生まれ変わっても一緒にいたい人

把ナコ

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ヨシュア編

4.愛

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仕事の面では、アレクの昇級に有利になるよう人員の誘導に尽力していたが、どうやら他からも似たような手を加えられていることに気づいた。

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アレクの兄アイオライト公爵は地位にすがらず事業を展開するのが好きな方のようで、自身の持つ3つ目の事業として王都で風呂屋を開店していた。

大きな風呂は貴族でもよほどの大きな屋敷でないと設置が難しく、そして必要な使用人の数も多かった。
時代の谷で職にあぶれた平民が多かったことと、風呂文化が徐々に浸透しつつあったこともあり風呂屋は大盛況と言えた。温泉地の視察で思いついたのかと思っていたが、王都での開店式に出席した際、こんなことを言っていた。

「アレクの言葉がきっかけで商売にできると気付いたのだ。アレクはいつも良いところに気づくのに、それを商売にする頭がない残念な男なのだ。子供の頃からずっとな。子供の頃はよく悪い大人に利用されておったよ」
そんなことを言っていたが、それをわかって商売で儲けるこの人はその悪い大人と同じだとも思う。

「礼と言ってはなんだがな、アレクの元にはアレクを理解できるとても有能な人材を送っているのだ。アレクを蹴落とそうとする人間を含めてな。アレクはあれで抜けているからまったく気づきもしない。有能なのだが、その力を使う方法をわかっておらんのだよ。だが、無能なら有能な部下に使われて終いだ。しかし今のところそういったこともない。奴の最大の良いところはな、その鈍感力にある。あれは自分の周りで起きている有象無象に気付いておらんのだよ。しかしその中から自分に必要なものだけを取り入れる妙に鋭いアンテナだけは持っている。あれだけは私にも理屈がよくわからん」

犯人はこの男だった。
一瞬何してくれてるんだと物申したくなったが、どうやらアレクがそんな障害は物ともしないことを確信したうえで行っているということも分かった。随分と兄上殿に好かれているじゃないか。いつも自分をバカにするアイオライト殿の愚痴を良く言っていたが。
アレクの良さを知っている人間がここにいる。それが嬉しくなった。

「ヨシュア殿もアレクの力になってやってくれ」
「それはもちろん。私で出来ることならなんでも」
「ふふん、頼しいね。これも愛のなせる技かな?」

最後に不穏な言葉を残していったが、まぁあの方のことだ。恐らく確信を持って言ってるのだろう。かといって言い触らすような男でもない。
俺は今まで通り、アレクの出世に力を注げばいいのだ。

---

私的な面では互いに子を持ち、アレクには娘が2人、俺は息子2人できた。
俺は無事爵位を継がせる跡取りが出来たことにホッとしていたが、ロアーヌがずっと可愛い娘と刺繍をしたいと言っていたこともあって、少し歳が離れてしまうがもう1人、子を作ることにした。
アレクは妻ディアナの体が弱く2人目の出産で生死の境を彷徨ったこともあって、男子は諦めると言っていた。
うちのをやるからアレクの娘を寄越せと、冗談めかしてよく言ったものだ。

ロアーヌが身篭り、腹が大きくなるにつれその形を見て、また男子だろうと皆言っていたが、ロアーヌは諦めていないようだった。男でも良いだろうに。刺繍はアレクの娘とディアナと楽しめば良いだろう。

しかし出産を数週間後に控えたある日、問題が起きた。
日和見だった腹の子の逆子が治らないままで、産婆の勧めもあって治す処置を施したのだが、その直後からロアーヌの様子がおかしくなり、大量の出血をした。
なんとか子供は取り上げたが、ロアーヌはそのまま帰らぬ人となった。

義父は落ち込み、領主の仕事に支障が出始め、俺は悲しむ暇もなく使用人達の力も借りて子育てに奮闘しながらも領主の仕事と中尉の任務を必死にこなした。
その頃から大幅に軍の仕事減らし、息子が成人するまで領主の仕事に重きを置いた。

何もしない義父クレメンスを見かねたロアーヌの母ドロテアが引っ叩いて、領主の仕事に戻らせた。そのお陰で俺にも少し余裕ができ、軍の仕事にも力を入れられるようになった。
その時既に同格となっていたアレクはその後俺が大尉になる頃に、さらに上の少佐に上がった。

俺はその頃からパーティーに呼ばれることが増えた。招待状を送って来る者達の魂胆は俺に後添えを娶らせるためだと分かってはいたが、正式なパーティーを欠席するわけにもいかず、無駄な時間を過ごす羽目になった。
そんな時、助けてくれたのは、アレクの妻ディアナだった。

ディアナは天真爛漫で会場に訪れてもいつもアレクをわがままで困らせていた。
しかしアレクはそのわがままをものともせず、どんな無茶な要求も叶えているようだった。

その日もパーティーでご婦人達に詰め寄られていた私だったが、ディアナと目が合うと、ディアナはアレクの側を離れ、俺の元へとやってきた。

「アレク!、約束通りお願いを聞いてくださいませ」
「分かったよ。ヨシュア、すまないがディアナのダンスの相手をしてやってくれないか?」
「私が、ですか?」
「そうですわよ!少佐の命令なら聞けないはず無いわよね、リッテンバーグ大尉様?」

高飛車に聞こえるが、これはディアナの優しさだ。

「かしこまりました。ディアナ様、私がお相手を務めさせていただきます。」
「悪いね」
アレクがウィンクを飛ばしてくる。
随分とウィンクが様になる男だな。

「まぁっ、なんてはしたない。コレだから無い成り上がり者は!少しは身分と場所を考えられないのかしら。」

捨て台詞のように俺に群がっていたご婦人は去っていったが、彼女達はアレクが少佐であることは知っていても、本家が侯爵であることは知らなかったようだ。それこそアレクが実力でのし上がった証拠でもあるのだが。
パーティー主催者の身分が低ければ参加者の身分もしれたものだ。彼女たちはアレクの出自を知る手段も持たないのだろう。

ディアナは体力が続かなかったのか、少し踊ると息を上げたようで曲の途中でフロアから外れた。

「大丈夫ですか?ディアナ様」
「大丈夫ですことよ。アレクを呼んでくださる?」
その言葉に返事をする前にアレクがディアナに手を伸ばしてきた。
「楽しかったかい?」
「ええ、とても。でも他の方に頭を下げるのは疲れちゃうわ。下げなくても良いパーティーがあればいいのに」
「それも君のお願いかい?ならば聞くしか無いな。
ヨシュア、俺たちは先に出るが、君はどうする?」
「私も必要な人には顔を通しましたので、問題ありません」
「…そうか」

俺の敬語に寂しそうな顔をしたが、この場では勘弁してくれ。

帰りの馬車に同席して、先に送ってもらう予定だったのだが、ディアナの様子が少しおかしい。
先ほどから言葉を発さず、顔が紅潮し少し息も上がっているようだ。

「アレク、すまないが今日は俺の屋敷に泊まっていってくれないか」
「それはかまわんが」
御者に行先の変更を伝える。

「ディアナに熱があるようだ。今日は少し気を遣わせたからな。最近は調子も良くてさっきのダンスも楽しそうだったのだが」
「大丈夫なのか?」
アレクは優しい笑顔を俺に向けて、告げた。
「大丈夫だよ。俺がついてるから」
それは少し呪文のように聞こえた。

寄り添う2人を見て、アレクのディアナに対する強い愛情を感じた。
しかし何故かそれは、俺が羨むようなものではなかった。それがなんなのか、この時はまだ分かっていなかった。



その後も、任務で顔を合わせば、すれ違えば、たまには手紙のやり取りで。多くはないがアレクとの関係は続いた。

俺が元上官だったことが邪魔をして、直属の部下にはなれなかったが、遠くからでもアレクの部隊を支援できることが嬉しかった。

俺は一度任務を大幅に減らしていたこともあって階級は少佐止まりだろうと思われたが、男爵家次男が少佐にまで上り詰めたのだ。これを十分と言わずして何という。何か大きな功績でも上げればロアーヌの遺言無くしても徐爵が可能だろう。


アレクの方は順調にその階級を上げていった。その人脈作りにはさすがの俺も舌を巻いた。
アレクは本能なのか、計算なのか、人とのつながりの取捨選択が妙に上手かった。本家の爵位や、兄の地位、それに今後上がるであろう階級に利権を求めて群がる人間は多くいる。
しかし、その中でも悪質なものはほとんど排除しているようだった。

アレクが繋がりを持ちたがらない人は、明らかに悪巧みするものは当然のこと、そういった噂さえ一切上がったことのない人もいた。何なら繋がりを持つよう周りから強く薦められるほど良い人間でさえも。
俺でさえ何故断るのか不明だった人間が幾人もいた。

しかし、アレクが距離を置く人間は皆、数か月後あるいは数年先に不正を暴かれ、その関係者たちは不正に加担させられているか、利用されているかで、大損をしたり、職を失ったりすることがあった。
中には異常な性癖で身を滅ぼした者もいたが。

後にアレクに聞いてみたことがある。
「近寄ってくる人間のことは事前に調べて距離を取っているのか?」と。
しかし、それには驚くべき返事が返ってきた。

「何となく、好きになれない人だったから」

なんともアバウトな答えだった。
この答えもどこまで本当なのかわからないが、どうやらアレクは不正をするような人間を見抜くアンテナが優れているようだった。それが山勘なのか、動物的勘なのか。そのため、自分でも知らないうちに不正に巻き込まれる危険を回避しているのだろう。
そう言えば入隊した当初はその勘に随分と驚かされ、助けられたものだ。階級が上に上がるに従って勝手な行動は減ったようだが、作戦の実行にはよくその勘が活躍ているようだった。それらをうまく言語化しフォローする部下がいたことでアレクの評価が上がった部分もある。

階級が上がっていく人間は、その本人が大きな力を持っているか、よほど慎重な人間でない限り、多かれ少なかれ不正に触れるものだ。俺も一、二度関与させられていたことがある。大事には至らなかったが。
アレクの危険回避能力は、アレク特有のものなのだろう。

指揮官としても頭角を現したアレクは優秀な補佐達とともに幾つもの作戦で結果を出していた。願わくば俺もその傍でアレクの手伝いをしたかったが。

---

後にアレクは史上最年少の大佐となった。
若いながら人望も厚く、年上にも年下にも好かれていた。
アレクはディアナがパーティーで頭を下げなくてもいいように大佐になったと言っていたが、なろうと思ってなれるものではないと分かっているのだろうか。

飲むたびに本来なるべきは俺だと言って来るが、俺に大佐の器は無い。俺の目標はこれからもアレクの補佐なんだ。



俺は、大きな成果を求めて一年間の長い作戦への参画を願い出た。未だアレクの傍で仕事をすることに未練があったのだ。ここで成果を上げればアレクの補佐も徐爵も可能かもしれない。
作戦への参画のため、しばらく王都を離れることになった俺はアレクに出向することを伝えに飲み交わした後、任務地へ渡った。
今回は簡単に戻れない土地なので会えたとしてもアレクが近くに来た時くらいだろう。

---

しかし、作戦が半年を過ぎたところで、信じられない一報が届いた。
アレクが退役したという。
俺には意味が分からなかった。

軍上部からの連絡はその短い一文のみで、内状はまったく伝わってこなかった。
あまりにもいきなりだった。


俺は直ぐに手紙を送ったが、この地では返事が来るのも数ヶ月先になるかもしれない。
俺は大きな目標を失い、不安定な気持ちで任務に当たっていた。
そんな気持ちで任務についていたせいで作戦中に大きな怪我を負ってしまった。
怪我は思ったより酷く、医者の話では今後前線に立つのは無理、ということだった。

今後、俺は事務方に回されるだろう。
しかしこのまま軍に残ったとして俺の目標は?

怪我を負って半月が経った頃、アレクから手紙が届いた。
そこには、相談もなしに退役してすまないと詫びてあったが、今後はディアナの看病のために自然豊かな郊外に屋敷を建て、穏やかな生活を送ると書かれていた。いつでも遊びに来て欲しいと。

たまには顔を見て話したい、とも。

それは俺の言葉だ。
ディアナの調子が急に悪くなったのかもしれないが、それでも退役という大きな決断を考えていたのなら、一言相談が欲しかった。
俺とお前は、そんなことも相談できない仲だったのか?何故いつも俺に本音を打ち明けてくれない。
俺はただ、お前とずっと一緒にいることが望みだったのに。


俺は脚の治療がひと段落したところで、作戦完了を待たずして王都へ戻された。
残りの期間はリハビリに当てるよう通達がきたが、ていのいい作戦部隊更迭だとわかっていた。幸い優秀な隊員は多い。作戦は問題なく遂行できるはずだ。


リハビリに苦戦している時、一度だけアレクが見舞いに訪れた。


「脚の具合はどうだ?」
「走れるまでは戻らないそうだが、生活するのには問題ない。俺も領地に籠るかな」
「そうか。屋敷が出来たらしばらく身動きが取れない。回復したら一度会いに来てくれないか?」
「ああ、もちろんお邪魔するよ」
「歓迎する。新しい屋敷は近くに畑を作る予定なんだ。出来た野菜で手料理をご馳走するよ」
「それは絶対に行かないとな」
「早く、良くなることを祈ってるよ」

---

長男が20歳になるのを待って、無事義父から息子に伯爵位が継承された。それと伴って俺にも一代限りの伯爵位がもたらされた。ロアーヌの遺言だけでは伯爵位は難しかっただろうが、少佐の階級を得ていたことと、怪我をしたことで軍の仕事よりも領主の仕事のほうが相応しい判断されたことが大きい。
準備が整えば領地も与えられる予定だ。

今更ながらに大きすぎるロアーヌの置き土産に、感謝と畏れを感じた。
幸い長男は責任感も強く、領主にふさわしい男に育ってくれたので、爵位を継がせる事に不安はない。
義父は少し甘やかし気味と思うが、義母のドロテアがなかなかに厳しい女性なので上手くやってくれるだろう。
18歳のとき組まれた縁談相手のご令嬢は少しロアーヌを思い出させる美しい女性だった。

まぁ、15の若さで婚約を交わした次男とカーネリアン嬢には随分と驚かされたが。とても似合いだと思う。アレクとは、今の時代そんなに急ぐ必要もないだろうと嗜めたが本人たちの意思は固く、許可することとなった。

俺にも爵位が付き、息子に引き継ぎを行いながら新しい領地へ行く準備に忙しくしていた頃、ディアナから手紙が届いた。



ディアナからの手紙には、自分が去った後アレクを雇って欲しいとの言葉が書かれていた。
田舎に引きこもっているディアナがどこから情報を仕入れたのか知らないが、俺が新領地の使用人選びに苦戦していることを知っていた。

与えられた伯爵領は少しばかり大きい。未だ領民の生活も安定せず今までの無法な状態から税金を安定して納められるまで統治するにはかなり骨が折れることが予想された。
そんな地に1人送られたとしても、まともな成果を上げられず歳ばかり重ねる事は目に見えていた。1人でも有能な信頼できる補佐がいれば、随分と楽だと。
有能な男というのは世の中に沢山いるがそこに「信頼できる」という言葉が付くと、ほとんどはどこかの誰かのために仕事をしているものだ。
かと言って今から若い者を育てるくらいなら自分でやった方が早いだろう。
そのため、領主の仕事の補佐ができる使用人はしばらく本家から借りるか、どうしようかと悩んでいたところだった。

ディアナは未だ若い。アレクを雇えるとしてもずっと先だろうと思っていたら、程なくしてディアナの逝去が伝えられた。

ディアナの葬式は、参列者も多かった。わがままで自由奔放な彼女に振り回され、優しく包み込むように愛を捧げていたアレクへのお悔やみの言葉も尽きることがなかった。
俺はアレクに何と声をかけて良いのか分からず、遠くから見守るしかなかった。

「久しぶりですな、リッテンバーグ殿」
「お久しぶりです。アイオライト閣下」
「その呼び名はあまり好きでは無いのだがね。
君は、我が弟は立ち直れると思うかい?」
「アレクは、ディアナ様をとても愛していましたからね」
「そう。愛していたのだよ。とてもね」
「……?」
この男、何が言いたい。


「アレクはディアナを愛していた。まるで妹か、娘のようにね。知っているかい?あれはディアナに一度も声を荒げた事が無いのだよ。どんなに理不尽な言葉にも、どんなに過ぎたわがままにも。どんな行動にも。一度として怒ったことが無いのだ。」
「それだけ深く愛していたということでは無いのですか?」
「少し違うな。奴のディアナに対する愛は恋人に対するそれとは別だからなのだよ」
「しかし、それは些末な問題なのでは?」
「そうかな?わたしにはとても大きな問題に思えるが」
「ですが、あの顔は…」
全てを失ったように俯くアレクを見て、ディアナへの深い愛が見えた。

「まぁ、それが君たちの選択だと言うなら、わたしは何も言わないがね」
「閣下は、何を」
「先に失礼するよ。」

相変わらずだな。
言いたいことだけ言って、去っていった。

いったい、何だというんだ。


アレクのその力なく項垂れた姿を見て、俺は何を言えば良いのか、そしてアイオライトの言葉に何故今これほど混乱しているのか答えも出ず、結局声をかけることなく自身の領地へ戻った。

領地へは三男のエックハルトも連れてきた。まだ成人前だったことと、今後の人生をどうしていくかゆっくり考える時間を作ってやりたかったのもある。


俺はといえば、領地へ帰ってからと言うものアイオライト閣下の残した言葉が俺の頭を占めていた。

『愛していたのだよ』
『まるで妹か、娘のようにね』

アレクとディアナが仲睦まじく寄り添っているところは、パーティーでも、屋敷へ招待された時も、俺の屋敷に招待した時も何度も見ている。
だが俺は結婚と共に心の奥底に沈めたアレクへの想いを隠していても、一度もその姿に焦りを感じたことはなかった。
心のどこかで、アレクの心に俺への気持ちがあると確信していたからだ。今考えれば、それは不可解な感情だった。
だが、それがアイオライト閣下のいう『愛』の違いが原因だったのだとしたら。


今、俺はアレクにしてやれることがあるのではないだろうか。


しばらくすると、カーネリアンと次男のハンスが俺の領地を訪れて、アレクを雇うように言ってきた。
ディアナは彼らにも手紙をしたためたらしい。

カーネリアンの話でアレクは毎日酒を浴びるように飲んで、常に酩酊状態で誰が来てもほとんど会話にならないそうだ。

「迎えに行ってあげてください」

しかし今すぐ、領地を離れるわけにも行かない。

しばらくすると、今度はディアナのお父上と兄上からも手紙が届いた。
お父上は、俺が家を開ける間の警備兵まで雇って寄越した。


アレクよ、お前は皆に愛されてるな。俺はそんなお前が誇らしいよ。


そんな中、なかなか行動に出ない俺を見かねたのか、三男が俺に告げてきた。

「そんなに悩むなら、とりあえず行ってから考えろよ。そんなウジウジした姿見せられっとイラつくんだけど?まぁ、警備もいるしここのことはしばらく僕が何とかするから」


いつも女の尻ばかり追いかけていたエックハルトがいつのまにか男になっていた。末の息子に背中を押されて、決心がついた。


そうだったな…俺の目標はお前が大佐になる事じゃなく、一緒にいる事だったんだ。
俺はこの地でお前と一緒に、ゆっくり歳を取りたい。
俺が水をやれば、もう一度、出会った頃のように花を咲かせてくれるだろうか。俺に、笑顔をくれるだろうか。


もう俺はお前と離れていたくないんだ。






アレク、俺は君に水をやりに行くよ。






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