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第五章 レイクウッド王国編(只今愛の試練中)
117.※初めて祖父に会った俺
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取り敢えず事は片付いたので俺達はコーリックへと戻ることにした。
レイクウッドの王への報告もアリューシャ王国への抗議も全部父に丸投げだ。
きっと上手く収めてくれるだろう。それよりも俺には母のフォローを頼むと言っていた。
俺が行方不明になったと聞いてすぐショックを受けて倒れてしまったらしいのだ。
(大丈夫かな?)
流石にちょっと心配になって母の部屋へと足を運ぶと、そこには先客がいた。
(あれ…?この人……)
しかも向こうもこちらに気づいたようで大きく目を見開いていた。
「ルマンド…か?」
「はい。ルマンド=コーネ。ただいま【愛の試練】を終え戻りました」
多分この答えであってるはず。だってこの人は────。
「リモーネ!ルマンドが【愛の試練】から帰ったと言っておるぞ!!」
「本当ですか、お父様!!」
────多分俺の祖父、レイクウッドの国王だから。
「ルマンドちゃん!」
祖父の言葉を受けて母が部屋から飛び出してきて思い切り抱きつかれた。
「ルマンドちゃん、ルマンドちゃん!本物?!本物よね?!」
「本物ですよ」
「怪我はしてない?どこか痛いところは?!」
「大丈夫です。母上もお元気そうで安心しました」
「うぅ…本当にルマンドちゃんだわ。ルマンドちゃん!お帰りなさい!」
泣きながら微かに身を震わせる母を見て不安だったのだなと申し訳なくなる。
「大丈夫ですよ。この指輪が…守ってくれたので」
「その指輪が?何か特別な魔法でもかかっているの?」
「ええ。『シェリ・レナローゼ』────愛神レナローゼの寵愛です」
「な、ななななななんですって?!愛神レナローゼの寵愛ですって?!」
「はい」
「そ…そんな……ルマンドちゃんたら……愛が深すぎるわ」
そうだろう、そうだろう。普通びっくりするよな?使える人少ないって聞くし、俺頑張ったもんな。
「メイビス王子…ルマンドちゃんのこと宜しくね?」
「うむ。【愛の試練】にこれほど相応しいものはないな」
何故か祖父もご満悦だ。
そこからは俺が知らなかった救出劇をあれこれ母がメイビスから聞き出して、父の活躍に興奮したりニックの活躍を知ったり、メイビスが最後に俺の周りのウルフを一掃した話をヒースから聞いて興奮気味に叫んだりと賑やかに過ごした。
「そうだわ…忘れないうちに言っておくわね。メイビス王子、今回の事もあったことだし貴方には是非探知魔法を極めて頂きたいと思います」
「探知魔法?」
探知魔法というのは探査魔法の派生だったかな?探査が物を探すのに使われるのに対して探知は人を探すのに使うとかだったと思う。特に必要性を感じないから俺は覚えてないけど。
「ええ。レイクウッドでは好きな人がいる場所をいつでも知れるように探知魔法に長けている人が大勢いるのよ。転移魔法も使えたら併せてサプライズ成功率アップ間違いなしとも言われているわね」
「…………レイクウッド。どこまでも恋愛至上主義」
(ニック、こっそり言ってるつもりかもしれないけど聞こえてるからな?)
「だから…メイビス王子がいつでもルマンドちゃんの位置確認ができるようになったら、もうこんな風に居場所が分からなくなって困ることもなくなるんじゃないかと思って」
それをもってメイビスへの【愛の試練】とすると母は言った。
これは元々考えていたものなのだとか。
試練という意味では今回の騒動で既に終わっていると考えてもいいのだが、やっぱり必要なスキルだと痛感したらしい。
「謹んでお受けいたします」
それに対してメイビスも殊勝に言葉を返した。
そしてここで初めて知ったんだけど、どうも父も母を側妃に迎える前にこの愛の試練とやらをクリアさせられたらしい。
その時は【転移魔法を使えるようになること】が試練内容だったとか。
今のメイビスなら使えるからそっちだったら楽だったのにな…。
「じゃあルマンドちゃん、今日はもう夜も遅くなったし泊まっていきなさいね?」
「あ、はい」
そう。森の時点ですっかり夜でその後街に戻って制裁をして戻ってきたからすっかり時刻は真夜中だ。
俺はちょっとだけ寝てたからまだ平気だけど他の面々は疲れ切っているだろう。
今日はゆっくり休んでフォルクナーには明日帰ることにしよう。
「ケインも、今日はお疲れ様。ゆっくり休んでくれよな」
「ルマンド様も大変だったのですからゆっくりお休みください。メイビス王子…お分かりですよね?」
「…わかっている」
何故かケインが釘を刺してたけど、そんなことをしなくてももう寝るのに……。
────そう思っていたのに、部屋に戻ってから疲れてるだろうと気遣ってリカバリーをメイビスに掛けたら元気になられて、そのまま押し倒された。
「ルマンド…心配した」
「うん」
────知ってる。
何度も俺の存在を確認するようにキスを繰り返してくるメイビスが愛おしい。
「殺されてたらどうしようって…怖くなった」
「ゴメンな」
ちょっと震えてるから多分本当に怖かったんだと思う。
前に暗殺されそうになってたから余計に怖かっただろうな……。
これもあのアンラックアイテムのせいじゃないよな?あれは魔物の遭遇率あげるだけで、こっちの死亡率上げてたりしないはず…。うん。リフレクション掛かってるし、そうだと信じたい。
「無事に戻ってきてくれて嬉しい」
「うん。俺もお前のところに戻ってこれてすごく嬉しい」
それから丁寧に慣らされて優しく挿れてもらって、いっぱい幸せを感じた。
「んっ…はぁ…」
「ルマンド…辛くないか?」
「うん。大丈、夫…ッ……」
「もう俺から離れないでくれ」
「うん…。んっんっ…俺も、はぁ…っ、心配かけないようにできるだけ、傍に居る…から……っ」
「……探知魔法、絶対すぐにでもマスターするから」
「無理、は…しなくて…いいん、だぞ?……ッッ!」
「お前のためなら世界の果てでも探し出せるくらい練度を上げて見せる」
「大げさだな、メイビスは…んんっ…」
「今度は俺がルマンドに愛の深さを見せつけるから……だから、待っててくれ」
結婚までには絶対完璧にしておくと言ってメイビスは艶やかに笑った。カッコ良過ぎ!
こういうところが女にモテるんだろうな。俺とは大違いだ。
でもきっとカッコいいだけじゃ俺はここまで好きにはならなかったと思う。
だってその点で言うならヒースクリフだって十分カッコいい男だし。
メイビスはカッコいいだけじゃなくて可愛いところも多々あるから俺もここまで好きになれたんじゃないかな?
俺にはない魅力を沢山持つ婚約者に俺はすっかり虜にされてる。
本当に最初はただの友情だったのに、いつの間に完全につかまってしまったんだろう?
やっぱりあのディープキスをした日?プロポーズを考えた日にはもう引き返せないほど好きだったよな?
でももしかしたら付き合うのを了承したあの日からなのかもしれない。
ロマンチックな告白は最強だったし、あの頃からメイビスは俺に弱い面をちらちら見せてくれていたから知らない内につかまっていたのかも…。
今俺はとっても幸せを感じていて、結婚式はいつになるだろうなんて考えるようになっている。
ルルに失恋した時にはこんな未来、想像すらしてなかったのに変な感じ。
メイビスの誕生祭までに三カ国分のしきたりリストを全部終わらせるってことは無理だと思うけど、せめて俺が20才になるまでには結婚できるといいな。
そして俺は大好きな婚約者に笑顔でそっとキスを贈って、沢山沢山愛された。
レイクウッドの王への報告もアリューシャ王国への抗議も全部父に丸投げだ。
きっと上手く収めてくれるだろう。それよりも俺には母のフォローを頼むと言っていた。
俺が行方不明になったと聞いてすぐショックを受けて倒れてしまったらしいのだ。
(大丈夫かな?)
流石にちょっと心配になって母の部屋へと足を運ぶと、そこには先客がいた。
(あれ…?この人……)
しかも向こうもこちらに気づいたようで大きく目を見開いていた。
「ルマンド…か?」
「はい。ルマンド=コーネ。ただいま【愛の試練】を終え戻りました」
多分この答えであってるはず。だってこの人は────。
「リモーネ!ルマンドが【愛の試練】から帰ったと言っておるぞ!!」
「本当ですか、お父様!!」
────多分俺の祖父、レイクウッドの国王だから。
「ルマンドちゃん!」
祖父の言葉を受けて母が部屋から飛び出してきて思い切り抱きつかれた。
「ルマンドちゃん、ルマンドちゃん!本物?!本物よね?!」
「本物ですよ」
「怪我はしてない?どこか痛いところは?!」
「大丈夫です。母上もお元気そうで安心しました」
「うぅ…本当にルマンドちゃんだわ。ルマンドちゃん!お帰りなさい!」
泣きながら微かに身を震わせる母を見て不安だったのだなと申し訳なくなる。
「大丈夫ですよ。この指輪が…守ってくれたので」
「その指輪が?何か特別な魔法でもかかっているの?」
「ええ。『シェリ・レナローゼ』────愛神レナローゼの寵愛です」
「な、ななななななんですって?!愛神レナローゼの寵愛ですって?!」
「はい」
「そ…そんな……ルマンドちゃんたら……愛が深すぎるわ」
そうだろう、そうだろう。普通びっくりするよな?使える人少ないって聞くし、俺頑張ったもんな。
「メイビス王子…ルマンドちゃんのこと宜しくね?」
「うむ。【愛の試練】にこれほど相応しいものはないな」
何故か祖父もご満悦だ。
そこからは俺が知らなかった救出劇をあれこれ母がメイビスから聞き出して、父の活躍に興奮したりニックの活躍を知ったり、メイビスが最後に俺の周りのウルフを一掃した話をヒースから聞いて興奮気味に叫んだりと賑やかに過ごした。
「そうだわ…忘れないうちに言っておくわね。メイビス王子、今回の事もあったことだし貴方には是非探知魔法を極めて頂きたいと思います」
「探知魔法?」
探知魔法というのは探査魔法の派生だったかな?探査が物を探すのに使われるのに対して探知は人を探すのに使うとかだったと思う。特に必要性を感じないから俺は覚えてないけど。
「ええ。レイクウッドでは好きな人がいる場所をいつでも知れるように探知魔法に長けている人が大勢いるのよ。転移魔法も使えたら併せてサプライズ成功率アップ間違いなしとも言われているわね」
「…………レイクウッド。どこまでも恋愛至上主義」
(ニック、こっそり言ってるつもりかもしれないけど聞こえてるからな?)
「だから…メイビス王子がいつでもルマンドちゃんの位置確認ができるようになったら、もうこんな風に居場所が分からなくなって困ることもなくなるんじゃないかと思って」
それをもってメイビスへの【愛の試練】とすると母は言った。
これは元々考えていたものなのだとか。
試練という意味では今回の騒動で既に終わっていると考えてもいいのだが、やっぱり必要なスキルだと痛感したらしい。
「謹んでお受けいたします」
それに対してメイビスも殊勝に言葉を返した。
そしてここで初めて知ったんだけど、どうも父も母を側妃に迎える前にこの愛の試練とやらをクリアさせられたらしい。
その時は【転移魔法を使えるようになること】が試練内容だったとか。
今のメイビスなら使えるからそっちだったら楽だったのにな…。
「じゃあルマンドちゃん、今日はもう夜も遅くなったし泊まっていきなさいね?」
「あ、はい」
そう。森の時点ですっかり夜でその後街に戻って制裁をして戻ってきたからすっかり時刻は真夜中だ。
俺はちょっとだけ寝てたからまだ平気だけど他の面々は疲れ切っているだろう。
今日はゆっくり休んでフォルクナーには明日帰ることにしよう。
「ケインも、今日はお疲れ様。ゆっくり休んでくれよな」
「ルマンド様も大変だったのですからゆっくりお休みください。メイビス王子…お分かりですよね?」
「…わかっている」
何故かケインが釘を刺してたけど、そんなことをしなくてももう寝るのに……。
────そう思っていたのに、部屋に戻ってから疲れてるだろうと気遣ってリカバリーをメイビスに掛けたら元気になられて、そのまま押し倒された。
「ルマンド…心配した」
「うん」
────知ってる。
何度も俺の存在を確認するようにキスを繰り返してくるメイビスが愛おしい。
「殺されてたらどうしようって…怖くなった」
「ゴメンな」
ちょっと震えてるから多分本当に怖かったんだと思う。
前に暗殺されそうになってたから余計に怖かっただろうな……。
これもあのアンラックアイテムのせいじゃないよな?あれは魔物の遭遇率あげるだけで、こっちの死亡率上げてたりしないはず…。うん。リフレクション掛かってるし、そうだと信じたい。
「無事に戻ってきてくれて嬉しい」
「うん。俺もお前のところに戻ってこれてすごく嬉しい」
それから丁寧に慣らされて優しく挿れてもらって、いっぱい幸せを感じた。
「んっ…はぁ…」
「ルマンド…辛くないか?」
「うん。大丈、夫…ッ……」
「もう俺から離れないでくれ」
「うん…。んっんっ…俺も、はぁ…っ、心配かけないようにできるだけ、傍に居る…から……っ」
「……探知魔法、絶対すぐにでもマスターするから」
「無理、は…しなくて…いいん、だぞ?……ッッ!」
「お前のためなら世界の果てでも探し出せるくらい練度を上げて見せる」
「大げさだな、メイビスは…んんっ…」
「今度は俺がルマンドに愛の深さを見せつけるから……だから、待っててくれ」
結婚までには絶対完璧にしておくと言ってメイビスは艶やかに笑った。カッコ良過ぎ!
こういうところが女にモテるんだろうな。俺とは大違いだ。
でもきっとカッコいいだけじゃ俺はここまで好きにはならなかったと思う。
だってその点で言うならヒースクリフだって十分カッコいい男だし。
メイビスはカッコいいだけじゃなくて可愛いところも多々あるから俺もここまで好きになれたんじゃないかな?
俺にはない魅力を沢山持つ婚約者に俺はすっかり虜にされてる。
本当に最初はただの友情だったのに、いつの間に完全につかまってしまったんだろう?
やっぱりあのディープキスをした日?プロポーズを考えた日にはもう引き返せないほど好きだったよな?
でももしかしたら付き合うのを了承したあの日からなのかもしれない。
ロマンチックな告白は最強だったし、あの頃からメイビスは俺に弱い面をちらちら見せてくれていたから知らない内につかまっていたのかも…。
今俺はとっても幸せを感じていて、結婚式はいつになるだろうなんて考えるようになっている。
ルルに失恋した時にはこんな未来、想像すらしてなかったのに変な感じ。
メイビスの誕生祭までに三カ国分のしきたりリストを全部終わらせるってことは無理だと思うけど、せめて俺が20才になるまでには結婚できるといいな。
そして俺は大好きな婚約者に笑顔でそっとキスを贈って、沢山沢山愛された。
応援ありがとうございます!
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