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第3章 魔王様と元勇者は諸悪の根源に喧嘩を売る
魔王様は女神の本性を暴く
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「全く…異世界に行きたいっていう欲望の強い人間から選んだはいいけれど、まさかここまでお膳立てされても使えないなんて…。とんだハズレを引いたものね」
ルミエラは片手で勇者の頭を掴んで持ち上げたまま、ぶつぶつと呟き始める。どうやらこの展開はルミエラにとっても想定外だったようだった。
「め、女神ちゃん!待ってたよ!ねぇ…オレがピンチの時は助けてくれるって言ったでしょ?今がその時だよ!オレを助けて!」
勇者にとって突如現れたルミエラは、この状況を打破できる唯一の救世主のように見えていたに違いない。
しかし救いの女神の方は全くもってその気ではなかったようだ。
「助ける?私の力をあれだけ使っておいて、何の結果も出せてないあなたを?よくそんな傲慢な願いを口にできたものね。いいわ、もうあなたは必要ないもの。あなたに貸した私の力、ある分だけでも返してもらうわね?」
「ぐっ…ゥ…ガ……あァァァッ!痛い!熱い!くるじぃぃッッ!」
勇者の頭を掴んだ女神の手が光ると、途端に勇者の叫び声があたりに響き渡った。勇者の身体はまるでそこだけ時を早回しするかのように、どんどんと萎びていき、ついには枯れ枝のようになったところでルミエラは興味がなくなったようにそれを投げ捨てた。
目の前に作り出された見るも無惨な光景に、ノアはとっさに勇者の元へと駆け寄る。
「おい!大丈夫か!」
「ア……ァ………」
皺だらけになりボロボロになった身体で勇者はノアに指先を伸ばしかけたが、その指が届く前に身体は灰となって音もなく崩れ、その場には灰が積もってできた小山以外何も残らなかった。
「灰になっても残るとかほんと邪魔な子ね。あとで掃除しておいてくれる?」
「お、まえ…お前は何をしたんだ!人の命をなんだと思ってる!」
「何をしたって…私は貸していた自分の力を取り返しただけよ?その役立たずは研鑽を忘れ、私の大いなる力に溺れた。だから私の力が無くなる負荷に身体が耐えきれなかったみたいね?少しは己を鍛えていればせいぜい寿命の範囲内で負荷が収まったかもしれないのに、本当に役立たずだわ。後、人の命だっけ?私にとってはどうでもいいもの!」
ルミエラはまるで、当然とでも言うように眩しい笑顔を浮かべた。
「私が欲しいのは人々の賛美と信仰!この世の全ては私を崇め奉るの!だから私を信仰しない魔族も魔王もいらない!だって私がこの世界の唯一の神になるのだから!」
まるで夢見がちな少女のように、あるいはスポットライトを浴びる女優のように、大げさな仕草でルミエラは語る。
「人間を扇動し、魔族という共通の敵を作ることで数を減らした!絶望的な状況で神が助けてくれなければ、自ずと人は神を信じなくなる!信仰を奪うことであの目障りで陰気な姉の力を弱らせて、魔王に必要以上の力を分け与えられないようにした。何百年もかけてようやくここまできたのに…そんな時にあんたが現れたのよ」
ルミエラは憎悪のこもった瞳でノアを睨みつけた。
「完璧だった私の計画をあんたはぶち壊した!たかが不死の呪いにかかっただけの何の力もないはずの悪魔のあんたが!姉の力なんてほとんど持っていないくせに、あんたは私が送り込んだ勇者をことごとく跳ね除けて転移までさせた!ご丁寧に記憶を消して、私の力が及ばないような遠くにね!おかげで私は毎回新しく勇者を選び直して、自分の力を与えなきゃいけなくなった!あんたさえ…あんたさえいなければ、この世界はとっくの昔に私のものだったのに!」
「本性が出たな。高貴で慈悲深い女神様は仮の姿だったってことか?この場には俺以外にもたくさんの人間がいるぞ。自分の信じてた女神の本性がただの欲深い女だったって知ったら、お前の大好きな信仰はごっそり減るだろうよ」
「別にこれくらいの人数の信者がいなくなってもどうってことないわ、私にはまだまだ信者はたくさんいる。それに万が一にも今日のことが外に漏れることはないわ。だってここで私以外皆死ぬんだもの!」
女神が空に手を掲げると、まるでドームのように光がその場全体を包み込んで、まるでそこだけ隔離されたような空間になる。
「これでここからは誰1人として逃げられない。もちろん私もだけれど、あなたたちを全員殺して解除するだけだから問題はないわね。まずはずっと目障りだったあなたから、ね?」
ルミエラはノアに向けて美しく微笑む。しかしその顔は美しいはずなのにどこか歪んで見えた。
ルミエラは片手で勇者の頭を掴んで持ち上げたまま、ぶつぶつと呟き始める。どうやらこの展開はルミエラにとっても想定外だったようだった。
「め、女神ちゃん!待ってたよ!ねぇ…オレがピンチの時は助けてくれるって言ったでしょ?今がその時だよ!オレを助けて!」
勇者にとって突如現れたルミエラは、この状況を打破できる唯一の救世主のように見えていたに違いない。
しかし救いの女神の方は全くもってその気ではなかったようだ。
「助ける?私の力をあれだけ使っておいて、何の結果も出せてないあなたを?よくそんな傲慢な願いを口にできたものね。いいわ、もうあなたは必要ないもの。あなたに貸した私の力、ある分だけでも返してもらうわね?」
「ぐっ…ゥ…ガ……あァァァッ!痛い!熱い!くるじぃぃッッ!」
勇者の頭を掴んだ女神の手が光ると、途端に勇者の叫び声があたりに響き渡った。勇者の身体はまるでそこだけ時を早回しするかのように、どんどんと萎びていき、ついには枯れ枝のようになったところでルミエラは興味がなくなったようにそれを投げ捨てた。
目の前に作り出された見るも無惨な光景に、ノアはとっさに勇者の元へと駆け寄る。
「おい!大丈夫か!」
「ア……ァ………」
皺だらけになりボロボロになった身体で勇者はノアに指先を伸ばしかけたが、その指が届く前に身体は灰となって音もなく崩れ、その場には灰が積もってできた小山以外何も残らなかった。
「灰になっても残るとかほんと邪魔な子ね。あとで掃除しておいてくれる?」
「お、まえ…お前は何をしたんだ!人の命をなんだと思ってる!」
「何をしたって…私は貸していた自分の力を取り返しただけよ?その役立たずは研鑽を忘れ、私の大いなる力に溺れた。だから私の力が無くなる負荷に身体が耐えきれなかったみたいね?少しは己を鍛えていればせいぜい寿命の範囲内で負荷が収まったかもしれないのに、本当に役立たずだわ。後、人の命だっけ?私にとってはどうでもいいもの!」
ルミエラはまるで、当然とでも言うように眩しい笑顔を浮かべた。
「私が欲しいのは人々の賛美と信仰!この世の全ては私を崇め奉るの!だから私を信仰しない魔族も魔王もいらない!だって私がこの世界の唯一の神になるのだから!」
まるで夢見がちな少女のように、あるいはスポットライトを浴びる女優のように、大げさな仕草でルミエラは語る。
「人間を扇動し、魔族という共通の敵を作ることで数を減らした!絶望的な状況で神が助けてくれなければ、自ずと人は神を信じなくなる!信仰を奪うことであの目障りで陰気な姉の力を弱らせて、魔王に必要以上の力を分け与えられないようにした。何百年もかけてようやくここまできたのに…そんな時にあんたが現れたのよ」
ルミエラは憎悪のこもった瞳でノアを睨みつけた。
「完璧だった私の計画をあんたはぶち壊した!たかが不死の呪いにかかっただけの何の力もないはずの悪魔のあんたが!姉の力なんてほとんど持っていないくせに、あんたは私が送り込んだ勇者をことごとく跳ね除けて転移までさせた!ご丁寧に記憶を消して、私の力が及ばないような遠くにね!おかげで私は毎回新しく勇者を選び直して、自分の力を与えなきゃいけなくなった!あんたさえ…あんたさえいなければ、この世界はとっくの昔に私のものだったのに!」
「本性が出たな。高貴で慈悲深い女神様は仮の姿だったってことか?この場には俺以外にもたくさんの人間がいるぞ。自分の信じてた女神の本性がただの欲深い女だったって知ったら、お前の大好きな信仰はごっそり減るだろうよ」
「別にこれくらいの人数の信者がいなくなってもどうってことないわ、私にはまだまだ信者はたくさんいる。それに万が一にも今日のことが外に漏れることはないわ。だってここで私以外皆死ぬんだもの!」
女神が空に手を掲げると、まるでドームのように光がその場全体を包み込んで、まるでそこだけ隔離されたような空間になる。
「これでここからは誰1人として逃げられない。もちろん私もだけれど、あなたたちを全員殺して解除するだけだから問題はないわね。まずはずっと目障りだったあなたから、ね?」
ルミエラはノアに向けて美しく微笑む。しかしその顔は美しいはずなのにどこか歪んで見えた。
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