見習いサキュバス学院の転入生【R18】

悠々天使

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2章 粛清と祭

第17話 黒き大翼の美少女

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 僕が自分の部屋に帰宅したのは、17時40分頃。

 丘乃小鳥と別れてすぐのことだった。

 本当なら、週末までに、自分が入る部活動の選択もしなくてはいけないところだったのだが、今はそれどころではない。

 なんせ、使との接触があったのだ。

 まず、今の状況を確認しておく必要がある。

 シャワーを浴びる前にノートにまとめておこうと思った。

 まず、今現在、僕の直面している最大の問題は、自分が天使側の考えに乗るかどうかという点だ。

 丘乃小鳥をエンジェル(angel)、Aとして、悪魔、サキュバス、ここでは敢えてデビル、D(devil)とする。

 一応、討伐に関しては悪魔が対象なので、サキュバスは一旦外して考えることにする。

 それは、見習いサキュバスを、討伐対象にしているとはまだ100%言い切れないからだ。

 理由は、丘乃に、学園の女の子とのセックスを止められたためだ。

 彼女は、見習いサキュバスを完全な悪魔にしてしまう可能性を危惧きぐしている。

 これはつまり、見習いサキュバスがである以上、悪魔としての討伐対象にならない可能性を示唆しさしていると言えよう。

 Aは、Dを殲滅したいと考えている。

 これは、丘乃小鳥の目的であることは分かった。

 だが、D側は、Aを殲滅したいと思っているのかどうか。ここが重要だ。

 もし、Dが天使に敵対する意志が強いのであれば、これはもう争いは避けられない。

 自分としては、丘乃小鳥を止めれば何とかなる話であって欲しい。

 だが、その希望は薄いだろう。

 何にも知らない状況だったら、僕は迷わず悪魔の討伐を天使に期待しただろう。

 人間にとっての脅威がサキュバスなら、そのサキュバスを殲滅してくれるのはプラスでしかないのだ。

 この学院に入学しなければ、僕が悪魔側に加担することはあり得なかっただろう。

 たまたま僕がサキュバスに対抗しうる精力を持っていたとしてもだ。

 人にとっての脅威は排除するに越したことはない。

 それは分かる。

 ただ、僕はすでに取り返しのつかないことになってしまっている。

 それは、僕はすでに3人のサキュバスと関係を持ってしまっているからだ。

 僕の持つ精子が、仮にも良質な人間の遺伝子というものに該当してしまっていたのなら、彼女たちを見習いサキュバスから、完全体のサキュバスにクラスチェンジさせてしまっていることになる。

 だが、良質な遺伝子を入れたからといって、そんなに早く成長するのだろうか?

 幸い、まだ回数はこなしていない。

 すぐにサキュバス化、つまり成熟した悪魔になるとは限らない。

 希望を持つとしたら、今後、3人とのセックスを控えればなんとかなる。

 何とかなる、と思う。

 これはあくまで希望的観測だ。

 放っておいても、他の男と関係を持って成長する可能性はある。というか、きっとそうなる。

 となると、やはり、そうなる前に、芽は潰しておかなくてはならないということか。

 天使側に立つのであれば、たしかに見習いのうちに刈り取ってしまうのが正しいのだろう。

 それは分かる。

 だけど、僕には……

 ピンポーン! と、インターホンが鳴る。

 僕はビクっ!と身体が飛び跳ねた。


 誰だろう?


 まさか、丘乃小鳥が、僕の思考を読んで、消しにきたのか?

 あの子は天使。だとしたら、何かの能力で、僕の本心を暴いたとしてもおかしくはない。

 コンコン、とノックする音。

 すると、高めのちょっと子供っぽい声がした。

「あれー、ここお兄ちゃんの部屋のはずなんだけど、間違えたかなー、セイシくーん!いないー?」

 ちゆだ!

 でも何で急に。

「はーい、今出るよー」

 

 ガチャっと、ドアを開けると、制服姿の三神知由みつかみちゆが立っていた。

「あ、お兄ちゃん! 来ちゃった」

「急だね、連絡くれれば良いのに」

「さっき部活終わって、なんか急に会いたくなっちゃって。居なかったら帰ろうと思ってたから」

 僕は無言で周囲を見渡す。

 ちゆ以外には誰も居なそうだ。

「ん?どーかしたの?」

 ちゆがいぶかしげに僕を見る。

「え?いや、とりあえず中へ」

「うん」

 彼女の腕を引き、小声で誘い入れる。

 バタンとドアを閉め、鍵をかける。

「ふぅ」

 ため息が出る。

 さすがに考え過ぎかもしれないと思った。

 今更警戒しても、ちゆと仲良くしていることはクラスには知れ渡っている。

 落ち着いて考えなくては。

「どうしたの? 何かあった?」

「ううん、なんでもない。目立つとややこしいかなって思ってさ」

「そっかー、ねぇ聞いてよお兄ちゃん、今日、秋風さんに声掛けられて、ちゆとお兄ちゃんがどこまでしたのか聞かれたの、怖くない?」

「秋風?あぁ、よもぎのことか。そうなんだ。へー、意外だね」

「そー、ちゆも意外だった。秋風さんに声掛けられることなんて、今までほとんどなかったから」

「そうだったんだ。友達とかじゃないの?」

「ちがうよ、全然話したことない。だから、もしかして、ちゆ達のこと見て妬いてるのかなーって思っちゃって」

 ちゆが持っていたカバンを床に下ろすと、僕に抱きついてくる。

 一瞬びっくりしたが、小柄なちゆの柔らかい身体の感触に身を任せ、抱きしめ返した。

「どうしたの?」

「ちゆとお兄ちゃんは、運命の相手だから。お互いに好き同士。そうでしょ?」

「うん」

「ちゆはお兄ちゃんが好き」

「うん、ありがとう」

「お兄ちゃんは?」

「もちろん、僕もちゆのことが好きだよ」

「秋風さんより?」

「そりゃ、まぁ、そうかな」

「え?そこは、ちゆが世界一好きって言うところでしょ?」

「そ、そうだね」

 抱きついたまま、顔を上げ、目を合わせるちゆ。

「あー、そっか、お兄ちゃん、1番好きなのは、ちゆのちゃんだもんね」

「確かに、そういえば」

「ちゆのおまんこちゃん、お兄ちゃんが居なくて泣いてたよ、くちゅくちゅになって、眠れなくて大変だったんだから」

「そっか、ごめんね、寂しい思いをさせちゃって」

「ほんとだよ、仕方ないから、ちゆが、おまんこちゃんを弄って慰めてあげたんだよ。中指をこう、おまんこちゃんの真上に刺さるように固定して、思いっきり腰を上に上げるの。こう、きゅっ!って感じで」

 ちゆが立って抱きついたまま、僕の股間に腰を打ち付ける。

 柔らかいちゆの股間をスカート越しに感じ、堪えられず一気に勃起した。

 だが、気にせずちゆは話を続ける。ちゆは絶対に気付いているはずだ。股間のテントがちゆの股の間に入り込み、まんこに接触している。

「きゅっきゅっ!って上げるから、ちゆの中指にズポズポ出入りするんだけど、それよりベッドが凄いきしむ音が凄くて笑っちゃった。指が刺さるたびに、おちんぽくんって言うと興奮するの。最後はおちんぽくーん、って叫びながらイっちゃった」

「そっか、良かったね、気持ちよくなれて」

「そうだねー、てかさ、今日のお兄ちゃんすっごい良い匂いする」

「ほんと?嬉しいなぁー、ちゆちゃんも、甘い香りがして良い感じだよ」

「ううん、ちゆは良いんだけど、お兄ちゃん、さっきまでオナニーしてた?」

 これは、やはりすぐシャワーを浴びるべきだったか、でもそうなると、ちゆと会えなかっただろうし、これはこれで良いのか。

「え?あー、バレちゃった?そんなに臭うかな、シャワー浴びてこようかな」

「待って、ちゆ、お兄ちゃんの精子、舐めたい。舐めていい?」

 そう言うと、答える前に僕のスラックスのベルトを外し、パンツを下ろした。

 


 今日はこれで何回目なんだと思ったが、ちゆは相変わらず可愛い。

 勃起しないなんて不可能だった。

 ちゆは興奮しているのか、左手でちんぽの根本を持って固定すると、可愛い鼻をちんぽの尿道口に押し付け匂いを嗅いだ。

「あー、おちんぽくんの匂い。すっごい濃い。れろ、れろ、レロレロ」

 陰茎、裏筋からカリにかけ、ペロペロと舐めるちゆ。

 ちゆの舌が、まるで軟体動物が這うように肉棒をねぶっている。

 僕はちゆの柔らかい舌の動きに理性が飛びそうになり、気持ち良さに負けないように必死で耐える。

 舌の動きがさらに激しさを増し、腰が落ちそうになった。

 ちゆは僕の反応が嬉しいのか、舐めながら微笑みを浮かべる。

 僕は耐えられなくなり、ちゆの頭を左右から掴み、口の中へペニスを突っ込んだ。

「むぐぅうー」

 ちゆの温かい口の中でペニスが踊る。ビクビクと動くちんぽを、ちゆが舌で弾きながら遊んでいる。

 れろれろと舐めながら、裏筋を舌で弾いて上顎の方へ動かす。

 ちゆは、カリを舌で刺激したと思うと、今度は口をすぼめて、頬の肉でカリ首の吸引をする。

 バキュームフェラで亀頭を吸われながら竿をシコシコと手で扱いた。

 気持ち良過ぎて、もう耐えられない。

 僕はちゆに声をかける。

「もう、ダメだ、イクよ、出る、出る」

「ひぃよ(いいよ)、たひて(出して)、ほにぃひゃん(お兄ちゃん)、んんっ、ん、ん」

 ドク、ドク、ドク、ドク

 ちゆの温かい口の中に、大量の精子が流れ込む。

 下半身がビクビクと震え、気持ち良さに身を委ねる。

 こんなに気持ち良いフェラができるちゆは、きっとすごいサキュバスに違いないと称賛したくなる気分だった。

 それと同時に、口からとは言え、体内に精子を放ってしまったことに、後悔した。

 セックスでは無いと言えば無いが、精子を身体に入れていることには違いない。

 大丈夫なのか。

「ちゆ!飲まなくて良いから、吐き出して」

「え?ごめん、もう飲んじゃった、ほら、あーん」

 ちゆが恍惚の表情で口を開ける。

 可愛い舌の上には精液は乗っていなかった。

 遅かったか。

「ちゆ、身体に何か、変化は無い?」

 ちゆは熱っぽい表情で疑問を口にする。

「身体?うん、べつに何ともないよ。もしかして、気遣ってくれてるの?ありがとう!やっぱりちゆの恋人は、お兄ちゃんだね、へへっ」

「……こいびと」

 そうか、ちゆは僕のことを恋人だと思っているのだ。

 それに、身体を気遣ってると思っている。

 途端に罪悪感が込み上げる。

 僕はなんて自分本位なんだろう。

 たとえサキュバスだろうが、悪魔だろうが、彼女は彼女で懸命に生きているのだ。それを、人間か人外かで態度を変えようとするなんて、非道だ。

 僕はちゆを抱きしめた。

「え、お兄ちゃん?どうかしたの?」

「ちゆ、ありがとう、凄い気持ち良かったよ。やっぱりちゆは最高に可愛い女の子だ」

「え?なになに?これはちゆがしたくてしたことだから、そんな大袈裟にしなくて良いよ。それより、ちゆのおまんこちゃんとエッチしよーよ」

 僕はゆっくりちゆから身体を離すと、肩に手を置きながら彼女の目を見つめた。

「ちゆ、話があるんだ」

 ちゆはパチクリと目をまんまるにして驚いている。

 べつにイったから理性的になったということではない。

 僕は尋常じゃない絶倫なのだ。

 ちゆとの絡みを楽しみたい気持ちはもちろんある。

 だが、今は他のことも話さなくてはならない。

「お兄ちゃん、なんだか、苦しそう。大丈夫?」

 気持ちは伝わっているようだ。

「うん、大丈夫。だけど、これから話すことは、2人だけの秘密にして欲しいんだ。できそう?」

「うーん、あんまり面白くない話?」

「面白くはない、かな」

「そっかー、やっぱり、思った通りだ」

「え? 何のこと」

 沈黙する。

 もしかして、ちゆは自分がサキュバスだということをしっかり自覚していて、天使に狙われていることも、人間とは共存できないことも分かっているのか。

 と、考えていたが、思った事と違う言葉が入ってきた。

「お兄ちゃん、ちゆが1番じゃ無いんだよね、たぶん」

「ん?」

「なんかさー、今日、お兄ちゃん午後から来たでしょ? 実は、桃正院さんも午後からだったんだけど、なんか怪しくて」

 察しがついた。そうか、バレていたのか。

「朝のバスで、2人を見たっていう子がいたんだよね」

「そう、なんだ」

 これは言い訳できそうにない。

「それで、最後に2人が話してたって……うぅ」

 涙声になるちゆ。

 そうか、ちゆは、ゆかとの関係を疑っているのだ。だが、まさか、そんなにちゆが自分に惚れ込んでいるとは思いもしなかった。

 性格的に、かなり軽い印象が強かったから、てっきり本気度で言うとそこまで高くないと勝手に勘違いしていた。

 しかし、これはどう説明したものか、困った。

 そもそも、これから話そうと思っていたことは、サキュバスに関する事で、天使から狙われないためには、見習いのままでいた方が良いと言いたかったのだ。

 転校も視野に入れるべき。そう伝えたかった。

 だが、この状況では、そんな話はできそうにない。

 とりあえず、僕は、ゆかとの関係を説明することにした。

「えっと、ちゆちゃん」

「はい」

「僕は、ちゆちゃんのことは好きだ」

「うん」

「でも、桃正院さんのことも、好きなんだ」

「二股じゃん、ひどいよ」

「ちょっと待って、付き合っていたわけじゃないでしょ」

「でもやったじゃん」

「う、まぁ、やったけど」

「ちゆとしたんだから、それは恋人でしょ」

「恋人候補だよ」

「桃正院さんは、恋人候補?」

 これは、なかなか答えにくい。だが、現時点では、恋人なのは、ゆかの方だ。

 しかし、ゆかの本気度と、ちゆの本気度では、ちゆの方が上の可能性も否めない。

 とはいえ、ゆかへのアプローチの方が濃いことは確かだ。

 だとすると。

「うーん、一応、恋人、かな」

「なにその曖昧な感じ」

「いや、僕はゆかのことが好きなんだけど、ゆかの方は本当のところどうなんだろうって思ってて」

「ふーん、じゃあ、桃正院さんとはやってないんだ」

「……」

「やってんじゃん!ちゆよりも前?」

「……あと」

「さいあく」

「と、とにかく、僕はゆかとの関係を維持したいと思っていましてですね」

「ちゆはお兄ちゃんの何?」

「友達、かな」

「えっちしてるのに?それって……」

「だから、もう、セックスとかは、あんまり良くないっていうか」

「ふーん」

「ごめん、ちゆ。僕は、ちゆとやりたくて堪らないんだけど、それは良くないからさ」

「ちゆのことが好きなのは否定しないんだね」

「そりゃ、ちゆは可愛いし、だけどね」

「桃正院さんに嫌われたくないからでしょ?」

「まぁ、それもあると言えばある」

「そんな真剣なんだったら、ちゆも諦めるしかないのかな」

「良い友達ってことで、ね」

「今日はおまんこ、調子いい日だったんだけどなー」

 ちゆは自分の股間のショーツの中へ手を入れ、くちゅくちゅと音を立てた。
「んあんぁっ」声を上げてオナニーするちゆ。

 そして、ニヤついた表情で、自分の指に付着した愛液の粘りを見せつけてきた。

「ほらー、ぬちーってしてて濃いでしょ。おちんぽくんが入りやすいように、おまんこ汁がいっぱい。味見する?」

 人差し指と中指、薬指の付いた愛液を伸ばして見せ付ける。

 僕は再び勃起する。だが、誘いに乗るわけにはいかない。

 経緯はどうあれ、これで、ちゆとセックスすることは無くなるのだから。

 ゆかとの関係も言わなくてはと思っていた。

 ある意味で好都合だった。

 このまま、何も無かったように話を終わろうと思った。

 が、ちゆは予想外の行動に出た。

 彼女はショーツを脱ぐと、そのまま勃起したちんぽに自分の股間を押し付けてきた。

 不意をつかれ、背後に倒れた僕に馬乗りになり、ちんぽを掴むと、自分のまんこにずぷっと挿入した。

 ちゆは笑顔だった。

「入っちゃったね!ちゆのおまんこに。ちゆで勃起しちゃうから悪いんだよ。勃起してなかったら入らなかったのに。お兄ちゃん、意志弱過ぎっ」

「ちゆちゃん、ダメだよ、セックスは」

「こんなに硬くしてるのに、なんでそんなことが言えるのか分かんない。ほんとは射精したい癖に」

 ちゆは騎乗位の体勢で、左右にぐりぐりと動く。

 気持ち良過ぎて、頭がどうにかなるかと思った。

 ちゆの気持ちは嬉しいし、決して拒否したいわけではない。

 とにかく、辞めさせなくてはと思った。

 射精はダメだ。

 何としても、中出しは避けなくてはならない。

 ちゆは軽いから、簡単に振り解くことができる。

 そう思って、対面座位の姿勢へ。

 ちゆと目が合う。

「ふふっ、お兄ちゃん、気持ちいーね」

 整った可愛い顔のちゆ。

 こんな子に勝てるはず無いだろうと本心では思ったが、心を鬼にし、腰を掴んで、持ち上げようとするが、何故か全く微動だにしなかった。


 ん?


 おかしい。

 本来、ちゆはかなり軽い。こんなに重いはずがない。

 完全にホールドされている。

 ちゆと笑い合う。

「ちゆちゃん、そろそろ騎乗位やめない?」

「なんで?」

「イきそうなんだ」

「イけばいいじゃん」

「いや、それはまずいんだ」

「なんでイったらダメなの?」

「ちゆちゃんに中出しすると」

「中出しすると?」

「サキュバスになっちゃうから」

「ふーん、それで?」

「それでって、サキュバスになったら、まずいでしょ」

「ちゆぜーんぜん分かんなーい」

「いや、サキュバスになるとね」

「うん、うん」

「ちゆちゃんのね」

「うん、うん」

 ちゆが騎乗位で上下に動かす。杭打ちピストンというやつだ。

 気持ち良さが最高潮で、気を抜いたら射精しそうだ。

 絶望感が込み上げる。

 とにかくちゆを持ち上げたいが、全く動かない。これは何か特別な力が働いているのではないかと思った。

 ちゆが恍惚の表情で笑う。 

 パチュン、パチュン、パチュンとリズムよく音が鳴る。

「気持ちいいねー、出ちゃいそうだねー、ちゆのおまんこちゃんに、いっぱい精子食べさせてねぇー」 

 パチュン、パチュン、パチュン

「ちゆちゃん、変な意味じゃないんだけど、なんか、重くなってない?」

「ええー、ひどい、女の子にそんなこと言うなんて」

「いや、そういうことじゃないんだけど」

 すると、ちゆは自分の指を口元に当てながら考え込む。

「そう言えば、昨日の夜、空を飛ぶ夢を見たの」

 ドキッとした。

 空を飛ぶ夢??

「ちゆちゃん、それって、夢の中で羽根が生えてなかった?背中に」

「うーん、鳥になったみたいだった」

「どんな羽根?」

「すっごい大きくて、色は、紺色っていうか、黒い感じで」

「もっと具体的に思い出せない?」

「あ、そうそう、コウモリの羽根みたいな感じだった。起きたら背中が痒くて、カバン背負ってるみたいだったの」

 そうか、まさか、イヤ、さっきはそんな感触は。

「ちょっと失礼します」

 僕はちゆの背中に触れる。ちょっとぬるっとしたような、スベスベな変な感触がする。

 これは、ビンゴだ!

 ちゆがこそばゆいのか笑う

「ふふっ、お兄ちゃん、くすぐったいよぉー、ぁああーんっ!」


 ちゆが喘ぎ声を上げた瞬間。


 バッサーッ!!!


 という翼が開く音と共に、ちゆの身体の3倍くらいの大きさをした、まさにコウモリの羽根。いや、悪魔の羽根の両翼が部屋いっぱいに出現した。


 衝撃的な光景に一瞬で血の気が引き、硬くなっていたペニスも小さくなり、ちゆはちゆで、騎乗位の上に上がる勢いで、そのまますっぽ抜けた。

 抜けたは良いが、悪魔の羽根が突風を起こしてちゆが見事に舞い上がり、勢いよく天井にぶつかった。

「ひゃううっ!!」
 と、ちゆからは聞いた事のないような甲高い声を上げて少しの間、天井に張り付いて静止していたのだが、気を失ったのか、天井から羽根を開いたままで落ちてきた。

 僕はスラックスが足元までずり落ちていたので、引っかかって転んだが、何とかちゆを受け止める事に成功した。


 おそらく体重90キロくらいにはなっているであろう、ちゆを僕のベッドまで運び、寝かせる。

 気絶しているちゆを見て、心配はしたが、息はしっかりあったので安心した。

 部屋中に広がった巨大なコウモリの羽根。触った感じはぬるっとしているが、スベスベでもある、不思議な感触。

 これが、悪魔の羽根というやつだろう。

 天使の羽根と違って、どうやら飛べるようだ。

 ちゆ自身の体重がおそらく40キロ未満。羽根はたぶん50キロくらいはあるだろう。

 2年前、柔道部の顧問に馬乗りにされたことがあったが、彼は90キロで、その時の重さとほぼ同じだった。

 たしかに、これなら実際に空を飛んでいてもおかしくはない。

 昨日、ちゆが見た夢は夢ではなく現実だったのだろう。

 問題は、この現象を引き起こした原因である。

 もし、僕との性交渉がきっかけで羽根が生えたのだとすれば大問題だ。

 僕は見習いサキュバスに遺伝子を提供することで完全体のサキュバスにしてしまう能力があるということになってしまう。


 こうなってしまうと、天使である、丘乃小鳥によって討伐される対象は、三神知由ということになる。


 僕はどうすればいいのか。


 ピンポーンと、インターホンが鳴った。


 まずい、ここの管理人かもしれない。

 さっきの音で不審に思ったに違いない。

 まず、管理人が、悪魔側か、天使側か、そこが問題だ。

 もし、天使側だった場合、ちゆはもう終わりかもしれない。

 僕が招いた失敗でもある。

 せめて、何とか、ちゆは逃がしたい。

 どうやって誤魔化すか……。


「おーい、セイシー!」
「セイシくーん、大丈夫ー??」

 ん? この声は。

 ドアスコープから、外を覗くと、いつもの2人。



 秋風よもぎと、桃正院ゆかだった。
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