やっかいな幼なじみは御免です!

ゆきな

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「アリス……ですか」

あからさまにマーティの声が硬くなり、そのまま途切れてしまった。
余計な事を言ったと後悔しても、もう遅い。

ネリーは慌てて

「あ、いえ……深い意味はないんです。
ただ、私みたいな者が婚約者で申し訳ないと思っているだけで」

と言い繕ったが、マーティの眉は困ったように下がったまま動かない。


これは、ど、どうしよう……!!


焦ったネリーは必死に、次の言葉をつなげようと口をパクパクするが、何も気の利いた言葉が思いつかないでいた。
しかし、気まずい空気が流れたのも、ほんの数秒の事だった。

「何をおっしゃるのです!
アリスは確かに華やか……と言えば聞こえは良いですが、ただうるさいだけ、とも言えますからね。
いやあ、ネリー様は謙虚な方ですね!」

マーティは大袈裟なくらい両手を振って、場を和ませようと努力してくれているようだった。
ネリーはいたたまれず

「あ、いえ……そんな……」

と言うのが精一杯。
彼女が口を閉ざすと、マーティもなす術もなく黙り込んでしまった。

そのせいで、せっかくのマーティの努力も虚しく、重い空気が漂い始めたのだったが、ちょうどそこへ

「食事の支度が整いましたので、ご移動下さい」

と使用人の声がして、一同がぞろぞろと動き始めたのである。

「行きましょうか」

多少弱々しいながらも、マーティの顔には再び笑顔が戻り、ネリーの手を取ってくれたことで、ネリーはほっと息を吐き出した。


全く、私はどうしていつも、余計なことを言ってしまうのかしら……!


後悔の念に苛まれていたネリーだったが、食事を始めると、徐々に笑顔を取り戻していった。
エドウィン男爵と男爵夫人は、ネリーをことあるごとに褒めちぎり、おだててくれたし、マーティもそつなく会話を盛り上げてくれたからだ。

先程まで漂っていた重苦しい空気はどこへやら。
食事が終わる頃には、これだったらマーティとは上手くやっていけるかもしれないと、ほのかな希望が見えたような気がし始めていた。
だから

「楽しくて、つい長居してしまいましたな。
そろそろお暇させて頂きましょう」

と、ワインのせいですっかり顔を赤くしたエドウィン男爵が言った時には、ネリーは今日という日を乗り切った満足感で、いっぱいになったほどだった。

それなのにネリーの笑顔は、耳元で囁いてきた使用人の一言で、凍りつくこととなったのである。

「お嬢様。アリス・マイヤーズ様とシェイマス・パウエル様が、いらっしゃいました」

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