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11.街歩き Side.ルシアン
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最初の街へと辿り着き、カイザーリードと街を歩く。
その間、ついてきた使用人達には宿を取ってくるよう事細かに指示を出しておいた。
だから今は俺達と護衛の者達だけになっている。
当然だが護衛達が俺達の間に入ってくることはない。
「ここはまだ別荘からは遠くて、あと二つ三つ同じような街を通ってからやっと着く感じなんだ」
「へぇ。結構遠いな」
「ああ。でも雪景色がとても綺麗だし、ライトアップも映えるからカイも楽しめると思う」
「ライトアップ?」
「そう。この時期は庭園だけじゃなく屋敷全体に魔石を配置していて、それを使ったライトアップが楽しめるようになってるんだ」
そう言ってやるとカイザーリードの瞳がキラキラと好奇で彩られた。
可愛い。
そう思った時には既に抱き寄せていて、チュッと軽く髪へとキスを落としていた。
真っ赤な顔で抗議されてしまうが、そんな風にされても可愛いだけだ。
その後適度にあしらいながら店を冷やかしていると、徐ろにカイザーリードの足が止まった。
何の店だと思ったら武器屋だ。
どうやらショーウィンドウに飾られていた魔剣に目がいったらしい。
どこか切なげな眼差しは過去の自分に向けられたものか、それとも今尚魔剣として存在できている彼らへの憧憬の思いからか────。
(気に入らないな)
そんな風に思ってしまうのはエゴでしかないが、カイザーリードには俺だけを見ていて欲しくて、つい声を掛けてしまう。
「カイ。どうかしたの?」
嫉妬など感じさせず、極自然に見えるよう意識して柔らかな笑みを浮かべる。
そんな俺にカイザーリードは本心ではなく上辺の言葉で答えてきた。
「別に。その猫をずっとかぶってればいいのになって思ってただけだ」
まあそれが俺を表す言葉だったから別に構わなかったが、これが『今頃父様達はどうしてるかなと思って』とかだったら問答無用でその口を塞いでやっていただろう。
「フッ…。どっちの俺も嫌いじゃないくせに素直じゃないなぁ」
「……っ?!誰がだ!俺はお前なんて嫌いだ!」
そう言いながらもカイザーリードは俺を意識しているのが丸わかりの眼差しで俺を睨んでくる。
前世で自分を叩き折った相手に憎しみを抱いていない時点でお前の負けは確定しているのにな?
(可哀想なカイザーリード。こんな俺に目をつけられるなんて…)
そして俺はもっとその心をこちらへと向けさせるべく、そっと秘密を打ち明けるようにカイザーリードの耳へと唇を寄せ、熱く想いを込めて言葉を紡いだ。
「俺はお前が好きだ」
「……っ?!」
「言ってなかったが、前世でお前を目にした瞬間から俺はずっとお前に惚れてる」
「は?!」
「お前を手に入れるために一緒に転生したんだ。だから…俺から逃げられると思うなよ?」
「はぁあああ?!」
あまりにも予想外の言葉に、カイザーリードは心底驚いたのか素っ頓狂な声を上げる。
その反応がまた面白くて俺は思わず笑ってしまった。
(ああ、本当に面白い)
ずっとずっとこんな風にカイザーリードの傍で笑っていたい。
そのためにも逃げられないようしっかり捕まえておかないといけない。
「そうだ、カイ。この旅行中は起きてから寝るまでずっと一緒だから、いっぱい仲良くなろうね?」
この言葉だけで部屋もベッドも同じだと察してもらえるだろうか?
そう思いながらその表情を窺うと、どうやらちゃんと理解はしているようで、カイザーリードは真っ赤になりながら驚愕の表情を浮かべていた。
「カイ。この旅行でどっぷり俺色に染めてやるから覚悟しろ」
「~~~~っ?!」
勿論いきなり突っ込む気はない。
カイザーリードは確実に未経験者だ。
じっくり慣らしてからじゃないときっと入らないだろう。
その過程でしっかり感度も高めておいてやれば性的欲求も自然と育つはず。
正直出会いが遅くはあったが、せめて10才からでも少しずつ接点を持てていればまた違っていただろうにと悔しく思う。
それもこれも全て仇敵ユージィンのせいだ。
思いの外ユージィンの許しが出るのに時間がかかった。問題はそれに尽きる。
あいつは本当に大人げなかったのだ。
『カイザーリードの相手には知と武だけじゃなく財も才も望んでいるんだが、大丈夫か?』
『誠心誠意努力させていただきます』
『それじゃあ君に息子はやれないな』
謙遜して言った言葉に真顔で返すか?普通。
結果がなければ信用しないということか。
(クソッ!)
それから剣と魔法を駆使してユージィンと戦い実力を認めさせ、商才を発揮して財も築いた。
他国との取引で交渉にも長けていると示し、最終的に婚約を認めさせた。
『いいだろう。認めてやる』
結果を前にして満足げな顔でそう言われた時には札束で頬を思い切り叩いてやろうかと思ったが、そこを我慢してニッコリ笑って『嬉しいです』と言った。
あの屈辱に耐えた自分を褒め称えたい。
(覚えていろ、ユージィン!いつかお前を足元に這いつくばらせてやる!)
腹立たしいユージィンに認めてもらうために頑張ったのは、全てカイザーリードを手に入れるため。
そして手に入れたからには絶対に逃す気はない。
「これまでを取り戻す意味でも、絶対に手離す気はないから」
そう言ってやったカイザーリードが頬を染める様に満足しながら、俺は手始めに今夜はどうしてやろうかと思考を巡らせたのだった。
その間、ついてきた使用人達には宿を取ってくるよう事細かに指示を出しておいた。
だから今は俺達と護衛の者達だけになっている。
当然だが護衛達が俺達の間に入ってくることはない。
「ここはまだ別荘からは遠くて、あと二つ三つ同じような街を通ってからやっと着く感じなんだ」
「へぇ。結構遠いな」
「ああ。でも雪景色がとても綺麗だし、ライトアップも映えるからカイも楽しめると思う」
「ライトアップ?」
「そう。この時期は庭園だけじゃなく屋敷全体に魔石を配置していて、それを使ったライトアップが楽しめるようになってるんだ」
そう言ってやるとカイザーリードの瞳がキラキラと好奇で彩られた。
可愛い。
そう思った時には既に抱き寄せていて、チュッと軽く髪へとキスを落としていた。
真っ赤な顔で抗議されてしまうが、そんな風にされても可愛いだけだ。
その後適度にあしらいながら店を冷やかしていると、徐ろにカイザーリードの足が止まった。
何の店だと思ったら武器屋だ。
どうやらショーウィンドウに飾られていた魔剣に目がいったらしい。
どこか切なげな眼差しは過去の自分に向けられたものか、それとも今尚魔剣として存在できている彼らへの憧憬の思いからか────。
(気に入らないな)
そんな風に思ってしまうのはエゴでしかないが、カイザーリードには俺だけを見ていて欲しくて、つい声を掛けてしまう。
「カイ。どうかしたの?」
嫉妬など感じさせず、極自然に見えるよう意識して柔らかな笑みを浮かべる。
そんな俺にカイザーリードは本心ではなく上辺の言葉で答えてきた。
「別に。その猫をずっとかぶってればいいのになって思ってただけだ」
まあそれが俺を表す言葉だったから別に構わなかったが、これが『今頃父様達はどうしてるかなと思って』とかだったら問答無用でその口を塞いでやっていただろう。
「フッ…。どっちの俺も嫌いじゃないくせに素直じゃないなぁ」
「……っ?!誰がだ!俺はお前なんて嫌いだ!」
そう言いながらもカイザーリードは俺を意識しているのが丸わかりの眼差しで俺を睨んでくる。
前世で自分を叩き折った相手に憎しみを抱いていない時点でお前の負けは確定しているのにな?
(可哀想なカイザーリード。こんな俺に目をつけられるなんて…)
そして俺はもっとその心をこちらへと向けさせるべく、そっと秘密を打ち明けるようにカイザーリードの耳へと唇を寄せ、熱く想いを込めて言葉を紡いだ。
「俺はお前が好きだ」
「……っ?!」
「言ってなかったが、前世でお前を目にした瞬間から俺はずっとお前に惚れてる」
「は?!」
「お前を手に入れるために一緒に転生したんだ。だから…俺から逃げられると思うなよ?」
「はぁあああ?!」
あまりにも予想外の言葉に、カイザーリードは心底驚いたのか素っ頓狂な声を上げる。
その反応がまた面白くて俺は思わず笑ってしまった。
(ああ、本当に面白い)
ずっとずっとこんな風にカイザーリードの傍で笑っていたい。
そのためにも逃げられないようしっかり捕まえておかないといけない。
「そうだ、カイ。この旅行中は起きてから寝るまでずっと一緒だから、いっぱい仲良くなろうね?」
この言葉だけで部屋もベッドも同じだと察してもらえるだろうか?
そう思いながらその表情を窺うと、どうやらちゃんと理解はしているようで、カイザーリードは真っ赤になりながら驚愕の表情を浮かべていた。
「カイ。この旅行でどっぷり俺色に染めてやるから覚悟しろ」
「~~~~っ?!」
勿論いきなり突っ込む気はない。
カイザーリードは確実に未経験者だ。
じっくり慣らしてからじゃないときっと入らないだろう。
その過程でしっかり感度も高めておいてやれば性的欲求も自然と育つはず。
正直出会いが遅くはあったが、せめて10才からでも少しずつ接点を持てていればまた違っていただろうにと悔しく思う。
それもこれも全て仇敵ユージィンのせいだ。
思いの外ユージィンの許しが出るのに時間がかかった。問題はそれに尽きる。
あいつは本当に大人げなかったのだ。
『カイザーリードの相手には知と武だけじゃなく財も才も望んでいるんだが、大丈夫か?』
『誠心誠意努力させていただきます』
『それじゃあ君に息子はやれないな』
謙遜して言った言葉に真顔で返すか?普通。
結果がなければ信用しないということか。
(クソッ!)
それから剣と魔法を駆使してユージィンと戦い実力を認めさせ、商才を発揮して財も築いた。
他国との取引で交渉にも長けていると示し、最終的に婚約を認めさせた。
『いいだろう。認めてやる』
結果を前にして満足げな顔でそう言われた時には札束で頬を思い切り叩いてやろうかと思ったが、そこを我慢してニッコリ笑って『嬉しいです』と言った。
あの屈辱に耐えた自分を褒め称えたい。
(覚えていろ、ユージィン!いつかお前を足元に這いつくばらせてやる!)
腹立たしいユージィンに認めてもらうために頑張ったのは、全てカイザーリードを手に入れるため。
そして手に入れたからには絶対に逃す気はない。
「これまでを取り戻す意味でも、絶対に手離す気はないから」
そう言ってやったカイザーリードが頬を染める様に満足しながら、俺は手始めに今夜はどうしてやろうかと思考を巡らせたのだった。
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