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十二章

六話 【職人ドワーフ】

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翌朝、惣一郎達は街に来ていた。

家ごと作り直そうと考えていたが、あまり壁のしっかりしたプレハブやコンテナでは、クロもベンゾウも外敵が分かりづらいと、テントがちょうど良いと言う事になった。

それならと、新しい大きなテントにしたのだから、風呂は良いのにしようと検索していたが、弁慶サイズの良さげな物は見つからず、フルオーダーで作ろうと、紹介されたゴマサと言う木工職人に頼みに来ていた。

「ゴマサと言う、木工職人がいると聞いてきたのですが?」

「オイですが?」

ドワーフにしては髭もなく、若い青年の様なエプロン姿の男であった。

「ここで大きな風呂桶を、作ってくれると聞いて来たのだが」

「ホイホイ! 大きさは?」

惣一郎は、今使っている風呂桶を出し、一回り大きく深い物を頼む。

半分は段差を設けてもらい、椅子の様に座れる様に!

「なるほどなるほど、それなら保温出来る様に、[アスラの木]で作ろう! それとお湯はどう沸かすんで?」

惣一郎は、毎度鍋で湯を沸かすと伝えると、

「なるほどなるほど、この先の[ソルト]の所で魔導具を売ってるのだが、そこに熱石が売ってるよ! 組み込めばいつも熱々なのね」

「なるほど、そりゃ良いかもな! 見て来るか」

惣一郎は取り敢えず、桶の製作を頼み、魔導具を見に向かう。

それにしても、喋り方が気になる……

洞窟の岩肌をくり抜いた様な家が並ぶ街中を、歩いていくと、魔導具が並ぶ店に行き着く。

「すいません! 熱石があると聞いて来たんですが」

樽の様な背の低い女性のドワーフが、

「はい! 熱石ですね。サイズはどうしますか?」

サイズ? サイズがあるのか。

聞けば設定温度により、サイズを大きくしたり個数を増やすそうで、風呂に使うなら風呂のサイズ、つまり水の量と温度で違って来るのだ。

惣一郎は、また桶を出してこの一回り大きく深い量でと、店員のソルトに注文する。

「温度は?」

「ん~ 42度位かな?」

するとソルトが奥から布に包まれた石を持ってくる。

予想より全然小さい小石だった。

赤い小石は、布越しでもほんのり温かい。

「毎度、220ギーです!」

たっか!

払えなくは無いが、小石に220万!

驚く惣一郎はもう引っ込みがつかず、お金を払い店を出る。

冷蔵庫にも使える冷石にも興味あったが、またそのうち……

ゴマサの所に戻ると、もう仮組みが出来ていた!

驚く惣一郎は、熱石を渡してよろしくお願いする。

恐るべしドワーフ……

夕方には出来るそうだ。

するとそこに、ギルバンが現れる。

「ここにいたのか、惣一郎殿!」

「ああ、風呂桶を頼みにね」

「そうか、ゴマサなら間違いなかろう!」

何かあったのか尋ねると、美王が呼んでるとの事で、

「なら、美王の準備が出来たら呼んでくれ」

っと惣一郎は、ギルドに向かう。

ダンゴムシの代金と、紫のムカデを売ろうと!

「それもそうじゃな……」

っと、ギルバンも一緒に付いて来た。

ギルドに着くと、小さな家にカウンターのみのギルドであった。

冒険者も見当たらない。

カウンターで、魔獣の代金を受け取りに来たと伝えると、受付のギルド員がギルバンを見る。

ギルバンがカウンターの向こうへ行き、

「今、準備するから、まっちょれ!」

っと奥に消える。

お前がギルマスなんか~い!

心の中でツッコみを入れる、惣一郎だった。





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