【R18】短編集

むの

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[短編4-3①]気持ち良いセックス①([短編4-2]の続編です)

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マッサージ店の受付。
受付の女性に

「初めてのご予約ですね。
アンケートにご記入お願いします」

と言われたが、心の中で『初めてじゃないよ』と言った。
――『彼の「マッサージ」は何回も経験済みです』

しかしこのマッサージが初めてなのは確かだ。
私はアンケートに答えた。

その後、予約時間が少し過ぎた頃、私は施術室に呼ばれた。
そこにはすらりとした男性が1人いた。
目を閉じているがサングラスは付けていない。
マスクもしていない。
でも佇まいは――雰囲気は――『彼』のものだ。
あの『マッサージ師』の。

「ようこそ」と彼は言うと、ベッドを手で示した。
『彼』の声だ。

「お願いします」

私はドキドキしながらベッドに寝転んだ。
あらかじめマッサージを受けるための服に着替えている。

彼のマッサージはとても気持ちが良かった。
驚きはしなかった。
彼の『マッサージ』の腕は知っている。
普通のマッサージでも腕が良いだろうことは、自然と想像できた。

マッサージが終わると、ちょっと今までとは違う声の調子で彼は言った。

「どうでしたか?」

少し心配しているような印象を受け、私は感情をこめて言う。

「とっても、気持ち良かったです」

事実、とても気持ち良かった。
マッサージをするのは初めてだが、身体が軽い。

「良かった」

「やっぱり、腕が良いんですね」

と言ってから、『本業』中に、あの『マッサージ』のことを言い含めたような発言――『やっぱり』――をするのはダメだったろうか、と心配したが。
彼はアッサリと答えた。

「実は。
あなたとの『マッサージ』中に気付いたことも今回のマッサージで生かしました。
前々から思っていたんですよ――大分、肩が凝っているな、とか。
と言ってもあの『マッサージ』では勝手に触るわけにはいかなかったので、スルーしていましたが」

私は笑ってから、

「勝手に触っても良かったのに」

と言ったが。
言ってしまった後、困らせる発言をしてしまったかな、とまた心配してしまったが、彼は笑顔を見せてくれた。

私は『マッサージ』時よりもどこか明るく見える彼を見て、嬉しくなった。
と言ってもその印象はサングラスとマスクをしていないがための印象に過ぎないかも知れないが。

ベッドから降りると、

「また、お願いします」

と私は言った。

常連になったら嫌がられないかな、とも思ったが。
嫌ならそもそも『本業』を私に教えないだろうと勇気を出した。

「こちらこそ、お願いします」

と彼は丁寧に言った。
私は嬉しくなった。

もうあの『マッサージ』は辞めると私に告げた彼。
そして実際辞めてしまった。
もう二度と彼とセックスできないんだと寂しかったが、『本業』を教えてもらえて良かった。
セックスはできなくとも会うことはできる。

彼の素顔を見ても彼への気持ちに変化はなかった。
彼は素敵な男性だった――顔を見る前からわかっていたように。

私がドアへ向かうと、彼は後ろから声をかけてきた。

「今日……」

私が振り返ると、彼は見えない目を開けていた。
彼が目を開けているところを初めて見た。
視力を失っているので視線が定まっていないが、とても素敵だった。

「これから予定ありますか?」

『ない』と首を振ってから、彼が目が見えないことを思い出した。

「ありません」

「じゃあ。
これからお食事でも一緒に……」

私はコクリ、と頷いた、その後。
また

「はい」

と声に出した。
嬉しかった。
ドキドキして胸がいっぱいだった。


――――――

僕の仕事場は自宅だ。
1階をマッサージ店、2階を自宅として使っている。
一人暮らし。

マッサージを終えた彼女には近くにある喫茶店で待ってもらう。
受付の女性を帰らせ、仕事場を出ると彼女の元へ向かった。

店に入るとすぐ、彼女が声を掛けてくれた――どうやらドアが開く度、誰が来たか見張っていてくれたようだ。
彼女はコーヒーを飲んでいたようだ。
僕もコーヒーを頼んでから、

「お食事は?」

「ごめんなさい。
本当は、もう済ませてきたんです」

と彼女は申し訳なさそうな、残念そうな調子で言った。
「そうですか」と何気ない調子で答える。

それもそうだ。
もう夜8時。
彼女を意図的に『いちばん最後の客』として予約させたのはこちらだ。
『一緒に食事でも』と言うのも彼女を引き止めるための口実だった。
彼女もそう察したから、誘いに乗ってくれたのだろう。

「僕、ちょっと軽いもの食べて良いでしょうか」

「どうぞどうぞ」

と彼女は言ってくれた。
少しも嫌がっている様子は声音からは見えない。
突然誘い、時間を取らせてしまうのに。
やはり彼女は優しい――普段から。

僕が食べている間も

「とってもマッサージ気持ち良かったです」

彼女は褒めてくれた。
彼女は本業のマッサージの話だけに止めてくれた。
副業の『マッサージ』の話もしなかったし、プライベートに踏み込むような話題も出さなかった。

喫茶店を出ると家に誘った。
彼女は断らなかった。
もともと身体の関係はあるので、そこまで不思議ではないだろうか。
しかし身体の関係があると言っても嫌がる人はいるだろう。
『プライベート』の時間で関係を持とうとしているのだから。

自室に入るための玄関へ行きドアを開けると、彼女を中へ入れた。
自分も入りドアを閉め、鍵をかける。
彼女の身体とちょっとぶつかり「すみません」と腕に触れる――細い腕。
キスをしたい衝動に襲われたが我慢した。
まだ彼女とキスをしたことはなかった。
キスは好きな者とする行為。娼夫であった自分はセックスよりはるかにキスの経験が少なかった。

私は彼女の腕から手を離すと、電気のスイッチを付けた。
自分一人だと電気を付けないことが多いから、忘れるところだった。

リビングに通すと、

「とても、綺麗な部屋ですね」

と彼女は褒めてくれた。

「自分でももちろん掃除しますし。
家政婦さんを頼むんですよ」

そんな取りとめのない話をしながら、どう切り出せば良いのか迷った。
既に身体の関係を持っている男の家に女性1人で夜に来るのだから、今から身体の関係を持つことには賛成なのだろうが。
どうすれば良いのだろう……と思ってから『いつも通り』と思い付いた。

「あの」

「はい」

「あなたを『マッサージ』。
しても良いですか?」

そう言うと彼女は「お願いします」と言って、僕の手を取った。
自分の頬へ持って行く。

彼女の頬の柔らかい感覚を手の平に感じた。
彼女の手によって支えられながら、彼女の頬の感覚を、顔の骨の輪郭を感じる。
もう一つの手で反対側の頬に触れ、両手で彼女の顔を包んだ。
柔らかくて、繊細な輪郭。
今までは知り得なかった彼女の情報。

片手を顎へ持って行き、その顎をクイ、と上へ上げてみた。
それは目が見えない僕なりの『キス』への前行動のようなものだった。
嫌なら、そう言ってくれると期待しての。

しかし彼女はジッとしていた。
僕が彼女の顎を支える自分の手を頼りに顔を近付けていっても、ジッとしていた。

僕は不器用に、彼女の唇に、自分の唇を重ねた。
彼女は逃げなかった。
唇の位置を合わせるように顔を動かしただけだった。

キスをすることで色々わかる。
小さな鼻、小さな唇、小さな舌。

キスをしながら、手を胸に降ろし、揉んだ。
柔らかい。
思えば寝ていない状態で胸を揉むのは初めてなのだ。
柔らかさは同じだが、寝転んで沈んでいる胸よりボリューム感があった。

唇を離すと

「ベッドへ行きましょうか?」

彼女へ手を差し出した。


――――――

整頓された寝室、清潔そうなベッドの前へ行くと、それぞれ服を脱いだ。

裸になるとベッド前で彼を見上げた。
彼の腕に触れると彼は私の腕に触り、反対の手でまた『顎クイ』をしてもう一度キスをしてくれた。
『顎クイ』。
彼としてはしないと唇の位置がわからないのだろうが、とてもロマンチックで嬉しかった。

キスをしながら、私は彼の下半身に手を伸ばした。
そーっと触り、撫でる。
実はあんまり触り方を知らなかった。
無理に触り痛いとダメなのでそーっとしか触れなかったが。
ヌルヌルしたものが私の手に触れてきた。
彼の先から分泌されるもの。
私は嬉しくなって、唇を離すとその場にひざまついた。

「あっ……」

と言う声が聞こえた――私が先を口に含んだ後。
経験が少なくても、手より口の方が痛みが少なく愛撫できるのではないかと考えたのだ。
初めてのフェラだった。

最初は先を舐め、次第に根元まで口に入れて抜く、前後運動をした。

難しい。疲れる。
が、彼の『気持ち良さげな様子』を頼りに続けた。
幸せだった。『マッサージ』ではできない――許されない――行為だと思ったから。

しばらく後、

「もう、いいです」

と彼が言うと、私は辞めた。
自分のフェラに自信がないから素直にやめたが、彼を見上げると

「気持ち良いけど。
あなたの中でイキたいから」

と微笑んでくれた。
色々と嬉しかった――『気持ち良かった』と言われたことも、『あなたの中でイキたい』と言われたことも。

私は「失礼します」と言うとベッドに上がり、寝転がると足を広げた。
彼が私の足の間に身体を入れてペニスを宛がうのを待ったが……

「ふぇっ!?」

彼は私の足の間に、身体ではなく頭を入れ……
私のおま○こを舐め始めた。


――――――

彼女がたどたどしくもフェラをしてくれたことが嬉しかった。
こんなことを言うと申し訳ないがその『たどたどしさ』が嬉しくもあった。
彼女はあまり男性を知らないと言う確信が強まったことが。
娼夫をしていたのだから経験が多い女性に対して特に思うことはないのだが、それでも経験が少ないことを嬉しいと思ってしまう。
自分は勝手だな、と思った。
僕の方は多くの女性を知っていると言うのに。

たどたどしくはあったが彼女のフェラは気持ち良かった。
相手を気持ち良くさせようと言う気持ちが伝わってきて嬉しかったし、小さな口が舌が一生懸命奉仕していると感覚でわかり、とても興奮した。

お返しと言っては何だが、彼女の性器を舐めることにした。
『マッサージ』時はマスクをしていることもあって口を使うことはない。
初めて彼女をクンニしている。

最初は「やだぁ……」と逃げようとしていたが、あきらめたのか次第に身体を任せてくれた。
今では最初の頃より足を開き、おま○こを僕に差し出している。

おま○こ全体を舐める。
一番感じるのはクリ○リスだろうが、舌でならどこを舐めてもくすぐったく感じイヤじゃないのではと。
指では触らないところもくまなく全体を舐めた。

しかしやはり最後にはクリ○リスを舐め、蜜壺に舌を入れることを集中的にやった。

「あっ……」

彼女の腰が動く。
イクのが近いと思い僕は彼女が快感から逃げないよう彼女の身体を腕で捕らえた。

「う……あ……!」

腰が動き、身体がビクビクする間もおま○こを舐め続ける。

「ああッ……!」

彼女は長い時間、身体を痙攣させ続けた。
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