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―第九十話― ルドベキア

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「それじゃあ、また今度遊びに来ます」
「はい、いつでも来てください」

 名残惜しくはあるが、俺たちにはしなくてはならないことができたからな。
 早いところ、ここを出なくてはならない。

「ジャスミン、またね! 元気でね!」
「うん、アマリリスも!!」

 …………。

「……ジャスミン」
「……うん、わかってる」

 少し寂しげな顔を浮かべながら、ジャスミンはこちらに歩み寄ってきた。

「それでは、また今度。……『移動』」



「…………えっ、ここどこ!?」
「どこって、そりゃあ王都に……あっ」

 ジャスミンに伝えんの忘れてた。



「――ツツジが王都に!?」
「そうらしい。……依頼も達成しなきゃだし、ちょうどいいだろう?」
「……でも、リアはいいの?」
「何がだ?」
「その、ツツジを捕まえるって……」
「俺の私情と仕事とは別だ。……いや、俺の感情としてもツツジを捕まえたい」

 ……そしてできれば……。

「とりあえず、城に向かうぞ。王様に直接話したほうが早いし、協力してもらえるかもしれないからな」
「……うん」
「……『移動』」



 城門前に行き、守衛に話を通して、国王のいる部屋まで案内してもらったのまではいい。
 ……いいのだが……。

「おっ、リアトリス。奇遇だな」
「なんでお前がいんの!?」

 なぜか部屋には、王様とサントリナがいた。

「いや、王子の剣術指南、俺がやってるからさ」

 初耳なんだが。

「それよりも、リアトリス殿とジャスミン殿は、どうしてここに?」
「あー、まあ、ちょっと昔の仲間が王都にいるらしいんで、顔だけでも見に行こうかな、と思ったんですけど……。探すのが面倒なので、国王陛下に手配すればいけないかなーと思ったんですよ」
「……リアトリス、本当にここにいるのか!?」
「……ああ」

 濁して伝えたが、サントリナには伝わったようだな。

「……なるほど、人探しか。それなら、息子の能力が役立つかもしれん。おい、ルドベキアを呼んできてくれないか?」
「かしこまりました」

 そういえば、俺が呼び出された時にも、俺の言ってることが嘘だなんだと騒いでたな。
 うーん、全く能力の系統が分からん。



「父上、どうかされたんですか?」
「おお、ルドベキア。すまんな、急に呼び出したりして」
「サントリナ先生と……。……リアトリスさんとジャスミンさんでしたっけ?」
「は、はい」
「お久しぶりです」

 …………。
 サントリナって、先生とか呼ばれてんのか。

「で、結局何の用なんですか? 訓練はさっき終わったじゃないですか」
「すまんが、人探しをしてくれんか? リアトリス殿の仲間が王都にいるらしくてな」
「……はあ」

 …………。

(『鑑定』)

 ぼそっと呟き、能力を発動させる。
 …………。
 くそっ、気付かれないように発動したせいで、上手く能力までは見えない。
 ステータス自体はものすごく高いのが分かるが、それ以外はどうにも見えずらいな……。

「リアトリスさん、教えるにしても、明日になってからでいいですか? 能力の性質上、少し探すのに時間がかかりますから」
「あ、はい。分かりました」

「……それなら、今晩はここに泊っていかんか?」

「「えっ!?」」
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