13 / 46
第13話 もやもやしまくる輝君
しおりを挟む
「でね、サラちゃんが進路で悩んでるみたいなんだよね……勉強は嫌いだけど、普通科の高校からいきなり就職は不安があるから、専門学校に行こうかなって言ってて……ねぇ輝、どう思う?」
それ、僕に聞く?
まあ、僕は小学四年生までその辺りに住んでいたから、土地勘がまるでないわけじゃない。
だから優斗の彼女、金子サラちゃんの高校卒業後の進路先事情を一緒に考えることができる。
「埼玉ったってさ、都内に出やすいとこに住んでるんだから、色んな専門学校が選べるじゃん。まあ、お金のかかる話だからさ、卒業まで頑張れそうなとこがいいんじゃない? 選択肢が沢山あって選べないっていうんなら、世間の需要のあるなしを考えるとかさ」
僕は優斗と一緒に、学校から一番近いファーストフード店にいた。
僕達は、特に放課後に活動する部や同好会に所属しておらず、週に三日ほど塾通いをしている。さらに優斗は、アルバイトまでしていた。
そうした次のスケジュールまでのわずかな隙間時間に、僕達はくだらないことを喋って気を紛らわせているのだ。
実はこの時に仕入れている情報を、僕は従兄弟の陽にメールで送っている。
陽はサラちゃんと同じクラスだっていうのに、なぜか僕からの情報を要求してくるのだ。
まあ、そうする理由はわかってる。
自分でも認めたくないが、僕も陽も女子生徒から敬遠される傾向があるのだ。
だから陽は、サラちゃんから二人のことを直接聞き出せないんだろう。
そう思うと、なぜかちょっとだけ気分が良くなった。
それに女子生徒からモテる関連では、僕の方には変化が見られている。
きっかけは、一年生の二学期に転校してきて仲良くなった優斗だ。
ここ福岡から遠く離れた埼玉に彼女がいるというのに、優斗はわりかし女子生徒ウケが良かった。
そりゃ、優しくて顔も……まあまあ良けりゃそうなるだろう。
僕はその友達として、女子生徒から優斗攻略方法を訊かれたりしていた。
攻略方法ね……
毎朝二人の間で交わされている『むぎゅ』だの『大好き』だのの、あっまあまなメッセージ。
それをにやにやしながら眺めている優斗に、隙なんかあるわけがない。
だけどせっかく相談してくれた女子生徒に、気の毒な情報をそのまま伝えるのも忍びない。だから僕は、代替え案を提案している。
君に思いを寄せている人が、近くにいるんじゃないのかな? って。
いや、それが実在していようといまいと、女子生徒の意識が優斗から逸れさえすればいいのだ。
というわけで、僕は今までにないほど女子と会話する機会が多い。
どうだ、陽め、まいったか! と言うのは、ちゃんと彼女と呼べる存在ができてからにしようと決めている。
今はまだ、その時じゃない。
「優斗は東京の大学目指すんだろ? その為にバイトしてるんだもんな」
僕はコップの底に残ったバニラシェーキを一気に吸いこみながら訊いた。
「うん。そうしないと、サラちゃんと一緒にこの先を過ごせないから」
「お前、ほんと一途だよな……松尾さんだって、かわいいじゃんよ」
「松尾さん?」
「あ、いや、なんでもない!」
「サラちゃんは僕と違って一人っ子だし、やっぱりご両親の近くにいたいだろうなって思うし……」
ほんとに、どこまで先の未来を頭に描いてるんだか……
「輝は福岡から動く気はないって言ってたもんね……そんなに嫌なんだね、埼玉が」
いや、僕が嫌ってるのは陽だけだよ。
僕は最後のポテトを口にする優斗に、それを言えなかった。
「うちには弟がいるから、僕は東京に出てもいいって言われてる。そういえば、輝って兄弟いるの?」
「いるよ、妹。今、小二」
「へぇ……輝の妹さんなら、やっぱり明るいイメージの名前なんだろうね?」
あ、それ訊いちゃう?
「静……静かって漢字で」
「え? なんだか輝と逆なんだね」
「おまけに性格まで真逆だよ。っとに、うるさいったらない」
『子どもって、ここまで親の期待を裏切るものなのね……』
いつだったか、僕と静とを見比べた母親が、ため息混じりにぽつりとこぼした一言だ。
「ちなみに陽にもいるんだぜ、妹。しかも歳と名前の読み方が一緒で、性格まで似てんの。忄に星って書いて、惺っていうんだけどさ」
「へえ……面白いね……」
「面白いか? 僕は妹より彼女が欲しいよ」
「そうなの? じゃあ、さっき言ってた松尾さんはどう?」
なに⁉ 優斗、さっきの僕の台詞を覚えてたのか!
「聞きにくいなら、僕が松尾さんに彼氏がいるか訊いてみようか?」
こういうとこが、ニブイんだよな……松尾さんは、お前に気があるんだっての……
「いや、いいよ……僕は勝ち目のない勝負には手を出さない主義なんだ」
「そうなの? 好きな人とうまくいったら、毎日ハッピーになれるんだよ?」
それはな! よーく知ってるんだよ! サラちゃんとお前が仲良くしてるのを、僕はすぐ近くで見てるんだから!! くそ……僕だって、お前みたいにハッピーになりたいよ!
優斗のバッグにくっついている、ブロッコリーみたいなデザインのマスコット。なんでも、けやこちゃんとかいうらしい。
それは前に優斗が通っていた、つまりサラちゃんと陽が今現在通っている高校の、去年の文化祭で売られていたものだ。
実は僕も同じものを持っている。
陽がデザインし『けやこちゃん』と名付けたもので、本人が自慢気に送りつけてきたのだ。
このブロッコリーもどきのマスコットに、センスがあるかないかなど、僕にはわからない。
ただこの『けやこちゃん』、優斗のけやこちゃんにはあって、僕のものにはないあるものがある。
それは、背面に貼り付けられた淡いピンク色の平仮名とマークだった。
『ゆうと♡』
くそっ……ただのマスコットにすら、こんなにイラッとするとは……
『こっちは文化祭の日に面白い作戦を決行するんだ。どんな事をするのか、聞きたいだろ? まだ教えてやらないけどな……ふふふ、どうだ、なんだかモヤッとするだろ? かわいいけやこちゃんを見るたびにモヤッとするといいよ』
けやこちゃんと一緒に送られてきた、陽からの手紙。
バカ陽め! 僕はお前の目論見とは違うとこで、けやこちゃんを見る度にモヤッとしてるんだよ!
でも、確かに気にはなってるんだ……
まだ僕は、陽からその結果を聞いていない。
あいつが通ってる高校で、いったいなにがどうなってるっていうんだ……
ファーストフード店を出たところで、またなと優斗に手を振った。
でも、陽の思惑通りになるのはどうしても嫌だから、このモヤッとは無視する。
僕は自転車に跨りながら、できる限りの選択肢を頭に浮かべたのだった。
それ、僕に聞く?
まあ、僕は小学四年生までその辺りに住んでいたから、土地勘がまるでないわけじゃない。
だから優斗の彼女、金子サラちゃんの高校卒業後の進路先事情を一緒に考えることができる。
「埼玉ったってさ、都内に出やすいとこに住んでるんだから、色んな専門学校が選べるじゃん。まあ、お金のかかる話だからさ、卒業まで頑張れそうなとこがいいんじゃない? 選択肢が沢山あって選べないっていうんなら、世間の需要のあるなしを考えるとかさ」
僕は優斗と一緒に、学校から一番近いファーストフード店にいた。
僕達は、特に放課後に活動する部や同好会に所属しておらず、週に三日ほど塾通いをしている。さらに優斗は、アルバイトまでしていた。
そうした次のスケジュールまでのわずかな隙間時間に、僕達はくだらないことを喋って気を紛らわせているのだ。
実はこの時に仕入れている情報を、僕は従兄弟の陽にメールで送っている。
陽はサラちゃんと同じクラスだっていうのに、なぜか僕からの情報を要求してくるのだ。
まあ、そうする理由はわかってる。
自分でも認めたくないが、僕も陽も女子生徒から敬遠される傾向があるのだ。
だから陽は、サラちゃんから二人のことを直接聞き出せないんだろう。
そう思うと、なぜかちょっとだけ気分が良くなった。
それに女子生徒からモテる関連では、僕の方には変化が見られている。
きっかけは、一年生の二学期に転校してきて仲良くなった優斗だ。
ここ福岡から遠く離れた埼玉に彼女がいるというのに、優斗はわりかし女子生徒ウケが良かった。
そりゃ、優しくて顔も……まあまあ良けりゃそうなるだろう。
僕はその友達として、女子生徒から優斗攻略方法を訊かれたりしていた。
攻略方法ね……
毎朝二人の間で交わされている『むぎゅ』だの『大好き』だのの、あっまあまなメッセージ。
それをにやにやしながら眺めている優斗に、隙なんかあるわけがない。
だけどせっかく相談してくれた女子生徒に、気の毒な情報をそのまま伝えるのも忍びない。だから僕は、代替え案を提案している。
君に思いを寄せている人が、近くにいるんじゃないのかな? って。
いや、それが実在していようといまいと、女子生徒の意識が優斗から逸れさえすればいいのだ。
というわけで、僕は今までにないほど女子と会話する機会が多い。
どうだ、陽め、まいったか! と言うのは、ちゃんと彼女と呼べる存在ができてからにしようと決めている。
今はまだ、その時じゃない。
「優斗は東京の大学目指すんだろ? その為にバイトしてるんだもんな」
僕はコップの底に残ったバニラシェーキを一気に吸いこみながら訊いた。
「うん。そうしないと、サラちゃんと一緒にこの先を過ごせないから」
「お前、ほんと一途だよな……松尾さんだって、かわいいじゃんよ」
「松尾さん?」
「あ、いや、なんでもない!」
「サラちゃんは僕と違って一人っ子だし、やっぱりご両親の近くにいたいだろうなって思うし……」
ほんとに、どこまで先の未来を頭に描いてるんだか……
「輝は福岡から動く気はないって言ってたもんね……そんなに嫌なんだね、埼玉が」
いや、僕が嫌ってるのは陽だけだよ。
僕は最後のポテトを口にする優斗に、それを言えなかった。
「うちには弟がいるから、僕は東京に出てもいいって言われてる。そういえば、輝って兄弟いるの?」
「いるよ、妹。今、小二」
「へぇ……輝の妹さんなら、やっぱり明るいイメージの名前なんだろうね?」
あ、それ訊いちゃう?
「静……静かって漢字で」
「え? なんだか輝と逆なんだね」
「おまけに性格まで真逆だよ。っとに、うるさいったらない」
『子どもって、ここまで親の期待を裏切るものなのね……』
いつだったか、僕と静とを見比べた母親が、ため息混じりにぽつりとこぼした一言だ。
「ちなみに陽にもいるんだぜ、妹。しかも歳と名前の読み方が一緒で、性格まで似てんの。忄に星って書いて、惺っていうんだけどさ」
「へえ……面白いね……」
「面白いか? 僕は妹より彼女が欲しいよ」
「そうなの? じゃあ、さっき言ってた松尾さんはどう?」
なに⁉ 優斗、さっきの僕の台詞を覚えてたのか!
「聞きにくいなら、僕が松尾さんに彼氏がいるか訊いてみようか?」
こういうとこが、ニブイんだよな……松尾さんは、お前に気があるんだっての……
「いや、いいよ……僕は勝ち目のない勝負には手を出さない主義なんだ」
「そうなの? 好きな人とうまくいったら、毎日ハッピーになれるんだよ?」
それはな! よーく知ってるんだよ! サラちゃんとお前が仲良くしてるのを、僕はすぐ近くで見てるんだから!! くそ……僕だって、お前みたいにハッピーになりたいよ!
優斗のバッグにくっついている、ブロッコリーみたいなデザインのマスコット。なんでも、けやこちゃんとかいうらしい。
それは前に優斗が通っていた、つまりサラちゃんと陽が今現在通っている高校の、去年の文化祭で売られていたものだ。
実は僕も同じものを持っている。
陽がデザインし『けやこちゃん』と名付けたもので、本人が自慢気に送りつけてきたのだ。
このブロッコリーもどきのマスコットに、センスがあるかないかなど、僕にはわからない。
ただこの『けやこちゃん』、優斗のけやこちゃんにはあって、僕のものにはないあるものがある。
それは、背面に貼り付けられた淡いピンク色の平仮名とマークだった。
『ゆうと♡』
くそっ……ただのマスコットにすら、こんなにイラッとするとは……
『こっちは文化祭の日に面白い作戦を決行するんだ。どんな事をするのか、聞きたいだろ? まだ教えてやらないけどな……ふふふ、どうだ、なんだかモヤッとするだろ? かわいいけやこちゃんを見るたびにモヤッとするといいよ』
けやこちゃんと一緒に送られてきた、陽からの手紙。
バカ陽め! 僕はお前の目論見とは違うとこで、けやこちゃんを見る度にモヤッとしてるんだよ!
でも、確かに気にはなってるんだ……
まだ僕は、陽からその結果を聞いていない。
あいつが通ってる高校で、いったいなにがどうなってるっていうんだ……
ファーストフード店を出たところで、またなと優斗に手を振った。
でも、陽の思惑通りになるのはどうしても嫌だから、このモヤッとは無視する。
僕は自転車に跨りながら、できる限りの選択肢を頭に浮かべたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
押しつけられた身代わり婚のはずが、最上級の溺愛生活が待っていました
cheeery
恋愛
名家・御堂家の次女・澪は、一卵性双生の双子の姉・零と常に比較され、冷遇されて育った。社交界で華やかに振る舞う姉とは対照的に、澪は人前に出されることもなく、ひっそりと生きてきた。
そんなある日、姉の零のもとに日本有数の財閥・凰条一真との縁談が舞い込む。しかし凰条一真の悪いウワサを聞きつけた零は、「ブサイクとの結婚なんて嫌」と当日に逃亡。
双子の妹、澪に縁談を押し付ける。
両親はこんな機会を逃すわけにはいかないと、顔が同じ澪に姉の代わりになるよう言って送り出す。
「はじめまして」
そうして出会った凰条一真は、冷徹で金に汚いという噂とは異なり、端正な顔立ちで品位のある落ち着いた物腰の男性だった。
なんてカッコイイ人なの……。
戸惑いながらも、澪は姉の零として振る舞うが……澪は一真を好きになってしまって──。
「澪、キミを探していたんだ」
「キミ以外はいらない」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる