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29.※誘惑① Side.ルシアン

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誘導して読ませた本はどれも大当たりだった。
カイザーリードが無垢なのにエロい。

祭りへと向かう馬車の中、本を読みながら『大っきい?』と首を傾げるカイザーリード。
そんな姿が可愛いなと思っていたら質問が飛んできた。

「なあルシアン」
「どうした?」
「昨日気づいたらお前の立派なのが入ってたけど、あれって何か特殊な魔法で小さくしたのか?」

小さくしたのか?────言われている意味が分からない。
それ即ち物足りなかったということなんだろうか?

(いつも立派だとか何とか言うくせにか?あり得ないだろう)

きっと何らかの意図があるはず。
そう思い、ストレートに聞いてみることに。

「どうしてそんな事を?」

するとあっさり答えは返ってきて、なるほどと納得がいった。

「だってどう考えてもあんなに大きいのが俺のあんな狭い場所に入るわけがないし。だから何かしたのかなって」

昨夜、無理無理とカイザーリードは何度も言っていた。
絶対入らないとも。
だから入ったなら俺が自分のものを小さくして入れたんだろうと思ったんだろう。
とんだ見当違いだ。
俺はカイザーリードに淫紋を施しただけで、自分のものには何もしていない。

取り敢えず物足りなかったわけではなさそうだと判断し、ホッと息を吐くとそのままカイザーリードの身を抱き寄せる。

「小さくて満足できなかったと言われたのかと思って驚いた」
「え?!それはない!絶対ない!」

俺の驚きを知ってほしくて思わず溢した言葉は即座に否定され、更に嬉しいことまで言ってくれる。

「昨日は凄く気持ち良くて、いっぱい満足させてもらった!寧ろまるで俺に合わせたのかってくらいサイズがピッタリだったし、だから余計に魔法でも使ったのかなって思って…」

どうやらカイザーリードは大満足だったらしい。
それにしても誂えたかのようにサイズがピッタリだと言ってもらえるなんて……嬉しすぎる。

「……っ、そうか。そんなに満足してもらえたなら良かった。でもソッチには魔法は使っていない」
「え?」
「しっかり解したからな。普通に入ったぞ?」
「ええっ?!あ、あんなのどう考えても入らない!」

ちゃんと事実を伝える俺の言葉に懐疑的なカイザーリード。

(でも…気持ち良かったんだろう?)

先程の言葉を思い出し、気持ちが一気に暴走しそうになってしまう。
でもここは我慢だ。
こんなところで襲って全てを台無しにしたくはない。
そう思いつつもつい余計なことを口にしてしまう癖はどうにかならないものか。

「信じられないか?」

コクリと素直に頷くカイザーリード。
そんな可愛い姿を前に揶揄いの言葉を口にしてしまう自分。

「なら試してみるか?」

決して頷かないとわかっていながら、俺の言葉に頬を染める姿が見たくて言ってしまっただけの話だったのだが…。

「試す?」
「ああ。街までまだ時間がかかるし、プラグで塞いでいたから中は綻んでる。今ならすぐに入るぞ?」

誘うようにそう口にすると思った通り頬を染めるカイザーリード。
俺の言葉に翻弄される姿はなんて愛おしいんだろう?
もう少しだけ見たい。
そう思って、追い打ちをかけるように『どうする?』と囁いた。
俺が揶揄っていることはカイザーリードにだってわかっているはずだ。
だからここらへんでいつもの通り終わるはず。
そう思っていたのに、カイザーリードはまさかの返事を返してきた。

「そ、そこまで言うなら試してみてもいいけど…」

聞き間違い……だろうか?

「…………カイ?」
「……しない、のか?」

いや。聞き間違いではない。

(カイが俺を誘っている…だと?!)

こんな誘惑、断れる奴がいるんだろうか?否、いない!
据え膳以外の何物でもないこの状況。
頂く以外の選択肢はない。
そう思い、俺はすぐに前を寛げ、カイザーリードからプラグを引き抜いて怒張を後孔へと宛がった。

(ヤバい。興奮する)

でも我慢だ。
ここはゆっくりと見せつけるように挿入しなければ。

「見てろ」

そしてツプリと中へと沈み込ませ、ググッと中へと押し入った。

「んやぁ……っ」

甘い声を上げ、腰を逃がそうとするが逃がしはしない。
しっかりと腰を捕まえながら奥へ奥へと突き進めていく。
それが気持ちいいのか逃げよう逃げようとしてくるカイザーリード。
それを宥めるようにキスで気を逸らしてやり、更に腰を進めていく。

「カイ。ほらよく見ろ。俺のモノはそのままお前の中に収まっているだろう?」

小さくしなくてもちゃんと収まるのだと目に見える形で教えてやり、お前はそれで気持ちよくなっているのだと自覚させてやる。

「あ…あぁっ」
「ほら、奥までしっかり咥え込め」

そして最後に腰を引き寄せ、これで全部だと教えるように突き入れた。

「んぅうっ!」

気持ち良さそうに背を震わせるカイザーリード。
やっぱり俺達の身体の相性は抜群だ。

「ル、ルシィ…っ」
「折角繋がったんだ。このまま街に着くまで繋がっていような、カイ」
「ひ、やぁ…っ」

折角繋がったのだ。
すぐに抜く気はない。
でもカイザーリードが祭りを楽しみにしていたのを知っているから、負担のないようあくまでも挿れるだけ。

「やっ、やぁっ…!ル、ルシィッ!」
「ん…可愛いな、カイ」

こうして繋がっていられるだけでも気持ち良くて、可愛く身悶える姿を堪能していたら、カイザーリードの方が先に我慢ができなくなってしまった。

「ルシィ…!昨日みたいにしてっ」
「そろそろ街に着く頃合いだ。我慢しろ。祭りに行きたいんだろう?」
「あ……」

してやりたいのは山々だし、俺だってしたいに決まっている。
でも喜ぶ顔だって当然見たいのだ。
だから敢えてそう言ったのに、抜いてプラグを挿し直してやったところでカイザーリードは俺が欲しいと泣いた。

「うっ…グスッ…」
「カイ」
「ルシィ…。シてぇ…」

その可愛さは反則だ。
そんな可愛い欲情しきった顔でねだるなんて…!

「泣くな。ちょっと待っていろ」

今にも暴走しそうな自分を何とか落ち着かせ、人けの少ない道を走りながら遠回りしてくれと御者へ頼む。
それだけで察してもらえたのは有り難いが、後で口止めはしておかないと。

(絶対に声を聞かれるだろうしな)

ヤッてることなんて一目瞭然だろう。
でもそんなシチュエーションも燃える。
とは言え時間に限りがあるのは確かだ。
ここは手早く、けれど双方が満足できるように事を進めなければならない。

そして一回だけだぞとカイザーリードに伝え、座面に押し倒しながら物欲しげにヒクつく穴にゆっくりと身を沈めた。

「あ…ルシィ……」

忽ち嬉しそうな顔で俺を見つめてくるその姿にゴクリと喉が鳴る。
すっかりカイザーリードは俺の虜だ。

「よしよし。すぐに満足させてやるからな」

そんなカイザーリードを宥め速やかに満足させるべく淫紋を施すと、片足を肩へと担ぎ力を抜くよう言い聞かせた後で一息に奥まで突き込んだ。
元々先程馬車の揺れを利用して奥をかき混ぜていたから、いい感じに最奥の受け入れ態勢が整っていたんだ。
だからこそできたことではある。
結腸責めしやすい状況ならそれを利用しない手はないだろう?

悲鳴を上げるカイザーリードの唇を塞ぎ、なるべく嬌声を御者に聞かせないよう配慮しつつ俺はカイザーリードの前を戒めてこれでもかと感じさせ、もっと俺に嵌れとほくそ笑んだ。


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