La Vie en Rose【カリー編】

キミちゃん

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第三章

20 一撃瀕死

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 ダークブレスの威力は、普通なら簡単に盾を貫通し、その身を一瞬で塵に変えてしまう程の破壊力だった。
 それにもかかわらず吹き飛ばされただけで済んだのは奇跡に近い。
 しかし、これは奇跡なんかではない。
 この時フェイルが翳した(かざした)盾は普通の盾ではなかったからである。

 その盾こそ、神器と呼ばれる伝説の装備の一つ【水鏡の盾】
 その神器が持つ特殊効果は、魔法やブレスの威力を激減させるもの。

 それでもフェイルのダメージは大きい。
 神器の特殊効果でブレス直撃によるダメージこそ激減されたが、そもそもの威力が普通のブレスと違い過ぎて、それでも普通のブレス直撃位のダメージは残った。
 それに加えてブレスの余波で吹き飛ばされ、地面に激突したダメージもバカにできない。

 
 数カ所骨折と、全身が焦げたかのように感じる激痛


 たった一度のブレスで、フェイルは瀕死になってしまった。
 

 それは正に空の王者による渾身の一撃。
 アンデッドになった事で闇属性が加算されたブレスは、生前以上の威力があった。
 やはりシルクが危惧した通り、この化け物の力は生前と遜色ない……むしろ強化された状態といって過言ではない。


「ぐっ……【ハイヒー……】だめだ、これもまずいか。」


 フェイルは、体を直ぐに起こして回復魔法を唱えようとしたがやめる。
 唱えようとしたハイヒールは、勇者固有の魔法ではない。
 しかし聖なる魔法には違いないため、それが勇者の力に関係していないとは否定できなかった。
 安易にそれを唱えた結果、「ちょっと回復したら姫様が亡くなっていた」じゃ笑えない。


 代わりにフェイルは、用意していたハイポーションの一つを口に流し込む。


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