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2.俺の家出先
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ここ聖フィオナーレ国含め周辺国では、どこでも大体12才までに皆が何かしらの魔法適正を顕現させる。
そしてその顕現した力は国へと書類を提出する決まりになっていて、兄は父と同じ水に適性があり、姉は母と同じ風に適性があった。
そして俺も風の適正があったのだけど、ある日それを上回る聖なる力がとある出来事を機に顕現したから驚いた。
この聖なる力というのは五百人に一人の確率で顕現するといわれている力で、その力の強さも魔力によって強さが変わる。
小さな傷を治す程度しか力を持たない者もいれば、どんな病気も癒してしまう者もいて、俺は魔力量的に死にそうなほどの大怪我をも治せる力があり、なんなら呪いも解呪できるほどのレベルで覚醒した。
そして通常一人一つの魔法適正に対して俺は二つ。
正直戸惑いを隠せなかったものの、顕現したのだからときちんと両親に報告を入れることに。
それまで俺はどちらかというと手をかけてはもらえないけど自由にさせてもらってるって感じの、どこにでもあるような次男坊の扱いだった。
大事な長男である兄は父が目を掛けていたし、可愛い娘である姉は両親と兄がこれでもかというほど可愛がっていた。
俺はそんな中シリウスと遊んでたから、特に気にはしてなかったし、それが普通だと思ってたんだ。
なのにこの報告をした日を機に、家族の目が変わってしまった。
いや。そもそも俺なんてどうでもよかったんだろう。
俺が聖なる力をエヴァンジェリンから盗ったんだという決めつけをされ、何を思ったのか国への追加報告には俺ではなくエヴァンジェリンに聖なる力が顕現したと報告されてしまった。
虚偽申告にも程がある。
なのに家族揃って俺に言うのだ。
『お前がエヴァに聖なる力を返せば済む話だ』と。
(あり得ないだろ?!)
悔しくて悲しくて、俺はその後幼馴染であるシリウスに愚痴をこぼしに行った。
そもそも聖魔法が顕現したのはシリウスが木から落ちて大怪我をした際に、泣きながら『助けたい!』と強く願ったのが切っ掛けだったから当然その力のことは知っていたし、気心が知れている相手だからこそ正直に話せたんだ。
シリウスは話を聞いて優しく慰めてくれて、『家族に愛想が尽きたらいつでも公爵家に来たらいい。俺が守ってやる!そうだ!俺のお嫁さんになれば嫌な家に帰らなくてすむぞ!』って言ってくれたんだ。
きっと子供なりに一生懸命考えてくれたんだろう。
可愛らしい子供のただの思い付きの言葉だったけど、あれは凄く俺の心の支えになったんだ。
困った時に受け入れてもらえる場所があると考えるだけで心は軽くなるものだ。
あの時は泣きながら『シリウス、大好き!』って飛びついたっけ。
だから────俺は当然のように今回の家出先をシリウスのところへ決めた。
***
シリウスは隣国のバーリッジ公爵家の次男で俺と同じ18才。
うちのアルバーニ侯爵家の領地の隣に位置するのがそのバーリッジ公爵家で、俺達は幼い時は領地を行き来してよく遊んでた。
学園もわざわざこっちの国に留学という形で来てくれて、一緒に通うことができた。
そのために王都に屋敷を買ったと聞いた時は驚いたけど、俺と一緒に学園に通うのが楽しみだというシリウスに嬉しくなったのを覚えてる。
卒業後は会う機会がなくてまだ一度も会ってないけど、まだ王都に居てくれるだろうか?
そう思って屋敷へと向かったんだけど、顔見知りの執事長に今は領地に帰っていると言われたから、手紙を出してもらうことに。
端的に言うと『そっちに行くから宜しく!』ってやつだ。
執事長はニッコリ笑顔で手紙を出すと約束してくれて、真っ直ぐ領地に向かえるよう馬車まで用意してくれた。
「ランスロット様はシリウス様の大切なお方ですから」
そんな風に言われてちょっと照れてしまったものの、もしかして執事長の中では俺って幼馴染ってだけじゃなく親友って位置づけなのかもと思った。
「ありがとう!」
そして俺が手ぶらだったのを見かねたのか、領地に行くまでの旅費と着替えとお弁当と水まで用意してもらえて、まさに至れり尽くせり。
有難くて涙が出そうだ。
この御礼は必ずしないとと思いながら俺は王都を出て、シリウスがいるバーリッジ公爵領へと向かったのだった。
そしてその顕現した力は国へと書類を提出する決まりになっていて、兄は父と同じ水に適性があり、姉は母と同じ風に適性があった。
そして俺も風の適正があったのだけど、ある日それを上回る聖なる力がとある出来事を機に顕現したから驚いた。
この聖なる力というのは五百人に一人の確率で顕現するといわれている力で、その力の強さも魔力によって強さが変わる。
小さな傷を治す程度しか力を持たない者もいれば、どんな病気も癒してしまう者もいて、俺は魔力量的に死にそうなほどの大怪我をも治せる力があり、なんなら呪いも解呪できるほどのレベルで覚醒した。
そして通常一人一つの魔法適正に対して俺は二つ。
正直戸惑いを隠せなかったものの、顕現したのだからときちんと両親に報告を入れることに。
それまで俺はどちらかというと手をかけてはもらえないけど自由にさせてもらってるって感じの、どこにでもあるような次男坊の扱いだった。
大事な長男である兄は父が目を掛けていたし、可愛い娘である姉は両親と兄がこれでもかというほど可愛がっていた。
俺はそんな中シリウスと遊んでたから、特に気にはしてなかったし、それが普通だと思ってたんだ。
なのにこの報告をした日を機に、家族の目が変わってしまった。
いや。そもそも俺なんてどうでもよかったんだろう。
俺が聖なる力をエヴァンジェリンから盗ったんだという決めつけをされ、何を思ったのか国への追加報告には俺ではなくエヴァンジェリンに聖なる力が顕現したと報告されてしまった。
虚偽申告にも程がある。
なのに家族揃って俺に言うのだ。
『お前がエヴァに聖なる力を返せば済む話だ』と。
(あり得ないだろ?!)
悔しくて悲しくて、俺はその後幼馴染であるシリウスに愚痴をこぼしに行った。
そもそも聖魔法が顕現したのはシリウスが木から落ちて大怪我をした際に、泣きながら『助けたい!』と強く願ったのが切っ掛けだったから当然その力のことは知っていたし、気心が知れている相手だからこそ正直に話せたんだ。
シリウスは話を聞いて優しく慰めてくれて、『家族に愛想が尽きたらいつでも公爵家に来たらいい。俺が守ってやる!そうだ!俺のお嫁さんになれば嫌な家に帰らなくてすむぞ!』って言ってくれたんだ。
きっと子供なりに一生懸命考えてくれたんだろう。
可愛らしい子供のただの思い付きの言葉だったけど、あれは凄く俺の心の支えになったんだ。
困った時に受け入れてもらえる場所があると考えるだけで心は軽くなるものだ。
あの時は泣きながら『シリウス、大好き!』って飛びついたっけ。
だから────俺は当然のように今回の家出先をシリウスのところへ決めた。
***
シリウスは隣国のバーリッジ公爵家の次男で俺と同じ18才。
うちのアルバーニ侯爵家の領地の隣に位置するのがそのバーリッジ公爵家で、俺達は幼い時は領地を行き来してよく遊んでた。
学園もわざわざこっちの国に留学という形で来てくれて、一緒に通うことができた。
そのために王都に屋敷を買ったと聞いた時は驚いたけど、俺と一緒に学園に通うのが楽しみだというシリウスに嬉しくなったのを覚えてる。
卒業後は会う機会がなくてまだ一度も会ってないけど、まだ王都に居てくれるだろうか?
そう思って屋敷へと向かったんだけど、顔見知りの執事長に今は領地に帰っていると言われたから、手紙を出してもらうことに。
端的に言うと『そっちに行くから宜しく!』ってやつだ。
執事長はニッコリ笑顔で手紙を出すと約束してくれて、真っ直ぐ領地に向かえるよう馬車まで用意してくれた。
「ランスロット様はシリウス様の大切なお方ですから」
そんな風に言われてちょっと照れてしまったものの、もしかして執事長の中では俺って幼馴染ってだけじゃなく親友って位置づけなのかもと思った。
「ありがとう!」
そして俺が手ぶらだったのを見かねたのか、領地に行くまでの旅費と着替えとお弁当と水まで用意してもらえて、まさに至れり尽くせり。
有難くて涙が出そうだ。
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