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38.過去の事
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取り敢えず必要な薬草で足りないものが幾つかあったので、俺はできる範囲で今日中に作れるものは作り、残りは早起きして森に摘みに行こうと思いレイにその旨を伝えて作業に取り掛かった。
レイはイチャイチャしたそうだったけど、今は先にやるべきことをやらないと。
死の間際にああしておけばよかったこうしておけばよかったと後悔はしたくないし。
でも残念そうなレイも放っては置けなかったので、ちゃんとフォローも入れておく。
「レイ。一種類終わるごとにご褒美にキスしてもらっていい?」
「……!」
「レイと俺の未来のために手を尽くす気ではあるけど、俺、欲張りだからさ。ご褒美だってほしいんだ」
「もちろん!ジェイドがそう言ってくれるならいくらでも!」
「うん。じゃあちょっと待っててくれよな」
「早く終われるように俺も手伝うから」
「本当に?じゃあ、次に作るポーションの材料を纏めてもらっておいていいかな?」
「わかった」
そうしてすぐさま素直に動いてくれるところが微笑ましい。
俺はレイと一緒に居られるのが嬉しくて、ついつい大量にポーションを作ってしまう。
そして一種類終わるごとに与えられるのはすっごく濃厚なキス。
「ん…んぅ……。はぁ…レイ……」
「ジェイド。あんまり激しくしない方がいいんじゃないか?」
「ん。でもレイとのキス、久しぶりで嬉しいし、大好きだし」
「うん。俺も凄く嬉しい。ジェイド……」
レイが幸せそうに笑いながら俺を腕の中に閉じ込めてキスしてくれるのがたまらなく嬉しい。
本当は時間を忘れてずっとちゅっちゅしてたいけど、それは困るのでタイマー稼働中。
ピピピピッ!て鳴ったら終了。
名残惜しいくらいの方が次のポーション作りもさっさと終わらせようって思えるから一石二鳥だよな。
そうして一通り作れるポーションを全部作って二人で湯を浴びてから就寝。
久しぶりのレイの温もりに安心する。
「レイ…まだ起きてる?」
「うん」
「今日はさ、色々レイのことを教えてもらえたから、俺の話もしていいかな?」
片方だけ自分のことを話すのもフェアじゃないし、俺のこともついでに知っておいてもらおうかなと思って、これまで口にしなかった俺のことを話すことにした。
「俺さ、8才くらいまではどっかのお屋敷に住んでたんだ」
俺の両親はどこかのお屋敷で働く使用人同士の夫婦だった。
そこで生まれたのが俺。
だから生まれた時から俺はずっとそのお屋敷で使用人夫妻の子として育てられていた。
庶民ではあるけれど一般的な庶民とはちょっと違う日々。
けれどそんな日々はある日ピリオドを打つことになる。
「どうしてもそのあたりの記憶は曖昧なんだけど、じいちゃんはショックが大きかったせいだろうって言って、泣きじゃくる俺をずっと慰めてくれてた」
両親が何かをやったのか俺が何かをやってしまったのか、それはどうしても思い出せないけど、気づけば両親は罰せられてそのまま亡くなり、残された俺は母方の祖父に引き取られた。
「それからはじいちゃんとずっと二人暮らしでさ、正直じいちゃんが亡くなってからは寂しかったんだ」
だからレイが家に居てくれて、おかえりと言って迎えてくれるのが凄く嬉しかったと笑顔で伝える。
「ジェイド……」
「うん。でも、その分強く生きてこれたと思うんだ。じいちゃんがよく言ってたんだけどさ、庶民生活って自由なんだってさ。貴族の屋敷で生きるよりもずっと。食べ物一つとってもそうだろ?出されたものの味が気に入らなくても黙ってそれを有難く頂く。でも、庶民は違うんだ。自分の責任で自分の好きな味付けができる。それが美味しかったら最高じゃないかって。なんでも自分がしたいようにできる。それが庶民なんだって。言われて初めてそう言われたらそうだよな~って思ったんだ」
もちろん貧しかったらその分自由はなくなっていくけど、それならそれでどうやって稼げばいいか考えればいい。
どうやったら自分の求める自由が手に入るのか、自分の欲しいものが手に入るのか、そうやって考えて前を向いているうちに嫌なことより明るい希望が見えてくる。
時折立ち止まってもいい。
間違った自分を振り返るのもいい。
でも自分を省みて、同じ過ちを犯さないようにしながら前に進んでいけば、きっと人生は素晴らしいものになるんだって笑ってた。
俺はそんなじいちゃんが大好きだったんだ。
「だからレイも、辛いことや嫌なこと、大変なことは多いと思うけど、希望だけは捨てずにいて欲しいなって思うよ」
考えて藻掻いて動くことは悪いことじゃない。
失敗したっていいじゃないか。
まだまだ人生はこれからなんだから。
そう言ったらレイは黙って俺に抱きついてきて、暫く泣いてたっぽい。
「ジェイド。俺、お前に捨てられないように成長するから…」
「うん」
馬鹿だな。捨てたりなんてするはずがないのに。
「もっと…頼らずに生きて行けるように、ジェイドに頼ってもらえるように成長してみせるから…」
「うん」
「その時は…ジェイドを抱いてもいいか?」
「う~ん……?」
それって一体いつになるんだろう?
一年以内ならいいけど、もっとかかるなら流石に考えものかな?
ちょっと不安なんだけど??
「ダメ…か?」
「いや。いいんだけど。それって俺の方から襲うのはOKってことにしてくれないか?」
「え?んっ…」
「レイは真面目過ぎ。あんまり待たされたら俺が我慢できなくなっちゃうだろ?」
そう言って俺はレイの上に乗って、笑いながらキスしてやった。
「俺の処女はもらってほしいけど、あんまり待たせないでもらいたいな」
「ジェイド…」
レイはそれを聞くや否や俺を引き寄せキスをしながら体勢を入れ替えてきて、俺をベッドに押し付けながら深く口づけてきた。
「折角我慢しようと思ったのに」
「ふふっ。無理はしなくていいから」
俺達は俺達のペースで恋人同士関係を進めていければいい。
「でも、レイの成長は楽しみにしてる」
クスクスと笑いながらチュッと今度は軽くキスをして、おやすみと言って抱き着いたら「ジェイドには敵わないな」って苦笑されてそのまま優しく包み込まれた。
「明日の森には一緒についていくから、そっちはちゃんと頼ってほしい」
そんな優しいレイの言葉に嬉しくなりながら俺はそっと目を閉じた。
レイはイチャイチャしたそうだったけど、今は先にやるべきことをやらないと。
死の間際にああしておけばよかったこうしておけばよかったと後悔はしたくないし。
でも残念そうなレイも放っては置けなかったので、ちゃんとフォローも入れておく。
「レイ。一種類終わるごとにご褒美にキスしてもらっていい?」
「……!」
「レイと俺の未来のために手を尽くす気ではあるけど、俺、欲張りだからさ。ご褒美だってほしいんだ」
「もちろん!ジェイドがそう言ってくれるならいくらでも!」
「うん。じゃあちょっと待っててくれよな」
「早く終われるように俺も手伝うから」
「本当に?じゃあ、次に作るポーションの材料を纏めてもらっておいていいかな?」
「わかった」
そうしてすぐさま素直に動いてくれるところが微笑ましい。
俺はレイと一緒に居られるのが嬉しくて、ついつい大量にポーションを作ってしまう。
そして一種類終わるごとに与えられるのはすっごく濃厚なキス。
「ん…んぅ……。はぁ…レイ……」
「ジェイド。あんまり激しくしない方がいいんじゃないか?」
「ん。でもレイとのキス、久しぶりで嬉しいし、大好きだし」
「うん。俺も凄く嬉しい。ジェイド……」
レイが幸せそうに笑いながら俺を腕の中に閉じ込めてキスしてくれるのがたまらなく嬉しい。
本当は時間を忘れてずっとちゅっちゅしてたいけど、それは困るのでタイマー稼働中。
ピピピピッ!て鳴ったら終了。
名残惜しいくらいの方が次のポーション作りもさっさと終わらせようって思えるから一石二鳥だよな。
そうして一通り作れるポーションを全部作って二人で湯を浴びてから就寝。
久しぶりのレイの温もりに安心する。
「レイ…まだ起きてる?」
「うん」
「今日はさ、色々レイのことを教えてもらえたから、俺の話もしていいかな?」
片方だけ自分のことを話すのもフェアじゃないし、俺のこともついでに知っておいてもらおうかなと思って、これまで口にしなかった俺のことを話すことにした。
「俺さ、8才くらいまではどっかのお屋敷に住んでたんだ」
俺の両親はどこかのお屋敷で働く使用人同士の夫婦だった。
そこで生まれたのが俺。
だから生まれた時から俺はずっとそのお屋敷で使用人夫妻の子として育てられていた。
庶民ではあるけれど一般的な庶民とはちょっと違う日々。
けれどそんな日々はある日ピリオドを打つことになる。
「どうしてもそのあたりの記憶は曖昧なんだけど、じいちゃんはショックが大きかったせいだろうって言って、泣きじゃくる俺をずっと慰めてくれてた」
両親が何かをやったのか俺が何かをやってしまったのか、それはどうしても思い出せないけど、気づけば両親は罰せられてそのまま亡くなり、残された俺は母方の祖父に引き取られた。
「それからはじいちゃんとずっと二人暮らしでさ、正直じいちゃんが亡くなってからは寂しかったんだ」
だからレイが家に居てくれて、おかえりと言って迎えてくれるのが凄く嬉しかったと笑顔で伝える。
「ジェイド……」
「うん。でも、その分強く生きてこれたと思うんだ。じいちゃんがよく言ってたんだけどさ、庶民生活って自由なんだってさ。貴族の屋敷で生きるよりもずっと。食べ物一つとってもそうだろ?出されたものの味が気に入らなくても黙ってそれを有難く頂く。でも、庶民は違うんだ。自分の責任で自分の好きな味付けができる。それが美味しかったら最高じゃないかって。なんでも自分がしたいようにできる。それが庶民なんだって。言われて初めてそう言われたらそうだよな~って思ったんだ」
もちろん貧しかったらその分自由はなくなっていくけど、それならそれでどうやって稼げばいいか考えればいい。
どうやったら自分の求める自由が手に入るのか、自分の欲しいものが手に入るのか、そうやって考えて前を向いているうちに嫌なことより明るい希望が見えてくる。
時折立ち止まってもいい。
間違った自分を振り返るのもいい。
でも自分を省みて、同じ過ちを犯さないようにしながら前に進んでいけば、きっと人生は素晴らしいものになるんだって笑ってた。
俺はそんなじいちゃんが大好きだったんだ。
「だからレイも、辛いことや嫌なこと、大変なことは多いと思うけど、希望だけは捨てずにいて欲しいなって思うよ」
考えて藻掻いて動くことは悪いことじゃない。
失敗したっていいじゃないか。
まだまだ人生はこれからなんだから。
そう言ったらレイは黙って俺に抱きついてきて、暫く泣いてたっぽい。
「ジェイド。俺、お前に捨てられないように成長するから…」
「うん」
馬鹿だな。捨てたりなんてするはずがないのに。
「もっと…頼らずに生きて行けるように、ジェイドに頼ってもらえるように成長してみせるから…」
「うん」
「その時は…ジェイドを抱いてもいいか?」
「う~ん……?」
それって一体いつになるんだろう?
一年以内ならいいけど、もっとかかるなら流石に考えものかな?
ちょっと不安なんだけど??
「ダメ…か?」
「いや。いいんだけど。それって俺の方から襲うのはOKってことにしてくれないか?」
「え?んっ…」
「レイは真面目過ぎ。あんまり待たされたら俺が我慢できなくなっちゃうだろ?」
そう言って俺はレイの上に乗って、笑いながらキスしてやった。
「俺の処女はもらってほしいけど、あんまり待たせないでもらいたいな」
「ジェイド…」
レイはそれを聞くや否や俺を引き寄せキスをしながら体勢を入れ替えてきて、俺をベッドに押し付けながら深く口づけてきた。
「折角我慢しようと思ったのに」
「ふふっ。無理はしなくていいから」
俺達は俺達のペースで恋人同士関係を進めていければいい。
「でも、レイの成長は楽しみにしてる」
クスクスと笑いながらチュッと今度は軽くキスをして、おやすみと言って抱き着いたら「ジェイドには敵わないな」って苦笑されてそのまま優しく包み込まれた。
「明日の森には一緒についていくから、そっちはちゃんと頼ってほしい」
そんな優しいレイの言葉に嬉しくなりながら俺はそっと目を閉じた。
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