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何ばかなことを言ってるの!?
あなたのことなんて、少しも好きじゃないわよ!
アリスは勢いに任せて罵ろうかと思ったが、すんでのところで呑み込んだ。
その間にも、マーティがチラチラとこちらを見てくるのを無視しながら、アリスは考えを巡らせていた。
シェイマスにあそこまで拒絶された今、もう何を言っても復縁は出来そうにない。
涙まで流して見せたというのに効果がなかったのだから。
だとすれば、いくら美貌を誇っているとは言え、一度婚約破棄された自分に、すぐに次の婚約相手は決まらないかもしれない。
そんなことになれば、せっかく築き上げてきた名声は地に落ちる。
それは彼女のプライドが許さなかった。
そうとなれば、選ぶ道は1つ……。
アリスは、深く息を吸うと、いつもの笑顔を浮かべた。
それは、いかに悲しそうな顔をしていたマーティでさえも、一瞬で顔を赤らめ、とろけてしまうような微笑みだった。
「あれは……もちろん本気なんかじゃないわ。
慌ててしまって、心にもないことを言ってしまったのよ。
ひどいことを言って、ごめんなさい」
シュンとして見せると、案の定マーティは狼狽えた声を上げた。
「い、いや、少しも気にしてないよ!
僕の方こそ、いきなり……その……あんなことして、ごめん」
キスのことを言っているのだと、アリスにはすぐに分かった。
彼はニヤニヤとしながらも
「でも……嬉しかったな」
などと呟いている。
気持ち悪い……。
アリスがそう思うのも無理はないような顔をマーティはしていた。
しかし、ここで切り捨てるわけにもいかなかった。
アリスはなんとか笑顔を浮かべ直すと
「私も、嬉しかったわ」
と照れたように、囁いた。
するとマーティーはすぐさまアリスの手を取った。
「本当!?」
「ええ……驚いちゃったけどね」
アリスは微笑みながら、続けた。
「それでね、ようやく分かったの。
私のことを本当に愛してくれているのは、シェイマスじゃなくて、マーティなんだって。
運命の人は、あなただったのね」
「ああ、アリス!嬉しいよ!
婚約なんて言わずに、出来るだけ早く結婚しよう!
きみさえいれば、他には何もいらないんだから」
きつく抱きしめられて、アリスは思わず顔をしかめた。
馬車はようやくスムーズに走り出したとはいえ、窓の外からは、誰に見られているか分かったものではない。
それなのに、こんな軽はずみなことをするなんて、先が思いやられる。
しかしアリスは、苦い表情を浮かべているとは、とても思えないほど、甘ったるい声で答えた。
「私も、あなたがいれば、他には何もいらないわ。
マーティ、大好きよ」
すっかり涙声になってしまっているマーティが何か言っているが、もごもごとしているせいで、その言葉の意味はさっぱり分からなかった。
全くもう……。
アリスは深く息を吐き出す。
すっかり予想外の展開になってしまったが、これでなんとか収まったかな、とアリスは安堵していた。
しばらくは社交界の話題の種になってしまうだろうが、それも少しの辛抱だ。
とにかくマーティと結婚さえしてしまえば、あとは時間が経つにつれて、徐々に忘れられていくだろう。
そう思えば、まだ救われる。
未だにしゃくりあげているマーティの背中を渋々撫でてやりながら、アリスはぼんやりと窓の外を眺めるのだった。
あなたのことなんて、少しも好きじゃないわよ!
アリスは勢いに任せて罵ろうかと思ったが、すんでのところで呑み込んだ。
その間にも、マーティがチラチラとこちらを見てくるのを無視しながら、アリスは考えを巡らせていた。
シェイマスにあそこまで拒絶された今、もう何を言っても復縁は出来そうにない。
涙まで流して見せたというのに効果がなかったのだから。
だとすれば、いくら美貌を誇っているとは言え、一度婚約破棄された自分に、すぐに次の婚約相手は決まらないかもしれない。
そんなことになれば、せっかく築き上げてきた名声は地に落ちる。
それは彼女のプライドが許さなかった。
そうとなれば、選ぶ道は1つ……。
アリスは、深く息を吸うと、いつもの笑顔を浮かべた。
それは、いかに悲しそうな顔をしていたマーティでさえも、一瞬で顔を赤らめ、とろけてしまうような微笑みだった。
「あれは……もちろん本気なんかじゃないわ。
慌ててしまって、心にもないことを言ってしまったのよ。
ひどいことを言って、ごめんなさい」
シュンとして見せると、案の定マーティは狼狽えた声を上げた。
「い、いや、少しも気にしてないよ!
僕の方こそ、いきなり……その……あんなことして、ごめん」
キスのことを言っているのだと、アリスにはすぐに分かった。
彼はニヤニヤとしながらも
「でも……嬉しかったな」
などと呟いている。
気持ち悪い……。
アリスがそう思うのも無理はないような顔をマーティはしていた。
しかし、ここで切り捨てるわけにもいかなかった。
アリスはなんとか笑顔を浮かべ直すと
「私も、嬉しかったわ」
と照れたように、囁いた。
するとマーティーはすぐさまアリスの手を取った。
「本当!?」
「ええ……驚いちゃったけどね」
アリスは微笑みながら、続けた。
「それでね、ようやく分かったの。
私のことを本当に愛してくれているのは、シェイマスじゃなくて、マーティなんだって。
運命の人は、あなただったのね」
「ああ、アリス!嬉しいよ!
婚約なんて言わずに、出来るだけ早く結婚しよう!
きみさえいれば、他には何もいらないんだから」
きつく抱きしめられて、アリスは思わず顔をしかめた。
馬車はようやくスムーズに走り出したとはいえ、窓の外からは、誰に見られているか分かったものではない。
それなのに、こんな軽はずみなことをするなんて、先が思いやられる。
しかしアリスは、苦い表情を浮かべているとは、とても思えないほど、甘ったるい声で答えた。
「私も、あなたがいれば、他には何もいらないわ。
マーティ、大好きよ」
すっかり涙声になってしまっているマーティが何か言っているが、もごもごとしているせいで、その言葉の意味はさっぱり分からなかった。
全くもう……。
アリスは深く息を吐き出す。
すっかり予想外の展開になってしまったが、これでなんとか収まったかな、とアリスは安堵していた。
しばらくは社交界の話題の種になってしまうだろうが、それも少しの辛抱だ。
とにかくマーティと結婚さえしてしまえば、あとは時間が経つにつれて、徐々に忘れられていくだろう。
そう思えば、まだ救われる。
未だにしゃくりあげているマーティの背中を渋々撫でてやりながら、アリスはぼんやりと窓の外を眺めるのだった。
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