やっかいな幼なじみは御免です!

ゆきな

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さて一方で、馬車の中で取り残されたアリスとマーティは、2人とも口を閉ざしたまま、微動だにしなかった。

アリスは膝の上で両手を固く握りしめ、肩を震わせている。
こんなに大勢の人がいる中で、恥をかかせたシェイマスのことを思うと、怒りに体が熱くなった。


いったいどうして、こんなことになっちゃったのよ!


アリスは今にも叫び出したい気分だった。

そして、そもそもマーティが調子に乗りすぎるからいけないのだ、と自分がしてきたことは棚に上げて、隣に座る彼を睨んだ。


どんなに私の事を好きだったとしても、して良いことと悪いことの区別もつかないなんて!


しかしマーティは、生気の無い目を、じっと床に向けたまま動かないでいるばかり。
それがまた、アリスを苛立たせた。


……こんな時こそ何か言って、フォローしてくれるべきなのに。
本当に気が利かないったらないわ。


先程は、全てをマーティのせいにして、シェイマスにすがったというのに、アリスは自分勝手な事を考えながら、さらに怒りを増大させていた。

彼女を苛々させていた原因は、もう一つあった。
もう随分経つというのに、馬車は未だに動かなかったのである。

それでも、それに耐えるしかなかった。
思い切ってネリー達のように歩いて帰ってしまおうかとも思ったのだが、周囲の人に見られる思うと、とても勇気が出なかったのだ。

常に他人より優位に立ち続けてきたアリスには、好奇の目で見られ、こそこそとアレコレ囁かれることなど、とてもではないが耐えられなかった。

今までは大した努力をしなくても、周りが勝手にチヤホヤしてくれて、良い環境を作り上げてくれていたというのに。
どうしてこうなってしまったのか。

後悔ばかりが頭の中でどす黒い渦を巻く。
だから、ようやく馬車が動き出したと同時に、マーティが

「あ、あのさ……」

と口を開いた時にも、冷たい目を向けただけだった。

「なに?」

自分をこんな目に合わせた男に、わざわざ微笑みかけてやる義理はない。
そう言わんばかりに、怒りの表情を彼に向ける。

すると、それを感じ取ったのだろう。
マーティは可哀想なほどに元気のない声で言った。

「さっきの……『マーティが一方的に言い寄ってきてるだけ』っていうのは、本当かい?
僕は、アリスも僕の事を好きでいてくれてるんだとばかり思っていたんだけど……」

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