転生司祭は逃げだしたい!!

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転生司祭は逃げられない 7

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「「勇者パーティに相応しくない」。当然です、私は本来その一員ではないのですから」

視線を彷徨わせ膝のうえで無意味に指を組んだ。


「かつてローゼマリー様は勇者と聖女を、つまり彼らの姿を視たでしょう?それから廃墟と化す村の光景を」

「何故それを?!まさかあれも……」

先読みを言い当てた僕に驚愕をあらわにするローゼマリー様。
畏怖と畏敬の混じった瞳を向けてくる彼女からそっと視線を逃がす。

ただのインチキなんです、ごめんなさい。

「本来の未来では、勇者と聖女の存在を知った王はすぐに声明を出しました。力とか名声とか大好きですしね、あの男。彼らを探し出すために二人の特徴と村の様子を大々的に。後先も考えずに」

意識せずとも声が冷える。

「質問です。まだ特別な力も持たない子供の情報を大っぴらに開示して、将来、自分達を滅ぼすかも知れないその存在を知った魔族たちはどうしたと思います?」

「まさかっ」と幾つかの声が響いた。

そう、答えなんて子供でも少し考えればすぐわかる。

「廃墟と化し、燃える村。ローゼマリー様の見た光景が私たちの住んでいた村かはわかりません。辺境の村など大した特徴もない。派遣された騎士達が勇者と聖女を探し出すより早く、幾つもの村が襲われ、殺されて焼き払われたのですから」

ミシェルたちの住んでいた大本命の村もその一つ。


「人に役割があるのなら、私は彼らを旅へと駆り出す“導き手”です」

勇者と聖女を旅立たせる、それがミシェルの役割の全て。

「『勇者』や『聖女』が魔王討伐に旅立つには、その『理由』が必要でしょう?」

困ったような笑みに、ヒュッと息を呑む音が被る。

「し、さい、さま……?」

「村を襲った魔族を前に、私が守れたのは二人だけでした。アーサーやユリアが、魔族を憎む理由になり、旅立つ理由になる。それが私の、私たちの村の役割です」

カタカタと震えるユリアの頭に手を乗せ、掴んでいたのはこちらの筈なのにいつのまにかすがるように掴まれたアーサーの手を指で撫でる。

「だから、否定できる立場じゃないんですよ。相応しくないのも、能力が劣ってるのも当然。そして「勇者や聖女を利用して」という言葉だってある意味正しい。現に私はその悲劇が起こるより前にアーサーやユリアに力をつけさせ、王の愚行の前に名を響かせた。原因となる魔族も討伐させて、自らの“死”を回避しているのですから」

「ですがそれはっ!」

「うん。結果的に多くの村が救われ、悲劇は防がれた。決して自分のためだけの行動ではなかったけど、私自身が助かっているのも事実だ」

その行動を間違いだとは思っていない。

だって死にたくないし、死なせたくなかった。


だけど_________。



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