくれ、体当たりでドアを破ろうとした。
「一之宮ッ! 見つかったかッ!?」
音に気付いた周が駆け寄って来る。
「氷川! こっから薬品の臭いがするんだ! 閉じ込められてるのかも……!」
周もまたその異臭に気付いたのだろう。着ていた上着を脱ぐと、それで自身の鼻と口を塞ぐようにして巻き付け、
「下がってろ! 服を脱いで鼻と口を覆うんだ!」
そう言って思い切りドアへと蹴りをくれた。
バキッという音と共に鍵が壊される――。
体当たりで破った部屋の中に――折り重なるようにして気を失っている鐘崎と清水を発見した。
「カネッ!」
「遼……ッ」
すぐさま周が首筋に指を当てて生死を確認。
「大丈夫だ! 脈はある――!」
狭い部屋には異臭が充満していて、軽い目眩に誘われる。
「一之宮ッ、息を止めろ! 二人を担ぎ出す!」
周に言われて紫月もまた脱いだ上着で鼻を覆いながら、中の空気を吸わないようにして一気に鐘崎らを部屋の外へと引きずり出した。
すぐに李や橘、春日野も駆け付けて来て、皆で鐘崎らを肩へと担ぎ上げ、急いでビルの外へと避難。手元の時計を確認すれば、爆破までは十分を切っていた。
「全員いるかッ!?」
周の掛け声で皆がそれぞれ互いの存在を確認。
「います!」
「揃ってます!」
誰一人取り残していくわけにはいかない。周は直接全員の顔を見て無事を確かめると、
「よし! 撤収だッ! 全員急いで車へ!」
即刻この場を後にした。
ビルの入り口では鄧浩と冰が医療車の扉を開けて待っていてくれた。
「鄧! 冰! 二人を頼む!」
皆で鐘崎と清水を医療車に担ぎ込み、紫月と冰も付き添ってすぐに発車。李や橘、源次郎らもそれぞれの車に乗り込んで倉庫街を離れた。
車中で周が荒い吐息を抑えながら腕時計を確認すると、爆破時刻の〇時まではあと三分足らずだった。できる限り遠くへと車を走らせながら倉庫街を振り返る。
午前〇時、闇夜に白い噴煙を上げて発破解体は決行された。
ドアノブに手を掛けれどもカギが掛かっているようだ。
「クソッ! 外からじゃ開かねえってか!?」
では内側から鍵が掛けられているということか。ドアノブの形からして単純な仕掛けのようだし、鍵穴は外側に付いている。ということは、中からは簡単に鍵が開けられるはずだ。にも関わらず外へ出られないということ、加えて薬品の臭いが漏れているということから察するに、二人はここに閉じ込められて眠らされたと考えるのが自然だ。例え拘束されて動けなかったとしても、意識がある状況下の鐘崎ならば何とかして拘束を解き、こんな単純な造りのドアを蹴破ることくらい朝飯前だろう。それができないということは、やはりこの薬品で意識朦朧にさせられているか眠らされてしまったということだろう。
「遼ーッ! 剛ちゃんッ! 居るのか!?」
思い切りドアを叩きガチャガチャとノブを回す。
「チッ……! 蹴破るしかねえ……ッ」
紫月はノブを叩き落とすように蹴りをくれ、体当たりでドアを破ろうとした。
「一之宮ッ! 見つかったかッ!?」
音に気付いた周が駆け寄って来る。
「氷川! こっから薬品の臭いがするんだ! 閉じ込められてるのかも……!」
周もまたその異臭に気付いたのだろう。着ていた上着を脱ぐと、それで自身の鼻と口を塞ぐようにして巻き付け、
「下がってろ! 服を脱いで鼻と口を覆うんだ!」
そう言って思い切りドアへと蹴りをくれた。
バキッという音と共に鍵が壊される――。
体当たりで破った部屋の中に――折り重なるようにして気を失っている鐘崎と清水を発見した。
「カネッ!」
「遼……ッ」
すぐさま周が首筋に指を当てて生死を確認。
「大丈夫だ! 脈はある――!」
狭い部屋には異臭が充満していて、軽い目眩に誘われる。
「一之宮ッ、息を止めろ! 二人を担ぎ出す!」
周に言われて紫月もまた脱いだ上着で鼻を覆いながら、中の空気を吸わないようにして一気に鐘崎らを部屋の外へと引きずり出した。
すぐに李や橘、春日野も駆け付けて来て、皆で鐘崎らを肩へと担ぎ上げ、急いでビルの外へと避難。手元の時計を確認すれば、爆破までは十分を切っていた。
「全員いるかッ!?」
周の掛け声で皆がそれぞれ互いの存在を確認。
「います!」
「揃ってます!」
誰一人取り残していくわけにはいかない。周は直接全員の顔を見て無事を確かめると、
「よし! 撤収だッ! 全員急いで車へ!」
即刻この場を後にした。
ビルの入り口では鄧浩と冰が医療車の扉を開けて待っていてくれた。
「鄧! 冰! 二人を頼む!」
皆で鐘崎と清水を医療車に担ぎ込み、紫月と冰も付き添ってすぐに発車。李や橘、源次郎らもそれぞれの車に乗り込んで倉庫街を離れた。
車中で周が荒い吐息を抑えながら腕時計を確認すると、爆破時刻の〇時まではあと三分足らずだった。できる限り遠くへと車を走らせながら倉庫街を振り返る。
午前〇時、闇夜に白い噴煙を上げて発破解体は決行された。
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