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第七章

十九話【パテマ傭兵組合】

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復興が思う様に進まないビルナットに来てから3日後、朝から厳つい傭兵風の男達が転移屋から現れる。

たまたま町の様子を見に来ていたタイガとジャニーが立ち止まる。

そのふたりの白いローブ姿に、大柄の男が話しかける。

「勇者の手の者か? 我々はクリゴウから来たパテマ傭兵組合と言う。噂に聞く勇者の力になりたくて行方をずっと追っていたのだが、偶然近くでここビルナットに来ていると聞いて来た次第だ」

フードを目深にかぶる筋肉質な褐色の肌の男。

「パテマ傭兵組合って言ったら傭兵団の中じゃ一番の所じゃないか! こりゃ凄い、ジャニー! 旦那を呼んできてくれ」

頷くジャニーが、ユグポンへと戻って行く。

タイガが有名な傭兵団を前に、子供の様な目で大柄の男を見る。

「俺は勇者騎士団のタイガだ。今は戦力が足らず困っていたから旦那も喜ぶだろう」

「力になれて私も嬉しいよ。パテマ傭兵組合の団長を務めているゲルドマだ。よろしく頼む」

団長を名乗るゲルドマ。

大柄なタイガより頭一つ大きい男の後ろに、8人の傭兵がゲルドマの指示を待つ様に姿勢良く立っている。

訓練された戦士に、今後自分も学ぶ事が多そうだと、身を引き締めるタイガだった。

「勇者の騎士とは、傭兵の様な者か? 何人ぐらいいるのだ?」

「まだ出来たばかりでな、8人そこらだ。オタクらと変わらないな」

「いや今日来たのは私の隊だけだ。パテマ傭兵組合には57人の戦士がいる」

「ほぉ、流石だ」

感心するタイガの背後から、ジャニーに呼ばれた惣一郎がベンゾウとふたり近づいて来ていた。

呼びに行ったジャニーの姿は無い。

「待たせた様だな、すまんすまん」

軽い言葉の割に目が笑ってない惣一郎。

「いえ、然程では…… 初めましてパテマ傭兵組合のゲルドマと言う」

「パテマ? 魔女崇拝のグルミターナだろ?」

惣一郎の言葉に一瞬で凍り付く空気。

惣一郎の横に居たはずのベンゾウの姿は消えていた。

「だ、旦那……」

間に挟まれ理解が遅れるタイガ。

ゲルドマがゆっくりとフードをめくる。

「ご存じでしたか」

現れた顔は、金髪のダークエルフ。

体格に似合う屈強な面持ちの顔だった。

「ああ、ぷんぷん匂うよ! なぁベンゾウ」

白く燃える小刀を握るベンゾウが、いつの間にかゲルドマ達の背後で構えていた。

チラッと後ろを気にするゲルドマ。

「なるほど、流石は勇者……」

ブオン! と鳴る風切り音の次の瞬間!

惣一郎が幻腕で掴むタイガを後ろに放り投げる!

ゲルドマの手には振り抜かれた大きな戦斧が握られていた。

惣一郎がタイガを投げ飛ばさなければ、真っ二つになっていただろう。

転がるタイガが地面を蹴り戦闘体制に入ると、ゴゴ達が遅れて現れ、武器を構える。

「まさか、傭兵団のトップがグルミターナの一員だったとはな」

「逆さ! 我らグルミターナが女神の元、この世界を一つにする為に作った組織なのだ」

戦斧を持ち変えるゲルドマ。

後ろではすでにベンゾウと傭兵団達が始めていた!

七対一でもベンゾウが勝つと思っていた惣一郎。

ゲルドマから目を離さない!

だが、あのベンゾウが、傭兵団のコンビネーションに応戦一方であった!






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