La Vie en Rose【カリー編】

キミちゃん

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第二章

20 凄惨な状況

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 ダークマドウを追うべく、急いで隠しアジトを後にしたフェイル達であるが、外の森に出たところで思わずその足を止めた。


 そこで彼らが目にしたのは、あまりに凄惨な光景であった。


 至る所に転がるは、かつて人の形をしていただろう血まみれの肉塊達。
 シルクとゼンは、その全てが自分達と共にこの地に向かった戦士達だと気付いた。

 シルクが選出したメンバーは、メリッサ国において最も強く優秀な戦士達。
 その誰もがゼン程でないにせよ、魔物10匹程度ならば単騎で全滅できるほどの力を持っている。
 故にアジトの外に多くの魔物が現れたのは知っていたが、半刻も経たない内に全滅しているとは夢にも思わなかった。


ーーましてや、こんな無残な死に方をしているなどとは……。


「これは……まさか!? すまない……みんな。」


 シルクは、自分の判断で味方を全滅させたと責任を感じている。
 当然、こんなところに多くの魔物が一気に現れる事など誰にも予測等不可能であるし、それを全てシルクの責任というのはあんまりであろう。

 しかしどんな理由があるにせよ、その結果を上官であるシルクが負うのは当然だった。

 
「これは酷い死に方だな。魔物と戦って死んだようには見えないが……とりあえず生きている奴がいればバーラに回復してもらえ。それとこの中にさっき王子が話していた大臣がいるかも確認して欲しい。」


 シルクと違いこのような光景は見慣れていたフェイルは、冷静に指示を出す。
 

 鋭利な物で斬り刻まれた死体
 体中、何かに刺された穴がある死体。
 至る所を噛み千切られている死体。
 
 そのどれもがアンデッド系の魔物と戦って死んだ状態ではない。
 そのためフェイルは、死んでいる事よりも、不自然な外傷の方が気になっていた。


「聞いた? 生きている人がいたらすぐに私に教えて! ……でも変ね、これだけ仲間が死んでいるのに魔物が一匹も見当たらないわ。それに何故か馬は無事みたいだし……」

「あぁ、確かに気配からして付近に魔物はいなそうだ。」


 バーラとカリーは倒れている者を確認しながらも、その現状に疑問を浮かべた。
 これだけの戦死者がいるにも関わらず、馬は木に縄で繋がれたままで生きている。
 それに兵士達が全てのモンスターと相打ちになったとも考えにくい。


 すると突然シルクが声を上げた。


「勇者様!! ここにまだ息がある者がおります。」

「バーラ!! 直ぐに回復してくれ!」

「わかったわ! もう大丈夫よ! 【エクスヒーリング】」

 シルクの前で倒れている戦士に、バーラの杖から癒しの光が迸る(ほとばしる)。
 すると瀕死の重傷だった兵士はその光を受けて回復していき、その目を開いた。


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