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25 本当のMVP
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現在マーダ神殿を取り囲むモンスター達は、ビビアン達の活躍もあり、その数を大きく減らしていた。
ビビアンとシャナクが敵を圧倒すると、ミーニャが冒険者達を鼓舞し続ける。
そしてマネアは……
「大丈夫ですか! しっかりしてください。【エクスヒーリング】」
戦場に倒れている兵士や冒険者達に回復魔法をかけ続けていた。
「あ、ありがとうございます。あなたは……もしかして聖女様では?」
「いいえ、私は聖女ではありません。勇者様と共に戦う一人の僧侶に過ぎません。さぁ、早くマーダ神殿に向かってください。あなたの帰りを待っている仲間がいるはずです。」
マネアはその兵士に微笑みを向けると、兵士は最敬礼して立ち上がり、マーダ神殿に向かって走る。
「あなたは……あなたは私にとって聖女様です。」
ーー目を輝かせて、そう呟きながら。
戦場には多くの負傷者がいた。
大怪我をして瀕死の者。
大怪我ではなくとも、怪我により立てない者。
そして……既に息のない者。
それらを目にしたマネアは、心を痛めている。
もう少し自分が早くここに来れたら……。
そう思うも直ぐに首を横に振り、今自分に出来る事をし続けた。
一人でも多くの者を助けたい。
その強い思いは周囲にも伝わっていく。
そんな彼女はまさしく聖女と呼べる姿であった。
一方その頃シャナクは、
「ふむ、大分片付きましたな。そろそろ勇者様の援護に……ん? あれは! ヘルゴレムス! いかん!」
一通り上空にいたモンスターを倒し終えると、ビビアンの方を見て焦り始めた。
ヘルゴレムスは魔王にこそなっていないが、戦闘力は魔王クラスであり、その防御力は他の魔王よりも強い事で有名である。
その中でも特筆すべきは、ヘルゴレムスが持つ固有スキル
「物理反射」
それは、相手の攻撃力をそのままはじき返すスキル。
もしも物理反射発動時に攻撃をすれば、例え勇者の力をもってしてもひとたまりもない。
それは想像するだけでも最悪な状況だった。
シャナクの視線の先では、ビビアンが今にも襲いかかりそうな雰囲気でヘルゴレムスと相対している。
急がねば!
早く、伝えなければ!
額から冷や汗を流しつつも、必死に勇者の下に駆け付けるシャナク。
その瞬間、突然大地が割れる様な轟音が鳴り響く。
舞い上がった砂煙の先には、大きなクレーターが出来上がっており、その中心にヘルゴレムスが拳を突き刺していた。
だがそこに、ビビアンはいない。
目線を移すと、シャナクの目が無傷のビビアンを捉える。
どうやらヘルゴレムスが先に攻撃を仕掛けたらしく、それをビビアンが躱したようだ。
一瞬、ビビアンが攻撃を仕掛けて反射されてしまったのかと思ったが、それは杞憂に終わる。
しかし安心するにはまだ早い。
どうにかヘルゴレムスが物理反射を使う前にビビアンと合流しない事には、危険な事には変わりなかった。
それに今の一撃を見ただけでわかる、その戦闘力。
防御力が高いとは聞いていたが、今の攻撃を見るに、素早さや攻撃力も並のモンスターとは比較にならない。
くそっ!
いそげ、俺の足!
シャナクは更に加速する……がやはり、距離があり過ぎた。
すると今度は、ビビアンがヘルゴレムスに向かって走る。
「ダメです! 勇者様!」
シャナクは走りながらも必死で叫んだ。
しかしその声はビビアンには届かない……。
ビビアンはヘルゴレムスの足に剣を振り抜くと、耳を塞ぎたくなる様な金属音が鳴り響く。
どうやらビビアンの攻撃はヘルゴレムスの防御力に防がれたようだ。
しかしビビアンが無事な状況から、物理反射はされていないらしい。
少しだけほっとするシャナク。
しかし、その安心するのも束の間、その後すぐにビビアンによる怒涛の連続攻撃が始まった。
「どぉりゃあ! くたばれぇぇぇ!」
とても女性の言葉とは思えない叫び声が聞こえてくる。
シャナクはそれを見て、いつ敵が物理反射をしてくるかと、ハラハラしながら必死に駆けつけていた。
間もなくそちらに着きます。
待っていてください、勇者様!
一方、怒涛の攻撃を仕掛けるビビアンであるが、その攻撃の殆どはヘルゴレムスに弾かれ続けていた。
しかしビビアンは気づいている……
ヘルゴレムスの体中にヒビができているのを。
確かにヘルゴレムスの防御力は桁違いに高いが、それはビビアンの攻撃力も同じ事。
何度も同じ場所に攻撃をされていては、如何にヘルゴレムスであろうともダメージは蓄積する。
チャンス!
ビビアンはヘルゴレムスの体勢が崩れたのを見て、トドメの一撃を放とうとした。
そう、ビビストラッシュである。
しかしビビアンが必殺技を構えた瞬間、ヘルゴレムスの体に異変が起きた。
その体は、全体が緑色に発光している。
そしてそれにビビアンは気づいていない。
シャナクはその状況を見て直ぐに察した。
まさに今、ビビアンが絶対絶命のピンチであると。
それを見たシャナクは、一か八かの賭けで離れた位置から魔法を連発する。
【ワザトーン】
【ワザトーン】
【ワザトーン】
魔法の射程範囲はギリギリ……。
そしてその魔法が通用するかも未知数。
しかしシャナクは、祈りながらも叫んだ!
「届いてくれ!」
しかしその声空しく、既にビビアンは技を放っている。
「くらいなさい! そしてくたばりなさい!」
ビビアンの剣に青い光が宿る。
そして一閃……。
その緊張の一瞬に、思わずシャナクは目を瞑った。
ーーだが、
次の瞬間聞こえた、何かが崩れ落ちる音に目を開く。
その目に映ったのは、剣を振り抜いた無傷のビビアンと、胴体を真っ二つにされて倒れたヘルゴレムスだった。
倒れたヘルゴレムスを見ると、先ほどまであった緑の発光で消えている。
シャナクの魔法はギリギリ間に合ったのだ。
それを見たシャナクは、極度の緊張から解放され、安心感からその場にへたり込んでしまう。
「よかった……。」
そう、一言呟いて……。
そして全てのゴレムスを倒したビビアンは、シャナクが近くにいることに気づいた。
「シャナク! 何でそんなところで休んでるのよ! サボってたわね!」
そこに突然、久しく見ていなかった鬼の勇者が現れる。
だがしかし、ビビアンはシャナクに近づくと、拳を振り上げ……ずにシャナクに手を差し伸ばした。
「ほら、しっかりしなさいよ。みっともないんだから。」
恐る恐るシャナクはその手を掴むと、ビビアンはシャナクを立ち上がらせる。
あれ? 鉄拳制裁は?
その光景にシャナクは困惑した。
そして殴られ癖のついたシャナクは呆けた顔をしている。
しかし、それを見たビビアンは再び怒りを表した。
「ほら! いつまでもボケっとしてんじゃないわよ! 殴るわよ!」
そう言われて、反射的に背筋をピーンと伸ばすシャナク。
その反応速度……正に条件反射である。
幸運は長く続かないと悟ったシャナクは、直ぐにキビキビ動き始め、そしてビビアンの無事に喜びを伝えた。
「は! これは申し訳ございませんでした。しかし、勇者様がご無事で何よりでございます。」
「馬鹿ね、当たり前じゃない。あんなデカブツちょろいわよ。」
自信満々に答えるビビアン。
しかし本当のところは、シャナクがいなければ瀕死になっていたのはビビアンの方だった。
そんな事は露ほど知らぬビビアンは、良いストレス解消ができて上機嫌である。
その姿を見て、シャナクは何も言わない。
ビビアンさえ無事であれば、それでよかったのだ。
本当にシャナクは従者の鑑といえる。
「そうでございますな。上空のモンスターは既に片付けました。そしてマーダ神殿の近くのモンスター達も、どうやら方がつきそうです。これも全て勇者様のお蔭です。」
「ふっふーん。もっと褒めてもいいのよ? まぁいいわ、マネア達と合流するわよ。」
シャナクの言葉に満更でも無さそうに喜ぶビビアン。
それを見てシャナクも何故か嬉しく思うのだった。
こうしてビビアン達は、マーダ神殿での戦いの初日を終え、マーダ神殿に向かう事になるのだが……
今日の戦いの本当のMVPがシャナクであることは、誰にも気づかれないのであった……。
ビビアンとシャナクが敵を圧倒すると、ミーニャが冒険者達を鼓舞し続ける。
そしてマネアは……
「大丈夫ですか! しっかりしてください。【エクスヒーリング】」
戦場に倒れている兵士や冒険者達に回復魔法をかけ続けていた。
「あ、ありがとうございます。あなたは……もしかして聖女様では?」
「いいえ、私は聖女ではありません。勇者様と共に戦う一人の僧侶に過ぎません。さぁ、早くマーダ神殿に向かってください。あなたの帰りを待っている仲間がいるはずです。」
マネアはその兵士に微笑みを向けると、兵士は最敬礼して立ち上がり、マーダ神殿に向かって走る。
「あなたは……あなたは私にとって聖女様です。」
ーー目を輝かせて、そう呟きながら。
戦場には多くの負傷者がいた。
大怪我をして瀕死の者。
大怪我ではなくとも、怪我により立てない者。
そして……既に息のない者。
それらを目にしたマネアは、心を痛めている。
もう少し自分が早くここに来れたら……。
そう思うも直ぐに首を横に振り、今自分に出来る事をし続けた。
一人でも多くの者を助けたい。
その強い思いは周囲にも伝わっていく。
そんな彼女はまさしく聖女と呼べる姿であった。
一方その頃シャナクは、
「ふむ、大分片付きましたな。そろそろ勇者様の援護に……ん? あれは! ヘルゴレムス! いかん!」
一通り上空にいたモンスターを倒し終えると、ビビアンの方を見て焦り始めた。
ヘルゴレムスは魔王にこそなっていないが、戦闘力は魔王クラスであり、その防御力は他の魔王よりも強い事で有名である。
その中でも特筆すべきは、ヘルゴレムスが持つ固有スキル
「物理反射」
それは、相手の攻撃力をそのままはじき返すスキル。
もしも物理反射発動時に攻撃をすれば、例え勇者の力をもってしてもひとたまりもない。
それは想像するだけでも最悪な状況だった。
シャナクの視線の先では、ビビアンが今にも襲いかかりそうな雰囲気でヘルゴレムスと相対している。
急がねば!
早く、伝えなければ!
額から冷や汗を流しつつも、必死に勇者の下に駆け付けるシャナク。
その瞬間、突然大地が割れる様な轟音が鳴り響く。
舞い上がった砂煙の先には、大きなクレーターが出来上がっており、その中心にヘルゴレムスが拳を突き刺していた。
だがそこに、ビビアンはいない。
目線を移すと、シャナクの目が無傷のビビアンを捉える。
どうやらヘルゴレムスが先に攻撃を仕掛けたらしく、それをビビアンが躱したようだ。
一瞬、ビビアンが攻撃を仕掛けて反射されてしまったのかと思ったが、それは杞憂に終わる。
しかし安心するにはまだ早い。
どうにかヘルゴレムスが物理反射を使う前にビビアンと合流しない事には、危険な事には変わりなかった。
それに今の一撃を見ただけでわかる、その戦闘力。
防御力が高いとは聞いていたが、今の攻撃を見るに、素早さや攻撃力も並のモンスターとは比較にならない。
くそっ!
いそげ、俺の足!
シャナクは更に加速する……がやはり、距離があり過ぎた。
すると今度は、ビビアンがヘルゴレムスに向かって走る。
「ダメです! 勇者様!」
シャナクは走りながらも必死で叫んだ。
しかしその声はビビアンには届かない……。
ビビアンはヘルゴレムスの足に剣を振り抜くと、耳を塞ぎたくなる様な金属音が鳴り響く。
どうやらビビアンの攻撃はヘルゴレムスの防御力に防がれたようだ。
しかしビビアンが無事な状況から、物理反射はされていないらしい。
少しだけほっとするシャナク。
しかし、その安心するのも束の間、その後すぐにビビアンによる怒涛の連続攻撃が始まった。
「どぉりゃあ! くたばれぇぇぇ!」
とても女性の言葉とは思えない叫び声が聞こえてくる。
シャナクはそれを見て、いつ敵が物理反射をしてくるかと、ハラハラしながら必死に駆けつけていた。
間もなくそちらに着きます。
待っていてください、勇者様!
一方、怒涛の攻撃を仕掛けるビビアンであるが、その攻撃の殆どはヘルゴレムスに弾かれ続けていた。
しかしビビアンは気づいている……
ヘルゴレムスの体中にヒビができているのを。
確かにヘルゴレムスの防御力は桁違いに高いが、それはビビアンの攻撃力も同じ事。
何度も同じ場所に攻撃をされていては、如何にヘルゴレムスであろうともダメージは蓄積する。
チャンス!
ビビアンはヘルゴレムスの体勢が崩れたのを見て、トドメの一撃を放とうとした。
そう、ビビストラッシュである。
しかしビビアンが必殺技を構えた瞬間、ヘルゴレムスの体に異変が起きた。
その体は、全体が緑色に発光している。
そしてそれにビビアンは気づいていない。
シャナクはその状況を見て直ぐに察した。
まさに今、ビビアンが絶対絶命のピンチであると。
それを見たシャナクは、一か八かの賭けで離れた位置から魔法を連発する。
【ワザトーン】
【ワザトーン】
【ワザトーン】
魔法の射程範囲はギリギリ……。
そしてその魔法が通用するかも未知数。
しかしシャナクは、祈りながらも叫んだ!
「届いてくれ!」
しかしその声空しく、既にビビアンは技を放っている。
「くらいなさい! そしてくたばりなさい!」
ビビアンの剣に青い光が宿る。
そして一閃……。
その緊張の一瞬に、思わずシャナクは目を瞑った。
ーーだが、
次の瞬間聞こえた、何かが崩れ落ちる音に目を開く。
その目に映ったのは、剣を振り抜いた無傷のビビアンと、胴体を真っ二つにされて倒れたヘルゴレムスだった。
倒れたヘルゴレムスを見ると、先ほどまであった緑の発光で消えている。
シャナクの魔法はギリギリ間に合ったのだ。
それを見たシャナクは、極度の緊張から解放され、安心感からその場にへたり込んでしまう。
「よかった……。」
そう、一言呟いて……。
そして全てのゴレムスを倒したビビアンは、シャナクが近くにいることに気づいた。
「シャナク! 何でそんなところで休んでるのよ! サボってたわね!」
そこに突然、久しく見ていなかった鬼の勇者が現れる。
だがしかし、ビビアンはシャナクに近づくと、拳を振り上げ……ずにシャナクに手を差し伸ばした。
「ほら、しっかりしなさいよ。みっともないんだから。」
恐る恐るシャナクはその手を掴むと、ビビアンはシャナクを立ち上がらせる。
あれ? 鉄拳制裁は?
その光景にシャナクは困惑した。
そして殴られ癖のついたシャナクは呆けた顔をしている。
しかし、それを見たビビアンは再び怒りを表した。
「ほら! いつまでもボケっとしてんじゃないわよ! 殴るわよ!」
そう言われて、反射的に背筋をピーンと伸ばすシャナク。
その反応速度……正に条件反射である。
幸運は長く続かないと悟ったシャナクは、直ぐにキビキビ動き始め、そしてビビアンの無事に喜びを伝えた。
「は! これは申し訳ございませんでした。しかし、勇者様がご無事で何よりでございます。」
「馬鹿ね、当たり前じゃない。あんなデカブツちょろいわよ。」
自信満々に答えるビビアン。
しかし本当のところは、シャナクがいなければ瀕死になっていたのはビビアンの方だった。
そんな事は露ほど知らぬビビアンは、良いストレス解消ができて上機嫌である。
その姿を見て、シャナクは何も言わない。
ビビアンさえ無事であれば、それでよかったのだ。
本当にシャナクは従者の鑑といえる。
「そうでございますな。上空のモンスターは既に片付けました。そしてマーダ神殿の近くのモンスター達も、どうやら方がつきそうです。これも全て勇者様のお蔭です。」
「ふっふーん。もっと褒めてもいいのよ? まぁいいわ、マネア達と合流するわよ。」
シャナクの言葉に満更でも無さそうに喜ぶビビアン。
それを見てシャナクも何故か嬉しく思うのだった。
こうしてビビアン達は、マーダ神殿での戦いの初日を終え、マーダ神殿に向かう事になるのだが……
今日の戦いの本当のMVPがシャナクであることは、誰にも気づかれないのであった……。
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