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第二部番外編 シュバルツ×ロイドの恋模様
14.※決着~後日談~
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今日はシュバルツとのゲームが終わったことを知らせるためにクレイを誘ってソレーユの酒場で飲むことにしていた。
やってきたのは黒魔道士の集まる酒場だ。
いつだったかアストラスでこの手の酒場を教えて貰ったので、今回はそのお返しも兼ねていた。
とは言え情報は多々集まれど、黒魔道士の質はアストラス程よくはない。
やはり魔道士の質はアストラスの方がいいのが現状なのだ。
(相変わらずレベルの低い奴ばかりだな)
例えばあっちのカウンター近くにいる黒魔道士はここの常連みたいだが、くだらない自慢話ばかりを繰り広げている。
やれ、湖の方に出た魔物を一人で狩って貴族の女に恩を売れたから専属で雇ってもらえるよう交渉しているとか、先日受けた依頼が黒魔道士5人での商人の息子拉致だったが、自分が真っ先に実行してあっさり任務を終わらせたから報酬の取り分は一人勝ちだったとか……。
(本当につまらないことばかりだ……)
本人達はそれでも楽しそうに仕事をしているのだからこちらが何か言うこともないし、こう言ったつまらない話の中に意外と重要な情報などが含まれることがあったりするので一応耳を澄ますようにはしているのだが……。
「はぁ…早くクレイと話したい……」
クレイとだったらこんなつまらない話に辟易しながら情報収集する必要はないからだ。
クレイが持ってくる話はいつも楽しくて、それこそ時間を忘れて語りたくなるものばかり。
他の黒魔道士でこれほど自分を楽しませてくれる者など、王宮ですら一人もいないだろう。
それこそクレイ以外で自分を楽しませてくれるのはライアードかシュバルツくらいのものだ。
そうして静かに酒を傾けていると、やっとクレイが酒場へと姿を見せた。
「ロイド。待たせたな」
「クレイ!なんだ?またあの嫉妬深い白魔道士に引き留められたのか?」
揶揄うようにそうやって話を振ってやると、図星だったのか苦い顔をしてしまう。
「お前と飲むって言ったら思い切りドSな顔になって、見惚れてるうちに絡めとられそうになったから必死に逃げてきた…」
「よく逃げられたな」
下手をすればそのまま流されそうな場面なのに…。
それでもこちらを優先させてくれたのが嬉しくて仕方がない。
「瞳を解放して不意打ちで魔力交流したらさすがのロックウェルもしばらく動けないからな。これで早々邪魔はしにこれないだろう」
「ああ、それはさすがに追ってこれないな」
そんな暴露話に思わず笑ってしまう。
クレイのあの極上の魔力を流し込まれてはさすがのロックウェルもひとたまりもなかっただろう。
悔しそうな姿が目に浮かんでついつい意地の悪い笑みを浮かべてしまった。
「それで?シュバルツと上手くいったんだって?」
酒を注文し幾つかの料理をつまみながらクレイがそんな風に話を切り出してくる。
「ああ。やっと私好みに育ってくれてな」
「それは良かった」
そうして笑顔で祝福してくれるクレイに自然と頬を綻ばせ、グラスをカツンと合わせ乾杯をした。
「情熱的に求められるのは本当に最高だな」
「わかる!好きだって全身で訴えられてるみたいで、黒魔道士冥利に尽きるよな」
「あそこまで惚れさせられたら確かに」
クスクスとそうして二人で笑い合う時間が何とも楽しい。
「でも白魔道士って本気でしつこくないか?シュバルツは引いてくれると前に言ってたが、ロックウェルなんか好きだからいつまででも愛でたいんだとか何とか言って結婚してから更に遠慮はなくなったし、色々道具まで持ち出して黒魔道士顔負けのテクで滅茶苦茶にしてくるし…!あんなにされたらいくら何でも死ぬ!」
「……それは私もこの間少し実感したな。引いてくれない白魔道士は本気で最悪だ。快楽地獄に突き落とされて、泣く羽目になった。屈辱だ!」
「そっちもか!相思相愛になったらそうなるのか?怖すぎるな」
そうして二人で白魔道士の愚痴を言い合っていると、向かいに座ってた黒魔道士達が笑い始めた。
どうやらこちらの話を聞いていたらしい。
「ははははっ!お前ら、白魔道士に主導権を握られてるのか?黒魔道士として情けないと思わないのか?」
ぶっちゃけ相手を知らなければその言葉は至極尤もなものではあるのだが、自分達の相手を貶められたことに対して腹立たしい気持ちになってしまう。
クレイの方もどうやら同じ気持ちだったようで、恐ろしいオーラを醸し出しながら相手の男達へと不敵な笑みを向け始めた。
「俺が心底惚れ込んだ白魔道士だぞ?その辺に転がってるただの白魔道士と一緒にするな」
「私の相手もこの一年近く手塩にかけて育てた最高の白魔道士だ。普通にお前以上のテクニックを持ち合わせている。馬鹿にするな」
「ふん。口では何とでも言えるだろう?」
「ククク…負け惜しみするなんて格好悪いな。大体白魔道士なんてちょっと組み敷いたら涙目で震えるだろうが。主導権を握られる方がおかしいだろ」
男たちの嘲りは全く止まりそうにない。
「……そう言うセリフはドSな白魔道士に出会ってからしてみろ。苦手な体位で何度も蹂躙されて悶絶してるのにちっともやめてくれなくて、息も絶え絶えになったところでギリギリのところを見計らったかのように少しだけ回復されて、そのまま朝方まで何度も弱い体位で同じように責め立てられるんだぞ?あれはどんな黒魔道士だろうと絶対に泣きが入る!」
「こっちだって一緒だ。優しく笑ってくるくせに全く遠慮なんてせず責め立ててきて…気絶しても逃がしてもらえないし、逃げる間もなく体力を削られて、そこからはギリギリの回復魔法を駆使されながらの快楽地獄だ。気持ちいいにも限度がある!テクニックを持たせた白魔道士ほどたちの悪いものはない!」
知らないから好き放題言えるのだと二人でそう言い切ってやったら場が一瞬静まり返ってしまった。
「……朝までか」
「黒魔道士を?」
「それは嫌だ……」
怒りながらの二人のセリフに周囲から少々の同情の声が上がる。
けれど別方面に興味を示す者もいて、白魔道士の恋人も楽しそうだと言い出す輩までいた。
快楽に忠実な黒魔道士らしい好奇心だ。
けれどそこで女魔道士が声を上げる。
「わかる!私もちょっとだけ白魔道士の男と付き合ったことがあるけど本当にしつこいのよ。だからこそ中途半端に手を出したら怖いわよ?」
どうやら周囲への忠告を込めて声を上げてくれたようだ。
「…!やっぱりか!」
「そうよ。しかも結婚してくれってあまりにもしつこいから、付き合ったこと自体失敗したと思って国を跨いで逃げたけど、隣国にまで追って来たからストーカーかと思って更に必死に魔法を使って痕跡を消しながら逃げたくらいなんだから!」
女魔道士はその時を思い出したのかブルっと震えて酒を煽った。
確かにそれはどこまでも追ってこられそうで怖い。
恐怖の白魔道士伝説として語られても良いのではないだろうか?
「はぁ…本当に、どうして俺は白魔道士に捕まったんだろうな」
「そうだな。好きにならなかったらいくらでも逃げられたのに……」
そうして愚痴をこぼしながら酒を傾けていると、最初に絡んできた黒魔道士がまた馬鹿にしたように笑ってきた。
「捕まる方がおかしいだろう」
「そうだな。結局黒魔道士としてお前達は三流ってことだろう?」
ハハハハと実に楽しげに笑ってくるが、この三流という言葉はとても許せるものではなかった。
正直こんな男達を落とすなど自分達には容易いことだというのに……。
カタンとクレイが立ち上がるのを見てそっと自分も同じように立ち上がる。
そしてその男たちの方へと移動すると、そのままツッ…と首筋を指の腹で撫で上げて、艶やかに微笑みその言葉を口にした。
「では……一流の黒魔道士とはどういうものか、俺に教えてはもらえないか?」
ブワッと噴き出すようなクレイの色香に男が一瞬で陥落し頬を染め上げていく。
その仕草の一つ一つが艶美で目を離すことさえできなくなるのだからすごいものだ。
結婚してから更に艶を増したのではないだろうか?
これに落ちない者がいたら見てみたいものだ。
(羨ましいな)
自分だってあんな風に遊びでいいから誘ってほしくなるではないか。
一度くらいああやって誘惑してほしかったとつい願ってしまうくらい、クレイは魅力的な魔性の笑みを浮かべていた。
「本当にな?私たちに恋人達を翻弄するすべを教えてほしいものだ……」
だからそんな叶わぬ鬱憤を晴らすように、隣に座っていた男の顎をクイッと持ち上げ誰をも魅了する小悪魔的な笑みを浮かべてやると、そちらもあっという間に自分の虜となってしまった。
本当にあっという間に落ちてしまうつまらない男達だ。
「え?あ、…うっ……」
「これくらいで煽られて勃ててるようじゃ、お前達の方こそ三流だな」
そうやって嘲笑うように言い捨てそっと男達から身を離し、今度は二人でじゃれ合いを始める。
「はぁ…クレイ。やっぱりお前と遊ぶ方がいいな」
「当然だな。こんなすぐに落ちる男達より俺と一緒に遊ぶ方がいいに決まっている」
甘く視線を絡めていくとクレイの眼差しがどこか面白そうにこちらを見遣ってくるのがたまらない。
「お前となら長々しなくても楽しめそうなのにな」
ここでこのセリフを紡いでくれるのは誘ってくれているように感じて嬉しくもあった。
「本当に。濃密で楽しい時間を過ごしながら短時間で終われそうだし…やっぱり一度くらいはお前と寝てみたかったな。夜はまだ長い。これからどこかにしけこむか?」
要するに『こんなつまらない場所はさっさと出て、場所を移して二人でゆっくり話そう』と思わせぶりに言っただけのことで、それをクレイもちゃんとわかってくれていた。
『一度くらいは寝てみたかった(もうお互いに無理だけど)』という意味の副音声を含んでいるからこの言葉は別に浮気ではない。
だから互いに了解という意味合いで笑顔で唇を合わせようとしたのだが、そこで双方の背後からグイっと引き離してくる手があった。
「…クレイ?相変わらずだな?この代償は大きいぞ?」
「……ロックウェル」
「ロイド?何を堂々と浮気発言してるのかな?」
「シュバルツか」
蒼白になるクレイとは違い、こちらは遊びを邪魔されたことでイラッとしてしまう。
裏の言葉を読めとは言わないが、上辺の言葉だけで真に受けないでほしい。
折角久方ぶりにクレイと楽しい時間を過ごそうと思っていたというのに…。
「クレイ。さっきはよくもやってくれたな?」
「そんなの、ロイドとの楽しい時間を邪魔する方が悪いんだろう?」
ロックウェルのドSな表情に僅かに怯みながらもクレイは自分は悪くないと主張している。
相変わらず隙だらけで可愛いものだ。
「ロックウェル?そんなに嫉妬深いとクレイが逃げると何度も言ってやっているだろう?」
クッと笑いながらクレイを抱き込み先程できなかったものを取り返すようにチュッと軽く口づけてやると、憤怒の表情で思い切り奪い返されてしまった。
それと同時に今度はシュバルツがこちらを引っ張りその腕の中へと抱き込んでくる。
あの男への嫌がらせの邪魔はしないでほしいのだが?
そう思って軽く睨んでやると、たちまち人の悪そうな笑みを浮かべてぼそりと耳元で囁かれた。
「ロイド?あんまり聞き分けが悪いと…ここで犯すよ?」
その言葉にカッと体が熱くなる。
実際に犯してくることはないと思うが、あの繊細な手つきで少しでも体を撫でられたらと思うとたまらない気持ちになってしまったのだ。
感じている顔を誰にも見られたくないのを知っている上でこんなセリフをここで持ち出してくるのは反則だ。
いつの間にかロックウェルのドSがうつったのではないだろうか?
腹立たしいことこの上ない。
「……ちっ。今日は諦めてやる」
「うん。わかってくれたらいいんだ」
そんなシュバルツの言葉にホッとしたのも束の間、次の言葉に固まってしまった。
「最高の白魔道士だって褒めてくれたのは嬉しいけど、その後いっぱい我慢させられたから今夜はすぐに寝られないと思ってね?」
一体いつから聞いていたというのだろう?
もしや最初からだったりするのだろうか?
先程のストーカー白魔道士の話を思い出して、思わずふるりと身が震えてしまう。
「短時間でしたらいいんだよね?濃密で楽しい時間が望みなら、その通りにしてあげる」
その言葉は恐怖以外の何物でもないではないか。
そうして蒼白になる自分にロックウェルの溜飲が下がったのを感じた。
「シュバルツ殿?そこのどうしようもない黒魔道士にしっかり教えてやってほしい。人のものには手を出すな…と」
(くそっ…!)
シュバルツに勝てなくなったのをこの男に知られたのは大きな痛手だ。
悔しくて仕方がないではないか。
「ロックウェル!ロイドを虐めるな!言っておくがお前が虐めていいのは俺だけだ」
「クレイ……」
そうしてその男の目を自分に向けさせてくれたのはいいが、その発言は迂闊すぎると言わざるを得ない。
これではドSの餌食だ。
「ああ、虐めてほしいんだな?勿論お前が望むならそうしてやるぞ?ちょうどアルバート殿に貰った玩具もあることだし、前も後ろも存分に可愛がりながら一晩中虐め倒してやろう。いつも世話になっているから腕によりをかけて選ばせていただきましたと手紙には書かれていたが…何を世話したのか、私にも教えて貰おうか?」
「ひっ…!アルバートから?!」
その言葉にクレイが蒼白になる。
どうやら有難迷惑以外の何物でもないものが最悪のタイミングで届けられてしまったらしい。
そんなクレイの姿にシュバルツは何やら訳知り顔で同情的だ。
アルバートの選定はそんなに凄いのだろうか?
「ああ楽しみだな?お前が悶えて泣き叫びながら何度も堕ちていく姿は…さぞ私の目を楽しませてくれることだろう」
そんな言葉に嫌々と泣きそうになりながら首を振るクレイが痛々しすぎる。
「さて、後始末はもちろんお前がするんだろうな?」
さすがに騒ぎが大きくなりすぎて注目を浴びすぎているため、ロックウェルがここを去る前にしっかり後始末を付けろと口にし、クレイはそれに対してふるふると震えた後自分達に何か魔法を掛け、広域魔法を発動させた。
そして一番近くにいた男の額をトンと突いてそれを波紋のように全体へと行き渡らせる。
「ほら!これでいいんだろう?!」
どうやらこの場にいた全員の記憶から先程までの自分達の会話を軒並み奪い去ったらしく、周囲の視線はあっさりと自分達から外れていった。
相変わらず器用なことをするものだと感心してしまう。
ついでにロックウェルとシュバルツの記憶からも抹消してくれればよかったのに……。
けれどそうしなかったクレイにロックウェルは満足げだった。
「本当に最悪だ!もう一人で帰る!」
クレイは怒ったように代金を卓上へと置いているが、ここから一刻も早く逃げたいと思っているのはまず間違いない。
「クレイ…!虐められすぎて逃げたくなったらすぐにソレーユまで逃げてこい。白魔道士に破れない重複結界を瞬時に展開できる魔法を開発したからいくらでもそんな男から助けてやる」
「ロイド!」
だから少しでも逃げ道を多く作ってやろうと、そうやって声を掛けてやった。
「他にも欲しい魔法があれば言ってこい!絶対に何とかしてやるから」
そんな自分にクレイはやっぱり心躍る答えをくれるのだ。
「うぅ…じゃああの黒魔道士にも使える回復魔法の改良版を考えたから今度教えてやる!自力で逃げられる体力くらいは回復できるはずだ!」
黒魔道士にも使える回復魔法────それは物凄く画期的としか言えない魔法だ。
あの微小な回復しかできない失敗作を改良したなんて一体どんな魔法式を使ったのだろうか?
詳しい話を是非聞かせてほしいのに、互いの白魔道士達がそれを許してはくれない。
「ほら、情報交換はできたしもういいだろう?」
「そうだぞ?ロイドは本当に魔法開発の話が大好きなんだから…。回復なんて私に任せてくれたらいいんだし、その話は今度でいいだろう?」
もっと話したかったのはわかるけど、今日はもう駄目だよと笑うシュバルツが腹立たしい。
「~~~~っ!本当に白魔道士なんて相手に選ぶものじゃないな!」
「…………」
そう叫んだところでシュバルツの手が自分の弱いところをスルスルと絶妙なタッチで撫で上げていった。
「……ぁんっ!」
「ロイド?…帰ろうね?」
「ふっ…うぅっ…!覚えていろ!」
もうこんな辱めを受けた場所に一秒たりともいたくはないとそのまま代金をテーブルに投げやり、シュバルツを掴んで一気に王宮へと帰る。
クレイだってそれをわかってくれているからコクリと頷いてくれていたし気にすることはない。
(本当に最悪だ!)
何が最悪かというと、シュバルツの掌の上で踊らされている自分が嫌なのだ。
ああやれば自分が素直に帰るとわかっていてやるシュバルツに腹が立って仕方がない。
「もう今日はしないから!」
だから怒りのままに帰ってすぐそう叫びシャワーへと向かったのだが、シュバルツは余裕の笑みでクスリと笑うだけだ。
「うん。じゃあ取り敢えず一緒にシャワーに行ってから考えようか」
そうやって返すシュバルツへと無視を決め込むが、きっとこのまま襲われるのだろうと少しだけ期待してしまった自分がいた。
***
「はぁ…本当に可愛いよね」
シュバルツは腕の中で溺れて蕩けてるロイドにうっとりとため息を落とした。
帰ってからシャワーを浴びるロイドに優しく言い含めながら、そのままの流れで立ちながら貫いた。
気持ちよさそうにしながらもここまではいつものロイドで、まだ少々怒っている節はあった。
けれど片足立ちで揺さぶってイッた後、両足を持ち上げて犯してやると、甘い声を上げながら抱きついてそのまま溺れていった。
本当に一度イッた後ゆっくりと犯されるのはかなり気持ちがいいらしい。
クレイもいいことを教えてくれたものだと思う。
そうして少しだけ素直になったロイドをそのままベッドへと連れていき、まだぴくぴくと震えて甘い余韻に浸っているところで一番弱い体位で貫いた。
「んあぁあああっ!」
油断しているところにこれは相当の衝撃だったのだろう。
はぁはぁと喘ぐように身を強張らせ、ガクガクと震えている。
「んひっ…く…んん……」
焦点が合わぬままイき続けるロイドをそのまま蹂躙してやる。
「あっあぁあっ!あんっあんっ!あっあっ……あ────ッ!」
そして奥を抉るように何度も突き上げてやるとロイドはそのまま激しく痙攣しながら落ちてしまった。
「あ…あぅう……」
全身を硬直させて飛ぶロイドは本気で可愛い。
こんな姿を見せてくれたのだからこれで先程の浮気未遂は許してあげようかなとクスリと笑い、そっと回復魔法を口にした。
とは言え気付け程度に軽めにかけたのには理由がある。
ここで強くかけすぎると体がスッキリしすぎて折角イッた余韻が残らないからだ。
少し震えているくらいがちょうどいい。
「ロイドはここからがいいんだもんね?」
「ふぁっ…!」
この奥にあるヒクつくところがロイドも自分も大好きなのだ。
ちゅぽちゅぽと吸い付いてくる感じが何とも言い難くてつい夢中になってしまう。
最初は小刻みに。
それから徐々に動きを大きくして、弱いところを重点的に責め立てる。
「あ、あぁっ!」
トロトロに蕩け切って、虚ろな目でただ嬌声を上げ続けるロイドは本当に可愛すぎてたまらない。
身も心も素直になったこの状態ではロイドは絶対に怒らないのを誰よりも知っている。
寧ろ中途半端な方がプライドが勝つせいでロイドの文句は出やすいのだ。
ここまで溶かせば文句なんて出たことはない。
それはつまり、ここまでされるのがロイドの好みと言うことに他ならないのだろう。
その証拠に中がもっとと言うように自分を求めてくれるのを嫌と言うほど感じてしまうのだから。
ヒクンヒクンと震えていた中が突き上げられるたびに喜びを表し、徐々にきゅうぅと限界を訴えてくる。
「んんっ!んんんっ!」
「ロイド。声、我慢しなくていいから抱きついて?」
「んぁあっ!シュバ、シュバル…ツ…ふあっ!あっあっあっ!」
「うん。もう欲しいんだよね?」
早く出してほしいと言わんばかりに縋りつくこの瞬間がたまらない。
だから思い切りロイドの大好きな奥に突き込んでやると、甲高い嬌声を上げながら背を仰け反らせ達してしまった。
それに伴い思い切り締め付けられてこちらも最高に気持ちよくなりながら奥へと勢いよく飛沫を放つ。
「ああもう本当に最高だ……」
ビクビクと激しく震え放心状態になっているロイドは何度見てもいい。
自分がこうして溺れさせたのだと実感できるからだ。
そうして余韻に浸っていたのだが、ふと思い立ってその言葉を口にしてみた。
「そうだ、ロイド。今日はもう少しだけいいことしようか?まだ2回目だしいいよね?」
ロイドの様子は既に限界のようにも感じるが、短時間で濃厚な時間がいいと言っていたから別段怒られることもないだろうと考えそのままそっとロイドの身体を抱き起して互いに向き合う形の座位へと移行する。
「あんんっ…」
回復魔法を掛けていないせいでクタリとなっているロイドはまだ意識がはっきりしていない。
けれど体位が変わったことで感じたのか吐息交じりの甘い声を零した。
そんなロイドの腰をしっかりと支えゆらゆらと揺らしていくと、先程イッたばかりなのですぐさま体が敏感に反応し始めた。
「あ…あぁあ……」
「二回連続で意識を飛ばしたことは何度もあるけど、三回連続はないもんね?今日は挑戦してみようね?」
最早蕩け切っているロイドは自分が何をされているのかもわかっていないだろう。
ちゅくちゅくと深く口づけながらふるふると快楽に溺れ続けるロイドをそのまま抱え上げ、また立ち上がってきた己の楔で弱いところをコツコツと軽く突いてやる。
「はぁうっ!あんっあぁんっ!」
先程の余韻で開き切った奥が気持ちよさそうに震えていて、なんだかいつもと違うように感じられた。
(ここ…本当に最高なんだよな……)
うっとりしながらズボズボとそこを何度も犯してやると、ぎゅうぎゅうと締め付けながらロイドが綺麗な涙をこぼす。
「あぁあっ!はぁんっ!」
「ロイド…気持ちいい?」
「んぅ…!はぁはぁ…ッ!あぁっあぁっ!」
そうして身をくねらせ踊るように乱れるロイドに夢中になりながら奥を突き上げていたところで、暫くしてまるで形を覚えたとでもいうように先がツポンとそこへと嵌り込んだ。
「ひやあぁああああっ!」
その瞬間、ロイドが一際大きな声で叫びをあげる。
(なにこれ…凄い!)
そして気持ち良すぎたのかギュウゥ!と締め付けながら腰を突き出し、ロイドはそのまま声なき声を上げながらハクハクと喘いだ。
「うっ…ロイド…待って!ごめん!」
あまりの締めつけに耐えきれず思い切り中へと放つが、ロイドは戦慄くようにしながら完全に落ちてしまい、その顔色に驚いて慌てて身を離した。
ロイドの顔色がすごく悪くていつもと様子が違ったのと、そこで突如ザワッとロイドの眷属達が動くのを感じたせいで焦りに輪がかかる。
「ロイドッ!」
これはマズいと呼吸が止まっていないかすぐさま確認し、慌てて強めの回復魔法を掛けてそっと揺り起こして無事を確認する。
「うっ…ぅん…」
「ロイド!大丈夫か?!」
「ん…シュバル…ツ?」
「ごめん。ちょっとやり過ぎたみたいだ。無事でよかった…」
「……何をやらかしたんだお前は?」
少し気怠げで辛そうだがいつものように偉そうなロイドが戻ってきてホッと安堵し、そのまま強く抱きしめた。
「ロイド…本当に良かった。思わず殺してしまったのかと思ってかなり焦った」
「…………勝手に殺すな。道理で眷属達が落ち着かないわけだ。勢いでこいつらに殺されなくてよかったな?」
酷い抱き方はしないと言ったくせにと胡乱な目でこちらを見てくるロイドに、やっぱり少々やりすぎてしまったようだと反省してしまう。
こればかりは本当にまずかったと思う。
多分眷属が騒ぐからには相当危険な状況だったのだろう。
さすがに愛している相手を殺す気はないし、眷属達に恨まれて殺されるのも御免だ。
「うん。今度から気を付ける。短時間で濃密な時間というのはまだ私には難しそうだし、慣れるまで時間を掛けて色々試してもいいかな?」
「…………そうだな。意識がある中で適切な範囲でしてくれるなら別に構わない」
「そう?良かった」
思ったよりも冷静な言葉にホッと安堵の息を吐く。
どうやら意識のない時に勝手に腹上死させられるのはごめんだと思っての条件らしいが、それくらいなら許容範囲内だ。
それよりも怖がられたりもうしないと言われなくて心底良かったと思う。
「ロイドのここも私の形を覚えてくれたようだし、ちょっとずつ奥を慣らしていこうね?」
どうも相性が良すぎるようだし、激しくする時は感じすぎて呼吸困難にならないよう細やかなケアを念頭に置いた方が良さそうだ。
もっと回復のタイミングをしっかり見定めないといけないと実感した。
そうしたらきっともっとロイドの体を開発できるはずと思っての言葉だったのだが、言われたロイドの方は今にも逃げ出しそうな顔をしていた。
「…………これが信用はしていても信頼はできないというやつか?」
「ええっ?!そんなに不安そうにしなくても大丈夫だ。本当に死なせたりしない!万が一呼吸が止まってもちゃんと蘇生魔法で生き返らせるから!回復魔法の方ももっと細かく精度を上げておくし、安心して?」
「……私は今日ほどお前が怖いと思ったことはないぞ?」
「またまた。ロイドに怖いものなんてないくせに」
そうして無邪気に笑ってやったら、そのまま固まってしまった。
どうしてだろう?
自分は白魔道士としてトルテッティでも高位だと自負しているし、安心してくれていいのに。
(こんなに不安にさせるなら念のため蘇生魔法の復習もしておこうかな。トルテッティから持ってきてた本に書いてあったはずだし。とりあえずその辺にいる蛙や鳥でも使って実践しておくか)
そんな自分にロイドが内心『誤解の浮気未遂で腹上死させられたらたまらない!』と思っていたなんて思いもよらなかった。
その後少しだけ発言に気を付けてくれるようになったロイドに喜んだのは言うまでもない。
────────────────
※補足
逃げて~!って感じのオチですが、惚れた弱みでもう逃げられないから仕方なく諦めたロイドです。
実はロックウェルよりもある意味怖い、白魔道士の国出身のシュバルツなのでした。
本人はあまり意識してないですが、トルテッティ国は本当に闇が深いので多少なりとも影響を受けています。
忘れられてるとは思いますが、国主体で黒魔道士を奴隷にするために裏で魔法を研究したり諸々やってますので。
魔法での洗脳も影渡り時拘束も全部そういう観点から作られたものだったりします。
それ故に王族だけではなくほとんどの者達が白魔道士至上主義者で、内実シュバルツがロイドに惚れこんでいるのも国としてあまり歓迎されてはいません。
単純に王族の言うことには口出ししないというトルテッティ独自のルールがあるため周囲から表立って反対されないだけなのです。
ちなみに蘇生魔法等、トルテッティにしか存在しない白魔法も沢山あったりするので、ロックウェルなんかが知ったらきっと驚くことでしょう。
次回、ロイドVSシュバルツ父の戦いで第二部が一区切りとなります。
お付き合いいただける方は最後までお付き合いいただけたら嬉しいです(^-^)
やってきたのは黒魔道士の集まる酒場だ。
いつだったかアストラスでこの手の酒場を教えて貰ったので、今回はそのお返しも兼ねていた。
とは言え情報は多々集まれど、黒魔道士の質はアストラス程よくはない。
やはり魔道士の質はアストラスの方がいいのが現状なのだ。
(相変わらずレベルの低い奴ばかりだな)
例えばあっちのカウンター近くにいる黒魔道士はここの常連みたいだが、くだらない自慢話ばかりを繰り広げている。
やれ、湖の方に出た魔物を一人で狩って貴族の女に恩を売れたから専属で雇ってもらえるよう交渉しているとか、先日受けた依頼が黒魔道士5人での商人の息子拉致だったが、自分が真っ先に実行してあっさり任務を終わらせたから報酬の取り分は一人勝ちだったとか……。
(本当につまらないことばかりだ……)
本人達はそれでも楽しそうに仕事をしているのだからこちらが何か言うこともないし、こう言ったつまらない話の中に意外と重要な情報などが含まれることがあったりするので一応耳を澄ますようにはしているのだが……。
「はぁ…早くクレイと話したい……」
クレイとだったらこんなつまらない話に辟易しながら情報収集する必要はないからだ。
クレイが持ってくる話はいつも楽しくて、それこそ時間を忘れて語りたくなるものばかり。
他の黒魔道士でこれほど自分を楽しませてくれる者など、王宮ですら一人もいないだろう。
それこそクレイ以外で自分を楽しませてくれるのはライアードかシュバルツくらいのものだ。
そうして静かに酒を傾けていると、やっとクレイが酒場へと姿を見せた。
「ロイド。待たせたな」
「クレイ!なんだ?またあの嫉妬深い白魔道士に引き留められたのか?」
揶揄うようにそうやって話を振ってやると、図星だったのか苦い顔をしてしまう。
「お前と飲むって言ったら思い切りドSな顔になって、見惚れてるうちに絡めとられそうになったから必死に逃げてきた…」
「よく逃げられたな」
下手をすればそのまま流されそうな場面なのに…。
それでもこちらを優先させてくれたのが嬉しくて仕方がない。
「瞳を解放して不意打ちで魔力交流したらさすがのロックウェルもしばらく動けないからな。これで早々邪魔はしにこれないだろう」
「ああ、それはさすがに追ってこれないな」
そんな暴露話に思わず笑ってしまう。
クレイのあの極上の魔力を流し込まれてはさすがのロックウェルもひとたまりもなかっただろう。
悔しそうな姿が目に浮かんでついつい意地の悪い笑みを浮かべてしまった。
「それで?シュバルツと上手くいったんだって?」
酒を注文し幾つかの料理をつまみながらクレイがそんな風に話を切り出してくる。
「ああ。やっと私好みに育ってくれてな」
「それは良かった」
そうして笑顔で祝福してくれるクレイに自然と頬を綻ばせ、グラスをカツンと合わせ乾杯をした。
「情熱的に求められるのは本当に最高だな」
「わかる!好きだって全身で訴えられてるみたいで、黒魔道士冥利に尽きるよな」
「あそこまで惚れさせられたら確かに」
クスクスとそうして二人で笑い合う時間が何とも楽しい。
「でも白魔道士って本気でしつこくないか?シュバルツは引いてくれると前に言ってたが、ロックウェルなんか好きだからいつまででも愛でたいんだとか何とか言って結婚してから更に遠慮はなくなったし、色々道具まで持ち出して黒魔道士顔負けのテクで滅茶苦茶にしてくるし…!あんなにされたらいくら何でも死ぬ!」
「……それは私もこの間少し実感したな。引いてくれない白魔道士は本気で最悪だ。快楽地獄に突き落とされて、泣く羽目になった。屈辱だ!」
「そっちもか!相思相愛になったらそうなるのか?怖すぎるな」
そうして二人で白魔道士の愚痴を言い合っていると、向かいに座ってた黒魔道士達が笑い始めた。
どうやらこちらの話を聞いていたらしい。
「ははははっ!お前ら、白魔道士に主導権を握られてるのか?黒魔道士として情けないと思わないのか?」
ぶっちゃけ相手を知らなければその言葉は至極尤もなものではあるのだが、自分達の相手を貶められたことに対して腹立たしい気持ちになってしまう。
クレイの方もどうやら同じ気持ちだったようで、恐ろしいオーラを醸し出しながら相手の男達へと不敵な笑みを向け始めた。
「俺が心底惚れ込んだ白魔道士だぞ?その辺に転がってるただの白魔道士と一緒にするな」
「私の相手もこの一年近く手塩にかけて育てた最高の白魔道士だ。普通にお前以上のテクニックを持ち合わせている。馬鹿にするな」
「ふん。口では何とでも言えるだろう?」
「ククク…負け惜しみするなんて格好悪いな。大体白魔道士なんてちょっと組み敷いたら涙目で震えるだろうが。主導権を握られる方がおかしいだろ」
男たちの嘲りは全く止まりそうにない。
「……そう言うセリフはドSな白魔道士に出会ってからしてみろ。苦手な体位で何度も蹂躙されて悶絶してるのにちっともやめてくれなくて、息も絶え絶えになったところでギリギリのところを見計らったかのように少しだけ回復されて、そのまま朝方まで何度も弱い体位で同じように責め立てられるんだぞ?あれはどんな黒魔道士だろうと絶対に泣きが入る!」
「こっちだって一緒だ。優しく笑ってくるくせに全く遠慮なんてせず責め立ててきて…気絶しても逃がしてもらえないし、逃げる間もなく体力を削られて、そこからはギリギリの回復魔法を駆使されながらの快楽地獄だ。気持ちいいにも限度がある!テクニックを持たせた白魔道士ほどたちの悪いものはない!」
知らないから好き放題言えるのだと二人でそう言い切ってやったら場が一瞬静まり返ってしまった。
「……朝までか」
「黒魔道士を?」
「それは嫌だ……」
怒りながらの二人のセリフに周囲から少々の同情の声が上がる。
けれど別方面に興味を示す者もいて、白魔道士の恋人も楽しそうだと言い出す輩までいた。
快楽に忠実な黒魔道士らしい好奇心だ。
けれどそこで女魔道士が声を上げる。
「わかる!私もちょっとだけ白魔道士の男と付き合ったことがあるけど本当にしつこいのよ。だからこそ中途半端に手を出したら怖いわよ?」
どうやら周囲への忠告を込めて声を上げてくれたようだ。
「…!やっぱりか!」
「そうよ。しかも結婚してくれってあまりにもしつこいから、付き合ったこと自体失敗したと思って国を跨いで逃げたけど、隣国にまで追って来たからストーカーかと思って更に必死に魔法を使って痕跡を消しながら逃げたくらいなんだから!」
女魔道士はその時を思い出したのかブルっと震えて酒を煽った。
確かにそれはどこまでも追ってこられそうで怖い。
恐怖の白魔道士伝説として語られても良いのではないだろうか?
「はぁ…本当に、どうして俺は白魔道士に捕まったんだろうな」
「そうだな。好きにならなかったらいくらでも逃げられたのに……」
そうして愚痴をこぼしながら酒を傾けていると、最初に絡んできた黒魔道士がまた馬鹿にしたように笑ってきた。
「捕まる方がおかしいだろう」
「そうだな。結局黒魔道士としてお前達は三流ってことだろう?」
ハハハハと実に楽しげに笑ってくるが、この三流という言葉はとても許せるものではなかった。
正直こんな男達を落とすなど自分達には容易いことだというのに……。
カタンとクレイが立ち上がるのを見てそっと自分も同じように立ち上がる。
そしてその男たちの方へと移動すると、そのままツッ…と首筋を指の腹で撫で上げて、艶やかに微笑みその言葉を口にした。
「では……一流の黒魔道士とはどういうものか、俺に教えてはもらえないか?」
ブワッと噴き出すようなクレイの色香に男が一瞬で陥落し頬を染め上げていく。
その仕草の一つ一つが艶美で目を離すことさえできなくなるのだからすごいものだ。
結婚してから更に艶を増したのではないだろうか?
これに落ちない者がいたら見てみたいものだ。
(羨ましいな)
自分だってあんな風に遊びでいいから誘ってほしくなるではないか。
一度くらいああやって誘惑してほしかったとつい願ってしまうくらい、クレイは魅力的な魔性の笑みを浮かべていた。
「本当にな?私たちに恋人達を翻弄するすべを教えてほしいものだ……」
だからそんな叶わぬ鬱憤を晴らすように、隣に座っていた男の顎をクイッと持ち上げ誰をも魅了する小悪魔的な笑みを浮かべてやると、そちらもあっという間に自分の虜となってしまった。
本当にあっという間に落ちてしまうつまらない男達だ。
「え?あ、…うっ……」
「これくらいで煽られて勃ててるようじゃ、お前達の方こそ三流だな」
そうやって嘲笑うように言い捨てそっと男達から身を離し、今度は二人でじゃれ合いを始める。
「はぁ…クレイ。やっぱりお前と遊ぶ方がいいな」
「当然だな。こんなすぐに落ちる男達より俺と一緒に遊ぶ方がいいに決まっている」
甘く視線を絡めていくとクレイの眼差しがどこか面白そうにこちらを見遣ってくるのがたまらない。
「お前となら長々しなくても楽しめそうなのにな」
ここでこのセリフを紡いでくれるのは誘ってくれているように感じて嬉しくもあった。
「本当に。濃密で楽しい時間を過ごしながら短時間で終われそうだし…やっぱり一度くらいはお前と寝てみたかったな。夜はまだ長い。これからどこかにしけこむか?」
要するに『こんなつまらない場所はさっさと出て、場所を移して二人でゆっくり話そう』と思わせぶりに言っただけのことで、それをクレイもちゃんとわかってくれていた。
『一度くらいは寝てみたかった(もうお互いに無理だけど)』という意味の副音声を含んでいるからこの言葉は別に浮気ではない。
だから互いに了解という意味合いで笑顔で唇を合わせようとしたのだが、そこで双方の背後からグイっと引き離してくる手があった。
「…クレイ?相変わらずだな?この代償は大きいぞ?」
「……ロックウェル」
「ロイド?何を堂々と浮気発言してるのかな?」
「シュバルツか」
蒼白になるクレイとは違い、こちらは遊びを邪魔されたことでイラッとしてしまう。
裏の言葉を読めとは言わないが、上辺の言葉だけで真に受けないでほしい。
折角久方ぶりにクレイと楽しい時間を過ごそうと思っていたというのに…。
「クレイ。さっきはよくもやってくれたな?」
「そんなの、ロイドとの楽しい時間を邪魔する方が悪いんだろう?」
ロックウェルのドSな表情に僅かに怯みながらもクレイは自分は悪くないと主張している。
相変わらず隙だらけで可愛いものだ。
「ロックウェル?そんなに嫉妬深いとクレイが逃げると何度も言ってやっているだろう?」
クッと笑いながらクレイを抱き込み先程できなかったものを取り返すようにチュッと軽く口づけてやると、憤怒の表情で思い切り奪い返されてしまった。
それと同時に今度はシュバルツがこちらを引っ張りその腕の中へと抱き込んでくる。
あの男への嫌がらせの邪魔はしないでほしいのだが?
そう思って軽く睨んでやると、たちまち人の悪そうな笑みを浮かべてぼそりと耳元で囁かれた。
「ロイド?あんまり聞き分けが悪いと…ここで犯すよ?」
その言葉にカッと体が熱くなる。
実際に犯してくることはないと思うが、あの繊細な手つきで少しでも体を撫でられたらと思うとたまらない気持ちになってしまったのだ。
感じている顔を誰にも見られたくないのを知っている上でこんなセリフをここで持ち出してくるのは反則だ。
いつの間にかロックウェルのドSがうつったのではないだろうか?
腹立たしいことこの上ない。
「……ちっ。今日は諦めてやる」
「うん。わかってくれたらいいんだ」
そんなシュバルツの言葉にホッとしたのも束の間、次の言葉に固まってしまった。
「最高の白魔道士だって褒めてくれたのは嬉しいけど、その後いっぱい我慢させられたから今夜はすぐに寝られないと思ってね?」
一体いつから聞いていたというのだろう?
もしや最初からだったりするのだろうか?
先程のストーカー白魔道士の話を思い出して、思わずふるりと身が震えてしまう。
「短時間でしたらいいんだよね?濃密で楽しい時間が望みなら、その通りにしてあげる」
その言葉は恐怖以外の何物でもないではないか。
そうして蒼白になる自分にロックウェルの溜飲が下がったのを感じた。
「シュバルツ殿?そこのどうしようもない黒魔道士にしっかり教えてやってほしい。人のものには手を出すな…と」
(くそっ…!)
シュバルツに勝てなくなったのをこの男に知られたのは大きな痛手だ。
悔しくて仕方がないではないか。
「ロックウェル!ロイドを虐めるな!言っておくがお前が虐めていいのは俺だけだ」
「クレイ……」
そうしてその男の目を自分に向けさせてくれたのはいいが、その発言は迂闊すぎると言わざるを得ない。
これではドSの餌食だ。
「ああ、虐めてほしいんだな?勿論お前が望むならそうしてやるぞ?ちょうどアルバート殿に貰った玩具もあることだし、前も後ろも存分に可愛がりながら一晩中虐め倒してやろう。いつも世話になっているから腕によりをかけて選ばせていただきましたと手紙には書かれていたが…何を世話したのか、私にも教えて貰おうか?」
「ひっ…!アルバートから?!」
その言葉にクレイが蒼白になる。
どうやら有難迷惑以外の何物でもないものが最悪のタイミングで届けられてしまったらしい。
そんなクレイの姿にシュバルツは何やら訳知り顔で同情的だ。
アルバートの選定はそんなに凄いのだろうか?
「ああ楽しみだな?お前が悶えて泣き叫びながら何度も堕ちていく姿は…さぞ私の目を楽しませてくれることだろう」
そんな言葉に嫌々と泣きそうになりながら首を振るクレイが痛々しすぎる。
「さて、後始末はもちろんお前がするんだろうな?」
さすがに騒ぎが大きくなりすぎて注目を浴びすぎているため、ロックウェルがここを去る前にしっかり後始末を付けろと口にし、クレイはそれに対してふるふると震えた後自分達に何か魔法を掛け、広域魔法を発動させた。
そして一番近くにいた男の額をトンと突いてそれを波紋のように全体へと行き渡らせる。
「ほら!これでいいんだろう?!」
どうやらこの場にいた全員の記憶から先程までの自分達の会話を軒並み奪い去ったらしく、周囲の視線はあっさりと自分達から外れていった。
相変わらず器用なことをするものだと感心してしまう。
ついでにロックウェルとシュバルツの記憶からも抹消してくれればよかったのに……。
けれどそうしなかったクレイにロックウェルは満足げだった。
「本当に最悪だ!もう一人で帰る!」
クレイは怒ったように代金を卓上へと置いているが、ここから一刻も早く逃げたいと思っているのはまず間違いない。
「クレイ…!虐められすぎて逃げたくなったらすぐにソレーユまで逃げてこい。白魔道士に破れない重複結界を瞬時に展開できる魔法を開発したからいくらでもそんな男から助けてやる」
「ロイド!」
だから少しでも逃げ道を多く作ってやろうと、そうやって声を掛けてやった。
「他にも欲しい魔法があれば言ってこい!絶対に何とかしてやるから」
そんな自分にクレイはやっぱり心躍る答えをくれるのだ。
「うぅ…じゃああの黒魔道士にも使える回復魔法の改良版を考えたから今度教えてやる!自力で逃げられる体力くらいは回復できるはずだ!」
黒魔道士にも使える回復魔法────それは物凄く画期的としか言えない魔法だ。
あの微小な回復しかできない失敗作を改良したなんて一体どんな魔法式を使ったのだろうか?
詳しい話を是非聞かせてほしいのに、互いの白魔道士達がそれを許してはくれない。
「ほら、情報交換はできたしもういいだろう?」
「そうだぞ?ロイドは本当に魔法開発の話が大好きなんだから…。回復なんて私に任せてくれたらいいんだし、その話は今度でいいだろう?」
もっと話したかったのはわかるけど、今日はもう駄目だよと笑うシュバルツが腹立たしい。
「~~~~っ!本当に白魔道士なんて相手に選ぶものじゃないな!」
「…………」
そう叫んだところでシュバルツの手が自分の弱いところをスルスルと絶妙なタッチで撫で上げていった。
「……ぁんっ!」
「ロイド?…帰ろうね?」
「ふっ…うぅっ…!覚えていろ!」
もうこんな辱めを受けた場所に一秒たりともいたくはないとそのまま代金をテーブルに投げやり、シュバルツを掴んで一気に王宮へと帰る。
クレイだってそれをわかってくれているからコクリと頷いてくれていたし気にすることはない。
(本当に最悪だ!)
何が最悪かというと、シュバルツの掌の上で踊らされている自分が嫌なのだ。
ああやれば自分が素直に帰るとわかっていてやるシュバルツに腹が立って仕方がない。
「もう今日はしないから!」
だから怒りのままに帰ってすぐそう叫びシャワーへと向かったのだが、シュバルツは余裕の笑みでクスリと笑うだけだ。
「うん。じゃあ取り敢えず一緒にシャワーに行ってから考えようか」
そうやって返すシュバルツへと無視を決め込むが、きっとこのまま襲われるのだろうと少しだけ期待してしまった自分がいた。
***
「はぁ…本当に可愛いよね」
シュバルツは腕の中で溺れて蕩けてるロイドにうっとりとため息を落とした。
帰ってからシャワーを浴びるロイドに優しく言い含めながら、そのままの流れで立ちながら貫いた。
気持ちよさそうにしながらもここまではいつものロイドで、まだ少々怒っている節はあった。
けれど片足立ちで揺さぶってイッた後、両足を持ち上げて犯してやると、甘い声を上げながら抱きついてそのまま溺れていった。
本当に一度イッた後ゆっくりと犯されるのはかなり気持ちがいいらしい。
クレイもいいことを教えてくれたものだと思う。
そうして少しだけ素直になったロイドをそのままベッドへと連れていき、まだぴくぴくと震えて甘い余韻に浸っているところで一番弱い体位で貫いた。
「んあぁあああっ!」
油断しているところにこれは相当の衝撃だったのだろう。
はぁはぁと喘ぐように身を強張らせ、ガクガクと震えている。
「んひっ…く…んん……」
焦点が合わぬままイき続けるロイドをそのまま蹂躙してやる。
「あっあぁあっ!あんっあんっ!あっあっ……あ────ッ!」
そして奥を抉るように何度も突き上げてやるとロイドはそのまま激しく痙攣しながら落ちてしまった。
「あ…あぅう……」
全身を硬直させて飛ぶロイドは本気で可愛い。
こんな姿を見せてくれたのだからこれで先程の浮気未遂は許してあげようかなとクスリと笑い、そっと回復魔法を口にした。
とは言え気付け程度に軽めにかけたのには理由がある。
ここで強くかけすぎると体がスッキリしすぎて折角イッた余韻が残らないからだ。
少し震えているくらいがちょうどいい。
「ロイドはここからがいいんだもんね?」
「ふぁっ…!」
この奥にあるヒクつくところがロイドも自分も大好きなのだ。
ちゅぽちゅぽと吸い付いてくる感じが何とも言い難くてつい夢中になってしまう。
最初は小刻みに。
それから徐々に動きを大きくして、弱いところを重点的に責め立てる。
「あ、あぁっ!」
トロトロに蕩け切って、虚ろな目でただ嬌声を上げ続けるロイドは本当に可愛すぎてたまらない。
身も心も素直になったこの状態ではロイドは絶対に怒らないのを誰よりも知っている。
寧ろ中途半端な方がプライドが勝つせいでロイドの文句は出やすいのだ。
ここまで溶かせば文句なんて出たことはない。
それはつまり、ここまでされるのがロイドの好みと言うことに他ならないのだろう。
その証拠に中がもっとと言うように自分を求めてくれるのを嫌と言うほど感じてしまうのだから。
ヒクンヒクンと震えていた中が突き上げられるたびに喜びを表し、徐々にきゅうぅと限界を訴えてくる。
「んんっ!んんんっ!」
「ロイド。声、我慢しなくていいから抱きついて?」
「んぁあっ!シュバ、シュバル…ツ…ふあっ!あっあっあっ!」
「うん。もう欲しいんだよね?」
早く出してほしいと言わんばかりに縋りつくこの瞬間がたまらない。
だから思い切りロイドの大好きな奥に突き込んでやると、甲高い嬌声を上げながら背を仰け反らせ達してしまった。
それに伴い思い切り締め付けられてこちらも最高に気持ちよくなりながら奥へと勢いよく飛沫を放つ。
「ああもう本当に最高だ……」
ビクビクと激しく震え放心状態になっているロイドは何度見てもいい。
自分がこうして溺れさせたのだと実感できるからだ。
そうして余韻に浸っていたのだが、ふと思い立ってその言葉を口にしてみた。
「そうだ、ロイド。今日はもう少しだけいいことしようか?まだ2回目だしいいよね?」
ロイドの様子は既に限界のようにも感じるが、短時間で濃厚な時間がいいと言っていたから別段怒られることもないだろうと考えそのままそっとロイドの身体を抱き起して互いに向き合う形の座位へと移行する。
「あんんっ…」
回復魔法を掛けていないせいでクタリとなっているロイドはまだ意識がはっきりしていない。
けれど体位が変わったことで感じたのか吐息交じりの甘い声を零した。
そんなロイドの腰をしっかりと支えゆらゆらと揺らしていくと、先程イッたばかりなのですぐさま体が敏感に反応し始めた。
「あ…あぁあ……」
「二回連続で意識を飛ばしたことは何度もあるけど、三回連続はないもんね?今日は挑戦してみようね?」
最早蕩け切っているロイドは自分が何をされているのかもわかっていないだろう。
ちゅくちゅくと深く口づけながらふるふると快楽に溺れ続けるロイドをそのまま抱え上げ、また立ち上がってきた己の楔で弱いところをコツコツと軽く突いてやる。
「はぁうっ!あんっあぁんっ!」
先程の余韻で開き切った奥が気持ちよさそうに震えていて、なんだかいつもと違うように感じられた。
(ここ…本当に最高なんだよな……)
うっとりしながらズボズボとそこを何度も犯してやると、ぎゅうぎゅうと締め付けながらロイドが綺麗な涙をこぼす。
「あぁあっ!はぁんっ!」
「ロイド…気持ちいい?」
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そうして身をくねらせ踊るように乱れるロイドに夢中になりながら奥を突き上げていたところで、暫くしてまるで形を覚えたとでもいうように先がツポンとそこへと嵌り込んだ。
「ひやあぁああああっ!」
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(なにこれ…凄い!)
そして気持ち良すぎたのかギュウゥ!と締め付けながら腰を突き出し、ロイドはそのまま声なき声を上げながらハクハクと喘いだ。
「うっ…ロイド…待って!ごめん!」
あまりの締めつけに耐えきれず思い切り中へと放つが、ロイドは戦慄くようにしながら完全に落ちてしまい、その顔色に驚いて慌てて身を離した。
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「ロイドッ!」
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「うっ…ぅん…」
「ロイド!大丈夫か?!」
「ん…シュバル…ツ?」
「ごめん。ちょっとやり過ぎたみたいだ。無事でよかった…」
「……何をやらかしたんだお前は?」
少し気怠げで辛そうだがいつものように偉そうなロイドが戻ってきてホッと安堵し、そのまま強く抱きしめた。
「ロイド…本当に良かった。思わず殺してしまったのかと思ってかなり焦った」
「…………勝手に殺すな。道理で眷属達が落ち着かないわけだ。勢いでこいつらに殺されなくてよかったな?」
酷い抱き方はしないと言ったくせにと胡乱な目でこちらを見てくるロイドに、やっぱり少々やりすぎてしまったようだと反省してしまう。
こればかりは本当にまずかったと思う。
多分眷属が騒ぐからには相当危険な状況だったのだろう。
さすがに愛している相手を殺す気はないし、眷属達に恨まれて殺されるのも御免だ。
「うん。今度から気を付ける。短時間で濃密な時間というのはまだ私には難しそうだし、慣れるまで時間を掛けて色々試してもいいかな?」
「…………そうだな。意識がある中で適切な範囲でしてくれるなら別に構わない」
「そう?良かった」
思ったよりも冷静な言葉にホッと安堵の息を吐く。
どうやら意識のない時に勝手に腹上死させられるのはごめんだと思っての条件らしいが、それくらいなら許容範囲内だ。
それよりも怖がられたりもうしないと言われなくて心底良かったと思う。
「ロイドのここも私の形を覚えてくれたようだし、ちょっとずつ奥を慣らしていこうね?」
どうも相性が良すぎるようだし、激しくする時は感じすぎて呼吸困難にならないよう細やかなケアを念頭に置いた方が良さそうだ。
もっと回復のタイミングをしっかり見定めないといけないと実感した。
そうしたらきっともっとロイドの体を開発できるはずと思っての言葉だったのだが、言われたロイドの方は今にも逃げ出しそうな顔をしていた。
「…………これが信用はしていても信頼はできないというやつか?」
「ええっ?!そんなに不安そうにしなくても大丈夫だ。本当に死なせたりしない!万が一呼吸が止まってもちゃんと蘇生魔法で生き返らせるから!回復魔法の方ももっと細かく精度を上げておくし、安心して?」
「……私は今日ほどお前が怖いと思ったことはないぞ?」
「またまた。ロイドに怖いものなんてないくせに」
そうして無邪気に笑ってやったら、そのまま固まってしまった。
どうしてだろう?
自分は白魔道士としてトルテッティでも高位だと自負しているし、安心してくれていいのに。
(こんなに不安にさせるなら念のため蘇生魔法の復習もしておこうかな。トルテッティから持ってきてた本に書いてあったはずだし。とりあえずその辺にいる蛙や鳥でも使って実践しておくか)
そんな自分にロイドが内心『誤解の浮気未遂で腹上死させられたらたまらない!』と思っていたなんて思いもよらなかった。
その後少しだけ発言に気を付けてくれるようになったロイドに喜んだのは言うまでもない。
────────────────
※補足
逃げて~!って感じのオチですが、惚れた弱みでもう逃げられないから仕方なく諦めたロイドです。
実はロックウェルよりもある意味怖い、白魔道士の国出身のシュバルツなのでした。
本人はあまり意識してないですが、トルテッティ国は本当に闇が深いので多少なりとも影響を受けています。
忘れられてるとは思いますが、国主体で黒魔道士を奴隷にするために裏で魔法を研究したり諸々やってますので。
魔法での洗脳も影渡り時拘束も全部そういう観点から作られたものだったりします。
それ故に王族だけではなくほとんどの者達が白魔道士至上主義者で、内実シュバルツがロイドに惚れこんでいるのも国としてあまり歓迎されてはいません。
単純に王族の言うことには口出ししないというトルテッティ独自のルールがあるため周囲から表立って反対されないだけなのです。
ちなみに蘇生魔法等、トルテッティにしか存在しない白魔法も沢山あったりするので、ロックウェルなんかが知ったらきっと驚くことでしょう。
次回、ロイドVSシュバルツ父の戦いで第二部が一区切りとなります。
お付き合いいただける方は最後までお付き合いいただけたら嬉しいです(^-^)
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