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アレク編
3.デート
しおりを挟むコンコンコン
「隊長ー! アレクです。ひと段落つきました?」
「アレクか。すぐ準備する、少し待ってくれ」
数分待つとラフな私服の隊長が出てきた。
髪型がセットされてない、サラサラな状態のままで、いつもよりも幼く見えた。が、めっちゃ無精髭。今世も休みの日は剃らない主義か。
「待たせたな」
「いえ」
「どこいくか決めたか?」
「とりあえず飯いきません?腹減っちゃって」
「ああ そうだな。どこへ行こうか」
「何食べたいとかあります?」
「いや 何でもいいが」
「じゃあサンドイッチかパスタあたりでどうでしょう?それともガッツリ系がいいですか?」
「パスタかな」
「それなら、隊長は知ってると思うんですけど、薬屋の角曲がった先に美味しい店があるんですよ」
「いや、そこは行ったことないな」
「じゃあ是非」
3日ほど前に見つけたレストラン。少し看板が見づらい位置にあり、店の前まで来ないと気付けないが、いつも客で溢れている。肉感的なおかみさんと可愛らしい2人の娘が給仕する大衆向けレストランだ。マスターの旦那は寡黙でいつも厨房の奥でフライパンを振っている。今日もほとんどのテーブルが埋まっていた。
少し待って案内されたテーブルに座ると、メニュー表を差し出した。
「何にします?」
「オススメはあるか?」
「チキンクリームパスタ、ボロネーゼも美味いですよ。サンドイッチならクラブハウスサンドがオススメです。まだそんなにたくさんの種類食べてないんで、わかるやつだけですけど。セットのスープもうまいですよ」
「ならチキンクリームパスタとオニオンスープにするかな」
「俺ペスカトーレとミネストローネで」
「あいよー」
「コレまだ食べたことないんです」
レモンが淡く香る炭酸水を口に含みながらタブロイド紙に目を通すヨシュアに見惚れていた。
「そう言えば、アレクは料理がうまいんだよな」
「あー、やったことはなかったですけど、知識だけはあるんです。昔よく家の料理人に文句つけてました」
「へぇ、アレクにも貴族らしいところがあったんだな」
「貴族らしいって…」
「どう見ても侯爵家三男にはみえない」
「悪かったですね。出来損ないで!」
ふんすっと怒ったフリをしてみる。
貴族の中でも侯爵家の次男三男は、文官や学者、医者などになることが多い。今は新たに王宮士官の職も増えているので爵位が継げないからと命の危険がある騎士を選ぶものは多くない。
「そういう意味じゃない」
「え?」
どういう意味ですか? と聞こうと振り返ったところでその言葉は飲み込むことになった。
「はいよ!お待ち!」
たくましい腕に運ばれてきたパスタは、食欲をそそる香りの湯気が立ち上っていた。
「美味いな」
「でしょう。こっちも美味いですよ。食べてみます?」
「ああ」
ヨシュアは俺の皿にフォークを伸ばして一巻きすると、口に運んで「コレも上手いな」と柔らかく呟いた。
ところで、店に入ってから結構経つが、ヨシュアと目が合っていない。
朝、部屋を出たところで一度合ったきりだ。
男同士だし見つめ合って話をする奴なんていないが、それにしてもコレは避けられるレベルで外しているとしか思えない。言葉や態度は柔和で避けられてる感じは全くしないのだが…。
「それで?飯食った後、どこいきたい?」
相変わらず新聞に目を落としたままだ。
「この辺、娯楽とかありますか?」
「映写と、女と酒くらいだな。プールバーもあったと思うが」
「うーん、プールバーで少し体を動かしますか」
「いいぞ」
---
プールバーへ行くと、ガンツとヴィートリヒがいた。この2人、仲良かったのか…
「隊長たちもビリヤード ですか」
「ああ ちょっと体を動かしにな」
ガンツが隊長に声をかけてきたが、俺は軽く会釈しただけで空いたテーブルに着いた。
「3本先取で負けたほうがエールを奢るでいいか?」
ヨシュアがボールをセットしながら顔を向けた。
今日、目があったのはこれで2回目だ。長い睫毛から覗く、優しそうだが形のいい目に射抜かれて、ただぼーっと見つめ返した。
「アレク?」
「はいっ。それでいいです」
慌てて返事をしたが、もう一度目が合わないか、しばらく見つめることになった。
1ゲーム目、2ゲーム目とヨシュアが連取。
連勝して黒板にポイントを書くヨシュアの横顔が眩しくてまた見つめてしまう。
「一杯目はアレクの奢りかな?」
「まだキューに慣れないだけです。これから挽回します」
嘘では無い。手に取ったキューが思いの外硬く、重心もズレているのか上手く扱えていないのだ。ボールに上手く力を乗せられずに打ち損じを繰り返していた。
3ゲーム目で少し慣れ始めてなんとか勝てたが、4ゲーム目はチャンスの場面で打ち損じて負け、エールを奢ることになった。
カウンターでエールを受け取って席に戻るとディートリヒと隊長が談笑していた。ディートリヒの笑顔なんて初めてみた…!それに隊長がすごく笑顔だし。ちゃんと見つめあってる!悔しいっ!俺といた時あんな笑顔一回も見てない…!
「どーぞ」
少し不貞腐れ気味にエールの瓶を差し出す。
俺が近づくとディートリヒはいつもの能面に戻ってガンツとゲームを再開した。俺って嫌われてるんだろうか?
「どうした?アレクのブレークだぞ?」
「あっ はい」
2セット目がスタートする。
キューに慣れてきたこともあって打ち損じが減ってきた。1ゲーム目は譲ったが、2ゲーム目からは思いどおりに球運びができて危なげなく勝てるようになった。うん。調子が戻ってきたな。キューの癖も掴んだ。
「キューに慣れてないだけって、本当だったんだな」
タップにチョークを塗りながら、感心するように言葉を吐いた。
「なかなか上手いでしょ」
「このままだと3連敗しそうだな」
テーブルには隊長が奢ってくれたエールが2本、既に空になっていた。
「この勝負で最後にするか?」
「ハイ」
上司のために少し手加減したほうがいいかな?とも思ったが、手を抜くのは失礼な気がしたので、それはやめておいた。
ゲームが終わってカウンターに腰掛け、奢ってもらったエールを煽っていると、ガンツとディートリヒが既に店にいないことに気づいた。
「帰ったんですかね?」
俺がガンツたちのいたテーブルに目線を送って言うと
「ん? そうみたいだな」
特に興味がないと言った感じで、相槌が返ってくる。
「さっき、何話してたんですか?」
「何とは?」
「ディートリヒさんと。話してたでしょう?」
「ああ。別に大したことじゃない」
話の内容は教えてくれなかった。教えられない内容だったのか、教えたくない内容だったのか。
「なんか、楽しそうでしたね」
「そうか?」
やっぱり、教えてもらえなさそうだ。
店を出ると、酔い覚ましにちょうど良い風が吹いていた。西日はまだ残るが1時間も経てば日も沈みそうだ。
「これからどうする?」
「酔い覚ましに河原を歩きませんか?」
「あ、ああ」
もう少し時間が経てば、川沿いで夕日を眺められる。
河原に着くまでは、他愛もない話をしていたが、川の水面に反射する太陽の光を目にしてため息が溢れた。
そこから何をするでもなく、ただ川沿いをゆっくり、会話もなく歩いた。
「綺麗ですね」
「そうだな」
また沈黙の時間が訪れる。こんな穏やかな時間がずっと続けばいいのに。
少し行った先に、休憩出来そうな石があった。
「隊長、あそこでしばらく休みません?」
「ああ 構わないが…」
「?」構わないが?
「アレク、何か話があったんじゃないのか?」
「いえ?隊長と夕日を見たいなーって思っただけです」
「そう、か。楽しいか?」
「楽しいです!」
「お前…変わってるな」
「隊長といると喋ってない時間も心地いいんで、一緒に居るだけで楽しいんですよ」
「…」
石に腰掛けて風に当たっていると、夕日が落ちてきた。空が赤く変わり始めて、心なしか風がひんやりする。
ただ、なんてことないこの時間がたまらなく幸せだった。横にヨシュアがいる。それだけでこの日常の風景は絶景だ。
完全に夕日が沈んで辺りが薄暗くなった頃、ヨシュア立ち上がった。
「帰るか 、っと。」
足元が見えづらくなっていたのか、てバランスを崩す。慌てて手を貸した俺は、ついそのまま背中に手を回してしまった。
「ありがと」
「いえ」
すぐに体は離したが、掴んだ手を離すのは名残惜しかった。
「あの… もう少し一緒にいてもらえませんか」
「…ああ」
もう一度石に腰かけた2人の距離は少し縮んで、腕がギリギリ触れるかどうかと言ったところ。衝動的にくっついてしまいたい気持ちを必死に抑えて、ただひんやりする風を感じていた。
どれぐらいそのままいたのか。
ぽつりぽつりと取り止めのない話はするものの長く続かない。しかしそんな時間も幸せで、1cm先にある温もりが俺の心を高揚させた。全神経が二の腕に集まっている気がする。
俺たちは完全に暗くなった後も、ただ前をゆっくり流れる川を眺めていた。
少し寒そうな動きをしたヨシュアに気付いて、すっくと立ち上がって手を差し伸べた。
「寒くなってきたし、帰りましょうか」
鈍い月明かりが照らすヨシュアの表情は戸惑いを浮かべていたが、俺が差し伸べた手を掴んでくれた。
「そうするか」
今度は足元をしっかり確認して転けないように歩き始めた。
宿舎へ帰る途中、明日からの仕事の話を少ししたが、その途中で「休みの日までこんな話をするのはよくないな」と切り上げてしまった。
俺は、隊長と話すならどんな内容でもいいんだけどな。
「隊長は今日、楽しかったですか?」
「ん?そうだな… なんだか久しぶりに、本当に休暇を取った感じだ。ゆっくり出来たし、楽しかったよ」
「また誘ってもいいですか?」
「かまわんが、アレクは俺といて…」
「楽しかったから誘ってるんです!」
「ははっ、変なやつだな」
「今度は、映写でも行きましょうか」
「そうだなぁ」
「約束ですよ!」
「わかったわかった。休みが取れたらな」
楽しみが出来た。
---
国から視察部隊が来る際に、俺たち西側の部隊が警護することになった。
視察部隊を率いる閣下はパーティーで挨拶したことのある人だが、ヨシュアは視察部隊の世話役のような人と顔見知りのようだった。
「本日の警護を担当します。西側警備第二隊長のヨシュア・ハイン・リッテンバーグであります」
「ああ」
閣下は言葉少なに返事をすると俺に目線をよこした。
「おや、コレはアレクサンドリア殿、お久しぶりですな」
「今はただの一兵隊です、敬称も敬語も必要ありません、ルーデル閣下」
俺に声をかけてきたルーデル閣下(エバンス・ウルリッヒ・ルーデル)は、先の大戦で複数の大きな戦果を挙げ、階級が大佐となった軍人だ。ただ、貴族の中では上司命令を無視して部下を盾に無茶な攻撃を何度も仕掛けたとも言われており、俺は子供ながらに殺人狂か何かなのではと思っていた。
「いやいや、随分と大きくなられましたな。今でもアレクサンドリア殿が指示されたパーティーの食事は忘れられませんよ。未だにあれを超えるものに出会えていないのですからな」
「それは光栄です。お食事をご用意出来ないのは残念ですが視察中快適に過ごしていただけますよう、警備を努めさせていただきます」
「ははは、つれないですな。まぁ致し方ない。よろしくお願いしますよ、騎士殿」
隊長を無視して一兵隊に話しかける閣下に居心地の悪さを感じながら隊長が嫌な気持ちになっていないか不安になって目をやれば、世話役と打ち合わせを済ませて既に警備の指示をしていた。よかった、あまり見られてなかったか。
閣下が世話役から視察ルートなどの説明を受けていると、俺も隊長からの指示を受けた。
「今日の警備、頼んだぞ」
「わかりました」
初日の視察は大きな問題もなく、終わった。
2日目の視察でも大きな問題もなく(途中魔獣が出た程度)終えた。
最終日の今日は第二隊が警備を継続するため、本来食事担当だった俺たちに代わって第三隊が継続して作ることになっていた。
「そういえば、本来今日はアレクサンドリア殿が食事を作る日だったのだろう?」
警備の打ち合わせをしている時に話しかけられた。
「この3日間、第二隊が警備することとなっていますので、食事担当は第三隊が担ってます。しかしルーデル閣下は隊員の食事とは別なのでは?」
「せっかく君の手料理が食べられる可能性があるのだ。それは是非とも頂きたいじゃないか」
「しかしパーティーでは私のアイデアをシェフに伝えて作らせたに過ぎません。ここで作っているのはただ皆の腹を満たすだけの料理です」
「他の隊員にも聞いたぞ?君は料理も上手いそうじゃないか。あの家で教わったとは思えぬし、やはり舌が肥えていると腕も変わるのかね?」
閣下の一声で俺は警備から外され、第三隊員と一緒に食事を作る羽目になった。下っ端の俺がどう指示を出せって言うんだ。
---
材料を見て各自献立を考えて人数分用意する。食材は人任せなようで、毎日市場が予算内で用意してくれる。
特設テントに山積みになっている野菜や肉を見て、この量の料理は大変だろうなーと他人事のように考えるが、残念ながら今日調理するのは俺だ。
第三隊の人も居るが、なぜか俺が指揮を取らねばならなくなったのだ。
いつもの通りパンとスープと肉、じゃだめだろうか。
いや、あえてここではその代わり映えしないメニューで行こう。パンの仕込みはいつもの通りお願いして、肉は香辛料だけつけて葉で包んで塩釜焼きに。手が開くのでソースに時間をかけた。作っている時に他の隊員に「なぜスープを2種類作るんだ」と怒られたが、スープは1種類。あと2種は肉用のソースだ。
ソースの方は仕込みは簡単だ。綺麗にした野菜の不可食部を炒めて焼き目をつけてから水と肉の骨を入れて煮込むだけ。ワインでもあればいいのだが。これは濾してから濃度をつけて味を調えれば出来上がり。もう一つのソースはフルーツソースだ。
スープはポタージュ。じゃがいもが大量にあるのでそれを使う。たまねぎを弱火でじっくり炒めて薄切りにして水にさらしたじゃがいもとバターを加えて炒め、最後にスープも加えて煮る。生クリームがあればありがたいが、ここにあるのは牛乳だけだ。裏ごしが大変だが煮る時にマメに潰しておく。こういう時ブレンダーかフードプロセッサーでもあると楽なんだがなぁ。この世界には残念ながらない。
焼いた肉を火から取り出してそのまま余熱で肉にゆっくり火を通す。
作る量が多いのでシェフように全てを正確にとはいかないが、あらかた問題ないだろう。他の隊員はやったことのないスープの裏ごし作業に手間取ってそこだけ時間がかかりはしたが、配膳にはさほど時間はかからない。肉は切りながらサーブし、準備しておいた野菜を添えて作っておいたソースをかけるだけ。パンとデザートのフルーツを同じ皿に盛って、後はポタージュだ。
味見をした限りでは上々だったが、どうだろうか。
午前の視察が終了して昼の準備をするよう指示された。ちゃんとしたシェフを雇っているのに迷惑な話だ。
「予算内の隊員飯しかご用意出来ませんが、ご容赦ください」
「ありがたくいただくよ」
閣下が肉にフォークを刺すとまずは茶色いソースに浸して口に運んだ。
一緒に食事を作った第三隊の隊員は俺の後ろで直立して息を飲んでいる。
「ふむ。」
閣下はもう一枚肉をフォークに刺すとフルーツソースにつけて口へ運んだ。
その味にも何の言葉もなくスープをすくって口に運んだ。第三隊員達が今にも泣きそうだ。
「アレクサンドリア殿、この食事は全隊員に同じ物を用意したのかね?」
「はい、閣下の物だけ特別ではなく全員分用意しました」
特別に作ろうと第三隊員はずっと言っていたが、俺はそんな面倒なことは嫌だったし、ちゃんとした料理が食べたいならシェフの用意したものを食べればいい。
「ふう」
出した食事を全て平らげて、口を拭って水を煽った。
「アレクサンドリア殿、君の作る食事は素晴らしいね」
「...ありがとうございます」
後ろで第三隊員が飛び跳ねて喜んでいる。早く他の隊員の給餌に行ってくれよ。
「肉の焼き加減と塩加減、そして個性豊かなソース、そのままでも美味しい肉がどちらをつけてもより一層美味く感じる。それにこのポタージュだ。この人数分ここまで滑らかに仕上げるのは大変だっただろう。パンに入っているナッツのおかげで満腹感もある。それにこれは疲労回復に良いとされてるナッツだね。そしてカットフルーツ。何の変哲もないようだが、この食事を締めるにふさわしいさっぱりするものだ。確かにシェフが作る料理も上手いが、君の料理はいつもシンプルでいてそして調和が素晴らしい。それにしてもこの甘いソース、もしかしてオレンジかね?」
「はい、オレンジをワインビネガーでソテーして作ってます」
「なんと、そのような肉のソース聞いたことがないね。それと、付け合わせの野菜に入っているこの香ばしい香りを放つものは…?」
「ゴボウですね。素揚げしてあります」
この隊員たちの中では人気のない野菜らしい。
「コレはいいアクセントだね」
「それにこのクリーム色のソースは」
「マヨネーズと言います。クリーム状のドレッシングです」
嫌がらせで俺に作らせたのかと思っていたが、本当に料理に興味があったらしい。満足してくれたならそれでいい。
その日の昼はなぜか肉の付け合わせのソースをお代わりする人が多かった。肉もおかわりしたものも多かったが早々に無くなってしまい、おかわり自由のパンに野菜のソースやオレンジソースをつけて食べると美味しいと声が上がった。それと付け合わせの野菜の食べ残しが大幅に減った。野菜が嫌いな人間は男所帯の隊員に多かったが、ゴボウの素揚げが入って香りが良かったのか、マヨネーズが人気だったのか進んで食べたものが多かったようだった。塩釜を大量に作ったことで卵黄が大量に余ってしまったので仕方なく作ったのだが、この国の人間の舌にも合ったようだ。
明日からも使える量出来上がったのでしばらくマヨネーズは部隊の食卓に上がりそうだ。
個人的にはスープとパンの方がうまいと思うのだが、今日はスープのおかわりが無いからな。ただ皆一様にパンで皿を綺麗にしてくれたおかげで洗い物は楽だった。
---
「おつかれ」
宿舎で夕食を済ませ、少し休んでいるとシュートがぬるいビールを渡してきた。
「疲れました」
視察の最終日は、洗い物に追われて、挨拶もできず閣下は去っていった。まぁ文句をつけられないで済んで助かった。
「ルーデル閣下、午後はずっと上機嫌だったぞ」
「そうなんですか、おかげでこっちは第三隊員に睨まれるし大変だったですけどね」
「いや、今日の昼飯、まじでうまかったな!かしこまった場所で食う料理を大衆料理にした感じ?あ、いい意味でな。俺たちでも敷居の高さを感じずに食えるってことな」
「シュートさんが美味いと思ってくれたならそれで良いですよ」
「隊長も美味いって言ってたぞ」
「…。そうですか」
「なんだ?嬉しくないのか?」
「本来の仕事ほっぽって飯作って褒められても嬉しくないですよ」
「そりゃ仕方ねーだろ。閣下からのご指名だし」
「そう言うの全部。隊長に迷惑かけるじゃないですか」
「お前、さ。隊長に告ったりしねぇの?」
「突然何です?」
「だってめちゃくちゃ隊長のこと気にしてるじゃねぇか」
「確かにそう言うところがあるのは認めますが、本当にそう言う感情なのかまだわからないんです」
「そんなこと言ってると、そのうち手の届かないとこに行っちまうぞ?」
---
今日の疲れを風呂で流し、部屋に戻るところで隊長に声をかけられた。
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【感想のお返事について】
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大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。
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