女装デート中にトイレに行けなくて

カルキ酸

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帰りたい

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 ファミレスから優也の家までは10分とかからない。
 あと少しの辛抱だ。
 翔は内股気味に歩きながら、股間に力を入れた。

「そう言えば俺、欲しい漫画があってさぁ。今日、発売日なんだよね」

 急に優也が言って、違う道に行こうとする。

「え、そんな。帰んねぇのかよ」

 焦りながら翔は言う。

「いーじゃん、まだ遅くないんだし」

 優也は、家とは違う方向の横断歩道を渡り始めた。
 こういう自分勝手なところ、本当に嫌いだ。翔は苛立ちながら小さく足踏みをする。


「翔~?赤になっちまうぜ?」

 横断歩道の向こう側で、のんきに優也は言う。青信号はチカチカと点滅していた。


 俺は!
 はやく帰って!
 おしっこしたいんだよ!!

 そう叫びたくなるのを堪えて、翔は小走りで横断歩道を渡った。

 
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