花衣ー皇国の皇姫ー

AQUA☆STAR

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建国編

第22話 過去との決別

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「御剣、お前にとって刀とは何だ?」
「刀でありますか。俺にとって、刀とは敵を斬るものであります」

 可憐姉さんの言葉に、俺は自分の意思を伝える。しかし、俺の答えに姉さんは顔をしかめた。

「それが、お前の答えか?」
「はい、その通りです」
「ふん。そうか」

 姉さんは刀を抜くと、俺の目の前に突きつけてくる。それを俺は、自らの刀で防いだ。

「確かに、剣は敵を倒すもの。特に、刀はただ人を斬る為だけに進化を遂げた究極の武器だ。だが」

 上から斬りつけてきた姉さんの刀を受け止める。

「刀とは、人を斬るものにあらず。人を、大切なものを守るもの。それを忘れるな、御剣」

 俺は目を開ける。

 そして、目の前で鞘から刀身を少しだけのぞかせる。一点の曇りすらない、磨き上げられた刀身。

「刀は人の心なり、刀は人を守るものなり、即ちそれは己を守り、そして他を守るもの。俺は瑞穂の刀だ。必ず守る」

 再び目を閉じ、柄を握り直す。
 立ち上がり、側に置かれていた甲冑に手を伸ばす。そして、大きく息を吸う。

「行くか」


 ◇


「これより、我々は攻勢に出る! 戦場はここ、崇城平野!」

 本陣での軍議において、私は迦ノ国に対して一転し攻勢に出ることを宣言した。その一言で、軍議の場が騒然とする。

 それもそのはずだ。私たちは、迦ノ国と圧倒的な戦力の差がある。そうした戦力差において不利な場合の戦さでは、守りに重点をおくのが定石だ。

 そこをあえてこちら側から討って出るという選択肢を選んだ。

 決戦場は、私たちが本陣を置くここ窟来の丘から前方を一山超えた国境に位置する崇城平野。

「して、皇。失礼を承知で申し上げます。攻勢となれば、我が軍は戦力の差、練度の差において圧倒的不利。この状況を打開する策、おありでしょうか」
「ある!」
「ッ!?」
「千代、地図を!」
「は、はい! ただ今!」

 元の地図の上に、昨晩私が作成した新たな地図が広げられる。

「ッ!? これは!」
「これはあくまで卓上の、それも全ては私の頭の中で描かれた空想の盤面図。しかし、いずれにせよ、現段階ではこれ以外、私たちに残された策はない」
「第1軍を敵中真只中に取り残す…」

 そう、私の策。それは、信州平野において関楼ノ砦を守備する右京の第1軍を囮にして、敵の本陣を私が率いる第6軍が直接叩くというものだ。

「それでは、右京が」
「承知の上よ。今は敵の目が右京に向いている。右京は負けはしないでしょう。ただ、このまま守り一手では消耗する。琥珀の報告では、敵の補給部隊が街道を伝って前線に物資を送っている。第1軍の支援は第2軍に委ねるわ」

 私は街道に置かれていた補給部隊の駒を倒し、そのまま西へむけて街道に指を添わす。

「まずは補給部隊を潰し、前線に送り込まれる物資の輸送を途絶させる。そして!」

 私は、敵軍が陣を置く国境の桜楽の丘を叩く。

「敵の輸送隊から物資を奪い、そのまま西進、本陣にいる敵将ウルイを叩く!」

 一度、大きく深呼吸する。

「伝令!」
「はっ!」
「第1軍に通達、目的は信州平野の死守。3日、何としてでもその場を死守せよ」

 そして、その場にいる将全員を見渡す。

「劉生! 轟!」
「ここに!」
「はい!」
「騎馬隊三百人を率いて輸送隊の側面に回り、分断! 本隊を援護せよ!」
「「御意!」」
「可憐!」

 私はあえてお姉様を呼び捨てにする。他の者に示しをつけるためだ。

「第2軍は引き続き第1軍を援護せよ!」
「承知した」
「そして、第6軍は私に続き、敵本隊を叩く! 敵は、私たちが動いたのを察知すれば、必ず策を講じてくる。だからと言って、このまま終わるわけにはいかない。こちらから打って出て、この戦さの流れを変える!皆、出撃るぞ!」
「「「オウッ!」」」

 私の心の中で一つの決心がついた。
 私は皇国の皇、本来であれば私は皇宮において配下の報告を受ける立場だ。しかし、いま私は戦さ場にいる。

 戦さ場における皇という存在。

 それは味方の士気、強いては戦略にも影響する。

 戦さは何千何万という骸を1日で生み出す。戦さ場に立つ以上、私はこれまでに死んでいった仲間たちの思いを背負っていかなければならない。

 背負って、ただひたすら前に進むだけだ。


 ◇


 各長、将に軍編成を指示し、総勢一万の部隊が編成される。

 私は部隊の前に立ち、声をあげる。

「全軍、前へ! 私に続け!」

 歓声とともに、部隊は先頭の私に続いて進軍を開始した。


 ◇


「そうか、奴等、討って出よったか」
「ルージュ殿からの情報では、皇である瑞穂之命自ら軍を率いて、本隊である我々に向けて進行中とのことであります」
「クカカカカ! あの小娘が強気に出たのぉ。ジュラ」
「はっ」
「泰縁をここへ呼べ」

 ウルイに呼ばれてやってきたのは、漆黒の甲冑に身を包んだ1人の男だった。

 迦ノ国左大臣、ジュラの唯一の腹心であり、泰縁は迦軍の精鋭部隊一万を束ねる将軍であった。

「ここに」
「泰縁、お主に新たな任を与える。部隊を率いて、我が軍の本陣に侵攻しておる敵部隊を撃破せよ。遠慮は要らぬ、お主の力は信用に値する」
「ありがたきお言葉」
「では行け!」

 本陣を出るとすぐに、泰縁は呼び止められた。

「行くのか、泰縁」
「菖蒲か、まぁな」

 泰縁は本陣の前にいた菖蒲という女性に目を向ける。女性は全身白い装束に身を包み、背中には刀身の細い細剣を携えている。

 菖蒲、麗舞の巫女であり、れっきとした巫女であるが、麗舞の巫女は他の巫女と少し違う。
 
 麗舞の巫女は大神に対して神事を執り行うわけではなく、迦ノ国に存在したある地域での役職。

 麗舞の巫女がいた地域はウルイ率いる迦軍によってすでに滅されており、彼女は最後の生き残りでもある。

 体術、剣技、策略、そして呪術全てにおいて己を極め、特に菖蒲の剣技においては泰縁に並ぶほどの実力の持ち主であった。

「私も行く」
「駄目だ」
「なぜ?」
「負けるだろうな、この戦」
「………」
「まぁ、俺が止めたとしてもついてくるだろうな、お前のことだからな」
「勿論だ」
「なら、死ぬなよ」
「お前こそな」


 泰縁、迦ノ国において彼は左大臣のジュラの腹心であり、智、武、才、を兼ね備えた将軍である。しかし、もともと彼は迦ノ国の人ではなかった。

 迦ノ国、そう呼ばれる以前、まだいくつもの部族に分かれ、国として成り立っていなかった頃に遡る。

 この地は北と南でそれぞれある特徴を持っていた。

 北は比較的温厚で智に長けた部族が多く、南は気性が荒く武に長けた部族が多い。現迦ノ国皇であるウルイの出た、寐瀬ぬせ族も南に位置する。

 泰縁の出は泰司族、南北の中間地点に位置し、南北から圧力のかかる場所に住んでいた泰司族は、地理的要因から激動の時代を歩んできた。

「族長! 族長!」
「お生まれになりました!」
「ど、どっちだ!?」
「男の子です!」
「オオッ!」

 泰司族の族長、泰党の子として生まれた泰縁は、周囲から手厚い愛情を受け、次期族長となるため勉学と武の修行に勤しんだ。

 中でも、泰党が目を引いたのは、彼の人としての人望であった。

 そこで彼は、泰縁が20となった際には、息子に族長の席を明け渡すつもりであった。

 しかし、それは突如として大きく崩れ去った。勢力の小さな泰司族は、南から勢力拡大のため侵攻した部族の侵攻によって壊滅、偶然修行のために山に入っていた泰縁を除き、一族郎党皆殺しとなった。

「父上、母上…」

 焼け野原となった村へ帰ってきた泰縁を待ち受けていたのは、無残に殺され晒し者にされた両親たち、そして虐殺を行った部族の兵士たちだった。

「貴様らァア!」
「何だ、てめぇ!」
「生き残りだ! やっちまえ!」

 そこから、彼は手にしていた斧で、その場にいた兵士たちを全員斬り殺した。殺した兵士の屍で山を築き、その上に立つ泰縁の近くを通りかかったウルイが見つけたのは、偶然だった。

 我を忘れていた泰縁にとって、突然現れたウルイは敵としか認識されなかった。しかし、後に全部族を従え、迦ノ国の皇となったウルイには全く歯が立たなかった。

「童、貴様の名は?」
「泰党が息子、泰縁」
「カッカッカ! ならば泰縁よ、貴様に今から二つの選択肢を与える」

 馬上から泰縁の目の前の地面に剣を突き立て、ウルイは人差し指を立てる。

「一つ目は、このまま野垂れ死に、憐れに野犬の餌となるか」

 そして、2本目に中指を立てる。

「二つ目は、その剣を手に取り、儂と一緒に世界を見るか」

 その時、泰縁の目には、目の前の存在がどれほど大きなものか推し量ることはできなかった。ただとてつもなく、ウルイという男は大きかった。

 世界を見る、その一言に揺れ動かされた泰縁に、一切の迷いはなかった。


 ◇


 俺には戦略や策略なんて分からない。

 自分が使える主が決定したことに、ただし従う事しかできない。

 俺は瑞穂の刀だ。

 瑞穂を守るためなら、たとえこの身が滅びようが、必ず守ってみせる。

「………」
「…どうした瑞穂?」
「目が怖い」
「は?」

 行軍中、瑞穂が馬上からそう言う。

「御剣、あなた何か余計なこと考えていない?」
「余計ってなんだ。俺なりに色々と真面目に考えているんだぞ」
「それが余計なの。もしかして、守りから攻めに転じたこと?」
「それも一つだな。俺は馬鹿だから戦略とか分からない。ただ、敢えて不利な戦いをする理由は何なんだ?」
「確かに、あのまま守りを続けていれば、千単位で敵を返り討ちにしても、次は対策を練られてしまう。こちらも無傷とは言えない。あれ程壊滅的な被害を受ければ、普通の国なら諦める。でも、迦ノ国は普通じゃない」

 俺は、実際に剣を交えたウルイの事を思い出した。

「奴は諦めないだろうな」
「自ら得物を持って戦場を駆け回るような猛者よ。いずれにしても、ウルイもそうだしあの左大臣のジュラもいる。私はこの戦い、受けは負けると感じた。御剣」
「なんだ?」
「もう一回戦って、あのウルイに勝てる?」
「………」

 正直なところ、分からない。だが、俺がもう一度ウルイと戦うなら。

「絶対に勝つ。いや、勝たなければならない」
「ふふ」

 すると、その言葉を聞いた瑞穂が笑いをこぼす。

「安心した。ここで負けるなんて言ったら、ぶん殴ってやるところだった」
「御剣様は絶対勝ちます!」
「千代…」

 隣の馬に乗っていた千代がそう言う。

 数刻後。

 日の出から続けた行軍で、瑞穂が率いる第6軍は崇城平野のすぐ近くまで辿り着いた。 

 瑞穂は部隊に食事を摂らせ、行軍の疲れを癒すように指示した。

 束の間の休息だ。

「はい、御剣様」
「ありがとう」

 俺は千代が持ってきてくれた兵糧の握り飯を手に取り、かぶりつく。塩が効いていて、中には、しっかりと漬け込まれた梅干しが一つ入っている。どちらも疲れた身体には嬉しいものだった。

 俺は握り飯を食べながら、丘の上から崇城平野を見渡す。すでに、そこには先客がいたが、俺に気づいておらず、視線は目の前の軍略地図から動かそうとしなかった。

「ここに左軍を配置して、将は彼と彼。右軍はここ。中央軍の布陣は…いや、ダメね。ここに陣取れば敵は必ず…?」
「すまん、邪魔したか?」
「ううん、気にしないで。最後の確認をしてたの」
「千代が握り飯を配ってくれてるが、食べたか?」
「私なら大丈夫、さっき貰ったから」

 幸い、敵はまだこの地にはいない。報告によれば、先行した騎馬隊は敵の補給部隊を襲撃し、少なくない犠牲を払いつつもこれを殲滅。前線に対する敵の補給路を遮断することに成功したらしい。

 おまけは、敵から鹵獲した補給物資。

「あれ程の軍を運用するには、それ相応の物資が必要。一部の兵站を無力化にしたのは良いけど、他にも補給線が構築されているはず。補給線の一つが潰されたことで、敵が相手を切り替えてこちらに向かってくれば、私たちは東西から挟み込まれる事になるわ」
「敵が気付く前に敵本隊を叩かないとな」
「ええ、そうね」

 するとその時、俺は微かに地響きを感じる。地響きはだんだん大きくなり、俺は地響きのする方角を見る。

「あれは…」
「来た。やっぱり、嗅ぎつけてたのね」

 俺たちがいる丘の反対側、崇城平野の先に大軍が見えた。その数、ざっと見ただけでおよそ四千。

 掲げられた【迦】の文字から、それは敵、迦軍であることが分かる。

「総員戦闘配置! 各将、長は指示した場所に部隊を布陣!」

 瑞穂の一声で、休んでいた兵士たちは立ち上がり、丘の麓に陣形を形成していく。動きは機敏だが、皆の顔には不安の表情が浮かんでいた。
 しかし、全ての布陣が形成されるまで、ほとんど時間を要さなかった。全てが完了したのを確認すると、瑞穂は大きく息を吸い込む。

「傾注!」

 今まで聞いたことのないくらい、身体の芯まで響く声を上げた。

 優れた将の才に、声があると聞いたことがある。

 声は時に人の心をつかみ、人に予想以上の力を発揮させる。その点に関しては、瑞穂の声はたった一言で俺たちの心を鷲掴みにした。

 人を惹きつける、そんな不思議な力が瑞穂にはあった。

「我々はこれより、敵本隊に対して攻撃を行う! 皆、不安もあるだろう! 思うこともあるだろう!」

 部隊を見下ろしながら、瑞穂は続ける。

「不安に思っていても構わない! 想いを背負って戦っても構わない! しかし、これだけは肝に命じてほしい! 我々がここで負ければ、敵は一斉に皇都へ雪崩れ込むだろう! そうすれば何が起こるか、皆なら分かるはずだ!」

 待ち受けるのは虐殺、略奪の上に成る皇国民の奴隷化だ。

 瑞穂は拳を握り、自分の胸に押し当てた。

「死んでいった仲間のためにも! 自分たちの帰りを待つ家族のためにも! 愛する人のためにも! 心を強く持ち、我々は我々の国を守るために、強大な敵を打ち破れ! 必ずこの戦いに勝利するぞ!」

 その瞬間、大歓声が沸き起こった。練度や質では他軍に劣る第6軍であったが、その士気は今や最高潮に達していた。

 約1万の大歓声、地が揺れ、空気が震えた。
 演説が終わり、俺の元へと戻ってきた瑞穂の目や顔は、不安そうにしていた昨日とは違い、まっすぐ前だけを見ていた。

「さぁ、行くわよ皆」
「「「オゥ!」」」

 瑞穂や俺たちの視線の先には、同じく丘の上に本陣を敷き、平原に布陣する軍旗【迦】と隊旗【縁】の旗印が見えていた。
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