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30.※誘惑② Side.ルシアン

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「カイ。着いたようだ」
「あ…あ…、ん。ルシィ…」

激しく達した余韻に浸るその表情は情欲に満ちていて、俺を食い締める後孔は名残惜しげにキュウッと甘く締めつけてくる。
そんなカイザーリードにチュッとキスを落として、プラグはいるかと訊いたら頷いたからもう一度挿れてやった。
その表情はひどく嬉しそうだ。

(そんなに子種が好きか。こんな顔をされたら無理だとわかっていても孕ませたくなるな)

そう思いながら淫紋を解除して身支度を整え、馬車から降りた。
けれど────。

「は…あっ…」

カイザーリードは過敏になった身体のままプラグが中で擦れたらしく、甘い声で啼いて降りるまでもなく馬車内で崩折れ、とても動けそうにない。
抱き上げて連れて行くことはできるが、色気が出過ぎているから人混みに連れて行くのは無理だろうと判断する。
攫われたら大変だ。

「カイ。色気が出過ぎで危ない。今日はやめておこう?」
「え…」
「歩けないだろう?」
「うぅ……」

折角来たのにと物凄く残念そうだが、自分でも無理だとわかっているんだろう。

「あそこに見える丘の上から少しだけ祭りを楽しんで、それから帰ろう?」

どうせ祭りは一週間続くのだ。
今日にこだわる必要もない。
そう言ったらなんとか納得してもらえた。

「カイ。寒くはないか?」

日は出てるが流石に風は冷たい。
汗が冷えて風邪でも引いたらいけないとそう尋ねたら、ちょっと拗ねたように『そんなに寒くはないけど、さっきの詫びに温めろ』と言われた。
確かにいきなりの結腸責めは責められても仕方がない。
ちゃんと謝りはしたけど、可愛い我が儘くらいはいくらでも聞いてやろう。

(本当に可愛いな)

こんなに可愛いと毎日抱きたくなるだろうし、どう考えてもゆっくり祭りへ連れて行ける気がしない。
今日の二の舞になるのが関の山だ。
でも約束は守りたい。
となると確実なのは祭り最終日だ。
そう思ったからカイザーリードを温めながら何気なく提案してみた。

「そうだ、カイ。祭りの最終日は帰りがてら土産を買いに行こう。それなら確実に楽しめるぞ」

その言葉に思った通りカイザーリードはパッと顔を輝かせる。

「嬉しい!いっぱいお土産を買って帰りたいな」

けれどカイザーリードは無防備に俺の嫉妬を煽ってきた。

「父様、なんだったら喜んでくれるかな」

こんな時にまでユージィンか。
腹が立つな。

(もう俺のカイザーリードなのに…)

とは言えここで好感度を下げるのはマイナスでしかない。
この状況を利用して優位に持っていこう。

「……そうだな。お前の母親と揃いの物を贈ってみたらどうだ?ついでに俺とお前も揃いの物を買おう。睦まじい夫婦にあやかってとでも言えばより喜んでもらえるはずだ」
「なるほど」

目から鱗だと言わんばかりにカイザーリードが目を輝かせる。

「両親はラブラブだから、アクセサリーの方がいいかな…」

これは好都合だ。
揃いのアクセサリーでも買ってユージィンの奴に見せつけてやろう。

「そうか。それなら一緒に選ぼう。楽しみだな」
「ああ!」
「じゃあそろそろ帰ろうか」

そして機嫌よく俺はカイザーリードと屋敷へと戻った。


***


屋敷に到着し、昼食を食べて部屋へと戻る。
どうせ今夜も抱くのだからと上機嫌でカイザーリードの読書に付き合った。
今読んでいる本は確か後処理の仕方が書かれてあったはずだ。
これでカイザーリードもそっちの方がいいかもと思うことだろう。
そう思ったのに、口から飛び出したのはまたしても斜め上の言葉だった。

「腹を壊すなんて大変だな…」
「カイ?」
「ああ、この主人公が、腹を下すから掻き出してくれって言っててさ。折角あったかくて幸せな気分になってるのに可哀想だなって」

(あったかくて幸せ?なんだその褒美のようなセリフは!)

どうしてやろうかと思うほど胸がムズムズして、どうしようもなく抱きしめたくなった。
なんて罪作りな奴なんだろう?
でもここでその考えを正してやれるのは俺しかいない。
ここは誠実に対応しよう。

「お前は大丈夫か?」
「俺は全然大丈夫」
「そ、そうか。でも掻き出した方が垂れては来ないと思うぞ?」

なのにカイザーリードはその天然さで俺をどこまでも煽ってくるのだ。

「それはそうかもしれないけど、なんか寂しいし。どうしてもの時以外は嫌だな」

これ以上俺を夢中にさせてどうする気だ?
抱き潰すぞ?!

「…………っ、カイッ!」
「なんだ?」
「今からお前を抱き潰してもいいか?」
「え?」
「お前にそんな風に煽られたら我慢できそうにない」
「あ、煽っ?!」

戸惑うカイザーリードを捕まえて、夢中になってキスをする。

「カイ…」
「ちょ、まっ……!」

俺を散々煽って誘惑するからこうなるのだ。
少しは思い知ればいい。

「カイ。挿れるぞ?」
「あ……っ、ん────っ!」

プラグを引き抜き、すっかり勃ち上がった己の象徴に手を添えてゆっくりとカイザーリードの温かな雄膣へと沈み込む。

「カイ。優しくするから、抱かせてくれ」
「も、挿れてるくせにっ…」

抗議の声は口にしたもののこれっぽっちも抵抗する気のないカイザーリードに微笑んでやると、自ら抱き着いてきて『優しくして』とねだってきた。
すっかり相思相愛だな。

好感度は現在82%。やはり優しくすればするほど上がるんだろうか?
それならそれでもっともっと優しくしてやろう。

「ん…ルシィ…」

その瞳に宿る信頼の光を堪能しながら溺れさせるのも悪くはない。
そんな気持ちで甘やかすように沢山愛してやれば、すっかり蕩け切ってそこから更に10%も好感度は上昇していた。
最高だ。これならユージィンに勝つ日も遠くはない。
そして俺は上機嫌で愛しいカイザーリードを抱き上げて、一緒に風呂へと向かったのだった。


****************

※次はカイザーリードの元主人兼現父親であるユージィン視点になります。

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