La Vie en Rose【カリー編】

キミちゃん

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第三章

35 掴みかけていた希望

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 一方、カリーもまた予想外の結果にその目を大きく見開いていた。
 目の前に映るは、自分が斬り落としたダークマドウの腕……そう、腕しかない。
 本来ならば、その手で掴んでいたローズを救出できたはずだ。


 カリー自身、ダークマドウがこれ程うまくブラフに引っかかるとは思っていなかった。
 そして腕を斬りつけた事も、痛みでローズを掴む手を離せばその隙にローズを奪え返そうと考えていた。

 しかし、実際にはいい意味でそれは予想を覆す。
 まさかダークマドウの腕ごと切断できるとは想像もしていなかった。


 ……にもかかわらず、ここにローズはいない。

 ダーウマドウを斬りつけると同時に、ローズの体はダークマドウに吸い寄せられてしまったのだ。
 そしてそのまま空に逃げられてしまう。

 理由は簡単だった。
 カリーはダークマドウによる呪いの鎖の力を知らない。

 最初にダークマドウからローズを救出した時、そんな事をされる様子もなかった。
 その為、この状況はなるべくしてなっているとも言える。
 だが、たとえそれを知っていたとしてもできる事は変わらなかっただろう。
 むしろダークマドウに大きなダメージを与えた事を賞賛するべきだ。

 しかし、カリーはそんな事を求めてはいない。
 ただ欲しかった結果は、【ローズを助けた】という事実のみだった。


 そして現状は最悪の一言と言える。
 上空に逃げられた今、カリーにはどうすることもできない。
 姉のバンバーラがいれば追撃することはできたかもしれないが、いない者を期待する事は無意味である。
 ここまで奇跡を起こし続けたカリーであったが、これはどうすることもできなかった。

 
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