90 / 206
―第九十話― ルドベキア
しおりを挟む
「それじゃあ、また今度遊びに来ます」
「はい、いつでも来てください」
名残惜しくはあるが、俺たちにはしなくてはならないことができたからな。
早いところ、ここを出なくてはならない。
「ジャスミン、またね! 元気でね!」
「うん、アマリリスも!!」
…………。
「……ジャスミン」
「……うん、わかってる」
少し寂しげな顔を浮かべながら、ジャスミンはこちらに歩み寄ってきた。
「それでは、また今度。……『移動』」
◆
「…………えっ、ここどこ!?」
「どこって、そりゃあ王都に……あっ」
ジャスミンに伝えんの忘れてた。
◆
「――ツツジが王都に!?」
「そうらしい。……依頼も達成しなきゃだし、ちょうどいいだろう?」
「……でも、リアはいいの?」
「何がだ?」
「その、ツツジを捕まえるって……」
「俺の私情と仕事とは別だ。……いや、俺の感情としてもツツジを捕まえたい」
……そしてできれば……。
「とりあえず、城に向かうぞ。王様に直接話したほうが早いし、協力してもらえるかもしれないからな」
「……うん」
「……『移動』」
◆
城門前に行き、守衛に話を通して、国王のいる部屋まで案内してもらったのまではいい。
……いいのだが……。
「おっ、リアトリス。奇遇だな」
「なんでお前がいんの!?」
なぜか部屋には、王様とサントリナがいた。
「いや、王子の剣術指南、俺がやってるからさ」
初耳なんだが。
「それよりも、リアトリス殿とジャスミン殿は、どうしてここに?」
「あー、まあ、ちょっと昔の仲間が王都にいるらしいんで、顔だけでも見に行こうかな、と思ったんですけど……。探すのが面倒なので、国王陛下に手配すればいけないかなーと思ったんですよ」
「……リアトリス、本当にここにいるのか!?」
「……ああ」
濁して伝えたが、サントリナには伝わったようだな。
「……なるほど、人探しか。それなら、息子の能力が役立つかもしれん。おい、ルドベキアを呼んできてくれないか?」
「かしこまりました」
そういえば、俺が呼び出された時にも、俺の言ってることが嘘だなんだと騒いでたな。
うーん、全く能力の系統が分からん。
◆
「父上、どうかされたんですか?」
「おお、ルドベキア。すまんな、急に呼び出したりして」
「サントリナ先生と……。……リアトリスさんとジャスミンさんでしたっけ?」
「は、はい」
「お久しぶりです」
…………。
サントリナって、先生とか呼ばれてんのか。
「で、結局何の用なんですか? 訓練はさっき終わったじゃないですか」
「すまんが、人探しをしてくれんか? リアトリス殿の仲間が王都にいるらしくてな」
「……はあ」
…………。
(『鑑定』)
ぼそっと呟き、能力を発動させる。
…………。
くそっ、気付かれないように発動したせいで、上手く能力までは見えない。
ステータス自体はものすごく高いのが分かるが、それ以外はどうにも見えずらいな……。
「リアトリスさん、教えるにしても、明日になってからでいいですか? 能力の性質上、少し探すのに時間がかかりますから」
「あ、はい。分かりました」
「……それなら、今晩はここに泊っていかんか?」
「「えっ!?」」
「はい、いつでも来てください」
名残惜しくはあるが、俺たちにはしなくてはならないことができたからな。
早いところ、ここを出なくてはならない。
「ジャスミン、またね! 元気でね!」
「うん、アマリリスも!!」
…………。
「……ジャスミン」
「……うん、わかってる」
少し寂しげな顔を浮かべながら、ジャスミンはこちらに歩み寄ってきた。
「それでは、また今度。……『移動』」
◆
「…………えっ、ここどこ!?」
「どこって、そりゃあ王都に……あっ」
ジャスミンに伝えんの忘れてた。
◆
「――ツツジが王都に!?」
「そうらしい。……依頼も達成しなきゃだし、ちょうどいいだろう?」
「……でも、リアはいいの?」
「何がだ?」
「その、ツツジを捕まえるって……」
「俺の私情と仕事とは別だ。……いや、俺の感情としてもツツジを捕まえたい」
……そしてできれば……。
「とりあえず、城に向かうぞ。王様に直接話したほうが早いし、協力してもらえるかもしれないからな」
「……うん」
「……『移動』」
◆
城門前に行き、守衛に話を通して、国王のいる部屋まで案内してもらったのまではいい。
……いいのだが……。
「おっ、リアトリス。奇遇だな」
「なんでお前がいんの!?」
なぜか部屋には、王様とサントリナがいた。
「いや、王子の剣術指南、俺がやってるからさ」
初耳なんだが。
「それよりも、リアトリス殿とジャスミン殿は、どうしてここに?」
「あー、まあ、ちょっと昔の仲間が王都にいるらしいんで、顔だけでも見に行こうかな、と思ったんですけど……。探すのが面倒なので、国王陛下に手配すればいけないかなーと思ったんですよ」
「……リアトリス、本当にここにいるのか!?」
「……ああ」
濁して伝えたが、サントリナには伝わったようだな。
「……なるほど、人探しか。それなら、息子の能力が役立つかもしれん。おい、ルドベキアを呼んできてくれないか?」
「かしこまりました」
そういえば、俺が呼び出された時にも、俺の言ってることが嘘だなんだと騒いでたな。
うーん、全く能力の系統が分からん。
◆
「父上、どうかされたんですか?」
「おお、ルドベキア。すまんな、急に呼び出したりして」
「サントリナ先生と……。……リアトリスさんとジャスミンさんでしたっけ?」
「は、はい」
「お久しぶりです」
…………。
サントリナって、先生とか呼ばれてんのか。
「で、結局何の用なんですか? 訓練はさっき終わったじゃないですか」
「すまんが、人探しをしてくれんか? リアトリス殿の仲間が王都にいるらしくてな」
「……はあ」
…………。
(『鑑定』)
ぼそっと呟き、能力を発動させる。
…………。
くそっ、気付かれないように発動したせいで、上手く能力までは見えない。
ステータス自体はものすごく高いのが分かるが、それ以外はどうにも見えずらいな……。
「リアトリスさん、教えるにしても、明日になってからでいいですか? 能力の性質上、少し探すのに時間がかかりますから」
「あ、はい。分かりました」
「……それなら、今晩はここに泊っていかんか?」
「「えっ!?」」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
131
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる