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闇の貴公子参上!! 4
しおりを挟むあれは同じくリフが渾名の洗礼を受けようとした時。
従者だと紹介したリフに戦慄が走った。
「じ、従者っ!?」
「主のためなら何でもするというあのっ…。陰の支配者っ!あれだ、家事から暗殺から何でもこなすんだよな」
「違うよっ、それはひつじだろ」
「ひつじじゃないよ執事だよ」
「執事様と従者様って何がちがうのー?」
「よくわかんないけど。でもすごいんだよ!逆らったら死あるのみってやつだ」
………。
この子らの中の執事とか従者の定義ってどうなってんの?
「私はそんな凄い存在じゃないですよ」
にこやかに謙遜したリフさんですが、そんな凄い存在である気もしなくもない。
あれ、子供たちの評価あってる??
俺に悪戯を仕掛けようとした子供をリフが凄みのある笑顔で窘めたその時から
彼は“従者様”の称号を揺るぎないものとした。
そして子供たちの執事と従者に対する信仰も固いものとなった……。
そんなわけで従者であるリアンの呼び名も“従者様”で決定。
世を憚ってないよ?
リアンは普通に癒し系だよ?
賑やかな時間を過ごし、帰りの馬車。
「カイザー兄上」
何やら畏まった顔をしたガーネストの真剣な顔を見返す。
こくりと喉を鳴らし、言い淀んだ言葉を口に出した。
「俺、公爵を継ぎたいです」
燃えるように鮮やかなガーネットの瞳から眼を逸らさず、続きを待つ。
「兄上たちに仕事を教えて頂いて、災害にあった地や今日の孤児院、様々なところに視察に同行させて頂いてその想いが強くなりました。自分の行動で救える命がある、変えられる未来がある。それならば行動をしたいと思いました」
真っすぐな瞳は、強く美しい。
「カイザー兄上に比べれば俺なんて」
「ガーネスト」
決意が聞けたなら、その先は要らない。
謙遜も遠慮も謝罪も必要はないから。
「立派になったね」
眩しいものを見るように微笑む。
「覚悟を決めてくれて嬉しいよ。どうか君の未来とこの国の未来に光あらんことを。きっと領地の先行きも明るいだろう。何せガーネストは“光の王子様”だからね?」
茶目っ気を含ませてクスクスと笑う。
「必要な事があればいつでも力を貸すよ。困ったことがあればいつでも頼りなさい」
「はいっ!!」
輝く笑顔で返事をしたガーネストは小さな頃から見慣れた笑顔で。
だけど小さな弟ではなく、もう立派な一人の青年だった。
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