誰も助けてくれないのだから

めんだCoda

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第28話 第5外国語

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 第2外国語の授業終了の合図がなり、授業を受けていた人らは次々と席を立ち、教室を出ていく。

 教室の中では、長机を前にして背面の椅子にもたれかかるように座り、ズボンのポケットに両手を入れたスカイがいた。

「授業、終わったぞ」

 そう言って、スカイの肩を後ろからポンと叩いたのは、優しい笑顔のケイシだった。

「おう…そうだな…」

 スカイはケイシを見上げると、ゆっくりと席から立ち上がる。

 立ち上がったスカイはため息をつき、教室のドアに向かって歩き出し、ケイシはそんなスカイの様子と表情を気にしながら、スカイの後ろからついていく。

「あいかわらず、元気…ないな」

 ケイシは、スカイの背中を見つめながら、ぽつりと話す。

「あぁ、まぁ…そう…かもな」

 前を向いたまま話すスカイの声は、いつもより張りがなく、背中も寂しげだった。

 スカイのそんな姿を後ろから見つめるケイシもまた、最近は気分が晴れないモヤモヤとした日々を過ごしていた。

「スカイ、ケイシ」

 背後から声をかけられ振り返った2人は、ジャンとルイがこちらに歩いてくるのを見て、軽く声をあげて挨拶をする。

「おう、ジャン、ルイ」

 挨拶を受け、ジャンが優しい笑顔でスカイとケイシに向かって話しかける。

「なに、2人は授業が終わって、部屋戻るところ?」

「あぁ、そうだよ。そっちも?」

「そうそう。授業は分かれちゃったけど、終了時間が同じってのはいいよな」

 ジャンとルイの2人は試験に合格したことで、第3外国語の授業を受けられるようになり、スカイ、ケイシとは授業が別になっていた。

「タクは?あいつも、そろそろ来るよな?」

 スカイが、キョロキョロと辺りを見回す。
 ジャンはスカイに視線を向けると、肩をすくめる。

「あぁ、だけど、相当授業が難しいって言ってたからな、授業終わっても先生に毎回質問してるって言ってたから、まだ授業部屋にいるかもな」

「そうなのか?」

 スカイはその事実を初めて知り驚くと、ルイがわざと眉間に皺を寄せてスカイに近付く。

「そうそう、あと、邪悪なオーラをまとって帰ってくるだろうな」

 わけがわからず顔がひいてしまうスカイに、ジャンとルイは互いに見合い笑い出す。

 タクは更に上のレベルの第4外国語にまで達し、1人日々授業と格闘していた。
 飛び級したタクですら、第4外国語は必死で、毎回授業終わりには内容が難しすぎると、鬱々として帰ってくる。

「あいつ、授業終わるたびに、難しいってブツブツ言ってるもんな。…第4ですらそのレベルなのに…シャーランは第5外国語にいるって…すごいよな…」

 ケイシの言葉に、皆体をピクっとさせ、緊張が走る。
 無理もない、ケイランがシャーランを連れて行って以降、誰もシャーランの名前を出さなかったのだ。

 シャーランの話題を避けているのは、当然ケイシも分かっていた。

「……おい、別に今シャーランの話をする必要はないだろ」

「分かってるよ、スカイ。だけど、いつまでもしない、ってのも変だろ」

 スカイは強い眼差しでケイシを見るが、ケイシは怯むことなく、いつもの表情でスカイを見つめ返す。

 そんな2人の様子を見たジャンは、焦った顔をし両手をあげながら、まぁまぁ、と言い止めに入る。

「そんなピリピリしないで、な?別にシャーランの名前くらい出したって、問題ないよな?」

「別に、オレだって、悪いことだって言ってるわけじゃねえよ。ただ…なんつーか、まだ気持ちに整理ついてないっつーか」

 だんだんと声が小さくなるスカイは、皆の視線を避けるように下を向く。

「分かってるよ、みんな同じ気持ちだ」

 ケイシがスカイの肩に腕を回し、ポンポンと肩を優しく叩く。

 寂しそうな顔をしたジャンは、ふと、スカイとケイシの周りを見て何かを探し始める。

「あれ、マハラは今日も授業出なかったのか?」

「あぁ、あいつなら今日もベッドに潜って出てこなかったぜ。しばらくは無理なんじゃねーか」

 スカイが肩をすくめてみせる。

 マハラは、シャーランと分かれて以降、ずっと部屋にこもり、授業にも出ない日々が続いていた。

 ケイシは髪の毛をかきあげ、ふうと息を吐く。

「あれは仕方ないな。おれらの中で、シャーランのことを一番…思ってただろうしな」
 
 ジャンも腕を組みながら小さく頷き、ケイシを見る。

「まぁな。…とりあえず、部屋戻るか。スカイとケイシは、戻ったらマハラに今日の授業内容を教えてやったら」

「そうしようと思って。じゃじゃーん、マハラの教本に、今日のポイントを書き込んできました」

「おお!さすが、ケイシ、気がきくな!」

「勝手に、マハラの教本持ち出しちゃったけどね」

「勝手はダメだろ!」

 ジャンとケイシがテンポ良くやり取りをし、スカイはそれを見て笑っていた。

 そんな中、ルイだけは3人から少し離れた場所で、真剣な表情で窓の外を見つめていた。
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