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第五章 油断大敵
95.一時帰国
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後ろ髪を引かれる思いでゴッドハルトへと旅立つ。
一緒に来ていた護衛兵二人をディオの側に置いてきたから大丈夫とは思うが、やっぱり心配だ。
「早く行って早く帰ろう」
幸い天気も良いし風も穏やかだから飛ばし放題。
向こうでトラブルさえなければすぐにでも戻れるはず。
そんな思いで帰国した俺を待ち構えていたのは、目をキラキラ輝かせた兵達だ。
「ルーセウス。お帰りなさい」
ニッコリ笑って出迎えてくれる家族達の表情は暗にこう言っていた。
『自分の行いの尻拭いくらい自分でやれ』と。
「全く。ディオ陛下を放ったらかしにしたと思ったら今度はディア王女もだなんて。いい加減にしなさい!」
嫁を二人娶るならちゃんと両方大事にしなさいと母に叱られた。
妹のセレナにもいい歳をして恥ずかしいと説教をされるし散々だ。
「ルーセウス。ディオ陛下の方は本当に大丈夫だったか?」
「はい。ギリギリ間に合って、なんとか捨てられずに済みました」
「そうか。本命に捨てられたらシャレにならないしな。一先ず良かった」
父がホッとしたようにそう言ってくれたため、これはチャンスだと思い言ってみる。
「はい。でもまだまだ油断はできないので、早くガヴァムに戻ろうと思ってます!」
でもそう言った途端兵達からブーイングが飛んできた。
「ルーセウス王子!それは流石にディア王女が可哀想ですよ!」
「そうです!健気にお帰りをお待ちしていたんですよ?向こうに戻るならディア王女も連れて行ってあげてください!」
「愛しのディア王女が泣き暮らしてもいいって言うんですか?」
(どう考えても泣き暮らすようなタイプじゃないだろ?!)
絶対に『お好きにどうぞ』ってサラッと言ってくるタイプだぞ?
思わずディア王女の方を見ると、どこかディオを彷彿とさせるような困った顔で微笑んでいる。
「ディア王女。一度ガヴァムに戻るか?ディオも喜ぶぞ?」
「遠慮しておきますわ」
『だってどうせワイバーンで飛ばして帰る気でしょう?』と目で尋ねてくる。
勿論そのつもりだから、じゃあいいかとあっさり引き下がる。
だってしょうがないじゃないか。
のんびりヴァレトミュラでなんか帰る気なんて、俺には一切ないんだから。
「取り敢えず、俺の本命はディア王女じゃなくてディオだから!それだけは今ここでハッキリと皆に言っておくぞ?」
「あんなにラブラブだったのにそりゃないですよ。ルーセウス王子!」
「そうですよ!照れ隠しなんてせずゆっくり愛を深めてください!」
「俺が愛を深めたいのはディオだけだ!変な勘違いはするな!」
「またまた。友情と愛情は違うんですって。童貞も拗らせると厄介ですね」
「誰が童貞だ!俺はとっくに童貞は卒業済みだ!」
ディオとはガヴァム式で結婚したのに!
そうは思うものの、遠い国の結婚式に詳しい兵なんてそうそう居ない。
それにゴッドハルトでは同性愛者も多少はいるが、基本的には女性と結婚して家庭を築く者が殆どと言っていい。
だからこそディア王女との仲を応援する者が多いのだろう。
「うぅ。ディア王女。いっそディオを孕ませられる薬とか作ってくれないか?」
「…え?」
「それなら誰も文句は言えなくなるだろう?今なら一日で孕ませられる自信がある!」
「流石にドン引きなんですけど…」
「誤解を解きたいのもあるが、あのバロン国のパーシバルがディオを狙ってるんだ!あのクソ国王め!俺のディオなのに…!」
つい思い出して、殺気が迸ってしまう。
「あー。ルーセウス?お前がディオ陛下を心底好きなのはよく分かったから、取り敢えず殺気は抑えろ」
「え?」
父の言葉で我に返って周囲を見ると、皆にドン引きされていた。
「取り敢えず、ディオを孕ませられる薬とかは存在しないので、そこは諦めてください」
呆れたようにディア王女がそう言ってくる。
あったら絶対お願いしたのに。残念だ。
***
それから一息入れた後早速仕事へと取り掛かる。
王太子としてサインすべきものにサインをし、采配が必要なものにはテキパキ指示を出した。
これまでディオから教わった事をしっかり活かさないと。
(これならなんとか早めに戻れそうだ)
兵達にも俺のディオへの想いがキッチリ伝わったらしく、『ルーセウス王子。ディオ陛下が好きだからって、いくらなんでも孕ませようなんて考えちゃダメですよ?男が孕むなんて、絶対に無理なんですから』と何人にも言われた。
そんなことはわかってるけど、取られたくないんだって熱弁したら皆わかってくれた。
ちなみに『もしかしてディア王女よりお好きなんですか?』とも聞かれたから、これにもちゃんと答えておいた。
『ディア王女はあくまでも友人のような括りで、ディオに対する何がなんでも孕ませたいと思うほどの強い気持ちは持てないな』と。
皆ちょっと引いてたけど、本当のことだしそれで納得して欲しい。
そんな中、バロン国から使者がやってきた。
どうやら俺に用があるらしい。
早速会うと、パーシバルからの手紙を渡された。
一体何が書かれてあるのかと訝しく思いながら目を通してみると、そこには『ディオへの手土産にバロン国の視察をしたいなら歓迎する』とあった。
そして来ないならディオとの交渉にあたるため、ガヴァムに発つ予定だと書かれてある。
返事は使者に手紙を託してくれとのこと。
(……罠だな)
パーシバルは俺がバロン国へ行くのをハッキリと断っていた。
つまりのこのこ行っても歓迎されることはない。
時間稼ぎをしてディオのところに帰るのを遅らせられ、その間にディオの不安を煽るなりなんなりして自分の有利な状況に持ち込むつもりなんだろう。
わざわざ自分から罠に嵌まりに行く気はない。
ここは断る一択だ。
そう思ってサラサラと返事を書いた。
「これを」
「お預かり致します。ちなみにお受け頂いたと受け止めても?」
「いや。断りの返事だ」
「そう…ですか。ではすぐにでも一報を入れておかないといけませんね」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
しまった。
ここで使者が連絡を入れたら、すぐにでもパーシバルはガヴァムに向かうんじゃないだろうか?
それは困る。
「やっぱり少し考えたい。明日まで保留にさせてもらえないか?」
「本当ですか?陛下に良いお知らせができるのならいくらでも待ちますので」
使者は安堵の笑みを浮かべてそう言ってくれたため、すぐに部屋の準備を整えるよう侍従へと指示を出した。
これでパーシバルの足止めにはなったはず。
(後は明日ここを出る間際に理由をつけて断ればいいよな?)
ちょっと良心は痛むけど、背に腹はかえられないし。
けれどそんな考えは実際にはとても甘かったのだとすぐに気付かされることに。
その日の夜、ディオからパーシバルがやってきたと聞いて相手の方が一枚上手だったと知る事になったからだ。
(どう考えても俺と入れ違いにガヴァムへ飛んだだろう?!)
何が歓迎する、だ。
最初から国王不在で足止めする気満々だったらしい。
(クソッ!)
完全に油断させられたと臍を噛む。
「ディオ!絶対に俺以外と寝るなよ?!キスも玩具も全部ダメだからな?!」
『そんなに心配しなくても大丈夫。ルーセウス以外に興味はないから。それにヴィオレッタ王女も急遽王宮に泊まってくれる事になったから、安心していいよ』
その言葉にホッと息を吐く。
彼女が防波堤になってくれるなら安心だ。
でもそこで『ん?』と思う。
前回パーシバルがガヴァムに滞在していた際は宿に泊まっていたはず。
なのにヴィオレッタ王女が泊まる羽目になる状況とは…?
「ディオ。一応聞くが、パーシバルは宿を取ってるんだよな?」
『いや?前回はお忍びだったから宿だったけど、今回は正式訪問だって言うから王宮に泊めることになった』
「なっ?!」
サラッと言われて焦りに焦る。
「ディオ!夜間は暗部を10人くらい護衛につけておいてくれ!」
『え?』
「夜這い対策だ!あいつは信用ならないから、公式訪問だろうとなんだろうと、監視もつけて警戒してくれ!」
『ルーセウス。大丈夫。俺もそれなりに腕は立つから、ちゃんと反撃できるし、そこまでしなくても…』
どうにもディオは危機感が薄い。
しかもアハハと笑いながらとんでもない事まで言い出す始末。
『最悪襲われても孕むわけじゃないし、そこまでされたら正当防衛で毒針をプスッと刺したって誰も文句は言わないだろう?平気平気』
「ディオ!」
それ、相手が毒で死のうとどうしようと、既に襲われ済みって事になるって気づいてないのか?
やめてくれ。
眩暈がしそうだ。
ガヴァムって男同士の性的なことに対して価値観がズレすぎだろ?!
「ディオ?もし俺が帰るまでにパーシバルと何かあったら、お仕置きするからな?」
『……え?』
「言っておくが、俺は体力だけは馬鹿みたいにある。一日中抱くのだって、やろうと思ったらできるんだ」
『嘘…』
「本当だ。半日焦らされ続けて快楽地獄に突き落とされたくなかったら、絶対にパーシバルとは寝るな。わかったな?」
『ルーセウス…それ、ただのご褒美なんじゃ…』
「ディオ?」
『んんっ。えっと、仕事の調整はしておく。パーシバルは適当にあしらっておくから。その…早く帰ってきて…ほしいな』
ちゃんとわかってくれたんだろうか?
今一信用できない。
『ルーセウス。帰ったらその……いっぱい愛してくれたら嬉しい』
可愛い!
嫁のおねだりが嬉し過ぎる!
(さっさと帰ろう)
「ディオ。明日にはここを発つから、待っていてくれ。最速で戻る」
『うん。でも無理はしないでくれ』
「大丈夫だ。今日はツンナガール越しに抱いていいか?」
そう言ったら嬉しそうに『久し振りだからちょっと恥ずかしいな』と言いつつ受け入れてもらえた。
でも色っぽい声で『身体が疼くから早くほしい』って言われた時は物凄いジレンマに襲われて、どうしようかと思った。
早くディオを直に抱きたい。
ディオの吐息を感じながら同じセリフを言われたら…。
そう思いながら自身に手を添え扱き上げ、愛しいディオの艶声を聞きながら自慰に耽ったのだった。
一緒に来ていた護衛兵二人をディオの側に置いてきたから大丈夫とは思うが、やっぱり心配だ。
「早く行って早く帰ろう」
幸い天気も良いし風も穏やかだから飛ばし放題。
向こうでトラブルさえなければすぐにでも戻れるはず。
そんな思いで帰国した俺を待ち構えていたのは、目をキラキラ輝かせた兵達だ。
「ルーセウス。お帰りなさい」
ニッコリ笑って出迎えてくれる家族達の表情は暗にこう言っていた。
『自分の行いの尻拭いくらい自分でやれ』と。
「全く。ディオ陛下を放ったらかしにしたと思ったら今度はディア王女もだなんて。いい加減にしなさい!」
嫁を二人娶るならちゃんと両方大事にしなさいと母に叱られた。
妹のセレナにもいい歳をして恥ずかしいと説教をされるし散々だ。
「ルーセウス。ディオ陛下の方は本当に大丈夫だったか?」
「はい。ギリギリ間に合って、なんとか捨てられずに済みました」
「そうか。本命に捨てられたらシャレにならないしな。一先ず良かった」
父がホッとしたようにそう言ってくれたため、これはチャンスだと思い言ってみる。
「はい。でもまだまだ油断はできないので、早くガヴァムに戻ろうと思ってます!」
でもそう言った途端兵達からブーイングが飛んできた。
「ルーセウス王子!それは流石にディア王女が可哀想ですよ!」
「そうです!健気にお帰りをお待ちしていたんですよ?向こうに戻るならディア王女も連れて行ってあげてください!」
「愛しのディア王女が泣き暮らしてもいいって言うんですか?」
(どう考えても泣き暮らすようなタイプじゃないだろ?!)
絶対に『お好きにどうぞ』ってサラッと言ってくるタイプだぞ?
思わずディア王女の方を見ると、どこかディオを彷彿とさせるような困った顔で微笑んでいる。
「ディア王女。一度ガヴァムに戻るか?ディオも喜ぶぞ?」
「遠慮しておきますわ」
『だってどうせワイバーンで飛ばして帰る気でしょう?』と目で尋ねてくる。
勿論そのつもりだから、じゃあいいかとあっさり引き下がる。
だってしょうがないじゃないか。
のんびりヴァレトミュラでなんか帰る気なんて、俺には一切ないんだから。
「取り敢えず、俺の本命はディア王女じゃなくてディオだから!それだけは今ここでハッキリと皆に言っておくぞ?」
「あんなにラブラブだったのにそりゃないですよ。ルーセウス王子!」
「そうですよ!照れ隠しなんてせずゆっくり愛を深めてください!」
「俺が愛を深めたいのはディオだけだ!変な勘違いはするな!」
「またまた。友情と愛情は違うんですって。童貞も拗らせると厄介ですね」
「誰が童貞だ!俺はとっくに童貞は卒業済みだ!」
ディオとはガヴァム式で結婚したのに!
そうは思うものの、遠い国の結婚式に詳しい兵なんてそうそう居ない。
それにゴッドハルトでは同性愛者も多少はいるが、基本的には女性と結婚して家庭を築く者が殆どと言っていい。
だからこそディア王女との仲を応援する者が多いのだろう。
「うぅ。ディア王女。いっそディオを孕ませられる薬とか作ってくれないか?」
「…え?」
「それなら誰も文句は言えなくなるだろう?今なら一日で孕ませられる自信がある!」
「流石にドン引きなんですけど…」
「誤解を解きたいのもあるが、あのバロン国のパーシバルがディオを狙ってるんだ!あのクソ国王め!俺のディオなのに…!」
つい思い出して、殺気が迸ってしまう。
「あー。ルーセウス?お前がディオ陛下を心底好きなのはよく分かったから、取り敢えず殺気は抑えろ」
「え?」
父の言葉で我に返って周囲を見ると、皆にドン引きされていた。
「取り敢えず、ディオを孕ませられる薬とかは存在しないので、そこは諦めてください」
呆れたようにディア王女がそう言ってくる。
あったら絶対お願いしたのに。残念だ。
***
それから一息入れた後早速仕事へと取り掛かる。
王太子としてサインすべきものにサインをし、采配が必要なものにはテキパキ指示を出した。
これまでディオから教わった事をしっかり活かさないと。
(これならなんとか早めに戻れそうだ)
兵達にも俺のディオへの想いがキッチリ伝わったらしく、『ルーセウス王子。ディオ陛下が好きだからって、いくらなんでも孕ませようなんて考えちゃダメですよ?男が孕むなんて、絶対に無理なんですから』と何人にも言われた。
そんなことはわかってるけど、取られたくないんだって熱弁したら皆わかってくれた。
ちなみに『もしかしてディア王女よりお好きなんですか?』とも聞かれたから、これにもちゃんと答えておいた。
『ディア王女はあくまでも友人のような括りで、ディオに対する何がなんでも孕ませたいと思うほどの強い気持ちは持てないな』と。
皆ちょっと引いてたけど、本当のことだしそれで納得して欲しい。
そんな中、バロン国から使者がやってきた。
どうやら俺に用があるらしい。
早速会うと、パーシバルからの手紙を渡された。
一体何が書かれてあるのかと訝しく思いながら目を通してみると、そこには『ディオへの手土産にバロン国の視察をしたいなら歓迎する』とあった。
そして来ないならディオとの交渉にあたるため、ガヴァムに発つ予定だと書かれてある。
返事は使者に手紙を託してくれとのこと。
(……罠だな)
パーシバルは俺がバロン国へ行くのをハッキリと断っていた。
つまりのこのこ行っても歓迎されることはない。
時間稼ぎをしてディオのところに帰るのを遅らせられ、その間にディオの不安を煽るなりなんなりして自分の有利な状況に持ち込むつもりなんだろう。
わざわざ自分から罠に嵌まりに行く気はない。
ここは断る一択だ。
そう思ってサラサラと返事を書いた。
「これを」
「お預かり致します。ちなみにお受け頂いたと受け止めても?」
「いや。断りの返事だ」
「そう…ですか。ではすぐにでも一報を入れておかないといけませんね」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
しまった。
ここで使者が連絡を入れたら、すぐにでもパーシバルはガヴァムに向かうんじゃないだろうか?
それは困る。
「やっぱり少し考えたい。明日まで保留にさせてもらえないか?」
「本当ですか?陛下に良いお知らせができるのならいくらでも待ちますので」
使者は安堵の笑みを浮かべてそう言ってくれたため、すぐに部屋の準備を整えるよう侍従へと指示を出した。
これでパーシバルの足止めにはなったはず。
(後は明日ここを出る間際に理由をつけて断ればいいよな?)
ちょっと良心は痛むけど、背に腹はかえられないし。
けれどそんな考えは実際にはとても甘かったのだとすぐに気付かされることに。
その日の夜、ディオからパーシバルがやってきたと聞いて相手の方が一枚上手だったと知る事になったからだ。
(どう考えても俺と入れ違いにガヴァムへ飛んだだろう?!)
何が歓迎する、だ。
最初から国王不在で足止めする気満々だったらしい。
(クソッ!)
完全に油断させられたと臍を噛む。
「ディオ!絶対に俺以外と寝るなよ?!キスも玩具も全部ダメだからな?!」
『そんなに心配しなくても大丈夫。ルーセウス以外に興味はないから。それにヴィオレッタ王女も急遽王宮に泊まってくれる事になったから、安心していいよ』
その言葉にホッと息を吐く。
彼女が防波堤になってくれるなら安心だ。
でもそこで『ん?』と思う。
前回パーシバルがガヴァムに滞在していた際は宿に泊まっていたはず。
なのにヴィオレッタ王女が泊まる羽目になる状況とは…?
「ディオ。一応聞くが、パーシバルは宿を取ってるんだよな?」
『いや?前回はお忍びだったから宿だったけど、今回は正式訪問だって言うから王宮に泊めることになった』
「なっ?!」
サラッと言われて焦りに焦る。
「ディオ!夜間は暗部を10人くらい護衛につけておいてくれ!」
『え?』
「夜這い対策だ!あいつは信用ならないから、公式訪問だろうとなんだろうと、監視もつけて警戒してくれ!」
『ルーセウス。大丈夫。俺もそれなりに腕は立つから、ちゃんと反撃できるし、そこまでしなくても…』
どうにもディオは危機感が薄い。
しかもアハハと笑いながらとんでもない事まで言い出す始末。
『最悪襲われても孕むわけじゃないし、そこまでされたら正当防衛で毒針をプスッと刺したって誰も文句は言わないだろう?平気平気』
「ディオ!」
それ、相手が毒で死のうとどうしようと、既に襲われ済みって事になるって気づいてないのか?
やめてくれ。
眩暈がしそうだ。
ガヴァムって男同士の性的なことに対して価値観がズレすぎだろ?!
「ディオ?もし俺が帰るまでにパーシバルと何かあったら、お仕置きするからな?」
『……え?』
「言っておくが、俺は体力だけは馬鹿みたいにある。一日中抱くのだって、やろうと思ったらできるんだ」
『嘘…』
「本当だ。半日焦らされ続けて快楽地獄に突き落とされたくなかったら、絶対にパーシバルとは寝るな。わかったな?」
『ルーセウス…それ、ただのご褒美なんじゃ…』
「ディオ?」
『んんっ。えっと、仕事の調整はしておく。パーシバルは適当にあしらっておくから。その…早く帰ってきて…ほしいな』
ちゃんとわかってくれたんだろうか?
今一信用できない。
『ルーセウス。帰ったらその……いっぱい愛してくれたら嬉しい』
可愛い!
嫁のおねだりが嬉し過ぎる!
(さっさと帰ろう)
「ディオ。明日にはここを発つから、待っていてくれ。最速で戻る」
『うん。でも無理はしないでくれ』
「大丈夫だ。今日はツンナガール越しに抱いていいか?」
そう言ったら嬉しそうに『久し振りだからちょっと恥ずかしいな』と言いつつ受け入れてもらえた。
でも色っぽい声で『身体が疼くから早くほしい』って言われた時は物凄いジレンマに襲われて、どうしようかと思った。
早くディオを直に抱きたい。
ディオの吐息を感じながら同じセリフを言われたら…。
そう思いながら自身に手を添え扱き上げ、愛しいディオの艶声を聞きながら自慰に耽ったのだった。
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